有価証券報告書-第40期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/30 9:11
【資料】
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【項目】
107項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政策面での景気下支えにより総じて回復基調にあるものの、消費税率引上げを受けた駆け込み需要の反動減の悪影響が予想されるなど、先行きに不透明なものがあります。
当社グループの主力事業が大きく関わる医薬品業界では、後発薬の普及や薬価改定など医療費抑制政策の影響を受けた大手製薬企業が、後発医薬品への取り組み強化とグローバル戦略を鮮明にし、外部からの新薬候補化合物(パイプライン)の導入により新薬開発の拡充を図りつつ、経営資源の集中と委託費用の圧縮を図って非臨床試験段階でのパイプラインの絞込みを継続しております。このため、CRO(受託研究機関:Contract Research Organization 以下「CRO」と言います。)間の受注競争は激化し、試験単価の引下げ等厳しい経営環境が続いております。しかしながら、国を挙げて取り組むiPS細胞を始めとする再生医療、移植医療の研究分野において大学や研究機関が医療や新薬開発の新たな担い手として注目され、そこでは特色あるノウハウを蓄積するCROが、新薬創製の成功確立を高める存在として求められており、非臨床試験市場回復の一助となっております。
このような状況のもと、当社グループは平成23年度に経営合理化策を策定し、同連結会計年度にはフィリピン子会社 Ina Research Philippines,Inc.(以下「INARP」と言います。)の臨床試験施設売却及びスイス連邦のヨーロッパ支所の閉鎖を行い、前連結会計年度はフィリピン子会社からの出向職員の帰国等を含めた組織のスリム化による人件費の削減を進めるとともに、効率的な飼育室の運用を図る等コスト削減に取り組んでまいりました。
さらに当連結会計年度は、経費削減を継続しつつ営業体制の見直しを図り取締役の営業活動やコンサルタント活動を積極的に行いました。そして製薬企業の開発ニーズの的確な把握に努め、これに応えるべく遺伝子解析サービス及びバイオ医薬品の試験実施体制強化を図り、7月に倉敷紡績株式会社(本社:大阪市中央区)との業務提携、9月に株式会社住化分析センター(本社:大阪市中央区)との業務提携、更に1月に公益財団法人実験動物中央研究所(本社:川崎市川崎区)との共同研究による「マーモセットによる毒性試験」を開始し、医薬品安全性試験の試験種の拡大を図るとともに、より少量の化合物による毒性試験の提供を可能といたしました。また、再生医療の研究に有用な移植寛容型カニクイザルの研究及び応用は、平成25年度独立行政法人科学技術振興機構の研究成果最適展開プログラム採択となり、共同研究先である学校法人東海大学との連携のもと事業化に向けた取り組みが進んでおり、今後の研究進捗に備えて在庫増強を図っております。
このように取り組んでまいりましたところ、主力の非臨床試験におきましては、売上は前連結会計期間の受注低迷により当連結会計期間に終了する試験が減少したため前連結会計年度を下回りましたが、利益は増加となりました。これは、受注が第2四半期以降回復し稼働率が向上したことと、一連の経費削減の効果及び子会社取引において為替の影響が比較的小さかったことによるものです。なお、当連結会計期間の非臨床試験の受注実績は2,428,033千円(前連結会計年度比13.1%増)となりました。
臨床試験におきましては、心電図解析試験の受注が伸びず前連結会計年度に比べ売上高・利益ともに下回りました。なお、当事業については、実施中の大型試験があり、また最近は問い合せが増加傾向にあります。
環境につきましては、大型の研究施設改修工事や脱臭機器販売に加えて畜産分野での売上があり前連結会計年度に比べ売上高・利益ともに上回りました。現在、研究所等の建設案件、脱臭関連やエンジニアリング業務の引き合いが増加していることや、ノロウイルス予防の食品衛生管理機器やホルマリン対策脱臭装置といった分野での需要があることから取り込み強化を図っております。
当連結会計年度は、このような経営改善への取り組みによって前連結会計年度に比べ改善し黒字転換を果たすことができました。なおフィリピン臨床施設売却に伴い、連結子会社である土地保有会社 Inaphil,Incorporated(以下「INAPHIL」と言います。)から、剰余金の配当35,276千Php(フィリピンペソ)を受領し、優先配当となりましたので少数株主持分が大きく減少しております。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高2,778,237千円(前連結会計年度比3.9%減)、営業利益66,224千円(前連結会計年度比519.5%増)、経常利益49,448千円(前連結会計年度は経常損失19,393千円)、当期純利益70,452千円(前連結会計年度は当期純損失6,439千円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 非臨床試験
当事業部門におきましては、前連結会計期間の受注減少の影響で売上は減少となりましたが、当連結会計期間における営業力強化による受注回復と経費削減効果により利益は増加となり、売上高は2,476,211千円(前連結会計年度比2.0%減)、営業利益は76,991千円(同307.4%増)となりました。
② 臨床試験
当事業部門におきましては、受注低迷による売上不振で黒字には至りませんでした。売上高は39,386千円(前連結会計年度比66.1%減)、営業損失は39,319千円(前連結会計年度は営業損失16,332千円)となりました。
③ 環境
当事業部門におきましては、研究施設改修の大型工事があり、売上高は262,639千円(前連結会計年度比6.2%増)、営業利益は28,552千円(同251.5%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物(以下「資金」と言います。)は、前連結会計年度と比較して138,835千円増加し403,650千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度と比較して196,343千円増加し209,248千円となりました。主な内訳は税金等調整前当期純利益49,440千円、減価償却費214,823千円、売上債権の増加額105,521千円、たな卸資産の減少額90,746千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、前連結会計年度と比較して118,462千円減少し13,795千円となりました。主な内訳は定期預金の減少に伴う収入60,121千円、有形固定資産の取得による支出49,669千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比較して80,585千円減少し88,434千円となりました。主な内訳は長期借入れによる収入400,000千円、長期借入金の返済による支出325,486千円であります。