有価証券報告書-第47期(平成25年10月1日-平成26年9月30日)

【提出】
2014/12/19 16:24
【資料】
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【項目】
121項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度のわが国経済は、政府ならびに日銀の経済・金融政策の効果により、為替相場及び株式市場の安定が図られ、景況感はゆるやかな回復を示しました。
一方、当社グループの経営成績に影響の大きい、電子部品・デバイス工業分野においては、スマートフォンやタブレット端末の普及、車載電子機器の増加等の流れによって、世界的な需要は拡大しつつあるものの、国内での生産活動は、総じて低調に推移しており、使用される貴金属の量も減少傾向にあります。
また、主力製品である金の価格は、ドルベースでの価格下落を受け、前年度の価格水準を下回って推移しました。銅の価格は、平均で前年度をやや上回る水準となりました。
このような環境をふまえ、当社グループでは、貴金属事業・環境事業に次ぐ事業の柱を育てるべく、大規模な技術開発投資を実行しております。現在開発中の技術は、独立行政法人日本原子力研究開発機構が基礎技術を開発した新しい溶媒抽出技術で、従来の技術に比べて、格段に抽出効率が高いことが特徴です。この技術は、コンパクトかつシンプルな装置を使用し、低コストで迅速な回収ができるうえ、分離した元素を濃縮する性能も備えております。さらに、環境に優しい技術でもあります。当社は、同機構との共同研究によって、基礎技術にいくつかの新しいプロセスを加え、実用化を目指しています。福島県いわき市に新設した、レアメタル・レアアースに関する研究開発拠点において、レアメタル・レアアースの新しい分離・精製技術の確立に向けた実証試験を行ってまいりました。2件の大型の補助金(平成23年度「希少金属使用量削減・代替技術開発設備整備費等補助金(レアアース・レアメタル使用量削減・利用部品代替支援事業)」及び平成25年度「ふくしま産業復興企業立地補助金」)を活用し、早期の事業化を目指しております。当年度においては、研究開発拠点となるいわき工場を竣工し、実証試験を開始いたしました。
同時に、貴金属の回収品目を拡大するための前処理技術の開発や、生産工程の合理化にも取り組みました。その他の新規事業テーマについても、技術開発や販売拡大に向けた活動を継続しております。
当連結会計年度においては、受託加工取引も含めた貴金属の総取扱数量は増加いたしました。しかし、貴金属価格の下落及び受託加工取引の割合増による販売数量減少の影響から、売上高は、8,189,813千円(前年同期比13.4%減)となりました。営業損失は、貴金属相場の下落及び製品構成の変化による売上総利益の減少、上述の技術開発投資の増加、海外子会社取得に伴う費用増加、及び新市場開拓のための営業費用の増加等によって、402,706千円(前年同期は203,619千円の利益)となり、経常損失は、416,657千円(前年同期は190,404千円の利益)となりました。当期純利益は、補助金収入443,632千円を特別利益として計上したことによって、26,204千円(同77.5%減)となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりです。なお、各セグメントの金額については、セグメント間取引を含んでおります。
(貴金属事業)
当事業の主要なお客様が属する電子部品・デバイス工業分野の生産は、前年度と同程度の水準で低調に推移しましたが、取引先の開拓等によって、貴金属の総取扱数量は増加いたしました。一方、貴金属の販売価格は、前年度の水準を下回りました。また、取引形態変更による受託加工取引の割合が増加したことによって、貴金属の販売数量は前年度実績を下回りました。この結果、売上高は、7,356,828千円(同15.0%減)となりました。セグメント利益は、貴金属価格の下落、製品構成の変化による売上総利益の減少、海外子会社取得に伴う費用増加、及び新市場開拓のための営業費用の増加によって、438,561千円(同41.3%減)となりました。
(環境事業)
当事業の主要なお客様が属する電子回路基板業界の生産は、減少が続いており、電子回路基板向けエッチング液及び銅ペレットの販売数量は、前年度の実績を下回りました。一方、銅ペレットの平均販売価格は、前年度を上回る水準となり、新規事業である光触媒事業での販売も伸びたことから、売上高は751,271千円(同0.1%増)となりました。セグメント利益は、新規事業の拡大やコスト削減等の効果によって、85,525千円(同13.9%増)となりました。
(その他)
その他に含まれるシステム受託開発事業及び運輸事業の売上高は、214,621千円(同3.5%増)となり、セグメント利益は、20,623千円(同133.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より489,177千円増加し、1,172,961千円(前連結会計年度比71.5%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、598,849千円となりました(前年同期は388,356千円の収入)。
これは、主な収入要因として、減価償却費が209,526千円あり、主な支出要因として、補助金収入が443,632千円、立替金の増加額が350,469千円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、213,249千円となりました(同63.0%減)。
これは、主な収入要因として、補助金の受取額が541,400千円あり、主な支出要因として、工場設備等有形固定資産の取得が681,869千円、連結子会社の取得が58,756千円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、1,303,700千円となりました(同203.4%増)。
これは、主な収入要因として、長期借入れによる収入が1,250,000千円あり、主な支出要因として、社債の償還による支出が260,000千円あったこと等によるものです。