有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
(1)財政状態
当連結会計年度における財政状態は、資産合計については、前連結会計年度末と比べ4,011百万円増加し、13,259百万円(43.4%増)となりました。負債合計については、前連結会計年度末と比べ3,965百万円増加し、8,008百万円(98.1%増)となりました。純資産合計については、前連結会計年度末と比べ46百万円増加し、5,250百万円(0.9%増)となりました。
(2)経営成績
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の他、米国における政府機関の一部閉鎖への懸念、欧州における英国のBrexitの不確実性やフランスの財政再建をめぐるデモ拡大への懸念等はあったものの、良好な雇用・所得環境による堅調な個人消費が景気を牽引し、好調を維持しました。また、我が国経済につきましては、政府の経済政策や日本銀行による金融緩和策などを背景に、企業収益や雇用・所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調を保ちました。しかしながら、米中貿易摩擦を始め米国の保護主義的な通商政策による主要国間での貿易摩擦への懸念などを背景に、世界景気の先行き不透明感は増しており、企業の景況感は悪化傾向にあります。
医薬品業界におきましては、増大する医療費の抑制は各国共通の課題となっており、保険者の影響力の高まりや後発医薬品の使用促進などの動きが加速しております。日本においては、2018年度から実施されている抜本的薬価制度改革では、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の抜本的見直しや長期収載品の薬価等の見直しなど、新薬創出を目指す製薬会社に経営的側面から大きなインパクトを与えており、手持ちのパイプライン品目の見直しを迫られるなど、新薬開発の生産性や効率性の向上が求められております。他方、治療満足度の低い疾患や希少疾病用医薬品へのニーズは依然として数多く存在しており、革新性の高い医薬品は待ち望まれております。日本では、希少疾病用医薬品指定制度、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度も運用されるに至っており、米国、欧州の規制当局も同様に優遇政策を導入しております。このような環境下において、製薬会社は主力製品の特許切れ問題への対応も含め、革新的新薬の創出に向け、ビジネスモデルや研究開発活動の転換を加速するものと思われます。
当社グループが属する医薬品開発業務受託(CRO;Contract Research Organization)業界及び医薬品販売支援(CSO;Contract Sales Organization)業界は、医薬品開発・販売のアウトソーシング化及び国際共同治験(注)の増加を背景として、市場規模は緩やかに拡大しております。また、上述の医薬品業界の状況を踏まえると、製薬会社は革新的新薬の創出並びにその生産性や効率性を更に向上させるため、医薬品開発・販売のアウトソーシングを一層加速させることが見込まれます。
以上のような事業環境の下、当社は製薬会社の北米を含むグローバル開発ニーズへの対応力の強化等のために、2018年4月16日(米国東部標準時)にLINICAL USA,INC.(本社:ニューヨーク州)を通じて米国を本拠にCRO事業を営むAccelovance,Inc.(本社:メリーランド州、現Linical Accelovance America,Inc. 以下「LAA社」)の発行済株式の100%を取得して完全子会社化し、2019年3月期から連結業績に含めております。
当社は、LAA社の買収後、当社取締役をLAA社の責任者として派遣するなど経営体制の掌握に努めるとともに、上場企業のグループ会社にふさわしい管理体制の整備として、当社既存の米国部門、欧州部門との重複機能の整理・統廃合、米国内拠点の整理、管理部門のマネジャークラスを中心とした余剰人員の整理やシステムの統合などLAA社の今後の事業展開を見据えた積極的なポスト・マージャー・インテグレーション(当初計画した買収後の統合効果を最大化するための統合プロセス)を進めております。
しかしながら、LAA社において、買収当初に契約締結直前での発注の見合わせがあったことや複数件の受託プロジェクトの開発中止などが発生し、その後も新規受託が計画を下回る状況が続いたため、当連結会計年度において、売上高が予想を大幅に下回る結果となりました。また、拠点の整理、余剰人員の削減やシステムの統合など積極的なリストラクチャリングを進めましたが、コスト削減効果の発現時期に遅れが生じたことや、リストラクチャリングの進展を加速させるための拠点整理、人員削減に伴う一時的な事業構造改善費用を計上したことから利益面でも予想を下回る結果となりました。
一方、日本においても、期初に受託が内定していたものの開発の開始が遅れていた案件で開発の中止が決定した他、当連結会計年度に開始予定であった複数案件において、製薬会社の開発計画の見直しにより来期に延期となったこと等から期初に想定していなかった新規案件を深耕し、複数案件を受託したものの挽回するには及ばず、売上高、利益ともに予想を下回りました。
現在の受注状況については、2019年1月に日本、韓国、中国及びシンガポール(一部契約締結手続き中)の4カ国で実施する大型の国際共同治験を獲得した他、米国やアジア、欧州を含めた国際共同治験案件など多くの新規案件の打診を受けて来期以降の業績に寄与する案件の営業活動が活発化しており、受注残高が大幅に積み上がり始めています。このことは、LAA社の買収によって日本、アジア、米国、欧州で一定規模のグローバル受託体制が整ったことによる営業面での効果が発現し始めたものと考えています。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は受託案件の増加に加え、LAA社買収により同社及びその子会社の売上高を取り込んだ結果、11,313百万円(前年同期比24.1%増)となりました。一方、営業利益は売上高が前年同期比では増加したものの当初の想定を下回ったため、先行的な人材投資による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の売上原価、販売費及び一般管理費を取り込んだ他、LAA社買収に関連して発生した取得関連費用やのれんの償却負担の増加等を吸収できず、1,212百万円(前年同期比34.3%減)となりました。経常利益は支払利息が増加する一方、円安により外貨預金等に為替差益が生じたこと等から1,253百万円(前年同期比31.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益はLAA社の米国内拠点の整理や余剰人員の整理に関連する一時的な事業構造改善費用を計上したことやLAA社で発生した税務上の繰越欠損金等の将来における節税効果を現時点では繰延税金資産として認識できないこと等により568百万円(前年同期比56.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①CRO事業
当社グループのCRO事業につきましては、日本、アジア、米国、欧州におけるグローバル受託体制の構築を引き続き強力に推し進めた結果、国際共同治験(注)を中心とした受託案件が増加したことに加え、LAA社買収により同社及びその子会社の売上高を取り込んだ結果、売上に貢献いたしました。利益面においては、先行的な人材投資による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の売上原価、販売費及び一般管理費を取り込んだ他、LAA社買収に関連して発生したのれんの償却負担の増加等から減益となりました。この結果、売上高は10,359百万円(前年同期比26.3%増)、営業利益は2,540百万円(前年同期比6.6%減)となりました。
②育薬事業
当社グループの育薬事業につきましては、新薬発売後の臨床研究を中心とした案件の受注により人員の稼働率が上昇した結果、売上及び利益に貢献することとなりました。この結果、売上高は954百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益は313百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
(注)「国際共同治験」とは、主要市場国における早期・同時上市を図るため、臨床試験を複数の国または地域において同時並行的に行うことをいいます。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より117百万円減少し、5,055百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、796百万円(前連結会計年度は1,360百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益1,164百万円の計上、立替金の増加額388百万円、未払金の減少額379百万円、預り金の減少額741百万円、法人税等の支払額593百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、2,617百万円(前連結会計年度は91百万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出42百万円、投資有価証券の取得による支出80百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,459百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、3,282百万円(前連結会計年度は471百万円の使用)となりました。これは、主に短期借入金の増加額1,200百万円、長期借入れによる収入2,800百万円、長期借入金の返済による支出209百万円、自己株式取得による支出254百万円及び配当金の支払額249百万円があったこと等によるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2019年6月26日)において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当りまして、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社は、収益の認識について、顧客との業務委託契約に基づき役務提供を行った時に収益を認識する役務提供基準を採用しております。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ4,011百万円増加し、13,259百万円(43.4%増)となりました。これは、主にのれんの増加によるものであります。
② 負債の部
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ3,965百万円増加し、8,008百万円(98.1%増)となりました。これは、主に短期借入金及び長期借入金の増加によるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ46百万円増加し、5,250百万円(0.9%増)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当社グループの当連結会計年度の売上高は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ2,200百万円増加し、11,313百万円(前年同期比24.1%増)となりました。
② 売上原価
当連結会計年度の売上原価は、主に治験業務受託件数の拡大に備えた先行的な人材投資による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の売上原価を取り込んだ結果、前連結会計年度に比べ1,920百万円増加し、7,500百万円(前年同期比34.4%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、主にLAA社買収により同社及びその子会社の販売費及び一般管理費を取り込んだ他、LAA社買収に関連して発生した取得関連費用やのれんの償却負担が増加した結果、前連結会計年度に比べ913百万円増加し、2,600百万円(前年同期比54.2%増)となりました。
④ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、売上の増加が売上原価並びに販売費及び一般管理費の増加を下回った結果、前連結会計年度に比べ633百万円減少し、1,212百万円(前年同期比34.3%減)となりました。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ573百万円減少し、1,253百万円(前年同期比31.4%減)となりました。
⑥ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ662百万円減少し、1,164百万円(前年同期比36.3%減)となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ727百万円減少し、568百万円(前年同期比56.1%減)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については「1[経営成績等の状況の概要] (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 財務政策及び資金の流動性についての分析
当社は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重要施策と位置づけ、株主の皆様からお預かりした資本に対して如何に報いるかという視点に立ち、業績を勘案した配当施策を行い、安定的に利益還元に努めてまいります。
内部留保金につきましては、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資として活用し、中長期的な成長による企業価値向上を通じて株主の皆様の期待にお応えしてまいります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、従業員給付費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資としてのM&Aによる企業買収等のための資金であります。
当社は、事業活動のために適正な流動性の維持及び効率的な資金の確保を基本方針としており、主に営業活動から得た資金を財源とし、必要に応じて短期または長期の借入による資金調達を実施することとしております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,728百万円、現金及び現金同等物の残高は5,055百万円となっております。また、当社の資金の流動性については、十分な余剰資金に加え、国内金融機関との間で合計2,000百万円の当座借越枠を設定し、当社グループの資金の流動性を補完しております。
(5)経営成績等に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元バランスの最適化を図ることを重要施策と位置付け、安定的な利益還元の源泉となる1株当たり当期純利益を目標とする経営指標にしております。
当連結会計年度の1株当たり当期純利益は25.09円(前年同期比56.0%減)となりました。これは、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期と比して減少したことによるものです。
1株当たり当期純利益の2019年3月期までの実績値及び2020年3月期の計画値は、次のとおりであります。
(注)当社は、2016年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行っており、1株当たり当期純利益は、当該株式分割が2016年3月期の期首に行われたと仮定して算定しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
(1)財政状態
当連結会計年度における財政状態は、資産合計については、前連結会計年度末と比べ4,011百万円増加し、13,259百万円(43.4%増)となりました。負債合計については、前連結会計年度末と比べ3,965百万円増加し、8,008百万円(98.1%増)となりました。純資産合計については、前連結会計年度末と比べ46百万円増加し、5,250百万円(0.9%増)となりました。
(2)経営成績
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の他、米国における政府機関の一部閉鎖への懸念、欧州における英国のBrexitの不確実性やフランスの財政再建をめぐるデモ拡大への懸念等はあったものの、良好な雇用・所得環境による堅調な個人消費が景気を牽引し、好調を維持しました。また、我が国経済につきましては、政府の経済政策や日本銀行による金融緩和策などを背景に、企業収益や雇用・所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調を保ちました。しかしながら、米中貿易摩擦を始め米国の保護主義的な通商政策による主要国間での貿易摩擦への懸念などを背景に、世界景気の先行き不透明感は増しており、企業の景況感は悪化傾向にあります。
医薬品業界におきましては、増大する医療費の抑制は各国共通の課題となっており、保険者の影響力の高まりや後発医薬品の使用促進などの動きが加速しております。日本においては、2018年度から実施されている抜本的薬価制度改革では、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の抜本的見直しや長期収載品の薬価等の見直しなど、新薬創出を目指す製薬会社に経営的側面から大きなインパクトを与えており、手持ちのパイプライン品目の見直しを迫られるなど、新薬開発の生産性や効率性の向上が求められております。他方、治療満足度の低い疾患や希少疾病用医薬品へのニーズは依然として数多く存在しており、革新性の高い医薬品は待ち望まれております。日本では、希少疾病用医薬品指定制度、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度も運用されるに至っており、米国、欧州の規制当局も同様に優遇政策を導入しております。このような環境下において、製薬会社は主力製品の特許切れ問題への対応も含め、革新的新薬の創出に向け、ビジネスモデルや研究開発活動の転換を加速するものと思われます。
当社グループが属する医薬品開発業務受託(CRO;Contract Research Organization)業界及び医薬品販売支援(CSO;Contract Sales Organization)業界は、医薬品開発・販売のアウトソーシング化及び国際共同治験(注)の増加を背景として、市場規模は緩やかに拡大しております。また、上述の医薬品業界の状況を踏まえると、製薬会社は革新的新薬の創出並びにその生産性や効率性を更に向上させるため、医薬品開発・販売のアウトソーシングを一層加速させることが見込まれます。
以上のような事業環境の下、当社は製薬会社の北米を含むグローバル開発ニーズへの対応力の強化等のために、2018年4月16日(米国東部標準時)にLINICAL USA,INC.(本社:ニューヨーク州)を通じて米国を本拠にCRO事業を営むAccelovance,Inc.(本社:メリーランド州、現Linical Accelovance America,Inc. 以下「LAA社」)の発行済株式の100%を取得して完全子会社化し、2019年3月期から連結業績に含めております。
当社は、LAA社の買収後、当社取締役をLAA社の責任者として派遣するなど経営体制の掌握に努めるとともに、上場企業のグループ会社にふさわしい管理体制の整備として、当社既存の米国部門、欧州部門との重複機能の整理・統廃合、米国内拠点の整理、管理部門のマネジャークラスを中心とした余剰人員の整理やシステムの統合などLAA社の今後の事業展開を見据えた積極的なポスト・マージャー・インテグレーション(当初計画した買収後の統合効果を最大化するための統合プロセス)を進めております。
しかしながら、LAA社において、買収当初に契約締結直前での発注の見合わせがあったことや複数件の受託プロジェクトの開発中止などが発生し、その後も新規受託が計画を下回る状況が続いたため、当連結会計年度において、売上高が予想を大幅に下回る結果となりました。また、拠点の整理、余剰人員の削減やシステムの統合など積極的なリストラクチャリングを進めましたが、コスト削減効果の発現時期に遅れが生じたことや、リストラクチャリングの進展を加速させるための拠点整理、人員削減に伴う一時的な事業構造改善費用を計上したことから利益面でも予想を下回る結果となりました。
一方、日本においても、期初に受託が内定していたものの開発の開始が遅れていた案件で開発の中止が決定した他、当連結会計年度に開始予定であった複数案件において、製薬会社の開発計画の見直しにより来期に延期となったこと等から期初に想定していなかった新規案件を深耕し、複数案件を受託したものの挽回するには及ばず、売上高、利益ともに予想を下回りました。
現在の受注状況については、2019年1月に日本、韓国、中国及びシンガポール(一部契約締結手続き中)の4カ国で実施する大型の国際共同治験を獲得した他、米国やアジア、欧州を含めた国際共同治験案件など多くの新規案件の打診を受けて来期以降の業績に寄与する案件の営業活動が活発化しており、受注残高が大幅に積み上がり始めています。このことは、LAA社の買収によって日本、アジア、米国、欧州で一定規模のグローバル受託体制が整ったことによる営業面での効果が発現し始めたものと考えています。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は受託案件の増加に加え、LAA社買収により同社及びその子会社の売上高を取り込んだ結果、11,313百万円(前年同期比24.1%増)となりました。一方、営業利益は売上高が前年同期比では増加したものの当初の想定を下回ったため、先行的な人材投資による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の売上原価、販売費及び一般管理費を取り込んだ他、LAA社買収に関連して発生した取得関連費用やのれんの償却負担の増加等を吸収できず、1,212百万円(前年同期比34.3%減)となりました。経常利益は支払利息が増加する一方、円安により外貨預金等に為替差益が生じたこと等から1,253百万円(前年同期比31.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益はLAA社の米国内拠点の整理や余剰人員の整理に関連する一時的な事業構造改善費用を計上したことやLAA社で発生した税務上の繰越欠損金等の将来における節税効果を現時点では繰延税金資産として認識できないこと等により568百万円(前年同期比56.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①CRO事業
当社グループのCRO事業につきましては、日本、アジア、米国、欧州におけるグローバル受託体制の構築を引き続き強力に推し進めた結果、国際共同治験(注)を中心とした受託案件が増加したことに加え、LAA社買収により同社及びその子会社の売上高を取り込んだ結果、売上に貢献いたしました。利益面においては、先行的な人材投資による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の売上原価、販売費及び一般管理費を取り込んだ他、LAA社買収に関連して発生したのれんの償却負担の増加等から減益となりました。この結果、売上高は10,359百万円(前年同期比26.3%増)、営業利益は2,540百万円(前年同期比6.6%減)となりました。
②育薬事業
当社グループの育薬事業につきましては、新薬発売後の臨床研究を中心とした案件の受注により人員の稼働率が上昇した結果、売上及び利益に貢献することとなりました。この結果、売上高は954百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益は313百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
(注)「国際共同治験」とは、主要市場国における早期・同時上市を図るため、臨床試験を複数の国または地域において同時並行的に行うことをいいます。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より117百万円減少し、5,055百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、796百万円(前連結会計年度は1,360百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益1,164百万円の計上、立替金の増加額388百万円、未払金の減少額379百万円、預り金の減少額741百万円、法人税等の支払額593百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、2,617百万円(前連結会計年度は91百万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出42百万円、投資有価証券の取得による支出80百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,459百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、3,282百万円(前連結会計年度は471百万円の使用)となりました。これは、主に短期借入金の増加額1,200百万円、長期借入れによる収入2,800百万円、長期借入金の返済による支出209百万円、自己株式取得による支出254百万円及び配当金の支払額249百万円があったこと等によるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
| CRO事業 (千円) | 10,359,030 | +26.3 |
| 育薬事業 (千円) | 954,438 | +5.0 |
| 合計(千円) | 11,313,468 | +24.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| CRO事業 | 11,313,447 | +47.3 | 15,405,352 | +31.9 |
| 育薬事業 | 823,004 | +23.8 | 877,622 | △13.0 |
| 合計 | 12,136,452 | +45.4 | 16,282,974 | +28.3 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
| CRO事業 (千円) | 10,359,030 | +26.3 |
| 育薬事業 (千円) | 954,438 | +5.0 |
| 合計(千円) | 11,313,468 | +24.1 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 小野薬品工業株式会社 | 2,006,256 | 22.0 | 2,187,693 | 19.3 |
| 中外製薬株式会社 | 1,684,876 | 18.5 | 1,631,041 | 14.4 |
| エーザイ株式会社 | 845,889 | 9.3 | 1,146,659 | 10.1 |
2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2019年6月26日)において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当りまして、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社は、収益の認識について、顧客との業務委託契約に基づき役務提供を行った時に収益を認識する役務提供基準を採用しております。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ4,011百万円増加し、13,259百万円(43.4%増)となりました。これは、主にのれんの増加によるものであります。
② 負債の部
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ3,965百万円増加し、8,008百万円(98.1%増)となりました。これは、主に短期借入金及び長期借入金の増加によるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ46百万円増加し、5,250百万円(0.9%増)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当社グループの当連結会計年度の売上高は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ2,200百万円増加し、11,313百万円(前年同期比24.1%増)となりました。
② 売上原価
当連結会計年度の売上原価は、主に治験業務受託件数の拡大に備えた先行的な人材投資による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の売上原価を取り込んだ結果、前連結会計年度に比べ1,920百万円増加し、7,500百万円(前年同期比34.4%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、主にLAA社買収により同社及びその子会社の販売費及び一般管理費を取り込んだ他、LAA社買収に関連して発生した取得関連費用やのれんの償却負担が増加した結果、前連結会計年度に比べ913百万円増加し、2,600百万円(前年同期比54.2%増)となりました。
④ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、売上の増加が売上原価並びに販売費及び一般管理費の増加を下回った結果、前連結会計年度に比べ633百万円減少し、1,212百万円(前年同期比34.3%減)となりました。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ573百万円減少し、1,253百万円(前年同期比31.4%減)となりました。
⑥ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ662百万円減少し、1,164百万円(前年同期比36.3%減)となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ727百万円減少し、568百万円(前年同期比56.1%減)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については「1[経営成績等の状況の概要] (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 財務政策及び資金の流動性についての分析
当社は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重要施策と位置づけ、株主の皆様からお預かりした資本に対して如何に報いるかという視点に立ち、業績を勘案した配当施策を行い、安定的に利益還元に努めてまいります。
内部留保金につきましては、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資として活用し、中長期的な成長による企業価値向上を通じて株主の皆様の期待にお応えしてまいります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、従業員給付費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資としてのM&Aによる企業買収等のための資金であります。
当社は、事業活動のために適正な流動性の維持及び効率的な資金の確保を基本方針としており、主に営業活動から得た資金を財源とし、必要に応じて短期または長期の借入による資金調達を実施することとしております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,728百万円、現金及び現金同等物の残高は5,055百万円となっております。また、当社の資金の流動性については、十分な余剰資金に加え、国内金融機関との間で合計2,000百万円の当座借越枠を設定し、当社グループの資金の流動性を補完しております。
(5)経営成績等に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元バランスの最適化を図ることを重要施策と位置付け、安定的な利益還元の源泉となる1株当たり当期純利益を目標とする経営指標にしております。
当連結会計年度の1株当たり当期純利益は25.09円(前年同期比56.0%減)となりました。これは、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期と比して減少したことによるものです。
1株当たり当期純利益の2019年3月期までの実績値及び2020年3月期の計画値は、次のとおりであります。
| 経営指標 | 2016年 3月期実績 | 2017年 3月期実績 | 2018年 3月期実績 | 2019年 3月期実績 | 2020年 3月期計画 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 58.40 | 63.59 | 57.02 | 25.09 | 43.02 |
(注)当社は、2016年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行っており、1株当たり当期純利益は、当該株式分割が2016年3月期の期首に行われたと仮定して算定しております。