有価証券報告書-第15期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 15:09
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1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
(1)財政状態
当連結会計年度における財政状態は、資産合計については、前連結会計年度末と比べ1,001百万円増加し、14,260百万円(7.6%増)となりました。負債合計については、前連結会計年度末と比べ913百万円増加し、8,922百万円(11.4%増)となりました。純資産合計については、前連結会計年度末と比べ87百万円増加し、5,338百万円(1.7%増)となりました。
(2)経営成績
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦、欧州における英国のBrexit、フランスでの年金制度改革に反対する大規模なストライキ等の不安定要因もあり、各国で景気の減速が見られました。また、我が国経済につきましては、政府の経済政策や日本銀行による金融緩和策などを背景に、雇用・所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調を保ってきましたが、消費税増税の影響などもあり景気の減速が見られました。さらに、これに加えて、当第4四半期における新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、経済活動は停滞し、世界経済の先行きに対する不透明感が急速に高まっております。
医薬品業界におきましては、増大する医療費の抑制は各国共通の課題となっており、保険者の影響力の高まりや後発医薬品の使用促進などの動きが加速しております。日本においては、2018年度から実施されている抜本的薬価制度改革では、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の抜本的見直しや長期収載品の薬価等の見直しなど、新薬創出を目指す製薬会社に経営的側面から大きなインパクトを与えており、手持ちのパイプライン品目の見直しを迫られるなど、新薬開発の生産性や効率性の向上が求められております。他方、治療満足度の低い疾患や希少疾病用医薬品へのニーズは依然として数多く存在しており、革新性の高い医薬品は待ち望まれております。日本では、希少疾病用医薬品指定制度、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度も運用されるに至っており、米国、欧州の規制当局も同様に優遇政策を導入しております。このような環境下において、製薬会社は主力製品の特許切れ問題への対応も含め、革新的新薬の創出に向け、ビジネスモデルや研究開発活動の転換を加速するものと思われます。
当社グループが属する医薬品開発業務受託(CRO;Contract Research Organization)業界及び医薬品販売支援(CSO;Contract Sales Organization)業界は、医薬品開発・販売のアウトソーシング化及び国際共同治験(注)の増加を背景として、市場規模は緩やかに拡大しております。また、上述の医薬品業界の状況を踏まえると、製薬会社は革新的新薬の創出並びにその生産性や効率性を更に向上させるため、医薬品開発・販売のアウトソーシングを一層加速させることが見込まれます。
以上のような事業環境の下、当連結会計年度の当社グループにおきましては、日亜米欧のグローバル受託体制の進展により複数の国際共同治験案件を獲得し各国で実施しておりましたが、当第4四半期に世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、医療機関への訪問規制などにより一部治験業務の実施が困難となったことや新規獲得案件の治験開始時期に遅延があったことにより売上の計上に期ズレが生じた他、製薬会社で新規開発案件の一時凍結が起こりました。また、当第3四半期にはフランスで大規模なストライキがあったことで治験業務の実施に遅延が生じたことや、会社の想定を上回る円高水準で為替相場が推移した結果、海外子会社の売上高が日本円換算で目減りしたことなどもあり、売上高は当初の想定を下回ることとなりました。また、上記理由による売上高の減少に加え、Linical Accelovance America, Inc.(以下、LAA社)の前身であるAccelovance, Inc.社が買収以前に受託していた案件に関する仲裁やLAA社の売主との交渉等に関連する弁護士報酬など営業活動に直接関連しない費用が発生したことや、円高の進行により外貨預金等に為替差損が発生したことにより利益も当初の想定を下回りました。
一方、米国においては、マネジメントや営業体制の強化、リストラクチャリングによるコスト削減の成果は着実に発現し、のれんの償却費や上記の弁護士報酬等を除いた営業利益が黒字化を達成しました。さらに来期以降の売上に貢献する受注残高も前期末に比して大幅に増加しております。新型コロナウイルス感染症からの米国経済の再始動時期に対する不透明要因はありますが来期以降に期待がもてる状況となっております。欧州においては、LAA社の欧州子会社をLINICAL Europe Holding GmbHに統合するグループ内組織再編を実施し、再編費用は発生したもののグループ管理の実効性と意思決定の迅速性が大きく向上しました。韓国においては、日本からの国際共同治験案件の新規獲得や、現地の製薬会社からの受注獲得も好調だったことに加え、前期でのれんの償却が完了したことから売上及び利益が当初の想定を上回りました。韓国子会社は2020年3月にImmuneMed Inc.(韓国カンウォンド市)との間で新型コロナウイルス感染症治療薬の韓国国内での治験業務を受託するなど、韓国内での受注獲得力が大きく向上しております。中国においては、2019年5月末に上海に子会社の設立を完了して営業を開始し、さらに2020年2月には当該子会社の北京支店を開設しました。設立当初は立ち上げコストなど費用が先行しましたが、直近では単月黒字化を達成しております。巨大な中国市場を当社のグローバル受託体制に組み込みさらなる発展を目指してまいります。さらに、現在、新型コロナウイルス感染症からの各国経済の再始動時期を見据え、Webを用いたリモートの営業活動等により新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬を含む新規受注の深耕を各国で実施し複数の打診を受けております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は10,935百万円(前年同期比3.3%減)となりました。営業利益は1,005百万円(前年同期比17.1%減)となりました。経常利益は前期は円安により外貨預金等に67百万円の為替差益が発生したのに対して、当期は円高により外貨預金等に為替差損48百万円等が発生したため918百万円(前年同期比26.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、2019年10月18日に「当社海外子会社に対する仲裁の申立に関するお知らせ」にて公表しましたとおり、米国での仲裁対応のための弁護士報酬等の費用が発生したことやグループ管理の実効性強化と意思決定の迅速化のため、LAA社の欧州子会社をLINICAL Europe Holding GmbHに統合するグループ内組織再編に関連する費用が発生したことから482百万円(前年同期比15.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①CRO事業
当社グループのCRO事業につきましては、上記の理由により減収減益となりました。この結果、売上高は9,902百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益は2,188百万円(前年同期比13.9%減)となりました。
②育薬事業
当社グループの育薬事業につきましては、新薬発売後の臨床研究を中心とした案件の受注により人員の稼働率が上昇した結果、売上及び利益に貢献することとなりました。この結果、売上高は1,032百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益は427百万円(前年同期比36.2%増)となりました。
(注)「国際共同治験」とは、主要市場国における早期・同時上市を図るため、臨床試験を複数の国または地域において同時並行的に行うことをいいます。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より155百万円増加し、5,210百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,192百万円(前連結会計年度は796百万円の使用)となりました。これは、主に売上債権の増加額474百万円及び立替金の増加額165百万円があったものの、税金等調整前当期純利益808百万円の計上、前受金の増加額872百万円及び預り金の増加額313百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、144百万円(前連結会計年度は2,617百万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出115百万円及び無形固定資産の取得による支出16百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、903百万円(前連結会計年度は3,282百万円の獲得)となりました。これは、主に短期借入金の減少額150百万円、長期借入金の返済による支出419百万円及び配当金の支払額270百万円があったこと等によるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
CRO事業 (千円)9,902,888△4.4
育薬事業 (千円)1,032,353+8.2
合計(千円)10,935,241△3.3

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
CRO事業13,384,204+18.318,755,233+21.7
育薬事業1,168,080+41.91,144,783+30.4
合計14,552,284+19.919,900,016+22.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
CRO事業 (千円)9,902,888△4.4
育薬事業 (千円)1,032,353+8.2
合計(千円)10,935,241△3.3

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
エーザイ株式会社1,146,65910.11,548,43714.2
小野薬品工業株式会社2,187,69319.31,513,09813.8
中外製薬株式会社1,631,04114.41,468,84113.4

2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2020年6月26日)において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当りまして、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「追加情報」に記載しております。
なお、当社は、収益の認識について、顧客との業務委託契約に基づき役務提供を行った時に収益を認識する役務提供基準を採用しております。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,001百万円増加し、14,260百万円(7.6%増)となりました。これは、主に現金及び預金、売掛金及び立替金の増加によるものであります。
② 負債の部
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ913百万円増加し、8,922百万円(11.4%増)となりました。これは、主に前受金の増加によるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ87百万円増加し、5,338百万円(1.7%増)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当社グループの当連結会計年度の売上高は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ378百万円減少し、10,935百万円(前年同期比3.3%減)となりました。
② 売上原価
当連結会計年度の売上原価は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ95百万円減少し、7,404百万円(前年同期比1.3%減)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ74百万円減少し、2,525百万円(前年同期比2.9%減)となりました。
④ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ207百万円減少し、1,005百万円(前年同期比17.1%減)となりました。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ335百万円減少し、918百万円(前年同期比26.7%減)となりました。
⑥ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ355百万円減少し、808百万円(前年同期比30.6%減)となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ85百万円減少し、482百万円(前年同期比15.0%減)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については「1[経営成績等の状況の概要] (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 財務政策及び資金の流動性についての分析
当社は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重要施策と位置づけ、株主の皆様からお預かりした資本に対して如何に報いるかという視点に立ち、業績を勘案した配当施策を行い、安定的に利益還元に努めてまいります。
内部留保金につきましては、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資として活用し、中長期的な成長による企業価値向上を通じて株主の皆様の期待にお応えしてまいります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、従業員給付費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資としてのM&Aによる企業買収等のための資金であります。
当社は、事業活動のために適正な流動性の維持及び効率的な資金の確保を基本方針としており、主に営業活動から得た資金を財源とし、必要に応じて短期または長期の借入による資金調達を実施することとしております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,733百万円、現金及び現金同等物の残高は5,210百万円となっております。また、当社の資金の流動性については、十分な余剰資金に加え、国内金融機関との間で合計2,000百万円の当座借越枠を設定し、当社グループの資金の流動性を補完しております。
(5)経営成績等に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元バランスの最適化を図ることを重要施策と位置付け、安定的な利益還元の源泉となる1株当たり当期純利益を目標とする経営指標にしております。
当連結会計年度の1株当たり当期純利益は21.38円(前年同期比14.8%減)となりました。これは、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期と比して減少したことによるものです。
1株当たり当期純利益の2020年3月期までの実績値及び2021年3月期の計画値は、次のとおりであります。
経営指標2017年
3月期実績
2018年
3月期実績
2019年
3月期実績
2020年
3月期実績
2021年
3月期計画
1株当たり当期純利益(円)63.5957.0225.0921.38未定

(注)2021年3月期の連結業績予想を新型コロナウイルス感染拡大による影響を現段階で合理的に算定することが困難なことから未定としております。そのため、2021年3月期の1株当たり当期純利益計画を未定としております。

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