有価証券報告書-第41期(平成27年5月1日-平成28年4月30日)

【提出】
2016/07/28 11:47
【資料】
PDFをみる
【項目】
119項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。これらの連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高の状況
当連結会計年度売上高の64.8%を占める試作・金型事業は前年同期比6.0%減少の3,834百万円、32.2%を占める量産事業は同18.2%増加の1,906百万円、3.0%を占めるガンマカメラ関連事業は前年同期比12.7%増加の177百万円、その他は同54.1%減少の0百万円となりました。携帯電話・デジタルカメラ等の情報通信機器、精密電子機器メーカー、並びに複写機・プリンタ等の事務機器メーカーの研究開発及び生産等厳しい経営環境を受け、新規試作品製造、金型製造、量産品製造全般で低水準の推移となりました。一方、当社グループの独自製品であるマッスルスーツの拡販に注力するとともに、中長期的な当社事業の成長に資するための研究開発活動として、マッスルスーツ、メタルマイクロポンプ、ドローン、災害対応ロボット等をはじめとした介護・医療分野及びロボット分野における技術の研鑽に積極的に取り組んでおります。また、政府の成長戦略として、ロボット産業が取り上げられ補助金等の制度もでき動きが見られました。海外市場においても米国経済が堅調な中、中国など新興国の景気減速や輸出国の輸出減少、或いは株価・為替の変調等、景気先行きに関しては、不透明な状況が続いており、このような環境の中で、売上高は前年同期比1.2%増加の5,919百万円となりました。
②損益の状況
売上原価は売上高の増加ならびに材料費の増加等により、前年同期比8.1%増加となり5,118百万円、売上総利益は同28.2%減少の801百万円となりました。この結果、売上総利益率は5.6ポイント悪化し13.5%となりました。販売費及び一般管理費は前年同期比150百万円増加し1,376百万円となりました。主な増加理由は、研究開発テーマの増加に伴う費用が増加したことにあります。この結果、574百万円の営業損失となりました。
営業費用をセグメント別に示しますと、試作・金型事業は前年同期比2.0%増加の4,302百万円、量産事業は同27.6%増加の2,093百万円、ガンマカメラ関連事業は同1.6%減少の99百万円、その他は0百万円減少の0百万円となりました。試作・金型事業の営業費用は、研究開発費、材料費の増加を主因として85百万円増加いたしました。また、量産事業においては、売上高は増加しましたが外注加工費ならびに材料費が増加となり、営業費用は452百万円増加いたしました。競合他社との競争による販売価格水準の低下圧力もありますが、引続き製造費用の圧縮に努めてまいります。なお、ガンマカメラ関連事業は売上高の増加もありましたが、減価償却費の減少により営業費用は1百万円減少いたしました。その他は売上高の減少に伴い営業費用も減少いたしました。これらの結果として、試作・金型事業は営業損失466百万円(前年同期は営業損失137百万円)、量産事業は営業損失186百万円(前年同期は営業損失28百万円)、ガンマカメラ関連事業は営業利益77百万円(前年同期比38.6%増加)となり、その他は営業利益0百万円(前年同期は営業利益0百万円)となりました。
営業外収益は、スクラップ売却収入及び東京電力株式会社から東日本大震災にかかる受取補償金等の営業外収益255百万円を計上し、シンジケートローン手数料及び二本松工場遊休賃費用、持分法による投資損失等の営業外費用87百万円を計上した結果、経常損失407百万円(前年同期は23百万円の経常利益)となりました。
さらに、投資有価証券売却益97百万円、関係会社株式売却益160百万円、保険解約返戻金27百万円、持分変動利益196百万円を特別利益として482百万円計上いたしました。また、特別損失に固定資産の減損損失865百万円等を計上いたしました。これに、税金費用56百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は804百万円(前年同期は274百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2事業の状況 4.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、永続的な成長・発展を目指して企業体質の強化に取組んでまいります。そのために平成28年4月期から平成30年4月期の中期経営計画を策定いたしました。本計画に基づき、引き続き一括一貫体制を大きな柱として成長させてまいります。また、「ものづくりメカトロ研究所」を中心に新技術の開発に取組み、新たな市場の開拓も積極的に行ってまいります。
(5) キャッシュ・フローの状況に関する分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前年同期と比べ768百万円増加し、2,715百万円(前期末比39.5%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、322百万円の支出超過(前年同期は328百万円の収入超過)となりました。主な収入要因は、減価償却費351百万円(同2.2%増)、減損損失865百万円(前年同期は該当なし)、主な支出要因は税金等調整前当期純損失791百万円(前年同期は410百万円の収入超過)、投資有価証券売却益97百万円(前年同期は該当なし)、関係会社株式売却益160百万円(前年同期は該当なし)、持分変動益196百万円(前年同期は該当なし)、たな卸資産の増加133百万円(同18.5%増)です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,035百万円の支出超過(前年同期比267.5%増)となりました。主な支出要因は、生産設備への投資による有形固定資産の取得による支出917百万円(同248.7%増)です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,160百万円の収入超過(前年同期比867.2%増)となりました。主な収入要因は、新株予約権の行使による株式の発行1,494百万円(同284.9%増)、長期借入による収入300百万円(同500%増)であり、支出要因は、長期借入金の返済による支出142百万円(同2.1%減)、親会社による配当金の支払79百万円(同7.3%増)です。
(6) 資本の財源及び運用についての分析
当連結会計年度の流動資産は、前連結会計年度に比べ913百万円増加し6,017百万円となりました。新株予約権の発行による第三者割当増資により、現金及び預金が766百万円増加しております。
固定資産は、前連結会計年度に比べ233百万円減少し3,897百万円となりました。固定資産の減損処理の結果、有形固定資産が357百万円減少しております。
総資産は、前連結会計年度に比べ681百万円増加し9,916百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度に比べ163百万円減少し1,904百万円となりました。減少の主要因は支払手形及び買掛金が235百万円増加の一方で、未払金88百万円、未払法人税79百万円、賞与引当金107百万円の減少です。
固定負債は前連結会計年度に比べ68百万円増加し699百万円となりました。増加の主要因は、長期借入金96百万円の増加です。
純資産は前連結会計年度に比べ776百万円増加し7,311百万円となりました。株主資本は、利益剰余金が1,046百万円減少し4,064百万円となり、その他の包括利益累計額合計は215百万円減少し190百万円となりました。この結果、自己資本比率は、70.6%(前連結会計年度比0.0ポイント増加)、自己資本当期純利益率(ROE)は△11.9%(同16.4ポイント減少)となりました。
(7) 資金需要及び財務政策
当社グループの資金需要は主に設備投資資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金、銀行借入金及び新株の発行等により資金調達することとしております。また、引続き安定的な内部留保の蓄積等を通じ、健全な財政状態の維持を図ってまいります。
(8) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、試作品製作、金型製作、精密板金加工、量産製品加工を目的として創業し、以降、開発品の試作を中心とする事業に邁進してまいりました。現在当社グループが参画する情報通信機器、精密電子機器業界におきましては、いずれも金型製作技術を基礎とした試作部品、精密板金の事業展開を行ってきた分野であります。
現在の製造業を取り巻く環境は、中国をはじめとした海外に製造拠点が移転されるなど、製造が海外に流出する製品と、技術流出を防ぐ意味において日本国内で製造される高精度を要求される製品の二極化が進行していくものと認識しております。
このような環境下、当社グループが参画するメーカー各社は新規開発の試作品製作や新製品の製造を推進しており、自社一括一貫体制によって、培った技術と最先端の加工技術をベースに事業展開を図り、顧客の要求を満たしうる対応力を強化することにより、信頼性を確保し、競合他社との差別化を徹底する事業戦略を遂行してまいります。その体制作りのための研究開発・設備投資・人材育成を継続して実行し、製造技術力を高めることで企業体質を強化していく方針であります。