有価証券報告書-第6期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 15:16
【資料】
PDFをみる
【項目】
137項目

対処すべき課題

当社グループの地盤とする大阪ベイエリアは、阪神港と3つの空港を有し、東京都に匹敵する人口と事業所が高密度に存在する全国有数の恵まれたマーケットです。
当社グループは、こうした「地域力(ポテンシャル)」を活かし、地域の活性化を促していくことが地元金融機関グループとして、私どもに与えられた責務であるとの認識の下、積極的に「地域力」を高める努力をし、結果として、当社グループも地域とともに成長していく「ビジネスモデル(地域密着型金融)」を推進してまいります。
このビジネスモデルを具体化するために、当社グループはグループ経営戦略として、「効率化の徹底」「アライアンスの推進」「競争力強化のための3つの独自戦略(成長戦略)」を掲げています。
「効率化の徹底」におきましては、業務プロセスの見直しによる重複業務の削減等、業務効率化に加え、事務体制や人員戦略を一体的に検討し、ローコストオペレーションを実現してまいります。
「アライアンスの推進」におきましては、独立系の金融機関ならではの系列・グループにとらわれない自由度の高い独自ネットワークを活かし、お客さまのニーズに合った高品質の商品・サービスを提供いたします。
「競争力強化のための3つの独自戦略(成長戦略)」では、「親切で新しい」をモットーに戦略3本部(アジアチャイナ本部・プライベートバンキング本部・先進テクノ本部)による以下のような取り組みを通じて、当社グループの独自戦略としての「地域第一主義」「独自の提案力」に更に磨きを掛けつつ、お客さまサービスの向上に努めてまいります。
(1) アジア・チャイナビジネスのサポート力強化
蘇州事務所で集積したニーズ・実績、独立系地銀ならではの自由で幅広いネットワークを活用して、アジアチャイナ全域におけるお客さまに対するサポート力を飛躍的に高めてまいります。
(2) プライベートバンキング業務の推進
高品質な専門家ネットワークにより付加価値の高いサービスを提供し、法人・個人を問わず、「プロが」「中長期的に」「幅広く」「オーダーメイドで」様々なニーズに対応いたします。
(3) 産学官連携推進と先進テクノ企業のサポート
関西主要大学・公的機関との緊密な産学官ネットワークを活用し、助成金応募先等の先進技術をもった企業の育成・サポートを行ってまいります。
このグループ経営戦略をもとに将来の環境変化を踏まえた持続可能な収益ビジネスモデルを付加し、平成26年5月に「長期経営計画~2020年度に向けて」を策定しました。長期経営計画では、「収益力の拡大」、「強靭な企業体質の確立」、「自己資本の充実」の3項目を重点戦略とし、新たな収益モデルを目指してまいります。
今後重点的に強化するマーケットは、「中小企業・オーナー」、「地元地主層」、「個人シニア層」とし、如何にして変化に対応するかを明確化しました。
・法人新規獲得や住宅ローンの取組みを、「将来のビジネス」に向けた「入口」と位置付ける。
・高齢者ビジネスは、事業承継、医療介護ビジネス、大相続時代到来下の相続税法改正への対応を図る。
・海外ビジネスとして、海外進出支援やASEAN共同体、TPP、EPAへの対応を図る。
また、収益機会の拡大に向け取組むべき新しい7つの施策を設定しました。
① 貸出業務は「収益」ビジネスの入口
② 世代を繋ぐビジネスへの取組み
③ 住宅ローンストックを活かした商品提案の多様化
④ 預り資産の増強
⑤ アジアチャイナ戦略の更なる強化
⑥ チャネル戦略の変革
⑦ BPR(コスト削減)
以上をもとに、地元中小企業向け貸出、住宅ローンや消費者ローンを中心とした貸出ポートフォリオを構築し、預り資産ビジネスやプライベートバンキング業務、アジア・チャイナビジネスなどに注力し、収益力の拡大、企業価値の向上を目指してまいります。
さらに、「長期経営計画~2020年度に向けて」に掲げた重点戦略の一つである「自己資本の充実」を遂行し、長期経営計画の達成を確実なものとするため、平成27年2月に「長期的資本政策」を策定し、実行してまいりました。
(長期的資本政策)
1.概要
平成27年4月7日をもって、第二種優先株式250億円(社債型優先株式)から、第1回第七種優先株式250億円(強制転換条項付優先株式)への入れ替えを実施しております。具体的には、第三者割当により第1回第七種優先株式を発行し、当該資金調達等により第二種優先株式の取得及び消却を行っております。
また、普通株式37,000,000株の一般募集及びこれと同日付をもって決議された第三者割当増資5,550,000株により42,550,000株の新株式発行による資本調達を行いました。
これにより、銀行持株会社及び銀行の自己資本比率規制である「バーゼルⅢ」に、将来に亘って安定的に対応する目途が立ったものと判断したことから、平成27年5月27日開催の取締役会において、将来の優先株式の発行に備えた定款の規定は全て削除することといたしました。そこで、現在発行されている第三種優先株式及び第1回第七種優先株式に係る規定を除き優先株式に係る規定を削除するとともに、第三種優先株式及び第1回第七種優先株式に係る発行可能種類株式総数を現在の発行済みの株式数に減少させる等するため、平成27年6月26日開催の定時株主総会において定款変更議案を上程し、決議されました。今後は、地域活性化、地方創生等に繋がる積極的な戦略に更にスピードを上げて取り組み、「長期経営計画」の達成に向けた確実性を高めるべく取り組んでまいります。
今後の長期的な資本政策としては、「長期経営計画」の遂行による内部留保の大幅な積み上げにより、既存の劣後債務及び優先株式につきましては、順次現金償還、買入消却を行っていく方針です。
併せて、今後蓄積される内部留保をもとに、株主還元を強化します。具体的には、「ROE」や「株主還元比率」を経営目標に導入すると共に、将来は自社株買い等にも積極的に取り組む方針です。
2.目的・狙い
(1) 長期経営計画の達成に向けた確実性を高める
長期経営計画においては、「自己資本の充実~最適な長期的資本政策の遂行」を重点施策として掲げる中、今回、2020年度を展望して必要かつ最小限の資本調達を行い、これをもって長期経営計画における経営課題である「最適な資本政策遂行」を「完了」できるものと考えております。
今後は、経営資源を「地元」「中小企業」等に集中し、長期経営計画の施策を更にスピードを上げて具現化していくことで収益拡大につなげ、長期経営計画の収益計画を確実に遂行すべく取り組んでまいります。
更に、当社がこれまで取り組んできた地元企業や地域社会との「共生」を目指した諸施策は、現在、国を挙げて推進中の『まち・ひと・しごと創生総合戦略』にそのまま繋がるものであり、これに更に積極的に取り組むことで、地域活性化、地方創生に寄与してまいります。
(2) バーゼルⅢ対応に目途
平成26年3月末より適用開始となった新しい自己資本比率規制(バーゼルⅢ)により、自己資本の定義が変更となりました。
当社グループは、従来から自己資本比率10%前後を安定的に確保し、健全経営を行ってきましたが、資本構成の入替が適当と判断しました。
今回実施した資本調達と今後、長期経営計画を遂行することで、現在の劣後債務や優先株式を全て現金償還、買入消却しつつ、将来に亘って「バーゼルⅢ」に安定的に対応していく目途が立ち、資本政策上の課題を一気に解決できるものと考えております。
(3) 「配当金+劣後債務費用」の削減による内部留保蓄積
バーゼルⅢの自己資本比率規制下にある当社グループにとりましては、「配当金(普通株式+優先株式)+劣後債務費用」が、いわば「資本関連コスト」として必要となりますが、優先株式の入れ替えを行うことで調達コストが低下するため、普通株式増資を行った後も、この「資本関連コスト」はほぼ横ばいで推移するものと考えております。更に、今後内部留保の蓄積により劣後債務や優先株式の現金償還、買入消却を進めることで、将来はこれが大きく低下していくものと考えております。
長期経営計画の遂行により、安定的な自己資本比率を維持しながら、内部留保蓄積力を強化してまいります。
(4) 今後の資本政策~株主還元の強化とROEを重視した経営
今後蓄積される内部留保をもとに、株主還元を強化します。「株主還元比率」を経営目標に導入すると共に、将来は自社株買い等にも積極的に取り組んでいく方針です。
また、「ROE」を経営目標に導入いたしました。今後、収益力の強化と株主還元を同時にしっかりと進めることで、ROEを安定的に高めていくよう、努めていく方針です。