有価証券報告書-第16期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/09/26 15:14
【資料】
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【項目】
147項目

対処すべき課題

当社は、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」を2004年の創業以来変わらぬミッションとして、顧客企業のデータを活用した経営改善を支援してきました。
ビッグデータ、AI、IoTなど、時代ごとにキーワードは違えど、その根底はデータを分析・活用して価値に変え、企業活動に変化と改善をもたらすことです。データは蓄積するだけではただのコストです。
私たちは、データを価値に変えるために必要な「分析力(国内随一のデータサイエンティスト数)」、「エンジニアリング力(市場No.1製品を自社開発・提供できる技術力)」、「ビジネス力(データ活用を支援した企業は業種問わず1,000社超)」の3つの力を有した、世界でも稀有な企業だと認識しております。
世界的に増え続ける人口(減り続ける日本の人口)と、限られた資源、加速する環境変化の中で私たちは「データ活用のプロフェッショナル」として、ビジネスに、データに基づく高度化とイノベーションを与え、世界の持続可能性の向上に寄与していくことを経営方針としております。
政府は、「第4次産業革命」の技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れることにより、さまざまな社会課題を解決する「Society 5.0」を世界に先駆けて実現するという構想を掲げています。そして、その根源となるのが「データ」の活用であると位置づけられているとおり、データ活用関連ビジネスを取り巻く市場はさらなる成長が期待されております。
市場調査会社による調査等(注)でも報じられているとおり、データ活用関連ビジネスを取り巻く市場(AI、データアナリティクス、デジタルマーケティング等の市場)は、周辺領域を巻き込みながら、年率20%を超える成長を続けるものと予想されています。
企業のデータ活用を支援する人材・人的サービスへの需要は、今後も継続して高まっていくことが予想されますが、同時に、新興企業や隣接業界から当市場への参入も想定されます。
このような中で、当社はデータ活用のリーディングカンパニーとしての市場内でのプレゼンス(存在感)を維持・拡大し、さらなる成長を実現し続けることが重要な経営課題であると認識し、次期中期経営計画(2020年6月期~2023年6月期)を立案いたしました。その基本方針は、次のとおりです。
<基本方針>1.ビジネスにインパクトを与える先進的で実践的なデータ活用の実績を増やすため、データ活用に必要な総合力を提供・発揮していく体制を強化
2.データ活用に不可欠となる人的サービス、ソリューション提供需要に応えるため、多様な人材の採用・育成を含む組織規模を拡大
3.先進的な技術を用いたデータ活用を加速するため、自社での研究開発は当然として、国内外テクノロジー企業との業務提携・投資等による連携を強化
当社グループは、中期経営計画の達成状況を判断するための客観的な指標として、事業規模の拡大を示す売上高と、事業規模の拡大に必須となる組織規模の拡大を示す従業員数を重要な指標としたうえで、事業の収益力を示すものとして経常利益を重視しております。また、資本効率の観点からROEも考慮しております。
続いて、次期中期経営計画の初年度となる2020年6月期の対処すべき課題は、次のとおりです。
次期中期経営計画を実現するためには、これまで当社グループが事業ごとに磨いてきた営業力、提案力、技術力を結集し、「総合力」を発揮する必要があります。この課題に対応するため、2020年6月期の開始にあたり、これまで事業別に有していた営業職・コンサルティング職をひとつの部門に統合するなど、事業別に散らばっていた同種の機能・職種を同一部門に統合する大規模な組織再編を行いました。
この組織再編は、当社の成長にとって最重要とも言える優秀な人材の採用・育成・リテンションにも大きな意義があると考えている一方で、これまでの事業運営の形を大きく変えることとなるため、2020年6月期においては、新組織の定着化に時間と労力をかけながら、売上成長、組織拡大も目指していくことが課題となります。
また、データ活用人材の需要が高まり続ける中で、業界全体として給与水準の上昇傾向が続いており、当社グループとしても既存社員の定着化と採用効率向上は大きな課題となっているため、インセンティブプランを含む給与体系の見直しを行う計画としております。加えて、人材確保が想定よりも遅れている部分を取り戻すべく、採用活動や育成活動に人的・金銭的な稼働配分を増やす計画としているほか、さらなる増員を見据えたオフィスの増床をはじめファシリティ関連費用の増加を計画しております。
以上のことから、2020年6月期は、売上高の成長は維持しつつも利益成長は限定的となる見通しでありますが、上記は次期中期経営計画を実現するために必須の施策として、推進してまいります。
(注)2019年3月 株式会社富士キメラ総研 「2019 人工知能ビジネス総調査」、2018年12月 株式会社ミック経済研究所 「ビジネス・アナリティクス市場展望 2019年版」、2019年2月 株式会社アイ・ティ・アール「ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2019」、「ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2019」より
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。