有価証券報告書-第36期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善が続くなか、景気の動向も緩やかな回復基調で推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大にともない内外経済に多大な影響が及んでおり、消費者マインドも冷え込むなど、非常に厳しい先行きが予想されます。
介護業界におきましては、異業種からの新規参入による競争の激化等により、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。なお、消費税率の引き上げに伴う2019年度の臨時介護報酬改定につきましては、勤続年数10年以上の介護福祉士を中心とした特定処遇改善加算等のプラス改定となっております。
そのような状況のなか、当社は、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という経営理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスのご提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めてまいりました。
介護職における雇用情勢につきましては、2020年6月の有効求人倍率は4.04倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の0.97倍を大きく上回り、介護職員の確保が課題である状況が続いております。そのような環境のなか、当社ではより良い人材の確保及び定着に向け、処遇改善を行うとともに、従業員それぞれのライフスタイルに応じた働き方の選択肢を増やしました。また、ホーム運営における人員配置の適正化や業務効率化を進めております。今後とも当社は、お客様へより質の高いサービスがご提供できるよう、従業員が働きやすい職場環境づくりに邁進してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、営業活動の自粛等により新規入居が一時的に停滞するなどの影響が生じたほか、ホーム内での集団感染を予防するための対応にも相応の負荷が生じております。また、感染対策のための消耗品費等のほか、日々業務に精励する従業員に報いるために特別勤務手当を支給するなど、期初予想には織り込んでいない費用が発生しております。しかしながら、既存ホームにおいて依然高い入居率を維持しているほか、本社経費の抑制等も並行して進めているため、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微であると認識しております。
当事業年度における運営状況につきましては、新規に8ホームを開設した結果、運営ホーム数の合計は59ホーム、居室数は4,002室となりました。ホームの入居状況につきましては、開設2年目を経過した既存ホームにおいて96.9%(前期97.0%)と高い入居率を維持しております。また、当事業年度に開設したホームの入居につきましても、一時的に新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう影響がみられたものの、概ね計画どおりに進んでおります。
以上の結果、当事業年度における売上高は19,619百万円(前期比18.5%増)、営業利益は1,902百万円(同33.7%増)、経常利益は1,835百万円(同32.5%増)、当期純利益は1,206百万円(同19.6%増)となりました。
当事業年度における新規開設の状況は以下のとおりです。
近畿圏においてドミナント戦略を維持し、強固な運営基盤を構築するとともに、介護施設の大幅な不足が懸念される首都圏に重点を置いて、高級住宅地を中心に、アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア」シリーズの積極的な開設を進めております。
当社は、2020年6月期においては「介護事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の状況の記載を省略しております。
②キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ3,364百万円増加し、5,613百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動の結果、得られた資金は1,215百万円(前期は2,085百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益1,840百万円、前受収益の増加額546百万円及び減価償却費443百万円により資金を得た一方で、たな卸資産の増加額744百万円、法人税等の支払額823百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動の結果、支出した資金は1,156百万円(前期は1,617百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出457百万円、差入保証金の差入による支出446百万円及び金銭の信託の取得による支出245百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動の結果、得られた資金は3,305百万円(前期は594百万円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入4,128百万円、短期借入金の純増加額191百万円及び長期借入れによる収入60百万円により資金を得た一方で、長期借入金の返済による支出833百万円、配当金の支払額139百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、当事業年度における資産・負債及び当事業年度の収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える見積りを行っております。当該見積りに際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。当社は、主に固定資産の減損、繰延税金資産、退職給付債務及び費用等に対して継続して評価を行っております。なお、当社の財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、新型コロナウィルス感染症拡大に伴う会計賞の見積もりについて、当社では、新型コロナウイルス感染症の国内における感染状況は、2021年6月期中に収束するシナリオを想定しており、新規の入居がやや低調に推移する可能性など、現時点で把握できる最善の方法に従い会計上の見積りを行っておりますが、新型コロナウィルス感染症の広がりや収束時期等の見積りには不確実性をともなうため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は23,980百万円となり、前事業年度末に比べ5,175百万円増加いたしました。
流動資産は8,649百万円となり、前事業年度末に比べ4,321百万円増加いたしました。この主な要因は、増資等により現金及び預金が3,364百万円増加したことに加え、開発用不動産が742百万円、売掛金が194百万円増加したことによるものであります。
固定資産は15,330百万円となり、前事業年度末に比べ853百万円増加いたしました。この主な要因は、有形固定資産が163百万円、差入保証金が408百万円、金銭の信託が245百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は14,157百万円となり、前事業年度末に比べ62百万円減少いたしました。
流動負債は5,195百万円となり、前事業年度末に比べ209百万円増加いたしました。この主な要因は、短期借入金が191百万円、前受収益が189百万円、買掛金が32百万円増加した一方で、未払法人税等が136百万円減少したことによるものであります。
固定負債は8,961百万円となり、前事業年度末に比べ272百万円減少いたしました。この主な要因は、長期前受収益が357百万円増加した一方で、長期借入金が728百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は9,822百万円となり、前事業年度末に比べ5,237百万円増加いたしました。この主な要因は、増資により資本金が2,074百万円、資本剰余金が2,074百万円、当期純利益の計上及び配当により利益剰余金が1,066百万円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は19,619百万円(前期比18.5%増)となり、前事業年度と比べて3,059百万円の増加となりました。これは主に、開設2年目を経過した既存ホームにおいて96.9%(前年同期97.0%)と高い入居率を維持するとともに、前事業年度及び当事業年度に開設したホームにつきましても入居が着実に進んだことによるものであります。
(売上総利益)
売上原価につきましては、16,039百万円(同17.5%増)となり、前事業年度と比べて2,388百万円の増加となりました。これは主に、前事業年度に開設した7ホーム及び当事業年度に開設した8ホームの運営経費(労務費、地代家賃、給食費等)が増加したほか、計画に基づいた修繕費等が増加したことによるものであります。
この結果、売上総利益は前事業年度に比べ671百万円増加し、3,579百万円(同23.1%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費につきましては、1,676百万円(同12.9%増)となり、前事業年度と比べて191百万円の増加となりました。これは主に、企業規模の拡大に伴う給与手当、租税公課等が増加したことによるものであります。
この結果、営業利益は前事業年度に比べ479百万円増加し、1,902百万円(同33.7%増)となりました。
(経常利益)
営業外費用につきましては、支払利息49百万円等を計上しております。
この結果、経常利益は前事業年度に比べ450百万円増加し、1,835百万円(同32.5%増)となりました。
(当期純利益)
税引前当期純利益は1,840百万円(同11.7%増)となる一方で、法人税等は633百万円(同0.7%減)となりました。
この結果、当期純利益は前事業年度から197百万円増加し、1,206百万円(同19.6%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は39円40銭となり、前事業年度より3円44銭の増加となりました。
3)キャッシュ・フローの分析
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」をご参照ください。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の中心事業である介護事業は、介護付有料老人ホームの運営がその大部分を占めております。介護付有料老人ホームは、介護保険法に基づき各都道府県より指定を受け、介護報酬の給付を受けておりますため、介護報酬の基準単価等の給付水準が変更されるような介護報酬の改正がなされた場合には、当社の事業の状況に関わらず、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
また、今後の介護サービス需要の拡大に伴い懸念される労働力不足の問題は、当社におきましても重要な経営課題と認識しております。当社としましては、人材の確保・育成に向けて、長期的な労働力確保を視野に入れた新卒採用の強化や従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などの取り組みを進めてまいりますが、このような施策の効果が十分に得られず、人員の確保に多額のコストが掛かる場合には、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は運営資金及び設備資金につき、主として自己資金及び金融機関からの借入により資金調達しており、運転資金については短期借入金で、設備資金については長期借入金で調達することを基本としております。
なお、当事業年度末時点における長期借入金(1年内返済予定を含む)の残高は5,326百万円、短期借入金の残高は764百万円、現金及び預金は5,613百万円となっております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 ②目標とする経営指標」に記載のとおり、有料老人ホームの安定した運営の観点から入居率及び稼働率を、また、安定した経営と堅実な成長の持続という観点から売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を重視して経営に取り組んでおります。
当事業年度における、開設2年目を経過した既存ホームにおける入居率は96.9%と前期比0.1ポイント低下し、前期実績は僅かに下回ったものの、引き続き業界トップレベルの高い数字を維持しております。
また、売上高成長率は18.5%と目標とする20%を下回ったものの、売上高経常利益率につきましては9.4%と前期の8.4%から大きく改善しております。
当社は、引き続き当該指標の向上に取り組み、業界No.1を目指してまいります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善が続くなか、景気の動向も緩やかな回復基調で推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大にともない内外経済に多大な影響が及んでおり、消費者マインドも冷え込むなど、非常に厳しい先行きが予想されます。
介護業界におきましては、異業種からの新規参入による競争の激化等により、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。なお、消費税率の引き上げに伴う2019年度の臨時介護報酬改定につきましては、勤続年数10年以上の介護福祉士を中心とした特定処遇改善加算等のプラス改定となっております。
そのような状況のなか、当社は、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という経営理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスのご提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めてまいりました。
介護職における雇用情勢につきましては、2020年6月の有効求人倍率は4.04倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の0.97倍を大きく上回り、介護職員の確保が課題である状況が続いております。そのような環境のなか、当社ではより良い人材の確保及び定着に向け、処遇改善を行うとともに、従業員それぞれのライフスタイルに応じた働き方の選択肢を増やしました。また、ホーム運営における人員配置の適正化や業務効率化を進めております。今後とも当社は、お客様へより質の高いサービスがご提供できるよう、従業員が働きやすい職場環境づくりに邁進してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、営業活動の自粛等により新規入居が一時的に停滞するなどの影響が生じたほか、ホーム内での集団感染を予防するための対応にも相応の負荷が生じております。また、感染対策のための消耗品費等のほか、日々業務に精励する従業員に報いるために特別勤務手当を支給するなど、期初予想には織り込んでいない費用が発生しております。しかしながら、既存ホームにおいて依然高い入居率を維持しているほか、本社経費の抑制等も並行して進めているため、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微であると認識しております。
当事業年度における運営状況につきましては、新規に8ホームを開設した結果、運営ホーム数の合計は59ホーム、居室数は4,002室となりました。ホームの入居状況につきましては、開設2年目を経過した既存ホームにおいて96.9%(前期97.0%)と高い入居率を維持しております。また、当事業年度に開設したホームの入居につきましても、一時的に新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう影響がみられたものの、概ね計画どおりに進んでおります。
以上の結果、当事業年度における売上高は19,619百万円(前期比18.5%増)、営業利益は1,902百万円(同33.7%増)、経常利益は1,835百万円(同32.5%増)、当期純利益は1,206百万円(同19.6%増)となりました。
当事業年度における新規開設の状況は以下のとおりです。
近畿圏においてドミナント戦略を維持し、強固な運営基盤を構築するとともに、介護施設の大幅な不足が懸念される首都圏に重点を置いて、高級住宅地を中心に、アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア」シリーズの積極的な開設を進めております。
案件 | 所在 | 居室数 | 開設年月日 |
チャームプレミアグラン松濤 | 東京都渋谷区 | 36室 | 2019年8月 |
チャーム西宮上ヶ原 | 兵庫県西宮市 | 60室 | 2019年8月 |
チャームプレミア山手町 | 横浜市中区 | 36室 | 2019年12月 |
チャームスイート千里津雲台 | 大阪府吹田市 | 60室 | 2020年2月 |
チャームスイート桜上水 | 東京都杉並区 | 55室 | 2020年2月 |
チャームスイート新横浜 | 横浜市港北区 | 63室 | 2020年3月 |
チャームプレミア柿の木坂 | 東京都目黒区 | 37室 | 2020年4月 |
チャームスイート東逗子 | 神奈川県逗子市 | 63室 | 2020年5月 |
合計8ホーム(首都圏6ホーム、近畿圏2ホーム) | 410室 |
当社は、2020年6月期においては「介護事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の状況の記載を省略しております。
②キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ3,364百万円増加し、5,613百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動の結果、得られた資金は1,215百万円(前期は2,085百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益1,840百万円、前受収益の増加額546百万円及び減価償却費443百万円により資金を得た一方で、たな卸資産の増加額744百万円、法人税等の支払額823百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動の結果、支出した資金は1,156百万円(前期は1,617百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出457百万円、差入保証金の差入による支出446百万円及び金銭の信託の取得による支出245百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動の結果、得られた資金は3,305百万円(前期は594百万円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入4,128百万円、短期借入金の純増加額191百万円及び長期借入れによる収入60百万円により資金を得た一方で、長期借入金の返済による支出833百万円、配当金の支払額139百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
当事業年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) | 前年同期比(%) | |
介護事業(千円) | 19,619,548 | 118.5 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、当事業年度における資産・負債及び当事業年度の収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える見積りを行っております。当該見積りに際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。当社は、主に固定資産の減損、繰延税金資産、退職給付債務及び費用等に対して継続して評価を行っております。なお、当社の財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、新型コロナウィルス感染症拡大に伴う会計賞の見積もりについて、当社では、新型コロナウイルス感染症の国内における感染状況は、2021年6月期中に収束するシナリオを想定しており、新規の入居がやや低調に推移する可能性など、現時点で把握できる最善の方法に従い会計上の見積りを行っておりますが、新型コロナウィルス感染症の広がりや収束時期等の見積りには不確実性をともなうため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は23,980百万円となり、前事業年度末に比べ5,175百万円増加いたしました。
流動資産は8,649百万円となり、前事業年度末に比べ4,321百万円増加いたしました。この主な要因は、増資等により現金及び預金が3,364百万円増加したことに加え、開発用不動産が742百万円、売掛金が194百万円増加したことによるものであります。
固定資産は15,330百万円となり、前事業年度末に比べ853百万円増加いたしました。この主な要因は、有形固定資産が163百万円、差入保証金が408百万円、金銭の信託が245百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は14,157百万円となり、前事業年度末に比べ62百万円減少いたしました。
流動負債は5,195百万円となり、前事業年度末に比べ209百万円増加いたしました。この主な要因は、短期借入金が191百万円、前受収益が189百万円、買掛金が32百万円増加した一方で、未払法人税等が136百万円減少したことによるものであります。
固定負債は8,961百万円となり、前事業年度末に比べ272百万円減少いたしました。この主な要因は、長期前受収益が357百万円増加した一方で、長期借入金が728百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は9,822百万円となり、前事業年度末に比べ5,237百万円増加いたしました。この主な要因は、増資により資本金が2,074百万円、資本剰余金が2,074百万円、当期純利益の計上及び配当により利益剰余金が1,066百万円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は19,619百万円(前期比18.5%増)となり、前事業年度と比べて3,059百万円の増加となりました。これは主に、開設2年目を経過した既存ホームにおいて96.9%(前年同期97.0%)と高い入居率を維持するとともに、前事業年度及び当事業年度に開設したホームにつきましても入居が着実に進んだことによるものであります。
(売上総利益)
売上原価につきましては、16,039百万円(同17.5%増)となり、前事業年度と比べて2,388百万円の増加となりました。これは主に、前事業年度に開設した7ホーム及び当事業年度に開設した8ホームの運営経費(労務費、地代家賃、給食費等)が増加したほか、計画に基づいた修繕費等が増加したことによるものであります。
この結果、売上総利益は前事業年度に比べ671百万円増加し、3,579百万円(同23.1%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費につきましては、1,676百万円(同12.9%増)となり、前事業年度と比べて191百万円の増加となりました。これは主に、企業規模の拡大に伴う給与手当、租税公課等が増加したことによるものであります。
この結果、営業利益は前事業年度に比べ479百万円増加し、1,902百万円(同33.7%増)となりました。
(経常利益)
営業外費用につきましては、支払利息49百万円等を計上しております。
この結果、経常利益は前事業年度に比べ450百万円増加し、1,835百万円(同32.5%増)となりました。
(当期純利益)
税引前当期純利益は1,840百万円(同11.7%増)となる一方で、法人税等は633百万円(同0.7%減)となりました。
この結果、当期純利益は前事業年度から197百万円増加し、1,206百万円(同19.6%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は39円40銭となり、前事業年度より3円44銭の増加となりました。
3)キャッシュ・フローの分析
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」をご参照ください。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の中心事業である介護事業は、介護付有料老人ホームの運営がその大部分を占めております。介護付有料老人ホームは、介護保険法に基づき各都道府県より指定を受け、介護報酬の給付を受けておりますため、介護報酬の基準単価等の給付水準が変更されるような介護報酬の改正がなされた場合には、当社の事業の状況に関わらず、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
また、今後の介護サービス需要の拡大に伴い懸念される労働力不足の問題は、当社におきましても重要な経営課題と認識しております。当社としましては、人材の確保・育成に向けて、長期的な労働力確保を視野に入れた新卒採用の強化や従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などの取り組みを進めてまいりますが、このような施策の効果が十分に得られず、人員の確保に多額のコストが掛かる場合には、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は運営資金及び設備資金につき、主として自己資金及び金融機関からの借入により資金調達しており、運転資金については短期借入金で、設備資金については長期借入金で調達することを基本としております。
なお、当事業年度末時点における長期借入金(1年内返済予定を含む)の残高は5,326百万円、短期借入金の残高は764百万円、現金及び預金は5,613百万円となっております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 ②目標とする経営指標」に記載のとおり、有料老人ホームの安定した運営の観点から入居率及び稼働率を、また、安定した経営と堅実な成長の持続という観点から売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を重視して経営に取り組んでおります。
当事業年度における、開設2年目を経過した既存ホームにおける入居率は96.9%と前期比0.1ポイント低下し、前期実績は僅かに下回ったものの、引き続き業界トップレベルの高い数字を維持しております。
また、売上高成長率は18.5%と目標とする20%を下回ったものの、売上高経常利益率につきましては9.4%と前期の8.4%から大きく改善しております。
当社は、引き続き当該指標の向上に取り組み、業界No.1を目指してまいります。