訂正有価証券報告書-第37期(2020/07/01-2021/06/30)

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2024/09/27 10:58
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138項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、社会・経済活動が大きく制限されるなか、企業収益や景況感の悪化、個人消費の減退など極めて厳しい状況で推移しており、ワクチン接種の促進による経済活動の回復に向けた動きが期待されるものの、依然として先行き不透明な状況が続いております。
介護業界におきましては、今後も高齢者人口は増加していき、これにともない高齢者単独世帯も増加し、介護サービスに対する需要拡大が見込まれます。一方で、異業種からの新規参入により競争が激しさを増しています。加えて、介護職における雇用情勢につきましては、2021年6月の有効求人倍率は3.48倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の0.97倍を大きく上回り、介護職員の確保が引き続き課題となっているなど、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。
そのような状況のなか、当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という企業理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスの提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めてまいりました。
また、より良い人材の確保及び定着に向け、処遇改善を行うとともに、従業員それぞれがライフスタイルに応じて働けるよう、働き方の選択肢を増やしました。また、ホーム運営における人員配置の適正化やIT機器の導入等による業務効率化も進めております。今後とも当社グループは、お客様へより質の高いサービスを提供できるよう、従業員が働きやすい職場環境づくりに邁進してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響に関しましては、国内における感染拡大にともない、営業活動に制限を受けるとともに、ホーム内での集団感染を予防するための対応にも相当の負荷が生じております。また、感染対策のための消耗品費等のほか、日々業務に精励する従業員に報いるために休業補償や手当の支給を行うなど、期初予想には織り込んでいない費用が発生しておりますが、これらのかかり増し費用に対しては補助金を受給しており、その他の補助金とともに営業外収益として計上しております。
新型コロナウイルス感染症がさらに広がりを見せる状況の中、当社グループではワクチン接種を迅速に進めることができ、現在までに希望しない方を除くご入居者様、従業員のほぼ全員が2回目の接種を終えております。
また、当社グループのホームにおいて従来より取り組んでまいりました、タブレットを利用した業務管理に基づく人員配置の効率化などの原価削減策が奏功するとともに、本社経費抑制などの販売費及び一般管理費削減策も成果を上げ、当連結会計年度におきましては、個別業績において、売上高は21,967百万円(前期比12.0%増)、営業利益は2,044百万円(同7.5%増)、経常利益は2,350百万円(同28.1%増)、当期純利益は1,598百万円(同32.4%増)という業績を収めることができました。
なお、当連結会計年度におけるホームの運営状況につきましては、運営ホーム数の合計は64ホーム、居室数は4,289室であります。ホームの入居状況につきましては、開設2年目を経過した既存ホームにおいて95.4%(前期96.9%)と高い入居率を維持しており、開設2年未満のホームの入居につきましても順調に進んでおります。
新型コロナウイルス感染症の終息時期はまだ見通せない状況ではありますが、引き続き感染防止策を徹底し、高い入居率を維持することができるように努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は22,984百万円、営業利益は2,015百万円、経常利益は2,319百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,535百万円となりました。なお、個別業績では費用計上しない子会社株式取得時の手数料(37百万円)及びのれん償却額(32百万円)を、連結業績では費用計上しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.介護事業
介護事業の当連結会計年度の売上高は21,967百万円、セグメント利益は2,820百万円となりました。
なお、ホームの新規開設の状況につきましては、介護ニーズの伸長が見込まれる首都圏の都市部において、高級住宅地を中心に、アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア(グラン)」シリーズを開設するとともに、「チャーム」シリーズ、「チャームスイート」シリーズの開設も行い、バランスの取れた積極的な新規開設を進めております。
当連結会計年度における新規開設の状況は以下のとおりです。
ホーム名所在地居室数開設年月
チャームプレミア鎌倉山神奈川県鎌倉市57室2020年10月
チャームスイート高円寺東京都杉並区60室2020年11月
チャーム板橋蓮根東京都板橋区72室2020年11月
チャーム花小金井東京都小平市66室2021年3月
チャームプレミアグラン南麻布東京都港区32室2021年3月
合計5ホーム(首都圏5ホーム)287室

b.その他事業
その他事業として、連結子会社である株式会社グッドパートナーズが行っている人材派遣、人材紹介、訪問看護等の事業があり、主に首都圏において介護分野に特化した人材派遣や人材紹介等を行っております。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により新規営業面において制約を受ける状況ではありますが、既存取引先からの介護人材の需要は引き続き堅調であり、人材派遣等の売上高及び利益は概ね計画どおりに推移しております。
以上の結果、その他事業の当連結会計年度の売上高は1,122百万円、セグメント利益は7百万円となりました。
財政状態の状況は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は28,597百万円となりました。このうち、流動資産合計は9,792百万円となり、この主な内訳は、現金及び預金5,940百万円、売掛金2,242百万円となっております。固定資産合計は18,804百万円となり、この主な内訳は、有形固定資産が9,009百万円、差入保証金が4,317百万円、金銭の信託が4,097百万円となっております。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は17,471百万円となりました。このうち、流動負債合計は7,831百万円となり、この主な内訳は、短期借入金が2,543百万円、前受収益が1,720百万円、未払金が1,336百万円となっております。固定負債合計は9,640百万円となり、この主な内訳は長期借入金が4,651百万円、長期前受収益が3,922百万円となっております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は11,125百万円となりました。この主な内訳は、資本金2,759百万円、資本剰余金2,748百万円、利益剰余金が5,697百万円となっております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,940百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は2,558百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,293百万円、前受収益の増加額715百万円及び減価償却費476百万円により資金を得た一方で、法人税等の支払額646百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は3,704百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,414百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出531百万円及び差入保証金の差入による支出499百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は1,472百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増加額1,778百万円及び長期借入れによる収入912百万円により資金を得た一方で、長期借入金の返済による支出896百万円、配当金の支払額211百万円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
前年同期比(%)
介護事業(千円)21,967,559-
その他事業(千円)1,016,529-
合計(千円)22,984,089-

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、当連結会計年度における資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える見積りを行っております。当該見積りに際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なもの及び新型コロナウィルス感染症拡大による影響に係る会計上の見積りの前提は「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当社グループの当連結会計年度の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は22,984百万円となりました。これは主に、開設2年目を経過した既存ホームにおいて95.4%(前期96.9%)と高い入居率を維持していることによるものであります。開設2年未満のホームの入居につきましても順調に進んでおります。
(売上総利益)
売上原価につきましては、19,035百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に開設した8ホーム及び当連結会計年度に開設した5ホームの運営経費(労務費、地代家賃、給食費等)が増加したほか、コロナ対応コストが発生したことによるものであります。
この結果、売上総利益は3,948百万円となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費につきましては、1,933百万円となりました。これは主に、企業規模の拡大に伴う広告宣伝費や支払手数料の増加、のれん償却費が発生したことによるものであります。
この結果、営業利益は2,015百万円となりました。
(経常利益)
営業外収益につきましては、補助金収入329百万円等を、営業外費用につきましては、支払利息47百万円等を計上しております。
この結果、経常利益は2,319百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
税金等調整前当期純利益は2,293百万円となる一方で、法人税等は757百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,535百万円となりました。
また、1株当たり当期純利益は47円09銭となりました。
3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの中心事業である介護事業は、介護付有料老人ホームの運営がその大部分を占めております。介護付有料老人ホームは、介護保険法に基づき各都道府県より指定を受け、介護報酬の給付を受けておりますため、介護報酬の基準単価等の給付水準が変更されるような介護報酬の改正がなされた場合には、当社グループの事業の状況に関わらず、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
また、今後の介護サービス需要の拡大に伴い懸念される労働力不足の問題は、当社グループにおきましても重要な経営課題と認識しております。当社グループとしましては、人材の確保・育成に向けて、長期的な労働力確保を視野に入れた新卒採用の強化や従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などの取り組みを進めてまいりますが、このような施策の効果が十分に得られず、人員の確保に多額のコストが掛かる場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは運営資金及び設備資金につき、主として自己資金及び金融機関からの借入により資金調達しており、運転資金については短期借入金で、設備資金については長期借入金で調達することを基本としております。
なお、当連結会計年度末時点における長期借入金(1年内返済予定を含む)の残高は5,514百万円、短期借入金の残高は2,543百万円、現金及び預金は5,940百万円となっております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社グループは「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 ②目標とする経営指標」に記載のとおり、有料老人ホームの安定した運営の観点から入居率及び稼働率を、また、安定した経営と堅実な成長の持続という観点から売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を重視して経営に取り組んでおります。
当連結会計年度における、開設2年目を経過した既存ホームにおける入居率は95.4%と前期比1.5ポイント低下し、前期実績は僅かに下回ったものの、引き続き業界トップレベルの高い数字を維持しております。
また、個別業績において、売上高成長率は12.0%となり、目標とする20%を下回ったものの、売上高経常利益率につきましては10.7%となり、前期の9.4%から大きく改善しております。
当社グループは、引き続き当該指標の向上に取り組み、業界No.1を目指してまいります。