有価証券報告書-第9期(平成29年10月1日-平成30年9月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」という経営理念及び「次のあたりまえを創る。何度でも」というミッションのもと、インターネット、スマートフォン等を通じたさまざまなビジネス領域において、多くのユーザーに支持されるサービスの企画・制作・運営を行っております。
当社グループが展開する主なビジネスとして、「運命より、確実。」をキャッチコピーとしたオンライン恋愛・婚活サービス『with』等の(コミュニティ)、1日3回のド迫力リアルタイム協力バトルが楽しめるスマホRPG『ぼくとドラゴン』等の(ネイティブゲーム)を展開し、それら2つのジャンルに属さないビジネスを(その他)とした、3ジャンルを基盤収益事業と位置付けて展開しております。さらに、新規ジャンルへのチャレンジとして、今後、サービスの普及拡大と急成長が見込まれる分野であるVR(Virtual Reality:仮想現実)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)等の最先端技術の商業化を目指しており、特にVRとAIを活用したビジネスを積極的投資事業と位置付け、早期収益化に向けて積極的に経営資源を投入してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,874,367千円(前連結会計年度比12.6%減)、積極的な先行投資に伴い、主に広告宣伝費1,287,897千円や研究開発費657,822千円等が増加するとともに、VR並びに医療機関向けSaaS(Sotfware as a Service)(注1)を中心とした新規事業領域等にかかる債権に対する貸倒引当金繰入額1,509,568千円の計上により販売費及び一般管理費が増加し、営業損失は2,532,902千円(前連結会計年度は営業利益83,986千円)、経常損失は2,571,755千円(前連結会計年度は経常利益71,262千円)、また、固定資産の減損損失103,268千円等特別損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失2,651,080千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失35,763千円)となりました。
なお、当社グループは、スマートフォンアプリ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績は省略しております。各ジャンルの取り組みと業績は以下のとおりであります。
(コミュニティ)
当連結会計年度はオンライン恋愛・婚活サービス『with』において、積極的なプロモーションやSMS認証(注2)によるログイン機能の実装等により、ユーザー数は順調に増加いたしました。また、国内ソーシャルネットワーキングのカテゴリにおける売上ランキングは上位収斂しております。(注3)
また、他社類似サービスとの差別化を図るべく、心理学を活用して最適な男女のマッチングを目指し、「自己紹介文の自動生成機能」の実装や「メンタリストDaiGo監修の診断イベント機能」等、各種施策を講じてまいりました。他社類似サービスを含め国内でオンライン恋愛・婚活サービスが急速に浸透してきていることから、『with』についてはプロモーションによる新規流入だけでなく、クチコミによる新規流入も増加傾向にあります。その結果、2018年9月末時点におけるユーザー数は120万人を突破し、サービスが順調に伸びております。当該サービスについては、引き続きユーザービリティの向上や精度の高いマッチングを実現する機能や、診断イベントを継続的に実施していくことで、ユーザー満足度の高い唯一無二のオンライン恋愛・婚活サービスを目指してまいります。
この結果、当連結会計年度における当ジャンルの売上高は1,732,714千円となりました。前連結会計年度における当ジャンルの売上高は848,531千円であったことから、前連結会計年度比104.2%増となっております。
(ネイティブゲーム)
当連結会計年度は2018年3月28日に配信を開始いたしましたスマートフォン向けゲームアプリの新規タイトル『メガスマッシュ』につきまして、ユーザー継続率及び課金率が伸び悩み、新規キャラクターの追加や各種イベント施策を講じてまいりましたが、ユーザー継続率及び課金率の大幅な改善には至らなかったことから、2018年7月18日をもってサービスを終了することとなりました。一方、主力タイトルの『ぼくとドラゴン』は配信開始から4年目に突入しておりますが、スマートフォン向けゲームアプリマーケットの競争が一層激化してきている中でも、プロモーションを中心とした適格なコストコントロールによりプロジェクト利益は高水準を維持いたしました。また、既存ユーザーの満足度向上を目指すため、季節イベントの強化や各種人気アニメ・ゲームとのコラボレーションキャンペーンや株式会社NTTドコモ提供の出前・フード宅配サイト『dデリバリー』とのコラボレーションキャンペーンといった新たな取り組みにもチャレンジし、ユーザー満足度の向上と収益の安定化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における当ジャンルの売上高は2,817,402千円となりました。前連結会計年度における当ジャンルの売上高は4,247,499千円であったことから、前連結会計年度比33.7%減となっております。
(その他)
その他(注4)は株式会社U-NOTE(注5)が運営するビジネスパーソン向け情報メディアや性格傾向データによる求人マッチングサービスのビジネス及び株式会社mellow(注6)が運営するモビリティサービス・プラットフォーム『TLUNCH』のビジネス並びにどのジャンルにも属さないプロダクト等により構成されております。
当第3四半期連結累計期間までは、主にメディアの『U-NOTE』やモビリティサービス・プラットフォーム『TLUNCH』のサービスが当ジャンルの売上高を支えました。
『TLUNCH』については首都圏を中心に運営スペースと登録フードトラック事業者数を拡大させており、運営スペースについては2018年9月末時点で80スペース(前連結会計年度比149%増)を突破し急成長を遂げております。
また、今後急成長が見込まれる分野として、子会社のパルス株式会社が展開するVRのみならず、その他のグループ会社を通じて、AI、IoTといった最先端技術に着目した新規事業にも投資を積極的に行ってまいりました。現状、この新規ジャンルは投資段階でありますが、早期収益化できるよう邁進いたします。
この結果、当連結会計年度における当ジャンルの売上高は324,250千円となりました。前連結会計年度における当ジャンルの売上高は481,797千円であったことから、前連結会計年度比32.7%減となっております。
(注)1.SaaS(Software as a Service):ソフトウェアを通信ネットワークなどを通じて提供し、利用者が必要なものを必要なときに呼び出して使うような利用形態のことであり、サービス型ソフトウェアとも呼ばれる。(出典:IT用語辞典 e-words)
2.SMS認証:携帯電話のSMS(ショートメッセージ)を用いた本人確認のための認証機能です。
3.出典:App Annie
4.事業が多様化してきていることを踏まえ、従来の「メディア(その他)」を「その他」に変更しておりま
す。
5.株式会社U-NOTEは2018年9月30日付でメディアサービスの一部『U-NOTE』を株式会社PR TIMESに譲渡してお
ります。併せて2018年10月1日付で、社名を株式会社U-NOTEからグラム株式会社に変更しております。
6.当第3四半期連結会計期間において、『TLUNCH』を運営する株式会社mellowの株式を譲渡したことにより、持分比率が低下ししたため、同社を連結の範囲から除外し、当第4四半期連結会計期間以降は持分法適用関
連会社となっております。
当連結会計年度の財政状態の概要は以下のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は4,763,301千円となり、前連結会計年度末に比べ1,528,269千円減少いたしました。流動資産は2,097,200千円(前連結会計年度末比2,639,670千円減)となりました。主な減少要因は、現金及び預金が1,692,573千円減少したこと、貸倒引当金の計上に伴い営業貸付金が814,103千円減少したこと、未収還付法人税等が334,642千円減少したことによるものであります。固定資産は2,666,101千円(前連結会計年度末比1,111,401千円増)となりました。主な増加要因は、事業規模拡大に伴う本社オフィスの増床等により有形固定資産が108,642千円、投資有価証券の増加等により投資その他の資産が1,064,148千円増加したことによるものであります。なお、固定資産のうち、長期未収入金についても665,876千円増加しておりますが、これに対して全額貸倒引当金を計上しているほか、資産において計上している貸倒引当金は、新規事業領域に係る債権の一部についてのものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債は2,490,813千円となり、前連結会計年度末に比べ334,625千円増加いたしました。流動負債は1,825,432千円(前連結会計年度末比429,614千円増)となりました。主な増加要因は、未払金が306,603千円増加したこと、前受収益が100,910千円増加したことによるものであります。固定負債は665,381千円(前連結会計年度末比94,988千円減)となりました。主な減少要因は、借入金の返済により長期借入金が312,413千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は2,272,488千円となり、前連結会計年度末に比べ1,862,895千円減少いたしました。主な増加要因は、保有している投資有価証券に係るその他有価証券評価差額金が593,924千円発生したこと、および新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ116,294千円増加したことによるものであります。主な減少要因は利益剰余金が2,638,313千円減少したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は480,340千円となり、前連結会計年度末に比べ1,692,573千円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は567,767千円(前連結会計年度は1,930,548千円の減少)となりました。主な減少要因は、税金等調整前当期純損失2,623,417千円、長期未収入金の増加665,876千円によるもの、主な増加要因は、減価償却費493,005千円、貸倒引当金の増加1,506,384千円、法人税等の還付366,720千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は1,034,681千円(前連結会計年度は665,755千円の減少)となりました。主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出456,162千円及び有形固定資産の取得による支出196,769千円によるもの、主な増加要因は事業譲渡による収入50,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は8,456千円(前連結会計年度は2,594,064千円の増加)となりました。主な増加要因は、株式の発行による収入213,498千円、非支配株主からの払込みによる収入102,412千円、長期借入れによる収入100,000千円によるもの、主な減少要因は長期借入金の返済による支出420,818千円であります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度におけるジャンル別の販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.相手先は決済代行業者であり、ユーザーからの代金回収を代行しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用・資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、4,874,367千円となりました。内容としましては、前連結会計年度から引き続き、ネイティブゲーム『ぼくとドラゴン』の課金収入が大きく寄与しておりますが、当連結会計年度は基盤収益事業の強化として、コミュニティ『with』のユーザー数増加に努めてまいりました。『with』については、第2四半期以降順調な成長曲線を示しており、売上高全体に占める貢献度も高まってまいりました。そのことから、ネイティブゲームの依存度は前連結会計年度と比してさらに低下しており、強固で安定感のある収益ポートフォリオが構築されてきております。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は1,248,547千円となりました。これは主に労務費及びソフトウエアの減価償却費、設備費によるものであります。この結果、売上総利益は3,625,819千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は6,158,722千円となりました。これは、主に支払手数料1,471,758千円、広告宣伝費1,287,897千円、研究開発費657,822千円を計上したことに加え、VR並びに医療機関向けSaaSを中心とした新規事業領域等にかかる債権に対する貸倒引当金繰入額1,509,568千円を計上したことによるものであり、この結果、2,532,902千円の営業損失となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損失)
営業外収益は13,924千円、営業外費用は52,777千円となりました。営業外費用は主に持分法投資損失27,008千円、新株式発行による株式交付費18,059千円によるものであり、この結果、2,571,755千円の経常損失となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純損失)
関係会社株式売却益53,879千円及び事業譲渡益50,000千円を計上したことにより、103,879千円を特別利益に計上し、減損損失103,268千円等を計上したことにより155,541千円を特別損失に計上いたしました。この結果、2,623,417千円の税金等調整前当期純損失となり、法人税等合計52,376千円の計上により、2,651,080千円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。
b.経営戦略の現状と見通し
当社グループは中期経営計画最終年度(2020年9月期)の目標である連結売上高150億円、連結営業利益60億円の達成とその後の更なる成長を目指しております。そのため、一事業に依存しない事業の多面展開を図り、強固で安定感のある事業ポートフォリオを構築しております。中長期での事業戦略としては基盤収益事業の強化と積極的投資事業の推進に努めております。
基盤収益事業において、(コミュニティ)『with』のユーザー数が順調に増加し、このジャンルの売上高構成比は35.5%(前連結会計年度は15.2%)と順調にトップラインが成長しております。オンライン恋活・婚活マッチングサービスのマーケットは拡大が続くという予測(注1)もあることから、今後も『with』のユーザー数・トップラインの成長を見込んでおります。次期については、この『with』の収益が連結業績に大きく貢献してくる見込みであります。
(ネイティブゲーム)では、国内におけるスマートフォン向けゲームアプリを中心とした市場規模(注2)は拡大を続けており、スマートフォン向けゲームアプリを含めたゲームマーケットは国内のみならず、引き続き安定的な成長が予想されております。一方で、数多くのスマートフォン向けゲームアプリが配信されていることから、ユーザー獲得競争はより一層激化しているものと思われます。2018年3月に配信を開始した新規タイトル『メガスマッシュ』については、配信後のユーザー継続率・課金率が伸び悩み、各種施策を講じたものの大幅な改善には至らなかったことから、2018年7月18日をもって、サービスを終了いたしました。そのことから、当ジャンルにおける売上高が減少することとなりましたが、一方で、早期終了を決断したことにより次の新規タイトルへ経営資源を投下してまいりました。主力タイトルである『ぼくとドラゴン』は機能追加やキャンペーン等の各種施策や適格なコストコントロールを行い、利益重視の運営に努めた結果、当社グループの収益に大きく貢献いたしました。次期以降についても、『ぼくとドラゴン』は各種施策を講じ、収益の安定化に努めてまいります。また、2018年10月22日に新規タイトルとして女性をターゲットにした新感覚スマホRPG『でみめん』の一部情報公開と事前登録を開始いたしました。引き続き基盤収益事業の一つとして収益に貢献してくる見込みであります。
なお、この『でみめん』については2018年12月に配信を開始しております。
基盤収益事業とは別に、積極的投資事業と位置付けて、最先端技術であるVR・AI・IoTに着目したビジネスの商業化に向けた事業投資を行ってまいりました。
VRでは、大きく分けてエンターテインメント分野と医療分野についての研究開発を推進しております。VRエンターテインメント分野では、「ライブプラットフォームの運営」と「IP(タレント等)発掘・育成・プロデュース等」の2軸展開で進めてまいります。この2軸で展開していくということがVRエンターテインメント分野を推進していく中で大きな差別化になるものと考えております。
ライブプラットフォーム運営については、VRを通じた新しい音楽体験を創出するためにVirtual Live Platform「INSPIX」の開発を進めVR-HMD(VR-Head Mounted Display 頭部装着ディスプレイ)の普及率に左右されず、あらゆるシーンでライブ体験が可能な仕組みを提供してまいります。具体的には、フェーズ1として既存動画サイトへの配信によるライブ体験、フェーズ2として大規模なシアターでのライブビューイング体験、そしてフェーズ3としてVR-HMDを使用し自宅からライブへの参加を可能にしてまいります。現時点でフェーズ2の段階まで開発は完了しております。
IP(タレント等)の発掘・育成・プロデュースについては、子会社のパルス株式会社単独または外部パートナーと組み、ヴァーチャルタレントのみならず、リアルなタレントの創出・プロデュースに力を入れております。子会社のパルス株式会社は岩本町芸能社との協業を通じ、アイドルプロデュースのノウハウを蓄積し、今後のタレント発掘・育成・プロデュースを行っていくうえで強い競争力を身につけたと確信しております。
現在公表している具体的なIPとしては、第1弾として岩本町芸能社と協業により展開しているVRアイドルユニット『えのぐ』、第2弾として秋元康氏と日本テレビ放送網が共同で行う声優グループをプロデュースする「ボイスタープロジェクト」への参画、第3弾として、パルスとタレントプロモーション等を手掛ける株式会社ジャストプロが設立した合弁会社の株式会社ミラクルプロから女性キャラクターを起用したプロジェクトを進めております。これら以外にもパルスではAIアイドルプロジェクト『VAI』等、複数のプロジェクトを準備しておりますが、その中でも特にヴァーチャルアイドルを世の中に一層浸透させていくことに注力してまいります。
次期以降の展望としては、「INSPIX」をフェーズ3まで完了させるために、引き続き積極的に開発を進めることと、自社IPのファン数拡大、大型他社IPとの協業開始を視野に事業を推進してまいります。当社グループは、このようなVR技術を活用したライブ展開により新たな音楽マーケットが確立され、今後数年で大きく飛躍するものと考え、自信を持って事業に取り組んでおります。この分野に注力することが、中長期的に当社グループの業績向上に資するものと考えております。
VRの医療分野では順天堂大学との共同研究として『Virtual Realityアプリケーションによる慢性痛み刺激の緩和の臨床研究』も開始しておりますが、実際に患者様にご協力いただきながら臨床研究を行っており、実証データの集積に努めております。なお、本プロジェクトは、中長期での研究開発を想定しており、医療現場への導入には一定の期間を要するものと見込んでおります。
AIでは、持分法適用関連会社の株式会社ロビットがAI技術を活用し、工場における検査工程を自動化する装置(ロボット)の開発・検証を行っております。この検査工程の自動化については愛知県豊田市内の自動車部品メーカーと提携し取り組んでおります。現在、日本の製造業においては生産・製造工程ではロボットを活用した自動化が進んでおりますが、検査工程に関しては完全自動化が進んでいない状況であるため、AI技術を活用した装置(ロボット)を開発・提供し、日本の製造業における生産性向上・効率化に貢献してまいります。
IoTでは、ロビットが世界初のスマートフォンアプリと連動してカーテンの自動開閉ができる『めざましカーテン mornin’ plus』という製品を提供しております。本製品は2018年度グッドデザイン賞を受賞し、2017年度のグッドデザイン賞を受賞した旧型の『めざましカーテンmornin’』に続きロビットは2年連続で受賞しております。この受賞を契機に、引き続き販売拡大を図ってまいります。
VR・AIの新規ジャンルについては、現時点で当社グループの収益に貢献しておりませんが、いずれ、グループの成長にとって重要なビジネスになると見込んでいるため、早期収益化に向けて役職員一同、開発・検証・マーケティングに注力しております。
また、新規事業として医療機関向けSaaSの開発・提供も進めております。こちらの事業につきましては、主にオンライン診療対応を目的として医療機関向けにシステムを提供するものです。このシステムは順調に稼働中であり、2020年9月期の収益貢献を目指し、経営資源の投入を継続しております。
以上に基づき、次期連結会計年度の見通しにつきましては、売上高6,000,000千円(当連結会計年度比23.1%増)、営業利益30,000千円(当連結会計年度は2,532,902千円の営業損失)、経常利益10,000千円(当連結会計年度は2,571,755千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益5,000千円(当連結会計年度は2,651,080千円の親会社株主に帰属する当期純損失)を予想しております。
また、上記の業績予想は本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。
(注)1.出典:株式会社マッチングエージェント/株式会社デジタルインファクト
2.出典:一般社団法人コンピューターエンターテインメント
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、サービス提供・拡充のための広告宣伝費、支払手数料、研究開発費、人件費、その他経費をはじめとした販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には状況に応じて金融機関からの借入や各種資本政策等による資金調達で対応していくこととしております。
資本政策として、株式会社QK及び株式会社SK並びに当社取締役である佐藤裕介を割当先とする第三者割当増資による新株式発行および株式会社SYを割当先とする新株予約権発行による資金調達を予定しております。本件に関する詳細は、12月10日公表の有価証券届出書および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 重要な後発事象」に記載のとおりです。
また、現在、ドイツ銀行ロンドン支店を割当先とする第三者割当による新株予約権の発行を行っており、これによる資金調達も引き続き行っていく計画です。本件に関する詳細は「第4 提出会社の状況 新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標として、売上高を使用しております。それぞれの指標の当連結会計年度における達成度及び次期の計画は以下のとおりであります。
(3)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための改善策
当社グループは、前連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純損失、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上し、当連結会計年度において営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上したことから、現時点においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
それに対し、当社は当該状況を解消すべく、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、2018年10月23日及び2018年11月12日に資金の借入を実行し、2018年12月10日に第三者割当による新株式の発行及び行使価額修正条項付第18回新株予約権の発行を決議しており、本有価証券報告書提出日時点で、財務基盤の安定化は図られております。その上で、今後も、①基盤収益事業の強化による売上維持・拡大、②積極的投資事業については選択と集中による事業の選別と早期収益化の実現、③資金調達や資金繰りの安定化、④経費の削減に努めてまいります。これらの改善策を状況に応じて適切に推進していくことから、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」という経営理念及び「次のあたりまえを創る。何度でも」というミッションのもと、インターネット、スマートフォン等を通じたさまざまなビジネス領域において、多くのユーザーに支持されるサービスの企画・制作・運営を行っております。
当社グループが展開する主なビジネスとして、「運命より、確実。」をキャッチコピーとしたオンライン恋愛・婚活サービス『with』等の(コミュニティ)、1日3回のド迫力リアルタイム協力バトルが楽しめるスマホRPG『ぼくとドラゴン』等の(ネイティブゲーム)を展開し、それら2つのジャンルに属さないビジネスを(その他)とした、3ジャンルを基盤収益事業と位置付けて展開しております。さらに、新規ジャンルへのチャレンジとして、今後、サービスの普及拡大と急成長が見込まれる分野であるVR(Virtual Reality:仮想現実)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)等の最先端技術の商業化を目指しており、特にVRとAIを活用したビジネスを積極的投資事業と位置付け、早期収益化に向けて積極的に経営資源を投入してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,874,367千円(前連結会計年度比12.6%減)、積極的な先行投資に伴い、主に広告宣伝費1,287,897千円や研究開発費657,822千円等が増加するとともに、VR並びに医療機関向けSaaS(Sotfware as a Service)(注1)を中心とした新規事業領域等にかかる債権に対する貸倒引当金繰入額1,509,568千円の計上により販売費及び一般管理費が増加し、営業損失は2,532,902千円(前連結会計年度は営業利益83,986千円)、経常損失は2,571,755千円(前連結会計年度は経常利益71,262千円)、また、固定資産の減損損失103,268千円等特別損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失2,651,080千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失35,763千円)となりました。
なお、当社グループは、スマートフォンアプリ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績は省略しております。各ジャンルの取り組みと業績は以下のとおりであります。
(コミュニティ)
当連結会計年度はオンライン恋愛・婚活サービス『with』において、積極的なプロモーションやSMS認証(注2)によるログイン機能の実装等により、ユーザー数は順調に増加いたしました。また、国内ソーシャルネットワーキングのカテゴリにおける売上ランキングは上位収斂しております。(注3)
また、他社類似サービスとの差別化を図るべく、心理学を活用して最適な男女のマッチングを目指し、「自己紹介文の自動生成機能」の実装や「メンタリストDaiGo監修の診断イベント機能」等、各種施策を講じてまいりました。他社類似サービスを含め国内でオンライン恋愛・婚活サービスが急速に浸透してきていることから、『with』についてはプロモーションによる新規流入だけでなく、クチコミによる新規流入も増加傾向にあります。その結果、2018年9月末時点におけるユーザー数は120万人を突破し、サービスが順調に伸びております。当該サービスについては、引き続きユーザービリティの向上や精度の高いマッチングを実現する機能や、診断イベントを継続的に実施していくことで、ユーザー満足度の高い唯一無二のオンライン恋愛・婚活サービスを目指してまいります。
この結果、当連結会計年度における当ジャンルの売上高は1,732,714千円となりました。前連結会計年度における当ジャンルの売上高は848,531千円であったことから、前連結会計年度比104.2%増となっております。
(ネイティブゲーム)
当連結会計年度は2018年3月28日に配信を開始いたしましたスマートフォン向けゲームアプリの新規タイトル『メガスマッシュ』につきまして、ユーザー継続率及び課金率が伸び悩み、新規キャラクターの追加や各種イベント施策を講じてまいりましたが、ユーザー継続率及び課金率の大幅な改善には至らなかったことから、2018年7月18日をもってサービスを終了することとなりました。一方、主力タイトルの『ぼくとドラゴン』は配信開始から4年目に突入しておりますが、スマートフォン向けゲームアプリマーケットの競争が一層激化してきている中でも、プロモーションを中心とした適格なコストコントロールによりプロジェクト利益は高水準を維持いたしました。また、既存ユーザーの満足度向上を目指すため、季節イベントの強化や各種人気アニメ・ゲームとのコラボレーションキャンペーンや株式会社NTTドコモ提供の出前・フード宅配サイト『dデリバリー』とのコラボレーションキャンペーンといった新たな取り組みにもチャレンジし、ユーザー満足度の向上と収益の安定化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における当ジャンルの売上高は2,817,402千円となりました。前連結会計年度における当ジャンルの売上高は4,247,499千円であったことから、前連結会計年度比33.7%減となっております。
(その他)
その他(注4)は株式会社U-NOTE(注5)が運営するビジネスパーソン向け情報メディアや性格傾向データによる求人マッチングサービスのビジネス及び株式会社mellow(注6)が運営するモビリティサービス・プラットフォーム『TLUNCH』のビジネス並びにどのジャンルにも属さないプロダクト等により構成されております。
当第3四半期連結累計期間までは、主にメディアの『U-NOTE』やモビリティサービス・プラットフォーム『TLUNCH』のサービスが当ジャンルの売上高を支えました。
『TLUNCH』については首都圏を中心に運営スペースと登録フードトラック事業者数を拡大させており、運営スペースについては2018年9月末時点で80スペース(前連結会計年度比149%増)を突破し急成長を遂げております。
また、今後急成長が見込まれる分野として、子会社のパルス株式会社が展開するVRのみならず、その他のグループ会社を通じて、AI、IoTといった最先端技術に着目した新規事業にも投資を積極的に行ってまいりました。現状、この新規ジャンルは投資段階でありますが、早期収益化できるよう邁進いたします。
この結果、当連結会計年度における当ジャンルの売上高は324,250千円となりました。前連結会計年度における当ジャンルの売上高は481,797千円であったことから、前連結会計年度比32.7%減となっております。
(注)1.SaaS(Software as a Service):ソフトウェアを通信ネットワークなどを通じて提供し、利用者が必要なものを必要なときに呼び出して使うような利用形態のことであり、サービス型ソフトウェアとも呼ばれる。(出典:IT用語辞典 e-words)
2.SMS認証:携帯電話のSMS(ショートメッセージ)を用いた本人確認のための認証機能です。
3.出典:App Annie
4.事業が多様化してきていることを踏まえ、従来の「メディア(その他)」を「その他」に変更しておりま
す。
5.株式会社U-NOTEは2018年9月30日付でメディアサービスの一部『U-NOTE』を株式会社PR TIMESに譲渡してお
ります。併せて2018年10月1日付で、社名を株式会社U-NOTEからグラム株式会社に変更しております。
6.当第3四半期連結会計期間において、『TLUNCH』を運営する株式会社mellowの株式を譲渡したことにより、持分比率が低下ししたため、同社を連結の範囲から除外し、当第4四半期連結会計期間以降は持分法適用関
連会社となっております。
当連結会計年度の財政状態の概要は以下のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は4,763,301千円となり、前連結会計年度末に比べ1,528,269千円減少いたしました。流動資産は2,097,200千円(前連結会計年度末比2,639,670千円減)となりました。主な減少要因は、現金及び預金が1,692,573千円減少したこと、貸倒引当金の計上に伴い営業貸付金が814,103千円減少したこと、未収還付法人税等が334,642千円減少したことによるものであります。固定資産は2,666,101千円(前連結会計年度末比1,111,401千円増)となりました。主な増加要因は、事業規模拡大に伴う本社オフィスの増床等により有形固定資産が108,642千円、投資有価証券の増加等により投資その他の資産が1,064,148千円増加したことによるものであります。なお、固定資産のうち、長期未収入金についても665,876千円増加しておりますが、これに対して全額貸倒引当金を計上しているほか、資産において計上している貸倒引当金は、新規事業領域に係る債権の一部についてのものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債は2,490,813千円となり、前連結会計年度末に比べ334,625千円増加いたしました。流動負債は1,825,432千円(前連結会計年度末比429,614千円増)となりました。主な増加要因は、未払金が306,603千円増加したこと、前受収益が100,910千円増加したことによるものであります。固定負債は665,381千円(前連結会計年度末比94,988千円減)となりました。主な減少要因は、借入金の返済により長期借入金が312,413千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は2,272,488千円となり、前連結会計年度末に比べ1,862,895千円減少いたしました。主な増加要因は、保有している投資有価証券に係るその他有価証券評価差額金が593,924千円発生したこと、および新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ116,294千円増加したことによるものであります。主な減少要因は利益剰余金が2,638,313千円減少したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は480,340千円となり、前連結会計年度末に比べ1,692,573千円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は567,767千円(前連結会計年度は1,930,548千円の減少)となりました。主な減少要因は、税金等調整前当期純損失2,623,417千円、長期未収入金の増加665,876千円によるもの、主な増加要因は、減価償却費493,005千円、貸倒引当金の増加1,506,384千円、法人税等の還付366,720千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は1,034,681千円(前連結会計年度は665,755千円の減少)となりました。主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出456,162千円及び有形固定資産の取得による支出196,769千円によるもの、主な増加要因は事業譲渡による収入50,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は8,456千円(前連結会計年度は2,594,064千円の増加)となりました。主な増加要因は、株式の発行による収入213,498千円、非支配株主からの払込みによる収入102,412千円、長期借入れによる収入100,000千円によるもの、主な減少要因は長期借入金の返済による支出420,818千円であります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度におけるジャンル別の販売実績は、次のとおりであります。
| ジャンルの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年10月1日 至 2018年9月30日) | 前年同期比(%) |
| コミュニティ(千円) | 1,732,714 | 204.2% |
| ネイティブゲーム(千円) | 2,817,402 | 66.3% |
| その他(千円) | 324,250 | 67.3% |
| 合計(千円) | 4,874,367 | 87.4% |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2016年10月1日 至 2017年9月30日) | 当連結会計年度 (自 2017年10月1日 至 2018年9月30日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| Apple Inc. | 3,005,592 | 53.9 | 3,010,641 | 61.8 |
| Google Inc. | 1,537,606 | 27.6 | 816,555 | 16.8 |
| テレコムクレジット株式会社 | 221,167 | 4.0 | 533,716 | 10.9 |
2.相手先は決済代行業者であり、ユーザーからの代金回収を代行しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用・資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、4,874,367千円となりました。内容としましては、前連結会計年度から引き続き、ネイティブゲーム『ぼくとドラゴン』の課金収入が大きく寄与しておりますが、当連結会計年度は基盤収益事業の強化として、コミュニティ『with』のユーザー数増加に努めてまいりました。『with』については、第2四半期以降順調な成長曲線を示しており、売上高全体に占める貢献度も高まってまいりました。そのことから、ネイティブゲームの依存度は前連結会計年度と比してさらに低下しており、強固で安定感のある収益ポートフォリオが構築されてきております。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は1,248,547千円となりました。これは主に労務費及びソフトウエアの減価償却費、設備費によるものであります。この結果、売上総利益は3,625,819千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は6,158,722千円となりました。これは、主に支払手数料1,471,758千円、広告宣伝費1,287,897千円、研究開発費657,822千円を計上したことに加え、VR並びに医療機関向けSaaSを中心とした新規事業領域等にかかる債権に対する貸倒引当金繰入額1,509,568千円を計上したことによるものであり、この結果、2,532,902千円の営業損失となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損失)
営業外収益は13,924千円、営業外費用は52,777千円となりました。営業外費用は主に持分法投資損失27,008千円、新株式発行による株式交付費18,059千円によるものであり、この結果、2,571,755千円の経常損失となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純損失)
関係会社株式売却益53,879千円及び事業譲渡益50,000千円を計上したことにより、103,879千円を特別利益に計上し、減損損失103,268千円等を計上したことにより155,541千円を特別損失に計上いたしました。この結果、2,623,417千円の税金等調整前当期純損失となり、法人税等合計52,376千円の計上により、2,651,080千円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。
b.経営戦略の現状と見通し
当社グループは中期経営計画最終年度(2020年9月期)の目標である連結売上高150億円、連結営業利益60億円の達成とその後の更なる成長を目指しております。そのため、一事業に依存しない事業の多面展開を図り、強固で安定感のある事業ポートフォリオを構築しております。中長期での事業戦略としては基盤収益事業の強化と積極的投資事業の推進に努めております。
基盤収益事業において、(コミュニティ)『with』のユーザー数が順調に増加し、このジャンルの売上高構成比は35.5%(前連結会計年度は15.2%)と順調にトップラインが成長しております。オンライン恋活・婚活マッチングサービスのマーケットは拡大が続くという予測(注1)もあることから、今後も『with』のユーザー数・トップラインの成長を見込んでおります。次期については、この『with』の収益が連結業績に大きく貢献してくる見込みであります。
(ネイティブゲーム)では、国内におけるスマートフォン向けゲームアプリを中心とした市場規模(注2)は拡大を続けており、スマートフォン向けゲームアプリを含めたゲームマーケットは国内のみならず、引き続き安定的な成長が予想されております。一方で、数多くのスマートフォン向けゲームアプリが配信されていることから、ユーザー獲得競争はより一層激化しているものと思われます。2018年3月に配信を開始した新規タイトル『メガスマッシュ』については、配信後のユーザー継続率・課金率が伸び悩み、各種施策を講じたものの大幅な改善には至らなかったことから、2018年7月18日をもって、サービスを終了いたしました。そのことから、当ジャンルにおける売上高が減少することとなりましたが、一方で、早期終了を決断したことにより次の新規タイトルへ経営資源を投下してまいりました。主力タイトルである『ぼくとドラゴン』は機能追加やキャンペーン等の各種施策や適格なコストコントロールを行い、利益重視の運営に努めた結果、当社グループの収益に大きく貢献いたしました。次期以降についても、『ぼくとドラゴン』は各種施策を講じ、収益の安定化に努めてまいります。また、2018年10月22日に新規タイトルとして女性をターゲットにした新感覚スマホRPG『でみめん』の一部情報公開と事前登録を開始いたしました。引き続き基盤収益事業の一つとして収益に貢献してくる見込みであります。
なお、この『でみめん』については2018年12月に配信を開始しております。
基盤収益事業とは別に、積極的投資事業と位置付けて、最先端技術であるVR・AI・IoTに着目したビジネスの商業化に向けた事業投資を行ってまいりました。
VRでは、大きく分けてエンターテインメント分野と医療分野についての研究開発を推進しております。VRエンターテインメント分野では、「ライブプラットフォームの運営」と「IP(タレント等)発掘・育成・プロデュース等」の2軸展開で進めてまいります。この2軸で展開していくということがVRエンターテインメント分野を推進していく中で大きな差別化になるものと考えております。
ライブプラットフォーム運営については、VRを通じた新しい音楽体験を創出するためにVirtual Live Platform「INSPIX」の開発を進めVR-HMD(VR-Head Mounted Display 頭部装着ディスプレイ)の普及率に左右されず、あらゆるシーンでライブ体験が可能な仕組みを提供してまいります。具体的には、フェーズ1として既存動画サイトへの配信によるライブ体験、フェーズ2として大規模なシアターでのライブビューイング体験、そしてフェーズ3としてVR-HMDを使用し自宅からライブへの参加を可能にしてまいります。現時点でフェーズ2の段階まで開発は完了しております。
IP(タレント等)の発掘・育成・プロデュースについては、子会社のパルス株式会社単独または外部パートナーと組み、ヴァーチャルタレントのみならず、リアルなタレントの創出・プロデュースに力を入れております。子会社のパルス株式会社は岩本町芸能社との協業を通じ、アイドルプロデュースのノウハウを蓄積し、今後のタレント発掘・育成・プロデュースを行っていくうえで強い競争力を身につけたと確信しております。
現在公表している具体的なIPとしては、第1弾として岩本町芸能社と協業により展開しているVRアイドルユニット『えのぐ』、第2弾として秋元康氏と日本テレビ放送網が共同で行う声優グループをプロデュースする「ボイスタープロジェクト」への参画、第3弾として、パルスとタレントプロモーション等を手掛ける株式会社ジャストプロが設立した合弁会社の株式会社ミラクルプロから女性キャラクターを起用したプロジェクトを進めております。これら以外にもパルスではAIアイドルプロジェクト『VAI』等、複数のプロジェクトを準備しておりますが、その中でも特にヴァーチャルアイドルを世の中に一層浸透させていくことに注力してまいります。
次期以降の展望としては、「INSPIX」をフェーズ3まで完了させるために、引き続き積極的に開発を進めることと、自社IPのファン数拡大、大型他社IPとの協業開始を視野に事業を推進してまいります。当社グループは、このようなVR技術を活用したライブ展開により新たな音楽マーケットが確立され、今後数年で大きく飛躍するものと考え、自信を持って事業に取り組んでおります。この分野に注力することが、中長期的に当社グループの業績向上に資するものと考えております。
VRの医療分野では順天堂大学との共同研究として『Virtual Realityアプリケーションによる慢性痛み刺激の緩和の臨床研究』も開始しておりますが、実際に患者様にご協力いただきながら臨床研究を行っており、実証データの集積に努めております。なお、本プロジェクトは、中長期での研究開発を想定しており、医療現場への導入には一定の期間を要するものと見込んでおります。
AIでは、持分法適用関連会社の株式会社ロビットがAI技術を活用し、工場における検査工程を自動化する装置(ロボット)の開発・検証を行っております。この検査工程の自動化については愛知県豊田市内の自動車部品メーカーと提携し取り組んでおります。現在、日本の製造業においては生産・製造工程ではロボットを活用した自動化が進んでおりますが、検査工程に関しては完全自動化が進んでいない状況であるため、AI技術を活用した装置(ロボット)を開発・提供し、日本の製造業における生産性向上・効率化に貢献してまいります。
IoTでは、ロビットが世界初のスマートフォンアプリと連動してカーテンの自動開閉ができる『めざましカーテン mornin’ plus』という製品を提供しております。本製品は2018年度グッドデザイン賞を受賞し、2017年度のグッドデザイン賞を受賞した旧型の『めざましカーテンmornin’』に続きロビットは2年連続で受賞しております。この受賞を契機に、引き続き販売拡大を図ってまいります。
VR・AIの新規ジャンルについては、現時点で当社グループの収益に貢献しておりませんが、いずれ、グループの成長にとって重要なビジネスになると見込んでいるため、早期収益化に向けて役職員一同、開発・検証・マーケティングに注力しております。
また、新規事業として医療機関向けSaaSの開発・提供も進めております。こちらの事業につきましては、主にオンライン診療対応を目的として医療機関向けにシステムを提供するものです。このシステムは順調に稼働中であり、2020年9月期の収益貢献を目指し、経営資源の投入を継続しております。
以上に基づき、次期連結会計年度の見通しにつきましては、売上高6,000,000千円(当連結会計年度比23.1%増)、営業利益30,000千円(当連結会計年度は2,532,902千円の営業損失)、経常利益10,000千円(当連結会計年度は2,571,755千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益5,000千円(当連結会計年度は2,651,080千円の親会社株主に帰属する当期純損失)を予想しております。
また、上記の業績予想は本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。
(注)1.出典:株式会社マッチングエージェント/株式会社デジタルインファクト
2.出典:一般社団法人コンピューターエンターテインメント
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、サービス提供・拡充のための広告宣伝費、支払手数料、研究開発費、人件費、その他経費をはじめとした販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には状況に応じて金融機関からの借入や各種資本政策等による資金調達で対応していくこととしております。
資本政策として、株式会社QK及び株式会社SK並びに当社取締役である佐藤裕介を割当先とする第三者割当増資による新株式発行および株式会社SYを割当先とする新株予約権発行による資金調達を予定しております。本件に関する詳細は、12月10日公表の有価証券届出書および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 重要な後発事象」に記載のとおりです。
また、現在、ドイツ銀行ロンドン支店を割当先とする第三者割当による新株予約権の発行を行っており、これによる資金調達も引き続き行っていく計画です。本件に関する詳細は「第4 提出会社の状況 新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標として、売上高を使用しております。それぞれの指標の当連結会計年度における達成度及び次期の計画は以下のとおりであります。
| 指標 | 2018年9月期 (計画) | 2018年9月期 (実績) | 2018年9月期 達成度 | 2019年9月期 (計画) |
| 売上高 | 4,400百万円 | 4,874百万円 | 110.8% | 6,000百万円 |
(3)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための改善策
当社グループは、前連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純損失、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上し、当連結会計年度において営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上したことから、現時点においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
それに対し、当社は当該状況を解消すべく、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、2018年10月23日及び2018年11月12日に資金の借入を実行し、2018年12月10日に第三者割当による新株式の発行及び行使価額修正条項付第18回新株予約権の発行を決議しており、本有価証券報告書提出日時点で、財務基盤の安定化は図られております。その上で、今後も、①基盤収益事業の強化による売上維持・拡大、②積極的投資事業については選択と集中による事業の選別と早期収益化の実現、③資金調達や資金繰りの安定化、④経費の削減に努めてまいります。これらの改善策を状況に応じて適切に推進していくことから、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断しております。