有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2014/08/26 15:07
【資料】
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【項目】
108項目

対処すべき課題

(1)ブランド力の更なる強化
① 各ブランドの「銀だこスタイル」化
当社は、「築地銀だこ」以外のブランドについても、「銀だこスタイル」に基づき展開することを基本方針としております。各ブランドの対処すべき課題は以下の通りです。
「銀だこスタイル」とは…
「強い単品力」「幅広い客層」「自社製専用機械」「実演販売」「小スペース低コスト出店」の業態を確立させ、店舗網を築き上げてブランド化し、川上から川下まで一貫したマーチャンダイジングを構築することであります。

「築地銀だこ」
「銀だこスタイル」に基づいて、さらなるブランド力の強化とともに、店舗収益力の向上を図ってまいります。特に重要と認識している既存店の状について況は、平成26年度第2四半期連結会計期間(1〜6月)における既存店(直営店)売上高前年同期比が107.8%となっており、今後も継続強化していく方針です。
「銀のあん」
クロワッサンたい焼の導入により、「強い単品力」を持つことができ、平成26年度第2四半期連結会計期間(1〜6月)既存店(直営店)売上高前年同期比149.5%%となっております。今後は、店舗数を増やすことでブランドの認知を進めてまいります。
「COLD STONE CREAMERY」
これまで築き上げてきた「COLD STONE CREAMERY」のブランド力を活かした「COLD STONE FROZEN BAR」の出店により、「強い単品力」「小スペース」「低コスト出店」「実演販売」「幅広い客層」を確立することができました。今後は、果物などを契約農家から直接買い付けることで、一貫したマーチャンダイジングを構築するとともに、FCも含めた店舗網を築き上げてまいります。
「大釜屋」
関西エリア中心として、旗艦店を含めた店舗網を築き上げることで、「西の大釜屋」としてのブランド化を推進してまいります。
「やきとりのほっと屋」
国内では、都内に出店をすることで、ドミナントを形成いたします。さらに、「強い単品力」を持ち、自社開発専用機を使用した小スペース型「親子丼・焼き鳥重」専門店を「銀だこスタイル」に基づき全国展開してまいります。
また、海外1号店目を出店(イオンモールプノンペン店)いたしました。今後、「やきとりのほっと屋」を海外においても積極的に展開いたしてまいります。主原料の鶏肉や玉子について、国内外における養鶏~加工の自社化を進めることで、より安心・安全でこだわりのある商品の提供に努めてまいります。
「日本橋からり」
従来は、レストランタイプの中型店舗を出店してまいりましたが、「銀だこスタイル」に基づいてSCフードコート内に「強い単品」にメニューを絞り込んだ小型店を出店(平成25年、イオン品川店)いたしました。
このタイプの出店を全国ショッピングセンターのフードコート内に積極展開していくために、人材の早期育成が課題となっており、当社エンジニアリング工場において省力型実演フライヤー等を自社開発してまいります。
また、成田店・京都店・鎌倉店などには、多くの外国人旅行者にご来店いただいていることから、海外出店に向けて準備を開始いたしました。
「銀カレー」
アツアツのジューシーなカツカレーという「強い単品力」を持つことができ、香港においてNo.1の店舗数を誇るカレー専門店となっていることから、さらに店舗網を広げ、ブランドの認知を図ってまいります。
今後はアジア全域に範囲を広げて展開することで各国でのブランドを推進するとともに、自社養豚事業なども視野に入れた調達・加工ルートの強化を図ってまいります。
② グループ内シナジーの発揮
当社は、「築地銀だこ」で作り上げてきた重要施策や体制を他のブランドに共有し、グループとしての相乗効果を得ていくことが今後の課題です。
(a)スタンプカードの共通化
「築地銀だこ」では、創業当初から「銀だこスタンプカード」を使い、「8のつく日はスタンプ2倍」の販促活動を行っております。「銀だこスタンプカード」は広く浸透しており、毎月8のつく日は、他の日より多くのお客様にご来店いただいております。このカードは「築地銀だこ」限定となっており、今後当社はこのカードをベースに、全ブランド共通のカードに移行させることで、グループ内のシナジー効果を発揮し、お客様の利便性を高めてまいります。
(b)経営資源の共有化
当社は、平成25年よりM&Aを積極的に行い、事業の多角化を進めてまいりました。現在は各社独自の本部機能、人材採用・教育、仕入・商流・物流システム等により運営しておりますが、今後、経営資源をグループ内で共有することで、より経営効率を高めていきたいと考えております。
(2)被災地石巻市における当社の取り組み
平成23年3月に発生した東日本大震災を受けて、当社は長期的な被災地支援を行うために1000日プロジェクトを立ち上げ、実行してまいりましたが、被災地の現状は未だ復興途上であります。
当社は、もっとも被害の大きかった宮城県石巻市に、「笑顔をつくる」「100人の雇用をつくる」「納税の義務を果たす」を目的として株式会社ホット横丁を設立し、復興商店街「ホット横丁石巻」をオープンさせました。さらに全社を挙げた安定的・長期的な支援を継続するために、同年12月に本社を石巻市に移転いたしました(1000日プロジェクト完了に伴い、平成26年1月に本社を東京都中央区へ移転)。
当社は、復興の第2ステージとして、平成24年に宮城大学と包括連携協定を締結し、当社にとって最も重要な研究拠点となる石巻水産研究所を宮城大学とともに開設いたしました。石巻水産研究所では、新たな産業を被災地に生み出すために「陸上における真だこの完全養殖」「たこを原材料とした高付加価値商品の開発」「東北の食材を最大限に活用した新商品の共同開発」などの研究開発を行っております。
これらの実現によって、水産資源を活用する会社としての社会的使命を果たしてまいります。
(3)原料調達の更なる強化
当社は、「築地銀だこ」の主原料であるたこの調達において、市況の変動を受けにくい体制の構築を進めております。
① 海外におけるたこの調達・加工ルートの多様化
当社は従来、世界有数の漁場である西アフリカのモロッコ、モーリタニアで商社が買い付けたたこ原料を海外の工場で一次加工し、輸入してきましたが、漁獲高に伴う価格や加工費の変動が業績に影響を与えております。
現在は、現地で直接買い付けを行っているほか、他のエリアにおける原料調達・加工も進めてまいりました。
さらに、世界各地にはたこ漁が行われていない漁場がそのほかにも数多く存在しております。
今後、このような漁場を開拓し、長期的かつ安定的なたこ原料の調達・加工を図ってまいりたいと考えております。
② 国内におけるたこの調達・加工・店舗カットの確立
当社は、たこ原料の大半を、海外からの輸入によって調達してきたため、海外原料相場・加工コスト・為替変動・カントリーリスク等が業績に影響を与える可能性があります。
今後、全国の漁協や漁師から直接買い付けた国産たこを積極的に活用することで、これらのリスクの軽減に努めていきたいと考えております。
さらに、これらの国産たこを、国内加工工場でボイル後、チルド物流によって店舗に配送し、店内でカットするオペレーションを構築することによって、原価率の低減を実現してまいりたいと考えております。
③ 国内における真だこ養殖事業の確立
当社の主原料であるたこは、世界的に未だ養殖技術が確立されておらず、天然資源に依存しており、天候や環境の変化などにより漁獲量が毎年変動しております。長期的なたこの安定確保を図るために、当社はたこの養殖事業への取り組みを開始いたしました。
当社石巻水産研究所では、世界初真だこの陸上における完全養殖化のプロジェクトを立ち上げ、宮城大学をはじめ、東北大学・東海大学・石巻養殖業者も加わり、平成25年3月、科学技術振興機構(JST)に申請受託されました。現在(平成26年)蓄養・孵化技術まで習得できており、平成27年中に完全養殖を目指します。
当社は、陸上養殖施設用として石巻沿岸部に2,200坪の土地を購入し、産業養殖の準備を進めております。
さらに、国産真だこの水揚げが多く、未稼働の養殖施設(魚介類)を多数保有する熊本県上天草市においても包括連携協定を締結し(平成25年12月)、石巻水産研究所で開発された技術を使い、上天草産真だこ養殖の産業化に向けて取り組んでおります。
(4)たこを活用した加工食品の開発・販売
たこは、高タンパク質・低カロリーの食品であり、アミノ酸「タウリン」やビタミンB2を大変豊富に含んでおりますが、世界において、たこを食べる食文化を持つ国は、日本・イタリア・スペインなど現状少なく、また、その料理方法や活用方法も限られております。
当社石巻水産研究所で開発した商品を、世界に発信することで、たこの新しい需要を創造してまいります。
国内工場では、たこをボイルする際に出る煮汁を精製し、天然由来の粉末タウリンを抽出します。この希少価値の高い天然由来のタウリンを、育児用粉ミルクの原料として製造していきたいと考えております。
また、滋養強壮、アイケア、肝機能改善などに効果を発揮する健康食品の研究開発に取り組んでまいります。
さらに、従来廃棄していた内臓からDHA、たこ軟骨からコンドロイチンを製造することで、歩留まりを高めるとともに、高付加価値商品を作り出すための計画を進めております。
今後も、従来たこ焼の原料として利用していなかった大型の真だこ、水だこ、岩だこなどを活用して、低カロリーの加工食品の製造・販売を積極的に進めてまいります。
(5)グローバル展開における人材の育成
当社は、長期的には外食事業のグローバル化を目指しています。海外に対しては国内の当社保有のブランドを展開し、国内においては海外のブランドを導入していくことで事業の拡大を図ってまいります。
その国内における第一弾としてコールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン株式会社の買収をいたしました。さらに、イオンモール株式会社との合弁会社L.A.Style株式会社を設立し、米国の「The Coffee Bean & Tea Leaf」(以下、CBTL)の日本におけるフランチャイズ権を取得いたしました。
CBTLは1963年にアメリカのロサンゼルスで創業したプレミアムコーヒーチェーンです。コーヒー豆専門店から創業した当チェーンは、豆の本来持つ特徴を活かした焙煎を行い、一人一人のお客様の好みに合わせた味を提供することで人気を博しております。現在、全世界27カ国に出店しております。
出店については、国内最大のショッピングセンター運営会社のイオンモール株式会社との合弁により事業展開を行うため、多数の優良物件の確保が可能となることから、専門性の高い人材の採用・育成を積極的に進めてまいります。
海外においては、当社保有ブランドのエリアフランチャイズを積極的に拡大し、さらに石巻で創り上げた「ホット横丁」(当社が保有するブランドの複合店)を世界の大都市に出店してまいります。
ユネスコ無形文化遺産に「和食:日本人の伝統的な食文化」が登録され、より一層、和食が世界で注目されております。当社は多くの日本人に長年愛されてきた庶民的な日本の食べ物(たこ焼・焼きそば・たい焼・焼き鳥・天ぷら等)を「こだわり」と「まごころ」を持って提供するとともに、日本文化の魅力を海外に向けて発信してまいります。
それに向け、語学力を含めた国際感覚豊かな人材の採用・育成を進めてまいります。