訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2014/12/17 15:00
【資料】
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【項目】
81項目

対処すべき課題

当社の事業に関連する医療・ヘルスケア市場においては、医局人事統制力の緩和、恒常的な医師不足等といった状況が発生しており、医療分野の人材流動化の傾向が強まっております。このような環境下で、当社は強みとしている医師の互助組織として発足以来の経験・ノウハウの蓄積で確立した医師を中心とする医療分野の人材ネットワークをさらに強化し、以下事項を対処すべき課題と認識して、「医療を想い、社会に貢献する。」という企業理念に沿って永続的な成長を実現するため、各課題に取り組んでまいります。
1.全国的な知名度の向上
当社は、東京大学医学部附属病院の医師同士が代診を相互に紹介する互助組織活動にその淵源があり、その結果、医師会員は1都3県の医師に集中しております。そのため1都3県においては、MRTの知名度は非常勤医師紹介の業界の中で相当程度浸透し、強みを有していると考えております。一方で、1都3県以外の地域では、医師に対する当社の知名度は高いとはいえず、今後は、MRTというブランドを関東以外の地域に浸透させることにより、MRTの知名度の全国的な向上を図ることが求められます。
当社は、MRTの全国的な知名度向上が、地方における医師紹介の機会増につながるものと考えており、地方における医師不足の解消の一翼を担うことを通じ、地域医療の発展に取り組んでまいります。
医師会員分布
平成26年10月31日現在
1都3県左記以外合計
医師会員比率(%)69.730.3100.0

(注)1都3県とは、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県としております。
2.医師ネット紹介のさらなる強化
当社の医師ネット紹介において、特に非常勤医師の人材紹介では、継続的に当社を利用している医師が数多く存在しているという事実があり、当社の強みになっていると考えております。しかしながら、本書提出日現在、当社に登録している医師会員数は約1万5千人(過去に登録されている医師の累計数(退会者を除く))であり、日本全国の医師数が約30万人(厚生労働省 「平成24年(2012)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」)であることを考えると、会員数の多さという視点ではまだ十分とはいえません。
このため、当社では、今後の医師ネット紹介の拡大、新規事業展開を進めるため、医師会員数を大きく増やすことが課題であると考えております。当社は、医師同士の口コミにより、医師会員数を増やしてきておりましたが、今後は、営業体制・人員の強化を進め、SNSや雑誌広告等の媒体を有効活用する等、口コミ以外のアプローチにより、医師会員数及び登録医療機関数の増加を目指しております。
3.医局への取り組み
医局の管理業務は、医師の勤怠管理、代診を含む市中病院への医師の紹介、医師(医局員、後期研修医などを含む)の募集など多岐にわたっており、その管理には多大な労力を投じているというのが実状であります。加えて医局人事統制が緩和される中、当社が医局から市中病院への医師の紹介など医師供給の機能を補完的に行う機会が増えてきているものと考えられます。
医局業務を支援するネット医局®を活用することで、医局にとっては、医局の管理業務の大幅な効率化、省力化がはかられることが期待される一方で、全国規模での医師会員数及び医療機関数の増加が課題である当社にとっては、大学病院を中心に、その関連の市中病院、開業医にいたるまで医局単位で医師をカバーし、医師会員数を増やすことが可能となります。ネット医局®は、医局への導入を推進する目的で、現在無償で提供しておりますが、ネット医局®を通じた医師会員数の増加は、医師ネット紹介事業の収益などの一助となると考えております。
4.新規サービスの拡充
本書提出日現在、当社は、運営サイトMedRT.comを通じて、医師と医療機関に対して求人、求職情報を提供することにより、医師と医療機関を直接医療現場でつないでおります。しかしながら、当社の理念である「医療を想い、社会に貢献する。」ためには、これに加えて、①医師同士のコミュニティーサイトの構築などを通じて、医師が必要とする情報を交換する場を提供することにより、医師と医師とをつなぐこと、また、②医療情報を必要とする企業と医療情報を保有する医師をつなぐこと、そして、③医療を必要とする患者さんと医師をつなぐことにより、医師を中心とした豊かな医療の創造が図られるものと考えております。
今後は、豊かな医療の創造を図るために、ネット医局®以外にも、医師、医療機関、患者さん及びその他医療関係者に向けたコミュニティーサイトの構築などのサービス拡充を目指しております。
5.システムの安定的稼働と強化
当社は、インターネット技術を活用して事業を運営していることから、事業運営上、システムの安定稼働が、極めて重要であると認識しております。このため、当社は、会員数に応じたサーバーの増強を含め、システムの安定化のため継続的にシステム強化に取り組んでまいります。
6.人材の確保・育成
当社の「対処すべき課題」の解決には、優秀な人材を継続的に確保・育成することが課題であると認識しております。当社は株式上場などを通じ、さらに知名度を向上させ、当社が必要とする優秀な人材を継続的に確保・育成するべく取り組んでまいります。