有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2014/11/20 15:00
【資料】
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【項目】
102項目

事業等のリスク

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)事業内容及び法的規制に係るリスク
①ビッグデータの利用規制の厳格化について
今般、ソーシャルメディアの普及により、データが日々大量に生成されるようになり、ビッグデータに関するビジネスが推進されるようになってまいりました。一方、データの不正利用やプライバシーを侵害する事例も散見されるようになってきております。このため、収集する情報に個人が特定できる情報が含まれていて、無意識のうちにそれらの情報が分析対象となっていた場合に何らかの規制対象となることや、今後の新たな法律の制定や既存の法律の変更により、自主規制が求められるようになる可能性があります。このように当社グループのサービスを提供する上での情報収集やサービスの提供の仕方自体に何らかの制約を受けた場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
②情報の取得について
ソーシャルメディアの運営側の方針転換により、ソフトウェアによる情報の自動収集に制限を加えられたり禁止された場合、サービスの品質が低下し、また、情報の収集に対して追加コストが発生した場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
③システム障害について
当社グループの事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。そのため、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避すべく、稼働状況の監視等により未然防止策を実施しております。しかしながら、このような対応にもかかわらず大規模なシステム障害が発生した場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
④知的財産権におけるリスク
当社グループでは今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社グループの事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社グループに対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われること等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤季節変動について
当社グループは例年の傾向として1月~3月に売上高が増加する傾向にあるため、通期の業績に占める第4四半期の比重が高くなっております。このため、特定の四半期業績のみを持って当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であり、第4四半期の業績如何によっては年度の経営成績が影響を受ける可能性があります。また納品のタイミングによっては、期ずれにより経営成績の変動要因となる可能性があります。
⑥ソーシャル・ビッグデータ分析への需要の変化
当社グループは、ソーシャル・ビッグデータ分析により、その結果を問題解決につなげるためのサービスを提供しており、細心の注意を払って検討のうえで提供しております。しかしながら、それらの分析結果が、顧客の期待するレベルの成果に届かなかった場合、当社グループに対する信頼は揺らぎ、またソーシャル・ビッグデータ自体の有用性に関して社会的な認知が低下すること等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。また、今後成長が見込まれる分野に対して新規参入が相次ぎ、不十分で質の悪いサービスやレポート等のソリューションを提供する事業者が増え、ソーシャル・ビッグデータ分析の活用機運が削がれること等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦顧客ニーズの変化に伴うリスク
近年、ソーシャルメディアをマーケティングや商品開発に活かすニーズが高まっております。その背景のもと当社は、ソーシャルメディアを活用した分析ツールやソフトウェア、レポート等を顧客に提供する事業を主力としており、研究開発拠点の設置やアライアンスパートナー戦略等によるソーシャル・ビッグデータ以外のデータとの連動、リサーチコンサルティング分野における型紙化及び新規ビジネスの立上げ等により、顧客側のニーズに応え続けていく方針ですが、顧客側のソーシャルメディアの活用ニーズの変化に対して適時適切に当社が対応できない場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧技術革新
当社はビッグデータ分析関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、当該分野は新技術の開発が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。このため、当社は、エンジニアの採用・育成や職場環境の整備、また特にビッグデータ分析に関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、事業展開上必要となる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社の対応が遅れた場合、さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
⑨特定の取引先への依存度
当社グループは、前事業年度、当連結会計年度における総売上高に占める株式会社博報堂DYホールディングス及び株式会社博報堂に対する売上高の割合(前事業年度 20.8%、当連結会計年度 19.3%)が高くなっております。今後につきましても両社とは現状の良好な取引関係を継続していく方針であります。しかしながら、将来において取引条件の変更が発生した場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
⑩重要な契約
当社は、平成25年7月より株式会社エヌ・ティ・ティ・データから「Twitterデータ提供サービス利用申込書及びTwitterデータ提供サービス利用規約(以下「規約等」という。)」により「Twitterデータの商用利用許諾」を取得し、Twitterデータの提供を受けております。同規約等は、終了または条件変更の意思表示がない限り、6か月間自動更新となること等が定められており、今後につきましても現状の良好な取引関係を継続していく方針であります。しかしながら、規約等の終了等が発生した場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社の事業体制に係るリスクについて
①特定の人物への依存について
当社の代表取締役社長である澤博史は、当社の最高経営責任者であり、経営方針や事業戦略の決定、開発、サービスラインナップ、製品コンセプト等に関してリーダーシップを発揮しており、当社グループの経営活動全般において重要な役割を果しております。そのため、各事業部門のリーダーへ権限移譲を進めることで、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、同氏に不測の事態が生じた場合等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
②人材確保・維持について
当社グループは人員規模が小さく、社内体制も会社規模に応じたものに過ぎません。そのため今後更なる業容拡大を図るためには、当社独自の技術により市場をリードしている反面、その技術を継承し発展させる技術者の維持と拡充が重要であると認識しております。しかしながら、このような人材の維持確保及び人材の育成が出来ない場合、あるいは役員及び社員が予期せず退任又は退職した場合には、当社グループが誇るサービスレベルの維持が困難となり、組織活動が鈍化し、業容拡大の制約要因となり、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
③内部管理体制の充実について
当社グループは今後の業容拡大を踏まえ、内部管理体制の強化を進めており、具体的には規程・マニュアルの制定、監査役会の設置及び内部監査の実施により、法令やルールを順守する体制の充実を図っております。しかしながら、このような対応にもかかわらず法令等に抵触する事態や不正行為等が発生した場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
④海外展開について
当社グループは、グローバルにビジネス展開をされている顧客やこれから海外調査を予定されている顧客の要望に応えるべく、ベトナムを拠点として、アジア・パシフィック地域におけるソーシャルメディア分析ツール及び分析レポートの提供をしております。現在の当社グループは海外に対する売上高は僅少であるものの、当社の計画どおりに海外展開ができない場合、当該地域の情勢が悪化する場合や法規制等が当社グループにとって厳しくなる場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他
①配当政策について
当社グループは現在、成長過程にあると認識しており、獲得した資金については優先的にシステム等の設備投資、又は人材の採用、育成に充てるため、過去においては配当を行っておらず、今期も実施する予定はありません。今後につきましては、株主に対する利益還元を経営上の重要な課題の一つとして認識し、将来的には中間配当又は期末配当による株主への利益還元を予定しております。しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性もあります。
②新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合は、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。本書提出日現在の新株予約権による潜在株式数は2,247,000株であり、同日現在の発行済株式総数8,492,500株の26.5%に相当します。
③ベンチャーキャピタル及び投資事業組合等の株式保有比率
本書提出日現在、ベンチャーキャピタル及び投資事業組合等が保有する当社株式が1,908,500株あり、発行済み株式数8,492,500株の22.5%に相当しております。一般的にベンチャーキャピタル及び投資事業組合等は保有株式を売却することによりキャピタルゲインを得ることを投資目的としていることから、当社の上場後において短期間大量の売却等が実施された場合には、当社株式の株式市況における短期的な需給バランスを悪化させる懸念等があります。