半期報告書-第16期(2026/01/01-2026/12/31)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当社グループが取り組む再生医療分野では、政府による健康・医療戦略推進における創薬力強化や基盤技術開発、産業化推進など様々な取り組みが進められています。2026年6月に政府が示した新たな成長戦略に向けた2040年度までの財政試算において、再生医療製品は重点的に投資を進める戦略17分野の一つに選ばれています。製薬業界においては、条件及び期限付承認の下で製造販売が認められたiPS細胞を使った再生医薬品の保険適用が決まり、世界で初めて実用化されました。
このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進しました。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳梗塞急性期及び外傷の治療薬HLCM051(骨髄由来体性幹細胞)の承認取得に向け、それぞれの治験結果に基づき、準備を進めています。
ARDSについては、既に日本国内で完了した第2相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)と米英で実施した第2相試験(MUST-ARDS試験)の良好な結果に加え、米国を中心として実施するグローバル第3相試験(REVIVE-ARDS試験)を検証試験とすることを前提に、国内での条件及び期限付承認申請に向けた準備を進めています。REVIVE-ARDS試験の最初の患者組み入れは日本国内で行い、その後米国を中心としたグローバルでの治験実施を加速してまいります。2026年2月には、治験計画届出書がPMDAに受理され、本試験への対応を進めています。並行して条件及び期限付承認の申請並びに承認取得、その後の製品販売に向けた営業・マーケティング体制の確立に向け準備を進めています。
脳梗塞急性期については、引き続き規制当局との協議を続け、日本及び米国での治験データに基づき治療薬の開発推進に向けた方針を検討してまいります。
外傷については、米国において米国国防総省とメモリアル・ハーマン基金により、156人の患者を対象とした第2相試験(MATRICS-1試験)を実施しています。外傷は米国における45歳未満の死亡原因の第1位、全死亡原因の第3位であり、HLCM051の承認後には、米軍等において大規模に採用される可能性があります。
当社グループは、経済産業省 令和6年度補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業費補助金」における新技術導入促進枠としての助成を受けながら、プロセス開発等機能、製造機能、品質管理機能を有した再生医療等製品を製造するサービス提供(CDMO事業)を推進してまいります。グローバル市場に対応可能なCDMO事業のインフラ構築と商業化を目指し、2028年1月に神戸での製造拠点の完成を予定しており、500Lの3Dバイオリアクターを設置し年間4万人にARDSの治療薬を供給可能な製造規模の実現を目指しています。また、Minaris Advanced TherapiesとHLCM051の商用生産に向けた準備を進めており、当社独自の3Dバイオリアクター製造プロセスを利用し、コスト削減と大量生産により安定した細胞治療薬の商用生産を目指します。
iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子導入技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(以下、「eNK®細胞」といいます。)を用いた次世代がん免疫細胞療法に関する研究を進めています。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、「UDC」といいます。)を用いた新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めています。
eNK®細胞を用いた次世代がん免疫細胞療法については、株式会社Akatsuki Therapeutics(以下、「Akatsuki社」といいます。)と共同事業契約及びライセンスオプション契約を締結し、研究・開発を進めています。これまで当社が単独で実施してきたeNK®細胞の研究開発業務は、当社グループ全体の資源の効率的活用及び資金の機動的調達の観点より、Akatsuki社が主導し、当社はAkatsuki社より研究開発業務を受託します。
眼科領域において、株式会社RACTHERA(住友ファーマ株式会社(以下、「住友ファーマ」といいます。)より、再生・細胞医薬事業を承継。以下、「RACTHERA社」といいます。)とiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞を用いた治療法開発を共同で進めています。
また、安定した収益源の確保を目指し、再生医療等製品の生産に伴い今後大量に産出される培養上清の活用に向けた取り組みを進めています。2026年1月に、培養上清の本格生産に対応するため、神戸バイオメディカル創造センター(BMA)内に細胞加工製造用施設を本格稼働させました。2026年1月には、アルフレッサ株式会社との間で、培養上清の継続的な売買に向けた取引基本合意書を締結しました。2026年4月には、株式会社JENECELL(以下、「JENECELL社」といいます。)と、JENECELL社が韓国及びワールドワイドに提供する化粧品の原材料となる培養上清を、当社から供給する契約を締結しました。このほか、複数の有力な取引先との販売に向けた交渉を進めています。
なお、今後の研究活動の継続に向けた事業体制の適正化に向け、経営資源の再配分、固定費削減を中心とした合理化施策の実施、財務基盤の強化を目指した資金調達等に継続的に取り組んでいます。
以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上収益は15百万円(前年同期比74.9%減)、営業損失は2,404百万円(前年同期は1,573百万円の営業損失)、税引前中間損失は2,278百万円(前年同期は4,704百万円の税引前中間損失)、親会社の所有者に帰属する中間損失は2,286百万円(前年同期は4,710百万円の親会社の所有者に帰属する中間損失)となりました。
(2)財政状態の状況
① 資産、負債及び資本の状況
(資産)
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,063百万円増加し、23,117百万円となりました。流動資産は3,611百万円増加し、10,052百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の増加3,394百万円であります。非流動資産は2,452百万円増加し、13,065百万円となりました。主な要因は、その他の金融資産の増加2,432百万円であります。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,160百万円増加し、14,316百万円となりました。流動負債は1,015百万円増加し、4,239百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金の増加800百万円であります。非流動負債は1,145百万円増加し、10,077百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金の減少800百万円、Saiseiファンドにおける外部投資家持分の増加1,986百万円であります。
(資本)
当中間連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末に比べて3,903百万円増加し、8,802百万円となりました。主な要因は、新株の発行による6,098百万円の増加及び中間損失2,266百万円の計上であります。
② キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて3,394百万円増加し、9,074百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は2,514百万円(前年同期は1,577百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前中間損失2,278百万円、金融収益1,111百万円及び金融費用985百万円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1,224百万円(前年同期は700百万円の資金の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,028百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は7,094百万円(前年同期は4,919百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、新株の発行による収入6,098百万円等によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進いたしました。
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、1,733百万円(前年同期は1,066百万円)であります。
① 体性幹細胞再生医薬品分野
当中間連結会計期間において、体性幹細胞再生医薬品HLCM051を用いて、国内外でARDS、脳梗塞急性期及び外傷に対する治療薬の開発を進めました。
<炎症>ARDSに対する治療薬の開発においては、肺炎を原因疾患としたARDS患者を対象に、有効性及び安全性を検討する第2相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施し、2021年8月と11月に、HLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表しました。その中で、有効性並びに安全性について良好な結果が示されました。2024年9月に、米国を中心としたHLCM051のグローバル第3相試験(治験名称:REVIVE-ARDS試験)の実施について、米国FDA(Food and Drug Administration)とREVIVE-ARDS試験のデザインについて合意し、準備が整い次第、治験を開始する予定です。日本においては、既に日本国内で完了した第2相試験(ONE-BRIDGE試験)と米英で実施した第2相試験(MUST-ARDS試験)の良好な結果に加え、検証試験としてREVIVE-ARDS試験を実施することを前提に、国内での条件及び期限付承認申請に向け準備を進めています。2026年2月には、治験計画届出書がPMDAに受理され、本試験への対応を進めています。
脳梗塞急性期に対する治療薬の開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第2/3相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施し、2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日データの収集が完了しました。同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しましたが、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。2023年10月には米国・欧州で実施している治験(治験名称:MASTERS-2試験)の中間段階でのデータ解析を行いました。現在、規制当局との相談を進めながら、開発方針の検討を行っています。
外傷を対象とした治療薬の開発においては、米国国防総省とメモリアル・ハーマン基金により、テキサス大学ヒューストン・ヘルスサイエンス・センター(UTH)及びメモリアル・ハーマン・メディカル・センターにおいて、156人の患者を対象に、外傷による多臓器不全/全身性炎症反応関連疾患(SIRC)へのHLCM051を用いたプラセボ対照二重盲検第2相試験(MATRICS-1試験)を実施しています。MATRICS-1試験では、HLCM051投与後30日の腎機能の回復を主要評価項目としています。欧米において既に実施されたARDS患者に対する第1/2相臨床試験(治験名称:MUST-ARDS試験)のデータのうち、重度の腎機能障害(急性腎不全:AKI)を併発していた患者を抽出したサブグループ解析(20例)を行い、その結果を2025年10月に発表いたしました。それによると、プラセボ投与群と比較し、HLCM051投与群において死亡率の低下並びに腎機能障害の改善傾向が見られました。HLCM051が持つ抗炎症作用や免疫調節作用が、腎機能障害の改善に寄与する可能性を示唆しているものと考えています。
② iPSC再生医薬品分野
当中間連結会計期間において、がん免疫細胞療法(開発コード:AKT-01/HLCN061)、細胞置換に関する研究開発を進めました。
<がん免疫細胞療法>eNK®細胞(AKT-01/HLCN061)は、遺伝子導入技術により細胞傷害活性の増強だけでなく、患者免疫細胞のリクルート(呼び込み)や固形がんへの浸潤特性も強化された、当社が開発した独自の遺伝子導入iPSC(人工多能性幹細胞)NK細胞プラットフォームです。eNK®細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫細胞療法の研究を進めています。これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子導入技術を用いることで、eNK®細胞の作製に成功しており、さらに大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫細胞療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社の自社管理による細胞加工製造用施設が本格稼働し、eNK®細胞の治験製品の製造に向け着手しております。2025年1月には、Akatsuki社と共同事業契約およびライセンスオプション契約を締結し、同社が研究開発を主体的に推進しています。
現在までの研究の成果としては、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、国立がん研究センターが保有する複数種類のがん腫に由来するPDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)移植マウスを用いてヒト肺がん組織に対するeNK®細胞の抗腫瘍効果を確認しています。また、兵庫医科大学とeNK®細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を行いました。国立大学法人広島大学とeNK®細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。2025年10月には、国立大学法人九州大学と、CAR-eNK細胞を用いた脳腫瘍に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究契約を締結しました。自社研究においては、eNK®細胞が中皮腫皮下移植モデルマウス、肺がん同所生着モデルマウス、肝がん皮下移植モデルマウス、及び胃がん腹膜播種モデルマウスに対して抗腫瘍効果を有すること、生体におけるがんと同様の環境を有している肺がん患者由来のがんオルガノイド*1においても、同様に抗腫瘍効果があることを確認しております。現在、eNK®細胞を用いた治験の開始を目指し、PMDAや米国FDAと相談を進めています。なお、eNK®細胞の肺がんに対する抗腫瘍効果に関する学術論文が、2026年3月に査読付きジャーナル“Cancer Immunology, Immunotherapy”に掲載されました。また、2026年7月にDual CAR-eNK細胞(キメラ抗原受容体導入iPS細胞由来遺伝子改変NK細胞)の作成に関する研究成果が、第30回日本がん免疫学会で発表されました。
*1 生体内の組織・器官に極めて似た特徴を有している3次元的な構造をもつ組織・細胞
<細胞置換>iPSCプラットフォームとして、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、UDCに関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製することで拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療等製品を開発するための次世代技術プラットフォームの確立を目指しております。米国子会社(Healios NA, Inc.)を通じた補助金の活用等を含め、グローバルに研究開発を進めています。現在、UDCの臨床株及びマスターセルバンクが完成し、様々な細胞に分化できる能力を有することの確認など具体的な臨床応用に向けた研究を進めております。細胞治療への応用としては、国立研究開発法人国立国際医療研究センターと、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し血液中の糖の調整を担う膵臓β細胞に関し、UDCからの作製に成功しています。2025年8月には、UDCに関する日本での特許が成立し、移植細胞の原材料となる再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームとして、その技術的独自性が正式に認められました。
眼科領域において、iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)を用いた治療法開発をRACTHERA社と共同で進めており、住友ファーマとも連携して、網膜色素上皮裂孔の患者を対象とする第1/2相試験を進めています。
従来より肝疾患領域において、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と進めていた、肝疾患に対する肝臓原基*2(開発コード:HLCL041)を用いた治療法の開発、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした研究につきましては、当社からカーブアウトした上でベンチャーキャピタル等の外部パートナーと共同で研究開発を推進する方向で準備を進めています。
新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対するさらなる治療法の研究を目的に、国内外の企業・研究機関10社以上にUDCやiPS細胞を提供し様々な疾患への適応可能性について評価を実施しています。
*2 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
以下の表は、本半期報告書提出日現在の当社グループの開発品並びにその適応症、市場、開発段階及び進捗状況を示しております。
<体性幹細胞再生医薬品分野>
(*1)米国FDAよりFast Track及びRMAT(重篤または生命を脅かす疾病や治療法のない疾病に対する新薬の開発に向け、一定の条件を満たした医薬品(RMATは細胞加工製品)に対し迅速承認を可能とする制度)指定を受けています。
(*2)Retinal Pigment Epithelium:網膜色素上皮細胞
(*3)住友ファーマ株式会社より再生・細胞医薬事業を承継
カーブアウト予定のパイプラインは表記より除いています。
(1)経営成績の状況
当社グループが取り組む再生医療分野では、政府による健康・医療戦略推進における創薬力強化や基盤技術開発、産業化推進など様々な取り組みが進められています。2026年6月に政府が示した新たな成長戦略に向けた2040年度までの財政試算において、再生医療製品は重点的に投資を進める戦略17分野の一つに選ばれています。製薬業界においては、条件及び期限付承認の下で製造販売が認められたiPS細胞を使った再生医薬品の保険適用が決まり、世界で初めて実用化されました。
このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進しました。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳梗塞急性期及び外傷の治療薬HLCM051(骨髄由来体性幹細胞)の承認取得に向け、それぞれの治験結果に基づき、準備を進めています。
ARDSについては、既に日本国内で完了した第2相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)と米英で実施した第2相試験(MUST-ARDS試験)の良好な結果に加え、米国を中心として実施するグローバル第3相試験(REVIVE-ARDS試験)を検証試験とすることを前提に、国内での条件及び期限付承認申請に向けた準備を進めています。REVIVE-ARDS試験の最初の患者組み入れは日本国内で行い、その後米国を中心としたグローバルでの治験実施を加速してまいります。2026年2月には、治験計画届出書がPMDAに受理され、本試験への対応を進めています。並行して条件及び期限付承認の申請並びに承認取得、その後の製品販売に向けた営業・マーケティング体制の確立に向け準備を進めています。
脳梗塞急性期については、引き続き規制当局との協議を続け、日本及び米国での治験データに基づき治療薬の開発推進に向けた方針を検討してまいります。
外傷については、米国において米国国防総省とメモリアル・ハーマン基金により、156人の患者を対象とした第2相試験(MATRICS-1試験)を実施しています。外傷は米国における45歳未満の死亡原因の第1位、全死亡原因の第3位であり、HLCM051の承認後には、米軍等において大規模に採用される可能性があります。
当社グループは、経済産業省 令和6年度補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業費補助金」における新技術導入促進枠としての助成を受けながら、プロセス開発等機能、製造機能、品質管理機能を有した再生医療等製品を製造するサービス提供(CDMO事業)を推進してまいります。グローバル市場に対応可能なCDMO事業のインフラ構築と商業化を目指し、2028年1月に神戸での製造拠点の完成を予定しており、500Lの3Dバイオリアクターを設置し年間4万人にARDSの治療薬を供給可能な製造規模の実現を目指しています。また、Minaris Advanced TherapiesとHLCM051の商用生産に向けた準備を進めており、当社独自の3Dバイオリアクター製造プロセスを利用し、コスト削減と大量生産により安定した細胞治療薬の商用生産を目指します。
iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子導入技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(以下、「eNK®細胞」といいます。)を用いた次世代がん免疫細胞療法に関する研究を進めています。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、「UDC」といいます。)を用いた新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めています。
eNK®細胞を用いた次世代がん免疫細胞療法については、株式会社Akatsuki Therapeutics(以下、「Akatsuki社」といいます。)と共同事業契約及びライセンスオプション契約を締結し、研究・開発を進めています。これまで当社が単独で実施してきたeNK®細胞の研究開発業務は、当社グループ全体の資源の効率的活用及び資金の機動的調達の観点より、Akatsuki社が主導し、当社はAkatsuki社より研究開発業務を受託します。
眼科領域において、株式会社RACTHERA(住友ファーマ株式会社(以下、「住友ファーマ」といいます。)より、再生・細胞医薬事業を承継。以下、「RACTHERA社」といいます。)とiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞を用いた治療法開発を共同で進めています。
また、安定した収益源の確保を目指し、再生医療等製品の生産に伴い今後大量に産出される培養上清の活用に向けた取り組みを進めています。2026年1月に、培養上清の本格生産に対応するため、神戸バイオメディカル創造センター(BMA)内に細胞加工製造用施設を本格稼働させました。2026年1月には、アルフレッサ株式会社との間で、培養上清の継続的な売買に向けた取引基本合意書を締結しました。2026年4月には、株式会社JENECELL(以下、「JENECELL社」といいます。)と、JENECELL社が韓国及びワールドワイドに提供する化粧品の原材料となる培養上清を、当社から供給する契約を締結しました。このほか、複数の有力な取引先との販売に向けた交渉を進めています。
なお、今後の研究活動の継続に向けた事業体制の適正化に向け、経営資源の再配分、固定費削減を中心とした合理化施策の実施、財務基盤の強化を目指した資金調達等に継続的に取り組んでいます。
以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上収益は15百万円(前年同期比74.9%減)、営業損失は2,404百万円(前年同期は1,573百万円の営業損失)、税引前中間損失は2,278百万円(前年同期は4,704百万円の税引前中間損失)、親会社の所有者に帰属する中間損失は2,286百万円(前年同期は4,710百万円の親会社の所有者に帰属する中間損失)となりました。
(2)財政状態の状況
① 資産、負債及び資本の状況
(資産)
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,063百万円増加し、23,117百万円となりました。流動資産は3,611百万円増加し、10,052百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の増加3,394百万円であります。非流動資産は2,452百万円増加し、13,065百万円となりました。主な要因は、その他の金融資産の増加2,432百万円であります。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,160百万円増加し、14,316百万円となりました。流動負債は1,015百万円増加し、4,239百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金の増加800百万円であります。非流動負債は1,145百万円増加し、10,077百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金の減少800百万円、Saiseiファンドにおける外部投資家持分の増加1,986百万円であります。
(資本)
当中間連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末に比べて3,903百万円増加し、8,802百万円となりました。主な要因は、新株の発行による6,098百万円の増加及び中間損失2,266百万円の計上であります。
② キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて3,394百万円増加し、9,074百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は2,514百万円(前年同期は1,577百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前中間損失2,278百万円、金融収益1,111百万円及び金融費用985百万円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1,224百万円(前年同期は700百万円の資金の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,028百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は7,094百万円(前年同期は4,919百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、新株の発行による収入6,098百万円等によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進いたしました。
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、1,733百万円(前年同期は1,066百万円)であります。
① 体性幹細胞再生医薬品分野
当中間連結会計期間において、体性幹細胞再生医薬品HLCM051を用いて、国内外でARDS、脳梗塞急性期及び外傷に対する治療薬の開発を進めました。
<炎症>ARDSに対する治療薬の開発においては、肺炎を原因疾患としたARDS患者を対象に、有効性及び安全性を検討する第2相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施し、2021年8月と11月に、HLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表しました。その中で、有効性並びに安全性について良好な結果が示されました。2024年9月に、米国を中心としたHLCM051のグローバル第3相試験(治験名称:REVIVE-ARDS試験)の実施について、米国FDA(Food and Drug Administration)とREVIVE-ARDS試験のデザインについて合意し、準備が整い次第、治験を開始する予定です。日本においては、既に日本国内で完了した第2相試験(ONE-BRIDGE試験)と米英で実施した第2相試験(MUST-ARDS試験)の良好な結果に加え、検証試験としてREVIVE-ARDS試験を実施することを前提に、国内での条件及び期限付承認申請に向け準備を進めています。2026年2月には、治験計画届出書がPMDAに受理され、本試験への対応を進めています。
脳梗塞急性期に対する治療薬の開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第2/3相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施し、2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日データの収集が完了しました。同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しましたが、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。2023年10月には米国・欧州で実施している治験(治験名称:MASTERS-2試験)の中間段階でのデータ解析を行いました。現在、規制当局との相談を進めながら、開発方針の検討を行っています。
外傷を対象とした治療薬の開発においては、米国国防総省とメモリアル・ハーマン基金により、テキサス大学ヒューストン・ヘルスサイエンス・センター(UTH)及びメモリアル・ハーマン・メディカル・センターにおいて、156人の患者を対象に、外傷による多臓器不全/全身性炎症反応関連疾患(SIRC)へのHLCM051を用いたプラセボ対照二重盲検第2相試験(MATRICS-1試験)を実施しています。MATRICS-1試験では、HLCM051投与後30日の腎機能の回復を主要評価項目としています。欧米において既に実施されたARDS患者に対する第1/2相臨床試験(治験名称:MUST-ARDS試験)のデータのうち、重度の腎機能障害(急性腎不全:AKI)を併発していた患者を抽出したサブグループ解析(20例)を行い、その結果を2025年10月に発表いたしました。それによると、プラセボ投与群と比較し、HLCM051投与群において死亡率の低下並びに腎機能障害の改善傾向が見られました。HLCM051が持つ抗炎症作用や免疫調節作用が、腎機能障害の改善に寄与する可能性を示唆しているものと考えています。
② iPSC再生医薬品分野
当中間連結会計期間において、がん免疫細胞療法(開発コード:AKT-01/HLCN061)、細胞置換に関する研究開発を進めました。
<がん免疫細胞療法>eNK®細胞(AKT-01/HLCN061)は、遺伝子導入技術により細胞傷害活性の増強だけでなく、患者免疫細胞のリクルート(呼び込み)や固形がんへの浸潤特性も強化された、当社が開発した独自の遺伝子導入iPSC(人工多能性幹細胞)NK細胞プラットフォームです。eNK®細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫細胞療法の研究を進めています。これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子導入技術を用いることで、eNK®細胞の作製に成功しており、さらに大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫細胞療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社の自社管理による細胞加工製造用施設が本格稼働し、eNK®細胞の治験製品の製造に向け着手しております。2025年1月には、Akatsuki社と共同事業契約およびライセンスオプション契約を締結し、同社が研究開発を主体的に推進しています。
現在までの研究の成果としては、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、国立がん研究センターが保有する複数種類のがん腫に由来するPDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)移植マウスを用いてヒト肺がん組織に対するeNK®細胞の抗腫瘍効果を確認しています。また、兵庫医科大学とeNK®細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を行いました。国立大学法人広島大学とeNK®細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。2025年10月には、国立大学法人九州大学と、CAR-eNK細胞を用いた脳腫瘍に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究契約を締結しました。自社研究においては、eNK®細胞が中皮腫皮下移植モデルマウス、肺がん同所生着モデルマウス、肝がん皮下移植モデルマウス、及び胃がん腹膜播種モデルマウスに対して抗腫瘍効果を有すること、生体におけるがんと同様の環境を有している肺がん患者由来のがんオルガノイド*1においても、同様に抗腫瘍効果があることを確認しております。現在、eNK®細胞を用いた治験の開始を目指し、PMDAや米国FDAと相談を進めています。なお、eNK®細胞の肺がんに対する抗腫瘍効果に関する学術論文が、2026年3月に査読付きジャーナル“Cancer Immunology, Immunotherapy”に掲載されました。また、2026年7月にDual CAR-eNK細胞(キメラ抗原受容体導入iPS細胞由来遺伝子改変NK細胞)の作成に関する研究成果が、第30回日本がん免疫学会で発表されました。
*1 生体内の組織・器官に極めて似た特徴を有している3次元的な構造をもつ組織・細胞
<細胞置換>iPSCプラットフォームとして、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、UDCに関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製することで拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療等製品を開発するための次世代技術プラットフォームの確立を目指しております。米国子会社(Healios NA, Inc.)を通じた補助金の活用等を含め、グローバルに研究開発を進めています。現在、UDCの臨床株及びマスターセルバンクが完成し、様々な細胞に分化できる能力を有することの確認など具体的な臨床応用に向けた研究を進めております。細胞治療への応用としては、国立研究開発法人国立国際医療研究センターと、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し血液中の糖の調整を担う膵臓β細胞に関し、UDCからの作製に成功しています。2025年8月には、UDCに関する日本での特許が成立し、移植細胞の原材料となる再生医療等製品創出のための次世代技術プラットフォームとして、その技術的独自性が正式に認められました。
眼科領域において、iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)を用いた治療法開発をRACTHERA社と共同で進めており、住友ファーマとも連携して、網膜色素上皮裂孔の患者を対象とする第1/2相試験を進めています。
従来より肝疾患領域において、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と進めていた、肝疾患に対する肝臓原基*2(開発コード:HLCL041)を用いた治療法の開発、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした研究につきましては、当社からカーブアウトした上でベンチャーキャピタル等の外部パートナーと共同で研究開発を推進する方向で準備を進めています。
新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対するさらなる治療法の研究を目的に、国内外の企業・研究機関10社以上にUDCやiPS細胞を提供し様々な疾患への適応可能性について評価を実施しています。
*2 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
以下の表は、本半期報告書提出日現在の当社グループの開発品並びにその適応症、市場、開発段階及び進捗状況を示しております。
<体性幹細胞再生医薬品分野>
(*1)米国FDAよりFast Track及びRMAT(重篤または生命を脅かす疾病や治療法のない疾病に対する新薬の開発に向け、一定の条件を満たした医薬品(RMATは細胞加工製品)に対し迅速承認を可能とする制度)指定を受けています。
(*2)Retinal Pigment Epithelium:網膜色素上皮細胞(*3)住友ファーマ株式会社より再生・細胞医薬事業を承継
カーブアウト予定のパイプラインは表記より除いています。