有価証券報告書-第13期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/29 15:34
【資料】
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【項目】
115項目
(1)経営業績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、がん領域を対象とする製品の開発事業化に特化するスペシャリティファーマであり、バイオベンチャー企業の一種です。医薬品等の研究開発は臨床試験等を実施するために多額の先行投資を要し、かつその期間は中長期に亘ることから、収益確保、投資資金回収には相当程度の期間を要するものとなります。これまでの先行投資の結果として、2つの開発品について開発に成功し、販売開始に至りました。製品の販売開始により、投資資金回収の端緒に就いたものと認識しておりますが、医薬品等の研究開発過程において最大の投資が必要とされる最終段階の開発を複数行っていることから、事業全般においては未だ先行投資を継続している状況にあります。
バイオベンチャー企業の成功事例を多数有する米国において、その大半の企業の単年度損益は赤字です(米国ナスダックバイオインデックス構成企業のうち、株式時価総額1,000億円超の企業は169社あり、うち営業赤字計上の企業は135社。本年1月31日現在。当社調べ)。これは、当該企業の単年度損益への評価に比して、有望な医薬品開発への先行投資を積極的に図ることへの評価が金融市場においてより重要視されていることによるものと考えられます。当社グループは、現時点において同様の事業戦略によって運営されております。
当連結会計年度は、主に、以下の各開発品等の事業活動に務めてまいりました。
■SP-01(抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心・嘔吐)
■SP-03(がん等化学療法及び放射線療法に伴う口内炎)
・当社は、SP-01の中国等の権利を、SP-03の日本、中国等及び韓国の権利を有しております。当社権利のうち、中国では自社及び販売パートナーであるLee’s Pharmaceutical (HK) Limited(以下、Lee’s社)にて販売活動を行っております。
2019年に中国で販売を開始したSancuso®(SP-01)及びepisil®(SP-03)は、新型コロナウイルス感染症流行により当社グループや販売パートナーの営業担当者(MR:医薬情報担当者)の医療現場アクセス等の拡宣諸活動が大きな制約を受け、両製品の処方及び出荷数量に影響が生じました。期中に当社自販地域(北京市、上海市、広州市)にて営業担当者の病院訪問、医療従事者へのコンタクト実施が回復に向かいましたが、本日現在、これら当社自販地域では感染症再流行の兆候があり、政府規制によりがん専門病院等の外来診療部門が閉鎖される等、未だ予断を許さぬ状況が継続しております。
■SP-02(がん化学療法剤、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫)
・当社は、本開発品の全世界権利を有しており、日本はMeiji Seika ファルマ株式会社(以下、Meiji)に、南米はHB Human BioScience SAS社に、それぞれ販売権等を導出しております。
承認申請に至る最終試験として実施された国際共同第Ⅱ相臨床試験は、2020年6月に試験結果として主要評価項目の達成を確認いたしました。本日現在、当局製造販売承認の申請準備を行っております。なお、SP-02の米国、欧州、中国等地域の権利導出活動は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け導出候補先との交渉協議実施に制約が生じ、導出契約締結には至りませんでした。
■SP-04(がん化学療法に伴う末梢神経障害)
・当社は、本開発品の日本、中国、韓国、台湾、香港及びマカオの権利を有しており、日本地域はマルホ株式会社に販売権等を導出しております。
承認申請に至る最終試験として実施された国際共同第Ⅲ相臨床試験は、2020年12月に試験結果として主要評価項目の未達を確認いたしました。本日現在、当該試験の副次評価項目等の解析作業を行っております。当該試験は、2020年1月から4月にかけて米国食品医薬品局(FDA)及びフランスの規制当局(ANSM)からの試験実施一時保留命令、独立データ安全性モニタリング委員会からの被験者登録と治験薬投与の停止勧告を受け試験計画を変更し、被験者数を当初計画の700症例に対して592症例と規模を縮小し、期中に早期終了いたしました。
■SP-05(がん化学療法剤フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強)
・当社は、本開発品の日本の独占的開発販売権を有しております。
当社は、2020年8月に本開発品の日本地域の独占的開発販売権を導入いたしました。SP-05は、被験者数を440症例乃至660症例として設計された承認申請に至る最終試験である国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施中です。2020年12月には登録被験者数が440症例に到達いたしました。2021年3月に、330症例までの被験者データを用いた中間解析が行われ、その結果、目標症例数を最小目標値である440症例とすることが決定いたしました。
■新規開発候補品プロジェクト
RNA編集技術を用いた創薬事業
・九州大学発のバイオテク企業であるエディットフォース株式会社と共同研究開発契約を締結し(2019年)、中長期にわたる開発候補品獲得手段を確保いたしました。同社RNA編集技術を基にした新規がん領域等での遺伝子治療薬への展開を意図します。
腹膜播種治療薬候補(核酸医薬)
・バイオベンチャー企業である株式会社ジーンケア研究所と同社の有する核酸医薬開発品RECQL1-siRNA及び関連技術の権利取得にかかる独占交渉権(オプション権)に関する契約を締結いたしました(2020年7月)。RECQL1-siRNA核酸医薬は、米国 Alnylam Pharmaceuticals社(Nasdaq: ALNY)からのライセンス技術を基盤に同社で創成された開発品であり、今後の非臨床試験以降の進捗状況に鑑み、オプション権行使による権利取得を検討してまいります。
■開発パイプライン拡充育成のための資金調達
2020年8月に、SP-05権利導入と開発の資金、SP-04の予備資金、SP-02の末梢性T細胞リンパ腫に引き続く適応症拡大等開発資金、新規開発候補品関連費用等への充当を予定し、普通社債発行と新株予約権発行による資金調達を実施いたしました。
上記のとおり製品開発品の進捗に一定の成果を得たものの、財務面においては、製品販売が未だ初期段階にあることをもって、製品販売利益を超過する新規医薬品開発に必要な先行投資を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。
売上収益は、Sancuso®(SP-01)及びepisil®(SP-03)の製品販売収益等により454百万円生じました。前連結会計年度ではSP-04権利導出契約締結による一時金収入が計上されましたが、当期は上記のとおり新型コロナウイルス感染症の影響もありSP-02権利導出契約が締結に至らず、これが2021年以降に順延となる見通しとなったため、売上収益は前連結会計年度と比べ856百万円減少いたしました。また、売上総利益は、売上収益発生により244百万円となり、前連結会計年度と比べ999百万円減少いたしました。
研究開発費は1,928百万円発生いたしました。これはSP-02第Ⅱ相臨床試験(最終試験)、SP-04第Ⅲ相臨床試験(最終試験、引当費用含む)及びSP-05第Ⅲ相臨床試験(最終試験)への臨床開発投資等によるものです。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より564百万円増加し、2,432百万円生じました。開発品SP-04の無形資産800百万円につき、第Ⅲ相臨床試験結果を受け全額減損処理したことが増加主要因です。
売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は4,116百万円の損失となりました。当期損益は、営業損失を主要因として4,127百万円の損失となりました。
無形資産は、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等につき、110百万円を無形資産の増加として計上いたしました。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、当該無形資産増加額110百万円と研究開発費1,928百万円の合計額2,038百万円です。
当連結会計年度のSancuso®(SP-01)及びepisil®(SP-03)の無形資産償却費は438百万円です。また、SP-04の第Ⅲ相臨床試験結果を受け、当該開発品の無形資産総額800百万円に対し減損処理を行いました。これらの結果、無形資産残高は2,356百万円となりました。
② 財政状態およびキャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおりです。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っていませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っていませんので、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
医薬品事業(百万円)454△65.3

(注)1.当社グループは、医薬品事業の単一セグメントです。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
マルホ株式会社1,00076.3--
Itochu Chemicals America Inc.1088.339687.2

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項3.重要な会計方針、注記事項4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績及び分析は以下のとおりです。
経営成績
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比
(百万円)
売上収益1,310454△856
売上総利益1,244244△999
営業利益(△損失)△1,762△4,116△2,353
当期利益(△損失)△1,867△4,127△2,259

当社グループは、販売開始済2製品と開発後期段階3製品により構成されるがん領域医薬品パイプラインの拡充育成を中心に事業運営を図っており、当期は主に上記「(1)経営業績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載の通り、事業活動に務めてまいりました。
上記のとおり製品開発品の進捗に一定の成果を得たものの、財務面においては、製品販売が未だ初期段階にあることをもって、製品販売利益を超過する新規医薬品開発に必要な先行投資を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。
(売上収益、売上総利益)
売上収益は、Sancuso®(SP-01)及びepisil®(SP-03)の製品販売収益等により454百万円生じました。前連結会計年度ではSP-04権利導出契約締結による一時金収入が計上されましたが、当期は上記のとおり新型コロナウイルス感染症の影響にもありSP-02権利導出契約が締結に至らず、これが2021年以降に順延となる見通しとなったため、売上収益は前連結会計年度と比べ856百万円減少いたしました。また、売上総利益は、売上収益発生により244百万円となり、前連結会計年度と比べ999百万円減少いたしました。
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比(百万円)
研究開発費1,1381,928789
販売費及び一般管理費1,8682,432564
3,0064,3611,354
(内訳)人件費64868537
業務委託費1,4152,196780
減価償却費、無形資産償却費及び減損損失4751,296821
その他468182△286

(研究開発費、販売費及び一般管理費、営業損益、当期損益)
研究開発費は1,928百万円発生いたしました。これはSP-02第Ⅱ相臨床試験(最終試験)、SP-04第Ⅲ相臨床試験(最終試験、引当費用含む)及びSP-05第Ⅲ相臨床試験(最終試験)への臨床開発投資等によるものです。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より564百万円増加し、2,432百万円生じました。開発品SP-04の無形資産800百万円につき、第Ⅲ相臨床試験結果を受け全額減損処理したことが増加主要因です。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は4,116百万円の損失となりました。当期損益は、営業損失を主要因として4,127百万円の損失となりました。
(資産性費用の無形資産計上と償却)
当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等につき、110百万円を無形資産の増加として計上いたしました。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、当該無形資産増加額110百万円と研究開発費1,928百万円の合計額2,038百万円です。
当連結会計年度のSancuso®(SP-01)及びepisil®(SP-03)の無形資産償却費は438百万円です。また、SP-04の第Ⅲ相臨床試験結果を受け、当該開発品無形資産総額800百万円に対し減損処理を行いました。これらの結果、無形資産残高は2,356百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー△828△2,789△1,960
投資活動によるキャッシュ・フロー△735△171563
財務活動によるキャッシュ・フロー1,6411,829188

(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ2,171百万円減少し、5,775百万円となりました。流動資産は3,269百万円であり、そのうち現金及び現金同等物は2,964百万円です。非流動資産は2,506百万円であり、そのうち開発投資にかかる資産計上額である無形資産は2,356百万円です。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ1,093百万円増加し、2,123百万円となりました。流動負債は2,079百万円であり、そのうち営業債務及びその他の債務は987百万円、社債が1,000百万円です。非流動負債は43百万円であり、リース負債21百万円、繰延税金負債11百万円が主要構成要素です。また本書提出日現在、国内銀行との約定による融資枠(当座貸越契約及びコミットメントライン契約)の金額は3,500百万円であり、すべて未使用の状態にあります。
(資本)
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末と比べ3,264百万円減少し、3,652百万円となりました。主な増加要因は新株予約権行使による新株発行861百万円であり、主な減少要因は当期損失4,127百万円です。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,789百万円のマイナス(前連結会計年度は828百万円のマイナス)であり、税引前当期損失4,159百万円(マイナス要因)、減価償却費及び無形資産償却費496百万円と減損損失800百万円(いずれもプラス要因)等が主要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは171百万円のマイナス(前連結会計年度は735百万円のマイナス)であり、新規開発品SP-05の導入を中心とする開発投資額資産計上に関連する支出161百万円が主要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは1,829百万円のプラス(前連結会計年度は1,641百万円のプラス)であり、普通社債発行純収入1,000百万円、新株予約権行使による株式発行収入861百万円が主要因です。
④ 経営戦略と見通し
当社グループの事業は、医薬品開発パイプラインの強化と収益化を経営戦略の中心に据えて、事業展開を図っています。当社グループはベンチャー企業であり、一般の製薬企業に対し相対的に経営資源に制約があることから、開発成功確率を高めることを最重要視し、体制構築、開発品選定、臨床試験戦略の策定と実行を図っています。具体的な戦略は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの以下を遂行することにあります。
a. 既存開発パイプラインの進捗
b. 中国における営業活動及び営業組織の管理
c. 新規開発パイプラインの拡充
d. 強固な販売パートナーシップの構築
e. 組織の強化
f. 内部統制の強化
g. 資金調達の実施
上記諸戦略は、すべて戦略目標を中長期に亘り設定しており、当面は継続して推進する所存です。
(3) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりです。

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