有価証券報告書-第17期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/26 15:19
【資料】
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【項目】
119項目
(1)経営業績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、がん領域を対象とする製品の開発事業化に特化するスペシャリティファーマであり、バイオベンチャー企業の一種です。医薬品等の研究開発は臨床試験等を実施するために多額の先行投資を要し、かつその期間は中長期に亘ることから、収益確保、投資資金回収には相当程度の期間を要するものとなります。これまでの先行投資の結果として、3つの開発品について開発に成功し、販売開始に至りました。製品の販売開始により、投資資金回収の端緒に就いたものと認識しておりますが、医薬品等の研究開発過程において最大の投資が必要とされる最終段階の開発を複数行ってきたことから、事業全般においては未だ先行投資を継続している状況にあります。
バイオベンチャー企業の成功事例を多数有する米国において、その大半の企業の単年度損益は赤字です(米国ナスダックバイオインデックス構成企業のうち、株式時価総額1,000億円超の企業は164社あり、うち営業赤字計上の企業は113社。本年1月9日現在。当社調べ)。これは、当該企業の単年度損益への評価に比して、有望な医薬品開発への先行投資を積極的に図る事業戦略への評価が金融市場においてより重要視されていることによるものと考えられます。当社グループは、現時点において同様の事業戦略によって運営されております。
当連結会計年度は、主に、以下の各開発品等の事業活動に努めてまいりました。
[開発完了した販売開始済製品]
■Sancuso® (効能・効果:がん化学療法に伴う悪心・嘔吐)
■エピシル®(使用目的:がん等の化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛の管理及び緩和)
・中国販売を中心とするSancuso®(SP-01)及びエピシル®(SP-03)は、原価低減目的による製造所変更による影響により製品出荷に制約が生じ、前年度を大幅に下回る水準となりました。なお、Sancuso®は中国における製造所変更に関わる薬事上の諸手続きは完了しており、エピシル®は日本において製造所変更の薬事承認を2024年8月に取得し、本日現在対応する韓国及び中国での薬事承認も取得しております。また、エピシル®の販売数量向上を図るため、2024年12月に中国販売パートナーをLee’s Pharmaceutical (HK) LimitedからChangchun GeneScience Pharmaceutical Co., Ltd.へ変更する契約を締結致しました。
■ダルビアス® (効能・効果:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫)
・2022年に日本で承認され、販売が開始されています。
・現在、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に続く、他のがん種への適応拡大の可能性を評価するための非臨床試験を行っております。また本製品の海外権利導出活動を継続しております。
[非臨床試験段階の開発品]
■SP-04(予定する効能・効果:がん化学療法に伴う末梢神経障害)
・大腸がん患者におけるオキサリプラチンを含む多剤化学療法に起因する末梢神経障害を対象とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験(POLAR-A試験及びPOLAR-M試験)の結果に鑑み、当該対象の開発を留保し、タキサン製剤に起因する末梢神経障害を対象とした開発の可能性を探索するため追加の動物試験を実施しております。これまでの動物試験結果で得られた情報をもとに導入元Egetis社と協力して本邦で実施した新たな動物試験において、試験動物の末梢神経障害痛及び神経細胞の病理学的評価においてポジティブな結果が得られたことから、将来の臨床試験も見据え、これらの結果を補強するための新たな動物試験を開始しております。
■SP-05(予定する効能・効果:フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強)
・大腸がん患者を対象とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験(AGENT試験)の最終結果として、主要評価項目及び重要な副次評価項目で統計学的に有意な結果を示さなかったことが2022年に判明し、当社は開発を停止しておりました。
・本開発品の権利導入元であるIsofol社は、SP-05の臨床開発再開を念頭に、2023年より外部専門家によるAGENT試験結果の詳細な事後解析を行うと共に、新たな非臨床試験を実施しており、これらの全般的な評価は、SP-05がAGENT試験で使用されたものと異なる用法・用量で臨床効果が認められる可能性を示していると結論付けました。
・この結論を受け、Isofol社は2024年2月に同社取締役会において、SP-05の新たな臨床開発プログラムを準備し、可能な限り早期に新たな臨床試験を開始することを決定いたしました。また本決定と合わせて、新用法・用量を用いたSP-05の安全性と臨床効果を評価するために、まず時間とコスト効率の良い方法で小規模臨床試験の実施を計画していることを発表いたしました。
・当社は、SP-05の開発を一旦停止した後も、Isofol社と定期的な情報交換を継続してまいりました。Isofol社がSP-05の開発再開を決定し、小規模の臨床試験実施を計画している状況を踏まえ、引き続き同社と情報交換を継続すると共に、新たな非臨床試験結果並びに臨床試験計画の内容も評価して、日本における開発再開並びにIsofol社が計画中の新臨床開発プログラム参画についての方針を決定しております。
・2024年7月にIsofol社は、外部専門家によるAGENT試験の事後解析結果とSP-05用量反応性に関する非臨床試験結果を公表いたしました。至適ではなかったと考えられるSP-05の用量が投与されたAGENT 試験においても、SP-05投与群が対照のロイコボリン投与群に比べて数値的には優位であったという解析結果であり、またAGENT試験に比して高い用量、すなわちSP-05の新たに期待する至適用法・用量で今後の臨床試験を実施するという戦略を支持する内容です。
・本年1月に米国で開催された米国臨床腫瘍学会の消化器がんシンポジウムにおいて、AGENT試験の事後解析結果の詳細が報告され、試験実施計画書を厳格に遂行した患者群のみを解析対象とした場合、SP-05投与群が対照のロイコボリン投与群に比べて高い有効性が示されたことが報告されております。これは、本年上半期に開始予定の再度の臨床試験においてポジティブなデータが得られる可能性をさらに高めると考えられます。
上記のとおり製品開発品価値向上に努め、また損益改善を念頭とした一昨年来の構造改革のほか中長期観点での企業価値向上を図りましたが、短期的損益面においては、在庫調整により製品販売が伸び悩んでいるため、製品販売利益を超過する医薬品開発先行投資等を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました
売上収益は、製品販売に関する新施設での製造品へ移行する空白期間中の市場での欠品防止のために旧施設製造品の在庫を当社販売パートナーが昨年度に積み増したことから、本年度の新施設製造品の出荷量の低減が生じており、結果ダルビアス®(SP-02)製品販売収益等及びエピシル®(SP-03)中国の販売パートナー変更契約によるライセンスアウト収益発生により316百万円生じ、また、売上総利益は185百万円となりました。
研究開発費は414百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造所変更への投資、ダルビアス®(SP-02)の適応拡大及び中国臨床開発の検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ648百万円増加し、1,721百万円となりました。ダルビアス®(SP-02)の中国権利導出遅延に起因する無形資産減損損失959百万円の計上が主な増加要因です。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は1,951百万円の損失となり、当期損益は1,941百万円の損失となりました。
無形資産については、当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等はありません。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、研究開発費414百万円となります。
また、Sancuso®(SP-01)及びダルビアス®(SP-02)の無形資産償却により、当連結会計年度において158百万円の償却が発生しました。また、前掲のとおりダルビアス®(SP-02)の無形資産959百万円の減損処理を行いました。これらの結果、無形資産残高は無くなりました。
② 財政状態およびキャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローについては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおりです。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っていませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っていませんので、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
医薬品事業(百万円)316100%

(注)1.当社グループは、医薬品事業の単一セグメントです。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
GenSci Singapore Pte.Ltd.--15849.9
日本化薬株式会社386.38226.1
Meiji Seikaファルマ㈱396.44714.9
Lee’s Pharmaceuticals Holdings Ltd.49880.8278.7

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要性がある会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの重要性がある会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項3.重要性がある会計方針、注記事項4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績及び分析は以下のとおりです。
経営成績
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比
(百万円)
売上収益617316△300
売上総利益337185△151
営業利益(△損失)△1,139△1,951△811
当期利益(△損失)△1,112△1,941△828

当社グループは、販売開始済3製品を含むがん領域医薬品パイプラインの拡充育成を中心に事業運営を図っており、当期は主に上記「(1)経営業績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載の通り、事業活動に務めてまいりました。
上記のとおり製品開発品価値向上に努め、また損益改善を念頭とした一昨年の構造改革の成果が生じはじめ、中長期観点での企業価値向上を図りましたが、短期的損益面においては、競合品の影響や中国においては汚職撲滅キャンペインの影響もあり、製品販売が伸び悩んでいるため、製品販売利益を超過する医薬品開発先行投資等を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。
(売上収益、売上総利益)
売上収益は、既報のとおり、製品販売に関する新施設での製造品へ移行する空白期間中の市場での欠品防止のために旧施設製造品の在庫を当社販売パートナーが昨年度に積み増したことから、本年度の新施設製造品の出荷量の低減が生じており、結果ダルビアス®(SP-02)製品販売収益等及びエピシル®(SP-03)中国の販売パートナー変更契約によるライセンスアウト収益発生により316百万円生じ、また、売上総利益は185百万円となりました。
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比(百万円)
研究開発費40341411
販売費及び一般管理費1,0731,721648
1,4762,136660
(内訳)人件費470422△48
業務委託費41042817
減価償却費、無形資産償却費及び減損損失5001,154653
その他9413136

(研究開発費、販売費及び一般管理費、営業損益、当期損益)
研究開発費は414百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造所変更への投資、ダルビアス®(SP-02)の適応拡大及び中国臨床開発の検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ648百万円増加し、1,721百万円となりました。SP-02の中国権利導出遅延に起因する無形資産減損損失959百万円の計上が主な増加要因です。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は1,951百万円の損失となり、当期損益は1,941百万円の損失となりました。
(資産性費用の無形資産計上と償却)
当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等はありません。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、研究開発費414百万円となります。
また、Sancuso®(SP-01)及びダルビアス®(SP-02)の無形資産償却により、当連結会計年度において158百万円の償却が発生しました。また、前掲のとおりSP-02の無形資産959百万円の減損処理を行いました。これらの結果、無形資産残高は無くなりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー△359△1,033△674
投資活動によるキャッシュ・フロー△0△0△0
財務活動によるキャッシュ・フロー2751,180904

(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ867百万円減少し、1,362百万円となりました。流動資産は1,266百万円であり、そのうち現金及び現金同等物は886百万円、売掛金を中心とする営業債権及びその他の債権は232百万円です。非流動資産は96百万円です。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ148百万円減少し、206百万円となりました。流動負債は193百万円であり、そのうち営業債務及びその他の債務は121百万円です。非流動負債は12百万円です。
(資本)
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末と比べ786百万円減少し、1,875百万円となりました。主な増加要因は新株予約権行使による新株発行318百万円であり、主な減少要因は当期損失1,112百万円です。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは1,033百万円のマイナス(前連結会計年度は359百万円のマイナス)であり、税引前当期損失1,961百万円が主要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは0百万円のマイナス(前連結会計年度は234千円のマイナス)です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは1,180百万円のプラス(前連結会計年度は275百万円のプラス)であり、新株予約権行使による株式発行収入1,215百万円が主要因です。
④ 経営戦略と見通し
当社グループの事業は、医薬品開発パイプラインの強化と収益化を経営戦略の中心に据えて、事業展開を図っています。当社グループはベンチャー企業であり、一般の製薬企業に対し相対的に経営資源に制約があることから、開発成功確率を高めることを最重要視し、体制構築、開発品選定、臨床試験戦略の策定と実行を図っています。具体的な戦略は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの以下を遂行することにあります。
a. 既存開発パイプラインの進捗
b. 新規開発パイプラインの拡充
c. 強固な販売パートナーシップの構築
d. 組織の強化
e. 内部統制の強化
f. 資金調達の実施
上記諸戦略は、すべて戦略目標を中長期に亘り設定しており、当面は継続して推進する所存です。
(3) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

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