有価証券報告書-第16期(2023/01/01-2023/12/31)
(1)経営業績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、がん領域を対象とする製品の開発事業化に特化するスペシャリティファーマであり、バイオベンチャー企業の一種です。医薬品等の研究開発は臨床試験等を実施するために多額の先行投資を要し、かつその期間は中長期に亘ることから、収益確保、投資資金回収には相当程度の期間を要するものとなります。これまでの先行投資の結果として、3つの開発品について開発に成功し、販売開始に至りました。製品の販売開始により、投資資金回収の端緒に就いたものと認識しておりますが、医薬品等の研究開発過程において最大の投資が必要とされる最終段階の開発を複数行ってきたことから、事業全般においては未だ先行投資を継続している状況にあります。
バイオベンチャー企業の成功事例を多数有する米国において、その大半の企業の単年度損益は赤字です(米国ナスダックバイオインデックス構成企業のうち、株式時価総額1,000億円超の企業は155社あり、うち営業赤字計上の企業は118社。本年2月7日現在。当社調べ)。これは、当該企業の単年度損益への評価に比して、有望な医薬品開発への先行投資を積極的に図る事業戦略への評価が金融市場においてより重要視されていることによるものと考えられます。当社グループは、現時点において同様の事業戦略によって運営されております。
当連結会計年度は、主に、以下の各開発品等の事業活動に努めてまいりました。
[開発完了した販売開始済製品]
■Sancuso® (効能・効果:がん化学療法に伴う悪心・嘔吐)
■エピシル®(使用目的:がん等の化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛の管理及び緩和)
・中国販売を中心とするSancuso®(SP-01)及びエピシル®(SP-03)は、原価低減目的による製造所移管作業による影響、中国で施行された汚職撲滅キャンペーンによる通常営業活動への影響等により年央以降の製品出荷に制約が生じ、当初想定を大幅に下回る水準となりました。
■ダルビアス® (効能・効果:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫)
・2022年に日本で承認され、販売が開始されています。
・現在、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に引き続く、他のがん種への適応拡大検討を行っております。また本製品の海外権利導出活動も行っております。
[非臨床試験段階の開発品]
■SP-04(予定する効能・効果:がん化学療法に伴う末梢神経障害)
・大腸がん患者におけるオキサリプラチンを含む多剤化学療法に起因する末梢神経障害を対象とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験の結果に鑑み、当該対象の開発を留保し、タキサン製剤に起因する末梢神経障害を対象とした開発の可能性を探索するため追加の動物試験を実施しております。これまでの動物試験結果で得られた情報をもとに導入元Egetis社と協力して新たな動物試験を日本で実施しております。
[開発を停止した開発品]
■SP-05(予定する効能・効果:フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強)
・大腸がん患者を対象とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験(AGENT試験)の最終結果として、主要評価項目及び重要な副次評価項目で統計学的に有意な結果を示さなかったことが2022年に判明し、当社は開発を停止し、また、無形資産の減損処理を行いました。
・本開発品の権利導入元であるIsofol社は、SP-05の臨床開発再開を念頭に、2023年よりAGENT試験結果の詳細な解析と新たな非臨床試験を実施しており、これらの全般的な評価はSP-05(arfolitixorin)がAGENT試験で使用されたものとは異なる用量及び用法で臨床効果が認められることを示していると結論付けました。
・この結論を受け、Isofol社は2024年2月に同社取締役会において、SP-05の新たな開発プログラムを準備し、可能な限り早期に新たな臨床試験を開始することを決定いたしました。また本決定と合わせて、新用法・用量を用いたSP-05の臨床効果を標準治療と比較して証明するために、時間とコスト効率の良い方法で小規模臨床試験の実施を計画していることを発表いたしました。
・当社は、SP-05の開発を一旦停止した後も、Isofol社と定期的な情報交換を継続してまいりました。今般Isofol社がSP-05の開発再開を決定し、小規模の臨床試験実施を計画している状況を踏まえ、引き続き同社と情報交換を継続すると共に、新たな非臨床試験結果の評価並びに臨床試験計画の内容も評価して、日本における開発再開並びにIsofol社が計画中の新開発プログラム参画についての方針を決定しております。
[新規開発候補品・技術]
当社は、下記研究段階或いは臨床開発前の早期ステージのプロジェクトに対し、将来当社の開発品となり得る可能性を見出し、各々のパートナー企業と共に、研究開発活動に取り組んでおります。
■ 核酸医薬
・当社は、本邦バイオベンチャー企業である株式会社ジーンケア研究所(GC社)と同社の有する核酸医薬開発品RECQL1-siRNA 及びその関連技術の権利取得にかかる独占交渉権(オプション権)に関する契約を2020年に締結いたしました。現在GC社と共同で開発を行っており、また、今後の非臨床試験及び新製剤開発の進捗状況等に鑑み、オプション権行使による権利取得を検討してまいります。
・RECQL1-siRNAは、米国 Alnylam Pharmaceuticals社 (Nasdaq: ALNY) からのライセンス技術を基盤に、GC社で創成されたsiRNA(短鎖二本鎖RNA)であり核酸医薬品の一つです。がん細胞で過剰発現が認められるDNA修復酵素ヘリカーゼRECQL1に対して当該酵素のみを選択的に発現抑制することで細胞死を誘導する新しい作用機序が考えられています。既に複数の薬理試験において、様々ながん種での増殖抑制効果、また進行期の卵巣癌及び胃癌等で発現する腹膜播種モデル動物における延命効果が示されています。
・当社及びGC社は、東京大学大学院理学系研究科 程研究室との共同研究で創製された、より高い有効性と安全性が期待できるsiRNA新配列について、臨床開発段階に移行するためのさらなる薬効薬理試験及び新製剤開発の準備を開始いたしました。
*腹膜播種は、卵巣癌や胃癌など腹腔内に発生した癌の腹膜への転移であり、癌細胞が種をまいたように腹腔内に散らばる状態です。病態が進行すると癌性腹水などを伴うことがあり、予後不良の状態になるとされています。現在の全身化学療法の腹膜播種に対する奏効は十分ではなく、腹腔内直接投与など新たな局所療法も試みられています。
■ RNA編集技術を用いた創薬事業(遺伝子治療)
・当社は、九州大学発のバイオベンチャー企業であるエディットフォース株式会社と共同研究開発契約を2019年に締結し、中長期にわたる開発候補品獲得手段を確保いたしました。同社の核心的RNA編集技術を基にした新規がん領域等における遺伝子治療薬の創薬への展開を意図します。
・現在、可能性のある対象疾患及びその変異遺伝子を選択し、同社RNA編集技術に基づいて創製されたpentatricopeptide repeat(PPR)候補の効果発現を確認するための非臨床試験に関する諸条件の整備・検討を進めています。
■ 新規抗体修飾技術を用いた創薬事業
・当社は、東京工業大学発のバイオベンチャー企業である株式会社HikariQ Healthと、当社から同社への出資を中心とする資本業務提携契約を2022年4月に締結いたしました。
・同社のQ-body基盤技術は、Q-body本体である抗体内部に蛍光色素が取り込まれ消光状態になり、当該抗体が抗原と反応することで取り込まれた蛍光色素が弾き出されて本来の蛍光を放つ仕組みです。このため、Q-bodyは抗原濃度に応じて蛍光強度が変化するバイオセンサーとして機能するとされ、この仕組みを利用した免疫測定技術は、現在の免疫反応を用いた検査に比べて大幅な簡素化及び低コスト化が期待されます。また、当該技術を医薬品に応用した次世代抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate: ADC)創薬の初期検討を進めています。
・同社では、免疫検査事業に関する研究を進めており、当社は、同社と共にQ-body技術を応用した 次世代ADC創薬の初期検討にも着手しております。
■機能性蛍光プローブ技術共同事業化の検討
・当社は、2023年に、五稜化薬株式会社と、同社の技術に基づく機能性蛍光プローブを用いたがん外科手術向けナビゲーションドラッグなどの医薬品事業に係る事業開発活動及び臨床開発活動を共同で実施するための共同事業化検討契約を締結いたしました。
・最初の対象として、乳がんを対象としたナビゲーションドラッグ(GCP‐006)の開発及び事業化について検討を開始しております。
上記のとおり製品開発品価値向上に努め、また損益改善を念頭とした昨年の構造改革の成果が生じはじめ、中長期観点での企業価値向上を図りましたが、短期的損益面においては、製品販売が未だ初期段階にあるため、製品販売利益を超過する医薬品開発先行投資等を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。
売上収益は、Sancuso®(SP-01)、ダルビアス®(SP-02)及びエピシル®(SP-03)の製品販売収益等により617百万円生じ、また、売上総利益は337百万円となりました。
研究開発費は403百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造所変更への投資、ダルビアス®(SP-02)の適応拡大検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前年度の中国自販体制解消を中心とする固定費削減策を継続したことにより、前連結会計年度と比べ1,176百万円減少し、1,073百万円となりました。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は1,139百万円の損失となり、当期損益は1,112百万円の損失となりました。
無形資産については、当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等はありません。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、研究開発費403百万円となります。
また、Sancuso®(SP-01)及びダルビアス®(SP-02)の無形資産償却により、当連結会計年度において452百万円の償却が発生しました。これらの結果、無形資産残高は1,117百万円となりました。
② 財政状態およびキャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローについては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおりです。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っていませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っていませんので、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
(注)1.当社グループは、医薬品事業の単一セグメントです。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要性がある会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの重要性がある会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項3.重要性がある会計方針、注記事項4.重要性な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績及び分析は以下のとおりです。
経営成績
当社グループは、販売開始済3製品を含むがん領域医薬品パイプラインの拡充育成を中心に事業運営を図っており、当期は主に上記「(1)経営業績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載の通り、事業活動に務めてまいりました。
上記のとおり製品開発品価値向上に努め、また損益改善を念頭とした昨年の構造改革の成果が生じはじめ、中長期観点での企業価値向上を図りましたが、短期的損益面においては、製品販売が未だ初期段階にあるため、製品販売利益を超過する医薬品開発先行投資等を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。
(売上収益、売上総利益)
売上収益は、Sancuso®(SP-01)、ダルビアス®(SP-02)及びエピシル®(SP-03)の製品販売収益等により617百万円生じ、また、売上総利益は337百万円となりました。
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
(研究開発費、販売費及び一般管理費、営業損益、当期損益)
研究開発費は403百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造所変更への投資、ダルビアス®(SP-02)の適応拡大検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前第3四半期に行った中国自販体制解消による固定費削減により、前連結会計年度と比べ1,176百万円減少し、1,073百万円となりました。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は1,139百万円の損失となり、当期損益は1,112百万円の損失となりました。
(資産性費用の無形資産計上と償却)
当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等はありません。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、研究開発費403百万円となります。
また、Sancuso®(SP-01)及びダルビアス®(SP-02)の無形資産償却により、当連結会計年度において452百万円の償却が発生しました。これらの結果、無形資産残高は1,117百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ904百万円減少し、2,229百万円となりました。流動資産は976百万円であり、そのうち現金及び現金同等物は728百万円、売掛金を中心とする営業債権及びその他の債権は67百万円です。非流動資産は1,252百万円であり、そのうち開発投資にかかる資産計上額である無形資産は1,117百万円です。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ117百万円減少し、354百万円となりました。流動負債は293百万円であり、そのうち営業債務及びその他の債務は213百万円です。非流動負債は61百万円であり、リース負債27百万円及び繰延税金負債22百万円が主要構成要素です。
(資本)
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末と比べ786百万円減少し、1,875百万円となりました。主な増加要因は新株予約権行使による新株発行318百万円であり、主な減少要因は当期損失1,112百万円です。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは359百万円のマイナス(前連結会計年度は2,074百万円のマイナス)であり、税引前当期損失1,135百万円が主要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは234千円のマイナス(前連結会計年度は418百万円のマイナス)です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは275百万円のプラス(前連結会計年度は2,571百万円のプラス)であり、新株予約権行使による株式発行収入318百万円が主要因です。
④ 経営戦略と見通し
当社グループの事業は、医薬品開発パイプラインの強化と収益化を経営戦略の中心に据えて、事業展開を図っています。当社グループはベンチャー企業であり、一般の製薬企業に対し相対的に経営資源に制約があることから、開発成功確率を高めることを最重要視し、体制構築、開発品選定、臨床試験戦略の策定と実行を図っています。具体的な戦略は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの以下を遂行することにあります。
a. 既存開発パイプラインの進捗
b. 新規開発パイプラインの拡充
c. 強固な販売パートナーシップの構築
d. 組織の強化
e. 内部統制の強化
f. 資金調達の実施
上記諸戦略は、すべて戦略目標を中長期に亘り設定しており、当面は継続して推進する所存です。
(3) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。
① 経営成績の状況
当社グループは、がん領域を対象とする製品の開発事業化に特化するスペシャリティファーマであり、バイオベンチャー企業の一種です。医薬品等の研究開発は臨床試験等を実施するために多額の先行投資を要し、かつその期間は中長期に亘ることから、収益確保、投資資金回収には相当程度の期間を要するものとなります。これまでの先行投資の結果として、3つの開発品について開発に成功し、販売開始に至りました。製品の販売開始により、投資資金回収の端緒に就いたものと認識しておりますが、医薬品等の研究開発過程において最大の投資が必要とされる最終段階の開発を複数行ってきたことから、事業全般においては未だ先行投資を継続している状況にあります。
バイオベンチャー企業の成功事例を多数有する米国において、その大半の企業の単年度損益は赤字です(米国ナスダックバイオインデックス構成企業のうち、株式時価総額1,000億円超の企業は155社あり、うち営業赤字計上の企業は118社。本年2月7日現在。当社調べ)。これは、当該企業の単年度損益への評価に比して、有望な医薬品開発への先行投資を積極的に図る事業戦略への評価が金融市場においてより重要視されていることによるものと考えられます。当社グループは、現時点において同様の事業戦略によって運営されております。
当連結会計年度は、主に、以下の各開発品等の事業活動に努めてまいりました。
[開発完了した販売開始済製品]
■Sancuso® (効能・効果:がん化学療法に伴う悪心・嘔吐)
■エピシル®(使用目的:がん等の化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛の管理及び緩和)
・中国販売を中心とするSancuso®(SP-01)及びエピシル®(SP-03)は、原価低減目的による製造所移管作業による影響、中国で施行された汚職撲滅キャンペーンによる通常営業活動への影響等により年央以降の製品出荷に制約が生じ、当初想定を大幅に下回る水準となりました。
■ダルビアス® (効能・効果:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫)
・2022年に日本で承認され、販売が開始されています。
・現在、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に引き続く、他のがん種への適応拡大検討を行っております。また本製品の海外権利導出活動も行っております。
[非臨床試験段階の開発品]
■SP-04(予定する効能・効果:がん化学療法に伴う末梢神経障害)
・大腸がん患者におけるオキサリプラチンを含む多剤化学療法に起因する末梢神経障害を対象とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験の結果に鑑み、当該対象の開発を留保し、タキサン製剤に起因する末梢神経障害を対象とした開発の可能性を探索するため追加の動物試験を実施しております。これまでの動物試験結果で得られた情報をもとに導入元Egetis社と協力して新たな動物試験を日本で実施しております。
[開発を停止した開発品]
■SP-05(予定する効能・効果:フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強)
・大腸がん患者を対象とした、日本を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験(AGENT試験)の最終結果として、主要評価項目及び重要な副次評価項目で統計学的に有意な結果を示さなかったことが2022年に判明し、当社は開発を停止し、また、無形資産の減損処理を行いました。
・本開発品の権利導入元であるIsofol社は、SP-05の臨床開発再開を念頭に、2023年よりAGENT試験結果の詳細な解析と新たな非臨床試験を実施しており、これらの全般的な評価はSP-05(arfolitixorin)がAGENT試験で使用されたものとは異なる用量及び用法で臨床効果が認められることを示していると結論付けました。
・この結論を受け、Isofol社は2024年2月に同社取締役会において、SP-05の新たな開発プログラムを準備し、可能な限り早期に新たな臨床試験を開始することを決定いたしました。また本決定と合わせて、新用法・用量を用いたSP-05の臨床効果を標準治療と比較して証明するために、時間とコスト効率の良い方法で小規模臨床試験の実施を計画していることを発表いたしました。
・当社は、SP-05の開発を一旦停止した後も、Isofol社と定期的な情報交換を継続してまいりました。今般Isofol社がSP-05の開発再開を決定し、小規模の臨床試験実施を計画している状況を踏まえ、引き続き同社と情報交換を継続すると共に、新たな非臨床試験結果の評価並びに臨床試験計画の内容も評価して、日本における開発再開並びにIsofol社が計画中の新開発プログラム参画についての方針を決定しております。
[新規開発候補品・技術]
当社は、下記研究段階或いは臨床開発前の早期ステージのプロジェクトに対し、将来当社の開発品となり得る可能性を見出し、各々のパートナー企業と共に、研究開発活動に取り組んでおります。
■ 核酸医薬
・当社は、本邦バイオベンチャー企業である株式会社ジーンケア研究所(GC社)と同社の有する核酸医薬開発品RECQL1-siRNA 及びその関連技術の権利取得にかかる独占交渉権(オプション権)に関する契約を2020年に締結いたしました。現在GC社と共同で開発を行っており、また、今後の非臨床試験及び新製剤開発の進捗状況等に鑑み、オプション権行使による権利取得を検討してまいります。
・RECQL1-siRNAは、米国 Alnylam Pharmaceuticals社 (Nasdaq: ALNY) からのライセンス技術を基盤に、GC社で創成されたsiRNA(短鎖二本鎖RNA)であり核酸医薬品の一つです。がん細胞で過剰発現が認められるDNA修復酵素ヘリカーゼRECQL1に対して当該酵素のみを選択的に発現抑制することで細胞死を誘導する新しい作用機序が考えられています。既に複数の薬理試験において、様々ながん種での増殖抑制効果、また進行期の卵巣癌及び胃癌等で発現する腹膜播種モデル動物における延命効果が示されています。
・当社及びGC社は、東京大学大学院理学系研究科 程研究室との共同研究で創製された、より高い有効性と安全性が期待できるsiRNA新配列について、臨床開発段階に移行するためのさらなる薬効薬理試験及び新製剤開発の準備を開始いたしました。
*腹膜播種は、卵巣癌や胃癌など腹腔内に発生した癌の腹膜への転移であり、癌細胞が種をまいたように腹腔内に散らばる状態です。病態が進行すると癌性腹水などを伴うことがあり、予後不良の状態になるとされています。現在の全身化学療法の腹膜播種に対する奏効は十分ではなく、腹腔内直接投与など新たな局所療法も試みられています。
■ RNA編集技術を用いた創薬事業(遺伝子治療)
・当社は、九州大学発のバイオベンチャー企業であるエディットフォース株式会社と共同研究開発契約を2019年に締結し、中長期にわたる開発候補品獲得手段を確保いたしました。同社の核心的RNA編集技術を基にした新規がん領域等における遺伝子治療薬の創薬への展開を意図します。
・現在、可能性のある対象疾患及びその変異遺伝子を選択し、同社RNA編集技術に基づいて創製されたpentatricopeptide repeat(PPR)候補の効果発現を確認するための非臨床試験に関する諸条件の整備・検討を進めています。
■ 新規抗体修飾技術を用いた創薬事業
・当社は、東京工業大学発のバイオベンチャー企業である株式会社HikariQ Healthと、当社から同社への出資を中心とする資本業務提携契約を2022年4月に締結いたしました。
・同社のQ-body基盤技術は、Q-body本体である抗体内部に蛍光色素が取り込まれ消光状態になり、当該抗体が抗原と反応することで取り込まれた蛍光色素が弾き出されて本来の蛍光を放つ仕組みです。このため、Q-bodyは抗原濃度に応じて蛍光強度が変化するバイオセンサーとして機能するとされ、この仕組みを利用した免疫測定技術は、現在の免疫反応を用いた検査に比べて大幅な簡素化及び低コスト化が期待されます。また、当該技術を医薬品に応用した次世代抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate: ADC)創薬の初期検討を進めています。
・同社では、免疫検査事業に関する研究を進めており、当社は、同社と共にQ-body技術を応用した 次世代ADC創薬の初期検討にも着手しております。
■機能性蛍光プローブ技術共同事業化の検討
・当社は、2023年に、五稜化薬株式会社と、同社の技術に基づく機能性蛍光プローブを用いたがん外科手術向けナビゲーションドラッグなどの医薬品事業に係る事業開発活動及び臨床開発活動を共同で実施するための共同事業化検討契約を締結いたしました。
・最初の対象として、乳がんを対象としたナビゲーションドラッグ(GCP‐006)の開発及び事業化について検討を開始しております。
上記のとおり製品開発品価値向上に努め、また損益改善を念頭とした昨年の構造改革の成果が生じはじめ、中長期観点での企業価値向上を図りましたが、短期的損益面においては、製品販売が未だ初期段階にあるため、製品販売利益を超過する医薬品開発先行投資等を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。
売上収益は、Sancuso®(SP-01)、ダルビアス®(SP-02)及びエピシル®(SP-03)の製品販売収益等により617百万円生じ、また、売上総利益は337百万円となりました。
研究開発費は403百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造所変更への投資、ダルビアス®(SP-02)の適応拡大検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前年度の中国自販体制解消を中心とする固定費削減策を継続したことにより、前連結会計年度と比べ1,176百万円減少し、1,073百万円となりました。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は1,139百万円の損失となり、当期損益は1,112百万円の損失となりました。
無形資産については、当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等はありません。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、研究開発費403百万円となります。
また、Sancuso®(SP-01)及びダルビアス®(SP-02)の無形資産償却により、当連結会計年度において452百万円の償却が発生しました。これらの結果、無形資産残高は1,117百万円となりました。
② 財政状態およびキャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローについては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおりです。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っていませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っていませんので、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | |
| 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 医薬品事業(百万円) | 617 | △43.5% |
(注)1.当社グループは、医薬品事業の単一セグメントです。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| Lee’s Pharmaceuticals Holdings Ltd. | 512 | 46.9 | 498 | 80.8 |
| 日本化薬株式会社 | 274 | 25.1 | 38 | 6.3 |
| Itochu Chemicals America Inc. | 253 | 23.2 | - | - |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要性がある会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの重要性がある会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項3.重要性がある会計方針、注記事項4.重要性な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績及び分析は以下のとおりです。
経営成績
| 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 前期比 (百万円) | |
| 売上収益 | 1,092 | 617 | △475 |
| 売上総利益 | 662 | 337 | △325 |
| 営業利益(△損失) | △2,470 | △1,139 | 1,331 |
| 当期利益(△損失) | △2,548 | △1,112 | 1,435 |
当社グループは、販売開始済3製品を含むがん領域医薬品パイプラインの拡充育成を中心に事業運営を図っており、当期は主に上記「(1)経営業績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載の通り、事業活動に務めてまいりました。
上記のとおり製品開発品価値向上に努め、また損益改善を念頭とした昨年の構造改革の成果が生じはじめ、中長期観点での企業価値向上を図りましたが、短期的損益面においては、製品販売が未だ初期段階にあるため、製品販売利益を超過する医薬品開発先行投資等を継続している状況にあります。このため、当連結会計年度の単年度損益業績は次のとおりとなりました。
(売上収益、売上総利益)
売上収益は、Sancuso®(SP-01)、ダルビアス®(SP-02)及びエピシル®(SP-03)の製品販売収益等により617百万円生じ、また、売上総利益は337百万円となりました。
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
| 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 前期比(百万円) | |
| 研究開発費 | 883 | 403 | △479 |
| 販売費及び一般管理費 | 2,250 | 1,073 | △1,176 |
| 計 | 3,133 | 1,476 | △1,656 |
| (内訳)人件費 | 661 | 470 | △191 |
| 業務委託費 | 1,013 | 410 | △602 |
| 減価償却費、無形資産償却費及び減損損失 | 965 | 500 | △464 |
| その他 | 492 | 94 | △398 |
(研究開発費、販売費及び一般管理費、営業損益、当期損益)
研究開発費は403百万円発生いたしました。これは主に製品原価削減に資する製造所変更への投資、ダルビアス®(SP-02)の適応拡大検討、SP-04動物実験、新規開発品候補への投資によるものです。販売費及び一般管理費は、前第3四半期に行った中国自販体制解消による固定費削減により、前連結会計年度と比べ1,176百万円減少し、1,073百万円となりました。売上総利益より研究開発費と販売費及び一般管理費を減じた営業損益は1,139百万円の損失となり、当期損益は1,112百万円の損失となりました。
(資産性費用の無形資産計上と償却)
当連結会計年度において、開発パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等はありません。当連結会計年度の開発パイプラインへの投資は、研究開発費403百万円となります。
また、Sancuso®(SP-01)及びダルビアス®(SP-02)の無形資産償却により、当連結会計年度において452百万円の償却が発生しました。これらの結果、無形資産残高は1,117百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
| 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 前期比(百万円) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △2,074 | △359 | 1,715 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △418 | △0 | 418 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 2,571 | 275 | △2,296 |
(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ904百万円減少し、2,229百万円となりました。流動資産は976百万円であり、そのうち現金及び現金同等物は728百万円、売掛金を中心とする営業債権及びその他の債権は67百万円です。非流動資産は1,252百万円であり、そのうち開発投資にかかる資産計上額である無形資産は1,117百万円です。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ117百万円減少し、354百万円となりました。流動負債は293百万円であり、そのうち営業債務及びその他の債務は213百万円です。非流動負債は61百万円であり、リース負債27百万円及び繰延税金負債22百万円が主要構成要素です。
(資本)
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末と比べ786百万円減少し、1,875百万円となりました。主な増加要因は新株予約権行使による新株発行318百万円であり、主な減少要因は当期損失1,112百万円です。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは359百万円のマイナス(前連結会計年度は2,074百万円のマイナス)であり、税引前当期損失1,135百万円が主要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは234千円のマイナス(前連結会計年度は418百万円のマイナス)です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは275百万円のプラス(前連結会計年度は2,571百万円のプラス)であり、新株予約権行使による株式発行収入318百万円が主要因です。
④ 経営戦略と見通し
当社グループの事業は、医薬品開発パイプラインの強化と収益化を経営戦略の中心に据えて、事業展開を図っています。当社グループはベンチャー企業であり、一般の製薬企業に対し相対的に経営資源に制約があることから、開発成功確率を高めることを最重要視し、体制構築、開発品選定、臨床試験戦略の策定と実行を図っています。具体的な戦略は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの以下を遂行することにあります。
a. 既存開発パイプラインの進捗
b. 新規開発パイプラインの拡充
c. 強固な販売パートナーシップの構築
d. 組織の強化
e. 内部統制の強化
f. 資金調達の実施
上記諸戦略は、すべて戦略目標を中長期に亘り設定しており、当面は継続して推進する所存です。
(3) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。