有価証券届出書(新規公開時)
第二部【企業情報】
(はじめに)
当社は、平成7年8月に設立された、子供服を企画販売する株式会社ナルミヤ・インターナショナル(以下「旧ナルミヤ①」といいます。)を前身としております。旧ナルミヤ①は設立後、「mezzo piano」(メゾピアノ)をはじめとした認知度の高い百貨店ブランドを中心に堅調に業績を伸ばし、全国各地の百貨店やファッションビルに出店し、平成17年3月株式会社ジャスダック証券取引所に株式を上場いたしました。しかしながら、百貨店依存の体質からの脱却の遅れや、ブランドコンセプトの転換の遅れなどにより、株式上場を果たした事業年度より、旧ナルミヤ①の業績は減収減益が続きました。
そうした中で、SBIキャピタル株式会社によるTOB(株式公開買付)(注)の提案を受け、SBIキャピタルグループの傘下となりました。その後、SBIキャピタル株式会社の指導の下、新ブランドの立ち上げと不採算ブランドからの撤退、中国の百貨店への進出、ならびに様々なコスト削減策を講じましたが、世界経済の減速もあいまって、容易には、業績の回復に至りませんでした。そこで、同社からの第2回目となるTOBの提案を受け、社内での検討の結果、上場を廃止することが得策であるとの結論に至り、平成22年3月同証券取引所から上場を廃止いたしました。また、上場廃止後、株主の交替及び2回の吸収合併を経て、現在の当社に至っております。
(注)現金を対価として少数株主の株式を買取り、特定の株主のみを会社の株主とすること
(1)旧ナルミヤ①の誕生と株式上場
呉服問屋として明治37年5月に広島で創業し、昭和27年12月成宮織物株式会社として設立され、その後、分社独立及び事業譲渡を経て、平成7年8月に設立された株式会社エヌ・アイ・コーポレーションが、同年翌月アパレル事業の営業譲渡を受け、株式会社ナルミヤ・インターナショナルに商号を変更し、旧ナルミヤ①が誕生いたしました。旧ナルミヤ①は、「mezzo piano」(メゾピアノ)や「ANGEL BLUE」(エンジェルブルー)等、カラフルなファッションアイテムとオリジナルキャラクターを特徴とした商品を中心に、百貨店における直営店舗販売と専門店への卸売りを軸に、コラボレーション事業も展開しながら、業容を拡大してまいりました。メディアへの露出とイベントを利用した販売促進により、商品の認知度は高まり、百貨店におけるブランドの出店の引き合いが強く、全国各地の百貨店やファッションビルに積極的に出店し、平成17年3月株式会社ジャスダック証券取引所に株式を上場いたしました。
(2)SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合による旧ナルミヤ①の株式公開買付と上場廃止
全国百貨店の売上が平成15年をピークに下降局面に転じると同時に、旧ナルミヤ①の業績も、株式上場の直前事業年度をピークに、減収減益に転じました。
そうした中、旧ナルミヤ①は、投資先企業の株式を長期的に保有し経営改善を行うことに高い実績を有するSBIキャピタル株式会社から経営改善の提案を受け、慎重に検討・協議した結果、平成19年7月開催の取締役会において決議し、公開買付けの申し出に賛同する意見表明を行いました。意思表明後の同年7月から8月にかけて、SBIキャピタル株式会社が運営する企業再生ファンドSBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合によるTOBにより、同ファンドが旧ナルミヤ①株式の55.06%を所有し、SBIキャピタルグループの傘下となりました。SBIキャピタル株式会社の指導の下、新チャネルの開拓、ショッピングセンター向けブランドを展開するための連結子会社株式会社スターキューブの設立、オーガニックコットンを使用したベビー服を扱う株式会社ミリカンパニーリミテッドの買収、中国の百貨店への進出、不採算ブランドからの撤退、ならびに、本社移転や人件費をはじめとした固定費の削減等諸策を講じました。
しかしながら、売上高はコスト削減を打ち消すほどに減少し、業績回復への活路を見出すことはできませんでした。そこで旧ナルミヤ①は、SBIキャピタル株式会社との相談・検討を重ね、後述(6)の理由で上場廃止を選択せざるを得ないとの結論にいたりました。平成21年9月開催の取締役会において決議し、SBIキャピタル株式会社からの第2回目となる公開買付けの申し出に賛同する意見表明を行いました。同年9月から11月にかけてSBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合によるTOBを経て、同ファンドが旧ナルミヤ①株式の90.76%を所有することとなり、平成22年3月株式会社ジャスダック証券取引所から上場を廃止いたしました。同年4月種類株式を発行、全部取得条項付普通株式を取得し、同年6月自己株式の消却を経て、SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合の完全子会社となりました。
用語の定義
(1)及び(2)の変遷図
(3)上場廃止後からエヌジェイホールディングス2株式会社(以下「旧ナルミヤ②」といいます。)による旧ナルミヤ①株式取得まで
上場廃止直後の平成22年6月現代表取締役執行役員社長の石井稔晃が社長に就任、平成23年3月にショッピングセンター向けトドラーサイズのブランド「petit main」(プティマイン)の店頭販売を開始させ、ECシステムの刷新を行うなど、これまでの百貨店中心の出店から、ショッピングセンターへの出店とeコマースの強化へと経営資源を集中させ、事業ポートフォリオの転換を図りました。なお、上場廃止後の状況及び非上場化による効果につきましては、後述(7)及び(8)をご参照ください。
大胆な経費削減と事業ポートフォリオの転換などの施策により利益の出せる企業体質へと変化し、ショッピングセンター事業及びeコマースを中心に、業績は堅調に推移しておりました。かかる中で、平成28年6月、日本産業パートナーズ株式会社によってエヌジェイホールディングス株式会社(当社)及びエヌジェイホールディングス2株式会社(旧ナルミヤ②)が旧ナルミヤ①の全株式を取得するためSPC(特定目的会社)として設立され、同年7月、当社は旧ナルミヤ②の増資引受及び株式譲受により、旧ナルミヤ②を完全子会社化し、SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合から旧ナルミヤ②へ旧ナルミヤ①の全株式が譲渡されました。連結財務諸表に計上されている借入金はこの株式譲渡に伴うものであり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)」をご参照ください。
(4)旧ナルミヤ②による旧ナルミヤ①の吸収合併
平成28年10月、旧ナルミヤ②による旧ナルミヤ①の吸収合併により、旧ナルミヤ①は消滅し、形式的な存続会社である旧ナルミヤ②はエヌジェイホールディングス2株式会社から株式会社ナルミヤ・インターナショナルへと商号を変更し、本店所在地を東京都千代田区から東京都港区芝公園二丁目4番1号に移転いたしました。
連結貸借対照表に計上されているのれん(平成30年2月期末3,307,176千円)は、この吸収合併により認識されたものであります。のれんの減損につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク (14)のれんの減損について」をご参照ください。
(5)当社による旧ナルミヤ②の吸収合併
平成30年3月、当社による旧ナルミヤ②の吸収合併により、旧ナルミヤ②は消滅し、当社はエヌジェイホールディングス株式会社から株式会社ナルミヤ・インターナショナルへと商号を変更し、本店所在地を東京都千代田区から東京都港区芝公園二丁目4番1号に移転いたしました。
これらの変遷を経て、現在の株式会社ナルミヤ・インターナショナルに至っております。
(3)、(4)及び(5)の変遷図
以上、当社の事業運営の変遷を図示いたしますと、次のようになります。
(6)上場廃止に至った理由
SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合による第1回TOB以降、SBIキャピタル株式会社の指導の下、様々な経営改革を行ってまいりました。しかしながら、世界的な金融市場の混乱やそれに伴う世界経済の減速傾向を受け、個人消費が低迷する中で、経営環境は依然悪化した状態で推移し、特に旧ナルミヤ①の主要なチャネルである百貨店業界における景気低迷のあおりを強く受け、旧ナルミヤ①の業績は減収減益を続けました。
そうした状況からの脱却のためには、さらなる経費削減努力と短期的には損益にマイナスの影響を与える可能性の高い事業ポートフォリオの転換及び成長分野への積極的な経営資源の投入が不可欠であると考えました。一方で、① 上場を維持したまま抜本的なポートフォリオの転換及び特定事業への経営資源の投入を行った場合、在庫や営業資産の減損等による一時的な損益の悪化や業績ボラティリティの上昇による投資リスクの増大に繋がり、配当等の株主還元策が中長期的に実施できない状態に陥る可能性があるほか、一般株主の皆様に増大したリスクを負担させることになる、② 一時的な損益の悪化は短期的な株価下落に繋がり、中長期的な業績ボラティリティの上昇は一般株主の皆様にリスクの許容度を超えたリスク負担を求めることになりかねない、③ 同時に、株主還元策の実施や投資リスクの増大の回避が今後の経営改善策実施の阻害要因となりかねないとの理由から、SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合が旧ナルミヤ①の唯一の株主となり、株式を非公開化することが企業価値向上の最善策であると考えました。平成21年9月から11月にかけて第2回目のTOBが行われ、同ファンドが旧ナルミヤ①株式の90.76%を所有することとなり、平成22年3月上場を廃止いたしました。
(7)上場廃止後の状況
旧ナルミヤ①は、平成22年3月の上場廃止直後の同年4月種類株式を発行、全部取得条項付普通株式を取得し、同年6月自己株式の消却を経て、SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合の完全子会社となりました。さらに同月、現代表取締役執行役員社長である石井稔晃が社長に就任し、商品企画の見直しを行うとともにMD(マーチャンダイジング)(注)1精度の向上を図り、翌年の平成23年1月大阪・福岡・広島支店を閉鎖し、本部機能を東京へ一本化するなど経営の効率化と固定費の削減を行いました。また、同年3月「petit main」(プティマイン)のショッピングセンターにおける販売を開始いたしました。
旧ナルミヤ①は上場廃止から石井稔晃が代表取締役執行役員社長に就任するまでの期間を「第二の創業期」と捉え、これまでの百貨店依存体質からの脱却と、商品開発におけるブランドコンセプトの見直し、サプライチェーンの強化、情報インフラの整備及び強化に取り組んでまいりました。販売チャネル戦略として、高価格帯ブランドを販売する百貨店から中価格帯ブランドを販売するショッピングセンターへのシフト、キャリー品(注)2などを低価格で販売するアウトレットモールへの出店加速及びeコマースの強化など事業ポートフォリオの転換を図りました。また、経営効率を高めるため、株式会社スターキューブや株式会社ミリカンパニーリミテッドの吸収合併を行いました。
(注)1.商品の企画・開発や調達、商品構成の決定、販売方法の立案、価格設定などを、戦略的に行う活動
2.シーズン・販売期間経過後の継続販売商品
① eコマースやショッピングセンターブランド直営店舗の積極展開
旧ナルミヤ①は、平成7年8月設立以来、「mezzo piano」(メゾピアノ)や「ANGEL BLUE」(エンジェルブルー)といった高価格帯の百貨店ブランドを中心に全国の百貨店やファッションビルに直営店舗を展開してまいりましたが、上場廃止以降は、eコマースの強化、中価格帯のショッピングセンター直営店舗の出店、アウトレットの本格展開を進め、百貨店依存体質からの転換を図りました。
eコマースにおきましては、SBIキャピタルグループの傘下に入って以来、本格的に取り組んでまいりましたが、石井稔晃が代表取締役執行役員社長に就任後からは、ECシステムの刷新、ZOZOTOWNなどの他社サイトへの出店強化及びそれによるブランド認知度の向上、自社オンラインサイトでのギフトラッピング対応等の顧客利便性の向上など諸策を講じました。
直営店舗展開といたしましては、平成24年2月期からアウトレットモールへの出店を加速し、平成26年2月期からはショッピングセンター向けトドラーブランド「petit main」(プティマイン)のショッピングセンターへの出店を加速するとともに不採算店舗の撤退を行いました。平成25年9月にはショッピングセンター向けジュニアブランド「Lovetoxic」(ラブトキシック)を展開する連結子会社株式会社スターキューブを吸収合併し、同年11月大胆な組織変更を行い、SC事業部を設置、ショッピングセンターブランド専門の組織を編成いたしました。これらの施策により、経営資源の集中とブランド運営の効率化を図り、ブランドの収益性を高め、百貨店以外の販売チャネルの積極的な展開により、事業ポートフォリオの転換を進めてまいりました。
② ブランドコンセプトの見直し
旧ナルミヤ①の百貨店ブランドは、「mezzo piano」(メゾピアノ)や「ANGEL BLUE」(エンジェルブルー)に代表されるように、オリジナルキャラクターをあしらったカラフルなアイテムが多数ラインアップされておりましたが、それらのキャラクターファッションアイテムを減らし、トレンドをより意識した、消費者のライフスタイルに応じた多彩なコンセプトの商品を提供するために、ブランド別の商品企画検討会を強化し、ブランドコンセプトの見直しを行ってまいりました。
③ サプライチェーンの強化
旧ナルミヤ①の企画部門は、消費者ニーズやトレンドを分析した上でシーズンごとのテーマを立案し、そのテーマに各企画担当者がアレンジを加え、それをMD(マーチャンダイジング)に反映させます。なお、旧ナルミヤ①は生産活動を外部の繊維専門商社やメーカーに委託しているため、仕入先との交渉、品質管理面での連携が重要となります。そのため、平成25年11月生産事業部を設置し、仕入先との関係強化及び各ブランドの仕入業務を統括して管理する体制を作りました。その生産体制のもと、ブランド、カテゴリーごとに適材適所の発注先を決定し、納期の短縮、コスト削減、品質維持及び向上を確保するためのサプライチェーンを強化してまいりました。また、店頭の販売動向を日次で分析し、シーズン中での追加生産、販売が可能となる仕組みを構築し、それにより販売機会ロスの削減に取り組んでまいりました。
なお、直営店舗における販売強化及びショッピングセンターブランドのものづくり強化を目的として平成30年3月の組織変更において、東日本及び西日本のリテールオペレーション部を設置し、SC事業部が生産事業部を吸収するかたちで組織改変し、SC・ホールセール事業部を設置いたしました。
④ 情報インフラの整備及び強化
情報インフラといたしましては、基幹システムをリプレースし、MD(マーチャンダイジング)業務支援メニューを追加、併せて分析システムの導入による日々の販売状況の分析を可能にし、MD業務の精度の向上ならびに店舗採算機能の強化を図りました。また、POSレジ導入による店舗業務の精度向上及び効率化を行い、ECシステムを刷新し、オンライン顧客との関係強化による自社オンラインでの売上拡大に努めました。
上記の経営改革の成果として、収益性の向上があげられます。当社グループは常に売上高営業利益率を意識した経営を行い、平成26年2月期から平成30年2月期までの5年間で4.7ポイント改善しております。併せて、経営成績の推移を把握するために、のれんや設備投資にかかる償却費を控除したEBITDAも重要な経営指標としております。
なお、平成26年2月期から平成30年2月期のEBITDAは、以下のとおりであります。
(単位:千円)
(注)平成29年2月期については、平成28年10月1日に当社の連結子会社である旧ナルミヤ②(エヌジェイホールディングス2株式会社)が旧ナルミヤ①を吸収合併しましたが、旧ナルミヤ①の業務を主たる業務として継続して行っているため、当該企業結合が平成29年2月期の期首に完了したと仮定して算定された連結損益を記載しております。
(8)非上場化による効果
旧ナルミヤ①は非上場化以降において、経費削減と予実管理の強化を図るとともに、必要な経営資源を必要なところに投入することに注力してまいりました。また、ベビー・子供服専業のSPA(注)1として、子供服のナルミヤとしての基本路線を維持しながら、ブランドコンセプトや商品の価格帯の転換、ならびに販売管理機能の強化によるMD(マーチャンダイジング)精度向上と、お客様にとって魅力的でかつ鮮度のある売場つくりを心がけてまいりました。
直営店舗販売において、株式会社ジャスダック証券取引所上場以前からの取引先との良好な関係を維持し、百貨店売場のブランドリプレースと、ショッピングセンターへの積極的な出店を推進してまいりました。百貨店においては、競合他社が百貨店の子供服売場から撤退する中で、百貨店の子供服売場におけるナルミヤブランドの優位性を高め、一方で、優良ブランドの出店を望むショッピングセンターディベロッパーとの関係強化と販売実績に基づく有利な出店条件を確保してまいりました。同時に、情報インフラの強化により、店舗採算管理の精度を向上させ、不採算ブランド及び不採算店舗の退店を進めてまいりました。また、出店計画の実現のために必要となる人材の獲得努力と、店舗間でのスタッフ及び在庫の移動を積極的に行いました。
非上場化により、経営の機動的運営が可能になったこと、子会社を吸収合併したことによる業務運営の効率化、事業ポートフォリオの転換、非上場化と並行して取り組んできた固定費の削減などにより、収益性と生産性は高まり、業容拡大することができました。
なお、平成30年2月期の百貨店店舗のうち既存店(注)2の売上高は、前期比0.2%減(全国百貨店の平成29年の子供服・洋品部門の全売上高は1.7%減(注)3)を維持し、ショッピングセンター店舗のうち既存店の売上高は、前期比7.1%増となっております。
(注)1.商品の企画から製造、物流、プロモーション、販売までを一貫して行う販売形態を表します。
2.当社の既存店は、出店後1年を経過した店舗のことを表します。
3.出典:日本百貨店協会平成30年1月プレスリリース
(9)再上場する目的、理由
前述の様々な施策を行った結果、ナルミヤブランドの再構築及び百貨店販売に依存しない事業基盤を確立し、TOBの目的であった中長期的な企業価値の向上を実現することができたものと確信しております。
また、今後、更なる企業価値の増大、株主価値の向上を実現するために、再上場によって、企業イメージ・信頼度の向上による優秀な人材の獲得、株式上場時の調達資金による直営店舗の内装工事、物流設備及びECシステムへの投資等を行ってまいります。具体的には、直営店舗の新規出店にかかる直営店スタッフの獲得、次世代を担う新規ブランドの企画に携わる優秀な人材の獲得、ショッピングセンター出店時の内装工事費用、RFID(注)の導入による物流業務の効率化と精度向上、及び自社オンラインシステムへの投資によるCRMの強化を図り、さらなる成長を目指します。また、ベビー・子供服を企画販売する企業として、従業員のモラル向上を図ってまいります。
(注)記録媒体であるICダグに登録された情報を、無線電波によって読み書きを行う自動認識システムを表します。
(はじめに)
当社は、平成7年8月に設立された、子供服を企画販売する株式会社ナルミヤ・インターナショナル(以下「旧ナルミヤ①」といいます。)を前身としております。旧ナルミヤ①は設立後、「mezzo piano」(メゾピアノ)をはじめとした認知度の高い百貨店ブランドを中心に堅調に業績を伸ばし、全国各地の百貨店やファッションビルに出店し、平成17年3月株式会社ジャスダック証券取引所に株式を上場いたしました。しかしながら、百貨店依存の体質からの脱却の遅れや、ブランドコンセプトの転換の遅れなどにより、株式上場を果たした事業年度より、旧ナルミヤ①の業績は減収減益が続きました。
そうした中で、SBIキャピタル株式会社によるTOB(株式公開買付)(注)の提案を受け、SBIキャピタルグループの傘下となりました。その後、SBIキャピタル株式会社の指導の下、新ブランドの立ち上げと不採算ブランドからの撤退、中国の百貨店への進出、ならびに様々なコスト削減策を講じましたが、世界経済の減速もあいまって、容易には、業績の回復に至りませんでした。そこで、同社からの第2回目となるTOBの提案を受け、社内での検討の結果、上場を廃止することが得策であるとの結論に至り、平成22年3月同証券取引所から上場を廃止いたしました。また、上場廃止後、株主の交替及び2回の吸収合併を経て、現在の当社に至っております。
(注)現金を対価として少数株主の株式を買取り、特定の株主のみを会社の株主とすること
(1)旧ナルミヤ①の誕生と株式上場
呉服問屋として明治37年5月に広島で創業し、昭和27年12月成宮織物株式会社として設立され、その後、分社独立及び事業譲渡を経て、平成7年8月に設立された株式会社エヌ・アイ・コーポレーションが、同年翌月アパレル事業の営業譲渡を受け、株式会社ナルミヤ・インターナショナルに商号を変更し、旧ナルミヤ①が誕生いたしました。旧ナルミヤ①は、「mezzo piano」(メゾピアノ)や「ANGEL BLUE」(エンジェルブルー)等、カラフルなファッションアイテムとオリジナルキャラクターを特徴とした商品を中心に、百貨店における直営店舗販売と専門店への卸売りを軸に、コラボレーション事業も展開しながら、業容を拡大してまいりました。メディアへの露出とイベントを利用した販売促進により、商品の認知度は高まり、百貨店におけるブランドの出店の引き合いが強く、全国各地の百貨店やファッションビルに積極的に出店し、平成17年3月株式会社ジャスダック証券取引所に株式を上場いたしました。
(2)SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合による旧ナルミヤ①の株式公開買付と上場廃止
全国百貨店の売上が平成15年をピークに下降局面に転じると同時に、旧ナルミヤ①の業績も、株式上場の直前事業年度をピークに、減収減益に転じました。
そうした中、旧ナルミヤ①は、投資先企業の株式を長期的に保有し経営改善を行うことに高い実績を有するSBIキャピタル株式会社から経営改善の提案を受け、慎重に検討・協議した結果、平成19年7月開催の取締役会において決議し、公開買付けの申し出に賛同する意見表明を行いました。意思表明後の同年7月から8月にかけて、SBIキャピタル株式会社が運営する企業再生ファンドSBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合によるTOBにより、同ファンドが旧ナルミヤ①株式の55.06%を所有し、SBIキャピタルグループの傘下となりました。SBIキャピタル株式会社の指導の下、新チャネルの開拓、ショッピングセンター向けブランドを展開するための連結子会社株式会社スターキューブの設立、オーガニックコットンを使用したベビー服を扱う株式会社ミリカンパニーリミテッドの買収、中国の百貨店への進出、不採算ブランドからの撤退、ならびに、本社移転や人件費をはじめとした固定費の削減等諸策を講じました。
しかしながら、売上高はコスト削減を打ち消すほどに減少し、業績回復への活路を見出すことはできませんでした。そこで旧ナルミヤ①は、SBIキャピタル株式会社との相談・検討を重ね、後述(6)の理由で上場廃止を選択せざるを得ないとの結論にいたりました。平成21年9月開催の取締役会において決議し、SBIキャピタル株式会社からの第2回目となる公開買付けの申し出に賛同する意見表明を行いました。同年9月から11月にかけてSBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合によるTOBを経て、同ファンドが旧ナルミヤ①株式の90.76%を所有することとなり、平成22年3月株式会社ジャスダック証券取引所から上場を廃止いたしました。同年4月種類株式を発行、全部取得条項付普通株式を取得し、同年6月自己株式の消却を経て、SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合の完全子会社となりました。
用語の定義
旧ナルミヤ① | 平成7年8月株式会社エヌ・アイ・コーポレーション設立から平成28年9月30日までの株式会社ナルミヤ・インターナショナル |
旧ナルミヤ② | 平成28年10月1日から平成30年2月28日までの株式会社ナルミヤ・インターナショナル |
当社 | 平成30年2月28日までのエヌジェイホールディングス株式会社及び平成30年3月1日からの株式会社ナルミヤ・インターナショナル |
(1)及び(2)の変遷図
(3)上場廃止後からエヌジェイホールディングス2株式会社(以下「旧ナルミヤ②」といいます。)による旧ナルミヤ①株式取得まで
上場廃止直後の平成22年6月現代表取締役執行役員社長の石井稔晃が社長に就任、平成23年3月にショッピングセンター向けトドラーサイズのブランド「petit main」(プティマイン)の店頭販売を開始させ、ECシステムの刷新を行うなど、これまでの百貨店中心の出店から、ショッピングセンターへの出店とeコマースの強化へと経営資源を集中させ、事業ポートフォリオの転換を図りました。なお、上場廃止後の状況及び非上場化による効果につきましては、後述(7)及び(8)をご参照ください。
大胆な経費削減と事業ポートフォリオの転換などの施策により利益の出せる企業体質へと変化し、ショッピングセンター事業及びeコマースを中心に、業績は堅調に推移しておりました。かかる中で、平成28年6月、日本産業パートナーズ株式会社によってエヌジェイホールディングス株式会社(当社)及びエヌジェイホールディングス2株式会社(旧ナルミヤ②)が旧ナルミヤ①の全株式を取得するためSPC(特定目的会社)として設立され、同年7月、当社は旧ナルミヤ②の増資引受及び株式譲受により、旧ナルミヤ②を完全子会社化し、SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合から旧ナルミヤ②へ旧ナルミヤ①の全株式が譲渡されました。連結財務諸表に計上されている借入金はこの株式譲渡に伴うものであり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)」をご参照ください。
(4)旧ナルミヤ②による旧ナルミヤ①の吸収合併
平成28年10月、旧ナルミヤ②による旧ナルミヤ①の吸収合併により、旧ナルミヤ①は消滅し、形式的な存続会社である旧ナルミヤ②はエヌジェイホールディングス2株式会社から株式会社ナルミヤ・インターナショナルへと商号を変更し、本店所在地を東京都千代田区から東京都港区芝公園二丁目4番1号に移転いたしました。
連結貸借対照表に計上されているのれん(平成30年2月期末3,307,176千円)は、この吸収合併により認識されたものであります。のれんの減損につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク (14)のれんの減損について」をご参照ください。
(5)当社による旧ナルミヤ②の吸収合併
平成30年3月、当社による旧ナルミヤ②の吸収合併により、旧ナルミヤ②は消滅し、当社はエヌジェイホールディングス株式会社から株式会社ナルミヤ・インターナショナルへと商号を変更し、本店所在地を東京都千代田区から東京都港区芝公園二丁目4番1号に移転いたしました。
これらの変遷を経て、現在の株式会社ナルミヤ・インターナショナルに至っております。
(3)、(4)及び(5)の変遷図
以上、当社の事業運営の変遷を図示いたしますと、次のようになります。
(6)上場廃止に至った理由
SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合による第1回TOB以降、SBIキャピタル株式会社の指導の下、様々な経営改革を行ってまいりました。しかしながら、世界的な金融市場の混乱やそれに伴う世界経済の減速傾向を受け、個人消費が低迷する中で、経営環境は依然悪化した状態で推移し、特に旧ナルミヤ①の主要なチャネルである百貨店業界における景気低迷のあおりを強く受け、旧ナルミヤ①の業績は減収減益を続けました。
そうした状況からの脱却のためには、さらなる経費削減努力と短期的には損益にマイナスの影響を与える可能性の高い事業ポートフォリオの転換及び成長分野への積極的な経営資源の投入が不可欠であると考えました。一方で、① 上場を維持したまま抜本的なポートフォリオの転換及び特定事業への経営資源の投入を行った場合、在庫や営業資産の減損等による一時的な損益の悪化や業績ボラティリティの上昇による投資リスクの増大に繋がり、配当等の株主還元策が中長期的に実施できない状態に陥る可能性があるほか、一般株主の皆様に増大したリスクを負担させることになる、② 一時的な損益の悪化は短期的な株価下落に繋がり、中長期的な業績ボラティリティの上昇は一般株主の皆様にリスクの許容度を超えたリスク負担を求めることになりかねない、③ 同時に、株主還元策の実施や投資リスクの増大の回避が今後の経営改善策実施の阻害要因となりかねないとの理由から、SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合が旧ナルミヤ①の唯一の株主となり、株式を非公開化することが企業価値向上の最善策であると考えました。平成21年9月から11月にかけて第2回目のTOBが行われ、同ファンドが旧ナルミヤ①株式の90.76%を所有することとなり、平成22年3月上場を廃止いたしました。
(7)上場廃止後の状況
旧ナルミヤ①は、平成22年3月の上場廃止直後の同年4月種類株式を発行、全部取得条項付普通株式を取得し、同年6月自己株式の消却を経て、SBI Value Up Fund1号投資事業有限責任組合の完全子会社となりました。さらに同月、現代表取締役執行役員社長である石井稔晃が社長に就任し、商品企画の見直しを行うとともにMD(マーチャンダイジング)(注)1精度の向上を図り、翌年の平成23年1月大阪・福岡・広島支店を閉鎖し、本部機能を東京へ一本化するなど経営の効率化と固定費の削減を行いました。また、同年3月「petit main」(プティマイン)のショッピングセンターにおける販売を開始いたしました。
旧ナルミヤ①は上場廃止から石井稔晃が代表取締役執行役員社長に就任するまでの期間を「第二の創業期」と捉え、これまでの百貨店依存体質からの脱却と、商品開発におけるブランドコンセプトの見直し、サプライチェーンの強化、情報インフラの整備及び強化に取り組んでまいりました。販売チャネル戦略として、高価格帯ブランドを販売する百貨店から中価格帯ブランドを販売するショッピングセンターへのシフト、キャリー品(注)2などを低価格で販売するアウトレットモールへの出店加速及びeコマースの強化など事業ポートフォリオの転換を図りました。また、経営効率を高めるため、株式会社スターキューブや株式会社ミリカンパニーリミテッドの吸収合併を行いました。
(注)1.商品の企画・開発や調達、商品構成の決定、販売方法の立案、価格設定などを、戦略的に行う活動
2.シーズン・販売期間経過後の継続販売商品
① eコマースやショッピングセンターブランド直営店舗の積極展開
旧ナルミヤ①は、平成7年8月設立以来、「mezzo piano」(メゾピアノ)や「ANGEL BLUE」(エンジェルブルー)といった高価格帯の百貨店ブランドを中心に全国の百貨店やファッションビルに直営店舗を展開してまいりましたが、上場廃止以降は、eコマースの強化、中価格帯のショッピングセンター直営店舗の出店、アウトレットの本格展開を進め、百貨店依存体質からの転換を図りました。
eコマースにおきましては、SBIキャピタルグループの傘下に入って以来、本格的に取り組んでまいりましたが、石井稔晃が代表取締役執行役員社長に就任後からは、ECシステムの刷新、ZOZOTOWNなどの他社サイトへの出店強化及びそれによるブランド認知度の向上、自社オンラインサイトでのギフトラッピング対応等の顧客利便性の向上など諸策を講じました。
直営店舗展開といたしましては、平成24年2月期からアウトレットモールへの出店を加速し、平成26年2月期からはショッピングセンター向けトドラーブランド「petit main」(プティマイン)のショッピングセンターへの出店を加速するとともに不採算店舗の撤退を行いました。平成25年9月にはショッピングセンター向けジュニアブランド「Lovetoxic」(ラブトキシック)を展開する連結子会社株式会社スターキューブを吸収合併し、同年11月大胆な組織変更を行い、SC事業部を設置、ショッピングセンターブランド専門の組織を編成いたしました。これらの施策により、経営資源の集中とブランド運営の効率化を図り、ブランドの収益性を高め、百貨店以外の販売チャネルの積極的な展開により、事業ポートフォリオの転換を進めてまいりました。
② ブランドコンセプトの見直し
旧ナルミヤ①の百貨店ブランドは、「mezzo piano」(メゾピアノ)や「ANGEL BLUE」(エンジェルブルー)に代表されるように、オリジナルキャラクターをあしらったカラフルなアイテムが多数ラインアップされておりましたが、それらのキャラクターファッションアイテムを減らし、トレンドをより意識した、消費者のライフスタイルに応じた多彩なコンセプトの商品を提供するために、ブランド別の商品企画検討会を強化し、ブランドコンセプトの見直しを行ってまいりました。
③ サプライチェーンの強化
旧ナルミヤ①の企画部門は、消費者ニーズやトレンドを分析した上でシーズンごとのテーマを立案し、そのテーマに各企画担当者がアレンジを加え、それをMD(マーチャンダイジング)に反映させます。なお、旧ナルミヤ①は生産活動を外部の繊維専門商社やメーカーに委託しているため、仕入先との交渉、品質管理面での連携が重要となります。そのため、平成25年11月生産事業部を設置し、仕入先との関係強化及び各ブランドの仕入業務を統括して管理する体制を作りました。その生産体制のもと、ブランド、カテゴリーごとに適材適所の発注先を決定し、納期の短縮、コスト削減、品質維持及び向上を確保するためのサプライチェーンを強化してまいりました。また、店頭の販売動向を日次で分析し、シーズン中での追加生産、販売が可能となる仕組みを構築し、それにより販売機会ロスの削減に取り組んでまいりました。
なお、直営店舗における販売強化及びショッピングセンターブランドのものづくり強化を目的として平成30年3月の組織変更において、東日本及び西日本のリテールオペレーション部を設置し、SC事業部が生産事業部を吸収するかたちで組織改変し、SC・ホールセール事業部を設置いたしました。
④ 情報インフラの整備及び強化
情報インフラといたしましては、基幹システムをリプレースし、MD(マーチャンダイジング)業務支援メニューを追加、併せて分析システムの導入による日々の販売状況の分析を可能にし、MD業務の精度の向上ならびに店舗採算機能の強化を図りました。また、POSレジ導入による店舗業務の精度向上及び効率化を行い、ECシステムを刷新し、オンライン顧客との関係強化による自社オンラインでの売上拡大に努めました。
上記の経営改革の成果として、収益性の向上があげられます。当社グループは常に売上高営業利益率を意識した経営を行い、平成26年2月期から平成30年2月期までの5年間で4.7ポイント改善しております。併せて、経営成績の推移を把握するために、のれんや設備投資にかかる償却費を控除したEBITDAも重要な経営指標としております。
なお、平成26年2月期から平成30年2月期のEBITDAは、以下のとおりであります。
(単位:千円)
回次 | 第19期 | 第20期 | 第21期 | 第1期 | 第2期 |
旧ナルミヤ① (株式会社ナルミヤ・インターナショナル) | 当社 (エヌジェイホールディングス株式会社) | ||||
決算年月 | 平成26年2月 | 平成27年2月 | 平成28年2月 | 平成29年2月 | 平成30年2月 |
営業利益 (調整額) +減価償却費 +リース減価償却費 +のれん償却額 +長期前払費用(共同施設負担金)償却費 +敷金償却 | 89,154 238,711 7,083 53,208 8,117 34,097 | 748,102 140,651 118,677 53,208 11,155 41,675 | 881,161 164,090 177,709 53,208 17,604 53,206 | 1,157,450 204,219 246,258 177,964 24,769 63,708 | 1,404,974 124,412 303,836 177,964 27,290 70,285 |
EBITDA | 430,373 | 1,113,469 | 1,346,980 | 1,874,371 | 2,108,765 |
(注)平成29年2月期については、平成28年10月1日に当社の連結子会社である旧ナルミヤ②(エヌジェイホールディングス2株式会社)が旧ナルミヤ①を吸収合併しましたが、旧ナルミヤ①の業務を主たる業務として継続して行っているため、当該企業結合が平成29年2月期の期首に完了したと仮定して算定された連結損益を記載しております。
(8)非上場化による効果
旧ナルミヤ①は非上場化以降において、経費削減と予実管理の強化を図るとともに、必要な経営資源を必要なところに投入することに注力してまいりました。また、ベビー・子供服専業のSPA(注)1として、子供服のナルミヤとしての基本路線を維持しながら、ブランドコンセプトや商品の価格帯の転換、ならびに販売管理機能の強化によるMD(マーチャンダイジング)精度向上と、お客様にとって魅力的でかつ鮮度のある売場つくりを心がけてまいりました。
直営店舗販売において、株式会社ジャスダック証券取引所上場以前からの取引先との良好な関係を維持し、百貨店売場のブランドリプレースと、ショッピングセンターへの積極的な出店を推進してまいりました。百貨店においては、競合他社が百貨店の子供服売場から撤退する中で、百貨店の子供服売場におけるナルミヤブランドの優位性を高め、一方で、優良ブランドの出店を望むショッピングセンターディベロッパーとの関係強化と販売実績に基づく有利な出店条件を確保してまいりました。同時に、情報インフラの強化により、店舗採算管理の精度を向上させ、不採算ブランド及び不採算店舗の退店を進めてまいりました。また、出店計画の実現のために必要となる人材の獲得努力と、店舗間でのスタッフ及び在庫の移動を積極的に行いました。
非上場化により、経営の機動的運営が可能になったこと、子会社を吸収合併したことによる業務運営の効率化、事業ポートフォリオの転換、非上場化と並行して取り組んできた固定費の削減などにより、収益性と生産性は高まり、業容拡大することができました。
なお、平成30年2月期の百貨店店舗のうち既存店(注)2の売上高は、前期比0.2%減(全国百貨店の平成29年の子供服・洋品部門の全売上高は1.7%減(注)3)を維持し、ショッピングセンター店舗のうち既存店の売上高は、前期比7.1%増となっております。
(注)1.商品の企画から製造、物流、プロモーション、販売までを一貫して行う販売形態を表します。
2.当社の既存店は、出店後1年を経過した店舗のことを表します。
3.出典:日本百貨店協会平成30年1月プレスリリース
(9)再上場する目的、理由
前述の様々な施策を行った結果、ナルミヤブランドの再構築及び百貨店販売に依存しない事業基盤を確立し、TOBの目的であった中長期的な企業価値の向上を実現することができたものと確信しております。
また、今後、更なる企業価値の増大、株主価値の向上を実現するために、再上場によって、企業イメージ・信頼度の向上による優秀な人材の獲得、株式上場時の調達資金による直営店舗の内装工事、物流設備及びECシステムへの投資等を行ってまいります。具体的には、直営店舗の新規出店にかかる直営店スタッフの獲得、次世代を担う新規ブランドの企画に携わる優秀な人材の獲得、ショッピングセンター出店時の内装工事費用、RFID(注)の導入による物流業務の効率化と精度向上、及び自社オンラインシステムへの投資によるCRMの強化を図り、さらなる成長を目指します。また、ベビー・子供服を企画販売する企業として、従業員のモラル向上を図ってまいります。
(注)記録媒体であるICダグに登録された情報を、無線電波によって読み書きを行う自動認識システムを表します。