有価証券報告書-第11期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/22 16:00
【資料】
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【項目】
133項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う経済活動の停滞の影響により、依然として厳しい状況が続いております。先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルの段階的な引き上げを行う中で、各種政策の効果もあり緩やかに経済活動が再開しつつあり、極めて厳しい状況から持ち直しに向かうことが期待されております。しかしながら国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等については引き続き注視してまいります。
当社グループの経営環境としましては、遊休不動産活用事業に主として関連する駐車場業界において、インターネットを活用した月極駐車場の紹介依頼需要は増加しており、オフィスビルや分譲マンション等における駐車場空き区画の収益化に対する需要も依然として拡大しております。さらに新型コロナウイルス感染症の影響により、従来は店舗型の不動産仲介業者にて月極駐車場を探していたユーザーが、当社が運営するポータルサイトを通じてインターネット経由で流入するケースがより増えてきており、駐車場の問い合わせ件数の増加要因となりました。また、ビジュアライゼーション事業においては、前年から本年1月にかけて3DCG技術を活用した不動産の完成予想画像に対する需要が拡大基調にありましたが、本年2月以降においては新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、宿泊施設や商業施設の不動産開発が停滞しており、当社グループが提供する不動産画像に対する需要が低下している状況にありましたが、本年7月頃から経済活動が再開したこともあり徐々に需要が戻りつつあります。これらの影響を含め、依然として新型コロナウイルス感染症により先行きが不透明ではありますが、当社グループへの影響については今後も引き続き注視し、適切な対応を講じてまいります。
このような経営環境のもと将来的な収益力の強化を目的として、既存社員の育成に引き続き努め、新規案件の獲得のための積極的なアプローチを行えるよう経営基盤の拡大に注力するとともに、ベトナム子会社でのシステム開発・グラフィックデータ制作の体制を強化するための投資やリモート環境等の制約に関わらず営業活動を継続できるようIT面での新たな技術の開発を引き続き行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,814,072千円、営業利益は224,488千円、経常利益は223,254千円、親会社株主に帰属する当期純利益は139,472千円となりました。
なお、当連結会計年度は連結財務諸表作成初年度であるため、前期との比較は行っておりません。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
① 遊休不動産活用事業
遊休不動産活用事業セグメントは、当社がインターネット上で運営する月極駐車場のポータルサイト「CarParking」(以下、「カーパーキング」といいます)を経由して、駐車場の紹介を行う「月極駐車場紹介サービス」と、駐車場オーナーから空き駐車場を当社がマスターリース(一括借り上げ)し、月極駐車場としてユーザーにサブリース(貸し付け)を行う「月極駐車場サブリースサービス」を中心として事業を行っております。当連結会計年度においては、カーパーキングを通じたインターネット経由でのユーザーの流入増加を背景に、引き続き既存社員の営業力強化やリモート環境下での営業活動推進に努め、カーパーキングへの問い合わせ件数、マスターリース台数及びサブリース台数のいずれも堅調に推移し、当連結会計年度における駐車場問い合わせ件数は186,547件となり、当連結会計年度におけるマスターリース台数(受託台数)は11,427台、サブリース台数(稼働台数)は10,565台となりました。また、前期に事業譲受により取得した貸し会議室運営サポートを提供するWEB予約システム「スマート会議室」において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、特に本年4月から6月においては解約数が一時的に上昇しましたが、本年7月以降においてはランディングページを改修したこと等により問い合わせ件数及び成約件数が回復傾向にあります。
その結果、当連結会計年度の売上高は3,742,382千円、セグメント利益は253,566千円となりました。
② ビジュアライゼーション事業
ビジュアライゼーション事業セグメントは、不動産の可能性をより視覚的に伝えることを可能にするため、3DCG技術等の専門的なスキルを活用し、建物や空間の利用方法及び完成イメージをグラフィックデータとして制作し、その販売を行っております。当連結会計年度においては、既存社員の技術力や営業力の強化に注力しつつ、多様な営業提案が可能となるように事業基盤の拡大に努めました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、特に本年4月から6月においては受注が一時的に減少しましたが、本年7月以降においては回復傾向にあります。
その結果、当連結会計年度の売上高は71,689千円、セグメント損失は29,077千円となりました。
当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
a.生産実績
当社グループが営む遊休不動産活用事業及びビジュアライゼーション事業は、提供するサービスの関係上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループが営む遊休不動産活用事業は、提供するサービスの関係上、受注実績の記載になじまないため、また、ビジュアライゼーション事業は受注から売上高計上までの期間が短いため、記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年10月1日
至 2020年9月30日)
遊休不動産活用事業(千円)3,742,382
ビジュアライゼーション事業(千円)71,689
合計(千円)3,814,072

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引はありません。
3 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、いずれの販売先についても当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1,890,638千円となりました。流動資産は1,396,911千円となり、主な内訳は現金及び預金1,078,160千円、前払費用245,535千円であります。また、固定資産は493,727千円となり、主な内訳は有形固定資産88,542千円、敷金108,977千円、差入保証金99,409千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は937,148千円となりました。流動負債は415,661千円となり、主な内訳は前受収益93,772千円、1年内返済予定の長期借入金36,672千円であります。また、固定負債は521,487千円となり、主な内訳は長期借入金143,324千円、預り保証金342,620千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は953,489千円となりました。株主資本は950,549千円となり、主な内訳は資本金416,599千円、資本剰余金396,505千円であります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,078,160千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は366,518千円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益223,254千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は63,146千円となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出38,350千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は36,810千円となりました。これは主に長期借入れによる収入90,000千円、長期借入金の返済による支出45,004千円、自己株式の取得による支出80,795千円によるものであります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、安定した収益と成長性を確保するために必要な運転資金について、自己資金及び金融機関からの借入金を充当しております。また、余剰資金については、安全性の高い預金等に限定して運用を行っております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(固定資産の減損)
のれんを含む固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの金額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、市場環境の悪化などの当初想定しえない原因により、のれんが認識された取引によって取得した事業の収益性が低下した場合や見積りの前提とした事業計画に変更が生じた場合には、減損損失の計上により当社グループの業績が悪化する可能性があります。