有価証券報告書-第15期(2023/10/01-2024/09/30)

【提出】
2024/12/20 15:34
【資料】
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【項目】
134項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、金融資本市場の変動等が当社グループに与える影響は不透明であり、今後も引き続き注視し、適切な対応を講じてまいります。
当社グループの経営環境としましては、遊休資産活用事業に主として関連する駐車場業界において、インターネットを活用した月極駐車場の紹介依頼需要は増加しており、オフィスビルや分譲マンション等における駐車場空き区画の収益化に対する需要も依然として拡大しております。さらに、従来は店舗型の不動産仲介業者にて月極駐車場を探していたユーザーが、当社が運営するポータルサイトを通じてインターネット経由で流入するケースがより増えてきております。また、サービスが多様化し、インターネットを活用した駐車場状況を提供するシステム等が普及してきております。
ビジュアライゼーション事業においては、経済活動の正常化にともない、当社グループが提供する不動産画像に対する需要は回復してきております。さらに非対面での営業ツールとして、VR技術を用いたバーチャルショップの開発・制作を行い、事業規模を拡大しております。
このような経営環境のもと将来的な収益力の強化を目的として、引き続き既存社員の育成や新規の営業人員の獲得に努め、新規案件の獲得のための積極的なアプローチを行えるような営業体制の強化に注力するとともに、ベトナム子会社(AZOOM VIETNAM INC.及びCGWORKS VIETNAM INC.)でのシステム開発・グラフィックデータ制作の体制を強化するための投資やリモート環境等の制約にかかわらず営業活動を継続できるようIT面での新たな技術の開発を引き続き行ってまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は10,541,614千円(前連結会計年度比27.4%増)、営業利益は1,828,184千円(前連結会計年度比42.6%増)、経常利益は1,827,172千円(前連結会計年度比42.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,288,023千円(前連結会計年度比46.5%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
① 遊休資産活用事業
遊休資産活用事業セグメントは、当社がインターネット上で運営する月極駐車場のポータルサイト「CarParking」(以下、「カーパーキング」といいます)を経由して、駐車場の紹介を行う「月極駐車場紹介サービス」と、駐車場オーナーから空き駐車場を当社がマスターリース(一括借り上げ)し、月極駐車場としてユーザーにサブリース(貸し付け)を行う「月極駐車場サブリースサービス」を中心として事業を行っております。当連結会計年度においては、カーパーキングを通じたインターネット経由でのユーザーの流入増加を背景に、引き続き既存社員の営業力強化やITを活用した業務効率化の推進に努め、マスターリース台数及びサブリース台数のいずれも堅調に推移し、当連結会計年度における駐車場問い合わせ件数は297,600件となり、当連結会計年度末におけるマスターリース台数(受託台数)は28,990台、サブリース台数(稼働台数)は26,512台となりました。あわせて、株式会社鉄壁が提供する月極駐車場特化型の賃料保証サービスの契約件数も堅調に推移しております。また、顧客による貸し会議室やジム、スタジオ等のレンタルスペースの運営をサポートするWEB予約システム「スマート空間予約」においては、カスタマイズ対応案件のニーズが高まっており、地方公共団体への導入、2024年3月に旅客フェリー予約管理システム「スマートフェリー予約」を開発しサービス提供を開始いたしました。また、前連結会計年度より、空き家問題に対する取り組みの一環として中古住宅を取得し、収益最大化を模索しながら事業に取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度の売上高は10,338,874千円(前連結会計年度比28.3%増)、セグメント利益は1,833,000千円(前連結会計年度比44.6%増)となりました。
② ビジュアライゼーション事業
ビジュアライゼーション事業セグメントは、不動産の可能性をより視覚的に伝えることを可能にするため、3DCG技術等の専門的なスキルを活用し、建物や空間の利用方法及び完成イメージをグラフィックデータとして制作し、販売するとともに、VR技術を用いて顧客の要望に応じた空間デザインのサービスを提供しております。当連結会計年度においては、既存社員の技術力や営業力の強化に注力しつつ、多様な営業提案が可能となるように事業基盤の拡大に努めました。前連結会計年度よりグラフィックデータ作成の発注元であるディスプレイ業者の景気回復を背景に、3DCGパースの受注は増加いたしましたが、VR案件の受注は減少いたしました。また、2024年3月にラフスケッチ・写真・CGパースなどの画像をアップロードし、スタイルを選択するだけで質の高いデザイン案を短時間でレンダリングする生成AIによるレンダリングサービス「MyRenderer(マイレンダラー)」の開発に注力し、サービス提供を開始いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は213,740千円(前連結会計年度比0.4%増)、セグメント損失は261千円(前連結会計年度はセグメント利益15,013千円)となりました。
当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
a.生産実績
当社グループが営む遊休資産活用事業及びビジュアライゼーション事業は、提供するサービスの関係上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループが営む遊休資産活用事業は、提供するサービスの関係上、受注実績の記載になじまないため、また、ビジュアライゼーション事業は受注から売上高計上までの期間が短いため、記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年10月1日
至 2024年9月30日)
前期比(%)
遊休資産活用事業(千円)10,327,874128.1
ビジュアライゼーション事業(千円)213,740100.4
合計(千円)10,541,614127.4

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、いずれの販売先についても当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,368,014千円となり前連結会計年度末に比べて1,310,890千円増加しております。その主な要因は、業績が堅調に推移したことに伴い現金及び預金が975,592千円増加したこと、月極駐車場の受託台数の増加に伴い前払費用が172,991千円増加したこと、中古住宅の仕入れに伴い販売用不動産が106,564千円増加したものによるものであります。固定資産は1,186,029千円となり、前連結会計年度末に比べて260,120千円増加しております。以上の結果、総資産は前連結会計年度末に比べて1,571,011千円増加し、5,554,044千円となっております。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,402,222千円となり、前連結会計年度末に比べて349,643千円増加しております。その主な要因は、稼働台数の増加に伴い月極駐車場サブリースユーザーからの前受収益が94,184千円及び契約負債が22,175千円増加したこと、未払消費税等が100,425千円増加したものによるものであります。固定負債は402,526千円となり、前連結会計年度末に比べて47,590千円増加しております。その主な要因は、月極駐車場サブリースユーザーからの預り保証金が26,776千円増加したことによるものであります。以上の結果、負債合計は前連結会計年度末と比べて397,234千円増加し、1,804,749千円となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,749,295千円となり、前連結会計年度末に比べて1,173,776千円増加しております。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を1,288,023千円計上したことにより利益剰余金が同額増加したことによるものであり、自己資本比率は67.1%(前連結会計年度末は64.1%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,071,529千円となり、前連結会計年度末から975,592千円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は1,337,975千円(前連結会計年度は621,099千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,827,172千円を計上したこと、販売用不動産の取得による支出106,564千円、法人税等の支払による支出515,671千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は253,871千円(前連結会計年度は200,062千円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出231,725千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は106,260千円(前連結会計年度は99,802千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払による支出117,957千円によるものであります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、安定した収益と成長性を確保するために必要な運転資金について、自己資金及び金融機関からの借入金を充当しております。また、余剰資金については、安全性の高い預金等に限定して運用を行っております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。重要な会計上の見積りの詳細については「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。