有価証券報告書-第12期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/12/21 15:01
【資料】
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【項目】
129項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、前連結会計年度末にかけて落ち着きを見せた新型コロナウイルス感染症の感染状況が拡大と収束を繰り返す等、依然として厳しい状況が続いております。先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、ワクチン接種を促進し社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待されております。しかしながら新型コロナウイルス感染症の動向が内外経済に与える影響や、金融資本市場の変動等が当社グループに与える影響は依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの経営環境としましては、遊休不動産活用事業に主として関連する駐車場業界において、インターネットを活用した月極駐車場の紹介依頼需要は増加しており、オフィスビルや分譲マンション等における駐車場空き区画の収益化に対する需要も依然として拡大しております。さらに新型コロナウイルス感染症の影響により、従来は店舗型の不動産仲介業者にて月極駐車場を探していたユーザーが、当社が運営するポータルサイトを通じてインターネット経由で流入するケースがより増えてきており、月極駐車場の問い合わせ件数の増加要因となりました。また、ビジュアライゼーション事業においては、前連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、宿泊施設や商業施設の設備投資が大きく減少し、当社グループが提供するCG技術を用いたグラフィックデータに対する需要が低下している状況にありましたが、ワクチン接種が進んだこと等により経済活動が徐々に再開され、一定程度の影響を継続して受けてはいるものの需要は回復してきております。さらに2021年6月に新サービスとして「オープンオフィスVR」をリリースする等、VR技術を活用した空間デザインのサービスの提供を始めており、事業活動の幅を広げるよう取り組んでおります。感染拡大の収束に向けた明るい兆しもありますが、依然として新型コロナウイルス感染症により先行きが不透明であるため、当社グループへの影響については今後も引き続き注視し、適切な対応を講じてまいります。
このような経営環境のもと将来的な収益力の強化を目的として、引き続き既存社員の育成や新規の営業人員の獲得に努め、新規案件の獲得のための積極的なアプローチを行えるような営業体制の強化に注力するとともに、ベトナム子会社(AZOOM VIETNAM INC.)でのシステム開発・グラフィックデータ制作の体制を強化するための投資やリモート環境等の制約に関わらず営業活動を継続できるようIT面での新たな技術の開発を引き続き行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,974,378千円(前連結会計年度比30.4%増)、営業利益は507,548千円(前連結会計年度比126.1%増)、経常利益は505,750千円(前連結会計年度比126.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は326,285千円(前連結会計年度比133.9%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
① 遊休不動産活用事業
遊休不動産活用事業セグメントは、当社がインターネット上で運営する月極駐車場のポータルサイト「CarParking」(以下、「カーパーキング」といいます)を経由して、駐車場の紹介を行う「月極駐車場紹介サービス」と、駐車場オーナーから空き駐車場を当社がマスターリース(一括借り上げ)し、月極駐車場としてユーザーにサブリース(貸し付け)を行う「月極駐車場サブリースサービス」を中心として事業を行っております。当連結会計年度においては、カーパーキングを通じたインターネット経由でのユーザーの流入増加を背景に、引き続き既存社員の営業力強化やリモート環境下での営業活動推進に努め、カーパーキングへの問い合わせ件数、マスターリース台数及びサブリース台数のいずれも堅調に推移し、当連結会計年度における駐車場問い合わせ件数は250,098件となり、当連結会計年度におけるマスターリース台数(受託台数)は14,403台、サブリース台数(稼働台数)は13,261台となりました。また、顧客による貸し会議室やジム、スタジオ等のレンタルスペースの運営をサポートするWEB予約システム「スマート空間予約」(2021年10月に「スマート会議室」からサービス名称を変更)においては、広告宣伝活動の効果向上に注力した結果、問い合わせ件数やシステムの新規導入室数が前連結会計年度よりも増加しております。
その結果、当連結会計年度の売上高は4,842,070千円(前連結会計年度比29.4%増)、セグメント利益は502,044千円(前連結会計年度比98.0%増)となりました。
② ビジュアライゼーション事業
ビジュアライゼーション事業セグメントは、不動産の可能性をより視覚的に伝えることを可能にするため、3DCG技術等の専門的なスキルを活用し、建物や空間の利用方法及び完成イメージをグラフィックデータとして制作し、販売するとともに、VR技術を用いて顧客の要望に応じた空間デザインのサービスを提供しております。当連結会計年度においては、既存社員の技術力や営業力の強化に注力しつつ、多様な営業提案が可能となるように事業基盤の拡大に努め、2021年6月にはVR技術を活用したサービスの一つとしてコーポレートサイトをWEBブラウザ上にVR化する「オープンオフィスVR」をリリースしました。新型コロナウイルス感染症の影響は依然として一定程度受けているものの、グラフィックデータ制作の発注元であるディスプレイ業者の景気回復と消費者行動のオンライン化に伴うVR技術の普及を背景に、事業規模は徐々に拡大しております。
その結果、当連結会計年度の売上高は132,307千円(前連結会計年度比84.6%増)、セグメント利益は5,503千円(前連結会計年度はセグメント損失29,077千円)となりました。
当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
a.生産実績
当社グループが営む遊休不動産活用事業及びビジュアライゼーション事業は、提供するサービスの関係上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループが営む遊休不動産活用事業は、提供するサービスの関係上、受注実績の記載になじまないため、また、ビジュアライゼーション事業は受注から売上高計上までの期間が短いため、記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
前期比(%)
遊休不動産活用事業(千円)4,842,070129.4
ビジュアライゼーション事業(千円)132,307184.6
合計(千円)4,974,378130.4

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引はありません。
3 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、いずれの販売先についても当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,884,612千円となり前連結会計年度末に比べて487,701千円増加しております。その主な要因は、業績が堅調に推移したことに伴い現金及び預金が403,085千円増加したこと、ならびに、月極駐車場の受託台数の増加に伴い前払費用が78,302千円増加したことによるものであります。固定資産は590,747千円となり、前連結会計年度末に比べて97,019千円増加しております。以上の結果、総資産は前連結会計年度末に比べて584,721千円増加し、2,475,359千円となっております。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は563,987千円となり、前連結会計年度末に比べて148,326千円増加しております。固定負債は616,220千円となり、前連結会計年度末に比べて94,733千円増加しました。その主な要因は、稼働台数の増加に伴い月極駐車場サブリースユーザーからの預り保証金が100,600千円増加したことによるものであります。以上の結果、負債合計は前連結会計年度末と比べて243,059千円増加し、1,180,207千円となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,295,151千円となり、前連結会計年度末に比べて341,662千円増加しております。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を326,285千円計上したことにより利益剰余金が同額増加したことによるものであり、自己資本比率は51.9%(前連結会計年度末は50.3%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,481,246千円となり、前連結会計年度末から403,085千円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は518,744千円(前連結会計年度は366,518千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益505,750千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は114,347千円(前連結会計年度は63,146千円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出58,940千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は2,128千円(前連結会計年度は36,810千円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入30,000千円及び長期借入金の返済による支出37,512千円によるものであります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、安定した収益と成長性を確保するために必要な運転資金について、自己資金及び金融機関からの借入金を充当しております。また、余剰資金については、安全性の高い預金等に限定して運用を行っております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。重要な会計上の見積りの詳細については「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。