有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/08/24 15:00
【資料】
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【項目】
105項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境
①コンサルティング市場
IDC Japan㈱によりますと、2017年のビジネスコンサルティング市場規模は前年比8.2%増の3,921億円、2017年~2022年の年間平均成長率は7.4%で拡大、2022年の支出額は5,612億円と予測されており、また米国の同市場規模が約10兆円と言われていることなどから、まだまだ十分に成長の余地があるものと考えております。
②M&A市場
㈱レコフのデータによりますと、2011年以降一貫してM&Aが増加傾向にあります。高齢化の進展による事業承継型のM&Aの増加や、人口減少及び少子化に伴う国内市場の縮小から、国内中堅・中小企業の再編のためのM&Aや、中堅企業が海外市場進出のための海外企業を買収するためのM&Aの増加等により、今後もM&Aは継続して増加する見込みであります。
③事業再生市場
㈱帝国データバンクによりますと、2017年の企業倒産件数は8,376件(前年比2.6%増)となり、8年ぶりの増加となりました。また、今後は、金融機関から貸付条件の変更等を受ける一方で経営改善が進まず倒産に至る返済猶予後倒産の増加も予想されております。
(2)今後の経営方針
上記の経営環境のもと、既存事業の成長を図ると共に、当社グループとしてさらなる成長のため、以下のようなソリューションの拡充を図っております。
①海外中堅企業を買収対象としたクロスボーダーM&A支援
今後、日本企業は人口減少による市場縮小に対応するため、海外市場を狙うべくクロスボーダーM&Aが増加すると予想されます。大手企業は既にその動きを始めており、中堅企業においてもクロスボーダーM&Aに取り組む企業が増えてきています。しかしながら、海外買収案件の経験に乏しい大企業や中堅企業では、買収時のみならず買収後の経営まで必要人材を揃えてクロスボーダーM&Aを社内で完結させることが難しく、そのサポートのニーズが高まると予想されるため、当社グループがM&A戦略策定、M&A実行、PMIまでを一貫してサポートすることにより、当社グループの事業機会の拡大を図ってまいります。
②中堅・中小企業へのコンサルティング・資金供給
中堅企業においては、市場縮小に対し上記とは別の対応として、新規事業の展開が大きな課題となっており、そのためのコンサルティング支援ニーズは年々増加しています。また、同時に新規事業の展開を目的としたリスクマネーの需要が高まるため、当社グループとしてはファンドや自己投資を通じて顧客に資金提供を行い、同時に経営者派遣やコンサルティングを実施することによって、投資先の会社の企業価値の向上を図り、投資資金の回収とそれに伴う成功報酬の収受を目指します。
③中堅・中小企業のM&A支援
加えて、国内の中堅・中小企業の経営者の高齢化に伴い、事業承継機会が飛躍的に増加しており、事業承継型M&Aも同時に増加しているため、当社の特徴である金融法人ネットワークを通じて持ち込まれる事業承継型M&A案件を中心に、当社グループの事業承継サービスを伸長させていく予定です。
④大企業に対する成長戦略コンサルティング(M&A戦略コンサルティングを中心とする)及びM&A実行支援
当社にも多数の大企業クライアントがいますが、同社等にとってM&A戦略を中心とした成長戦略策定のニーズは大きく、M&A戦略コンサルティングを中心とする成長戦略コンサルティングからM&A実行までを一気通貫で支援をする業務は、年々拡大することが想定されるため、当社グループとしても注力していく予定です。
(3)対処すべき課題
当社グループの既存事業の成長のため、及び上記のソリューションの拡充のため、以下の課題に注力をしてまいります。
①専門家人材の積極的採用・育成の強化
当社グループの最も重要な経営資源は人材であり、また、旺盛な案件需要に対応する人員を確保するためにも、優秀な人材の採用・育成が当社グループの経営課題となっております。
他社との差別化を推進するため、経営コンサルティング事業において、産業知見を豊富に有する人材や特定の業務分野に精通した人材の更なる採用・育成を強化してまいります。
また、M&A案件やグローバル案件の増加に対応するため、当社グループは、当該分野における優秀な専門家人材を積極的に採用・育成してまいります。
②クロスボーダーM&Aに対応する海外拠点網の拡充
当社グループでは、グローバル案件を遂行するため、体制の強化が必要となっており、上海・シンガポール・ニューヨークに所在する既存拠点の情報収集能力向上を図るとともに、欧州・インド等の戦略的重要地域でも提携先との協力関係を構築する等により、海外拠点ネットワークの更なる強化を図ってまいります。
また、自社の海外拠点の新設による拠点網の拡充も検討しております。
③認知度及びブランド力の向上
当社グループの潜在顧客の信頼を高めるため、及び潜在的な入社希望者からの魅力度を高めるため、認知度及びブランド力の向上が必要となります。