有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/16 15:00
【資料】
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【項目】
89項目
(経営成績等の状況の概要)
(1)業績等の概要
第6期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当事業年度における我が国を取り巻く経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和政策等による効果により企業収益の回復や所得環境の改善の兆しも見え、緩やかな回復基調が持続いたしました。しかしながら、国際経済における不確実性や金融資本市場の変動等を受けて、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社を取り巻く国内ドローン関連事業環境につきましては、物流、インフラ点検、防災・災害支援分野を中心にオペレーション高度効率化・無人化・IoT化等の開発投資が続いております。また、国や規制機関においては、第三者上空飛行並びに目視外飛行を主としたドローンの活用に関するルールやガイドラインの整備が進んでおります。今後、民間を中心とした様々な産業分野でのドローン利活用が期待され、インダストリアル向けドローンに関連する市場はさらなる拡大が見込まれております。
このような環境の下、開発においては、画像処理(Vision)を軸とした自律制御、及びそれを中核とした飛行性能及び安全性能を支える基盤技術向上に投資を継続してまいりました。また、各種用途に特化した付属品の開発や開発拡張性を持つソフトウエアの構築を進めており、特に、自動ドローンの操作を高度化するユーザーインターフェースの改良に開発投資を行いました。
プラットフォーム製品としては、各種用途別の機体ラインナップの拡充及び改良、特に非GPS環境下での自律飛行が可能な機体(PF1-Vision)を標準プラットフォームとして製品化しました。量産を見据えた最終アセンブリ、品質保証体制の強化を引き続き進めており、調達先の多様化、サプライチェーン管理強化、東京エリアへの開発・生産機能の統合に取り組みました。
販売においては、DJI社(中国)、パロット社(フランス)等が販売展開する売り切り型のスタンドアロン、コンシューマー向けドローンでは対応、アクセスできない企業群を対象に、実際のクライアント企業における業務組み込み型のシステム設計(注)、ソリューション構築を想定した概念検証(PoC)型の新規ビジネスモデルの展開をさらに推進するため、B-to-Bの産業機器市場における経験を有した営業人材を拡充し、大幅に顧客ポートフォリオを拡充することができました。特に、大手企業クライアント増加と案件高度化に伴い、要求仕様に対してワンストップでソリューション提供を可能にするために、データ分析、システムインテグレーション、IoT関連の外部ベンダー・パートナー連携も強化しました。
市場発展への積極的な貢献として、国家プロジェクトなどを通じて、規制及びガイドラインに関連する行政機関とも密に連携を取ってまいりました。海外展開としては、シンガポールを中心とした複数案件の具体化に向け、現地顧客先での実証実験を行いました。点検、物流、防災などのインダストリアル向けドローン販売に係るコアクライアントを約40社までに拡大し、前年比2倍以上となる売上成長を支えております。
以上の結果、当事業年度の売上高は370,184千円(前年同期比136.0%増)となりました。費用面では、研究開発費として324,461千円(前期比10.5%減)を計上しており、そのうち国家プロジェクトに係る研究開発費用として212,215千円(前期比100.6%増)を計上しております。以上の結果、当事業年度においては、営業損失542,296千円(前事業年度は533,146千円の営業損失)、経常損失454,155千円(前事業年度は486,418千円の経常損失)、当期純損失460,410千円(前事業年度は488,814千円の当期純損失)となりました。
なお、当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)業務組み込み型のシステム設計:特定の機能や技術を製品システム、さらに顧客のシステム(例えば、工場オペレーションシステム、物流宅配システム等)に組み込んで顧客企業の既存のオペレーションに組み込まれたソリューションを実現するサービス
第7期第2四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年9月30日)
当第2四半期累計期間における我が国を取り巻く経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和政策等による効果により企業収益の回復や所得環境の改善の兆しも見え、緩やかな回復基調が持続いたしました。しかしながら、国際経済における不確実性や金融資本市場の変動等を受けて、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社を取り巻くドローン関連事業領域では、引き続き業務効率化・自動化を促すロボット・IoT関連の技術ニーズの高まりを受け、良好な市場環境が続いております。特に、インフラ点検、物流、防災・災害支援分野を中心にオペレーション高度効率化・無人化・IoT化等を推進するドローン技術の引き合いが続いております。
このような環境の中で、当社は、自律制御を核とする自社保有技術及びインダストリアル向けドローン・プラットフォーム「ACSL-PF1」を軸に、各分野のクライアントに対し、各種用途向けのインダストリアル向けドローン・ソリューションを展開してまいりました。当第2四半期累計期間においては、ドローン分野において新規案件の獲得による顧客基盤の積み上げを推し進めるとともに、継続顧客における量産機体の販売フェーズへの移行を進めてまいりました。また、当社制御システム技術のみの販売展開を開始しております。開発においては、画像処理(Vision)を軸とした自律制御・エッジ処理の高度化、飛行性能及び安全品質を支える基盤技術向上、操作に関連するユーザーインターフェース強化、投資を継続してまいりました。
以上の結果、当第2四半期累計期間の売上高は246,264千円となりました。費用面では、研究開発費用として180,242千円を計上いたしました。その結果、当第2四半期累計期間においては、営業損失232,163千円、経常損失86,282千円、四半期純損失87,734千円となりました。
なお、当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)財政状態の状況
第6期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当事業年度末において、資産は、現金及び預金及びたな卸資産の増加等により、前事業年度末に比べ1,844,246千円増加し、2,353,118千円となりました。
負債は、短期借入金の増加等により、前事業年度末に比べ182,394千円増加し、330,119千円となりました。
純資産は、資本金及び資本剰余金の増加、利益剰余金の減少等により、前事業年度末に比べ1,661,852千円増加し、2,022,998千円となりました。
第7期第2四半期累計期間(2018年4月1日 至 2018年9月30日)
当第2四半期会計期間末において、資産は、現金及び預金及び仕掛品の減少等により、前事業年度末に比べ286,297千円減少し、2,066,820千円となりました。
負債は、短期借入金の減少等により、前事業年度末に比べ198,562千円減少し、131,556千円となりました。
純資産は、利益剰余金の減少により、前事業年度末に比べ87,734千円減少し、1,935,263千円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
第6期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物は、減少要因として税引前当期純損失458,505千円を計上したものの、増加要因として株式の発行による収入2,120,013千円等により、前事業年度末に比べ1,910,827千円増加し、2,068,909千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用したキャッシュ・フローは、517,401千円(前年同期比29,646千円減少)となりました。これは主に、減少要因として税引前当期純損失458,505千円、たな卸資産の増加額79,946千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は107,965千円(前年同期比460,223千円減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出19,386千円と無形固定資産の取得による支出12,418千円がありましたが、定期預金の払戻による収入185,012千円がそれを上回ったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,320,263千円(前年同期比2,320,263千円増加)となりました。これは主に株式の発行による収入2,120,013千円によるものであります。
第7期第2四半期累計期間(2018年4月1日 至 2018年9月30日)
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ276,766千円減少し、1,792,142千円となりました。当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用したキャッシュ・フローは、49,236千円となりました。これは主に、たな卸資産の減少額51,224千円となったものの、税引前四半期純損失86,282千円、売上債権の増加額61,859千円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は29,529千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出18,365千円及び無形固定資産の取得による支出10,757千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は198,000千円となりました。これは短期借入金の返済による支出198,000千円によるものであります。
(4)生産実績
当社の生産品はその大部分が入庫後すぐに顧客のもとへ出荷されているため、生産実績は販売実績とほぼ同額となります。従いまして、生産実績の記載を省略しております。下記(6)販売実績をご参照ください。
(5)受注実績
当社では受注から販売までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しております。
(6)販売実績
第6期事業年度及び第7期第2四半期累計期間の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、売上高の主な内訳別に記載しております。
区分第6期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
前年同期比(%)第7期第2四半期累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年9月30日)
ソリューションの構築
(STEP1、STEP2)
(千円)217,4581,037.284,845
量産機体の販売
(STEP3、STEP4)
(千円)90,68683.878,116
その他(注)3.(千円)62,039224.583,302
合計(千円)370,184236.0246,264

(注)1.最近2事業年度及び第7期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第5期事業年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
第6期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第7期第2四半期累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
楽天株式会社20,44113.057,67215.66,5892.7
西日本電信電話株式会社--44,30012.0--
原田物産株式会社3,4132.232,1458.790,87236.9
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO(ドローン機体の性能評価基準等の開発)--27,6007.565,55026.6
NECネッツエスアイ株式会社34,13121.86,2891.72610.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記のその他は国家プロジェクトのうち、NEDOロボット・ドローン機体の性能評価基準等の開発に係る売上高を含んでおります。一般的に国家プロジェクトについては、収受する補助金に関して、新規技術の研究開発に係るものについては、営業外収益として計上しております。一方で本プロジェクトにおいては新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるため、売上高として計上しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りに関して、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
(2)財政状態の分析
第6期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,290,775千円となり、前事業年度末に比べ1,834,194千円増加いたしました。これは主に第三者割当増資の実施等により現金及び預金が1,770,817千円、たな卸資産が79,946千円増加したことによるものであります。固定資産は62,342千円となり、前事業年度末に比べ10,052千円増加いたしました。これは主に無形固定資産が8,445千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は2,353,118千円となり、前事業年度末に比べ1,844,246千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は330,119千円となり、前事業年度末に比べ182,394千円増加いたしました。これは主に短期借入金が198,000千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は2,022,998千円となり、前事業年度末に比べ1,661,852千円増加いたしました。これは主に当期純損失460,410千円の計上により利益剰余金が460,410千円減少したものの、B種優先株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,060,006千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は85.9%(前事業年度末は71.0%)となりました。
第7期第2四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年9月30日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は2,010,441千円となり、前事業年度末に比べ280,334千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が276,766千円減少したこと及び仕掛品が45,067千円減少したことによるものであります。固定資産は56,379千円となり、前事業年度末に比べ5,963千円減少いたしました。これは主に有形固定資産が1,783千円減少したこと及び無形固定資産が4,394千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、2,066,820千円となり、前事業年度末に比べ286,297千円減少いたしました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は131,556千円となり、前事業年度末に比べ198,562千円減少いたしました。これは主に短期借入金が198,000千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は1,935,263千円となり、前事業年度末に比べ87,734千円減少いたしました。これは四半期純損失の計上により、 利益剰余金が87,734千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は93.5%(前事業年度末は85.9%)となりました。
(3)経営成績の分析
第6期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べて213,294千円増加し370,184千円(前年同期比136.0%増)となりました。これは主に概念検証(PoC)型の新規ビジネスモデルの展開に伴う売上高の拡大及び機体販売数の増加によるものであります。
(売上原価・売上総利益)
当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べて102,979千円増加し193,179千円(前年同期比114.2%増)となりました。これは主に機体販売数の増加に伴う製造原価の増加及び概念検証(PoC)型の販売に伴う役務提供原価の増加によるものであります。
その結果、売上総利益は、前事業年度に比べて110,315千円増加し177,005千円(前年同期比165.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費・営業損失)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べて119,466千円増加し719,302千円(前年同期比19.9%増)となりました。これは主に人員増員に伴う人件費の増加、監査法人等の専門家に対する支払報酬に係る費用、法人事業税を主とした租税公課の増加によるものであります。
その結果、営業損失は542,296千円(前事業年度は533,146千円の営業損失)となりました。
(営業外損益・経常損失)
当事業年度の営業外収益は、前事業年度に比べて46,876千円増加し97,775千円(前年同期比92.1%増)となりました。これは主に国家プロジェクトに係る助成金収入の増加によるものであります。
当事業年度の営業外費用は、株式交付費を計上した結果、前事業年度に比べて5,463千円増加し9,633千円(前年同期比131.0%増)となりました。
その結果、経常損失は454,155千円(前事業年度は486,418千円の経常損失)となりました。
(特別損失・法人税等・当期純損失)
当事業年度において特別損失として固定資産除却損4,350千円を計上し、法人税、住民税及び事業税1,905千円を計上した結果、当期純損失は460,410千円(前事業年度は488,814千円の当期純損失)となりました。
第7期第2四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年9月30日)
(売上高)
当第2四半期累計期間の売上高は、246,264千円となりました。これは主に、前事業年度に引き続き、概念検証(PoC)型のビジネスモデルの展開の推進及び機体販売を行ったことによるものであります。
(売上原価・売上総利益)
当第2四半期累計期間の売上原価は、148,741千円となりました。これは主に機体販売に伴う製造原価及び概念検証(PoC)型の販売に伴う役務提供原価の発生によるものであります。
その結果、売上総利益は97,522千円となりました。
(販売費及び一般管理費・営業損失)
当第2四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、329,686千円となりました。これは主に研究開発費、人件費を計上したことによるものであります。
その結果、営業損失は232,163千円となりました。
(営業外損益・経常損失)
当第2四半期累計期間の営業外収益は、149,289千円となりました。これは主に国家プロジェクトに係る助成金収入の計上によるものであります。
当第2四半期累計期間の営業外費用は、3,408千円となりました。これは主に株式公開費用の計上によるものであります。
その結果、経常損失は86,282千円となりました。
(法人税等・四半期純損失)
当第2四半期累計期間において特別利益及び特別損失は発生しておりません。
法人税、住民税及び事業税1,452千円を計上した結果、四半期純損失は87,734千円となりました。
(4)キャッシュ・フローの分析
第6期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当事業年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(経営成績等の状況の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
第7期第2四半期累計期間(2018年4月1日 至 2018年9月30日)
当第2四半期累計期間におけるキャッシュ・フローの分析については、「(経営成績等の状況の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金につきましては、自己資金、金融機関からの借入金、新株発行による調達資金により充当することとしております。
なお、当社の資金の流動性につきましては、「(経営成績等の状況の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。現時点において重要な資本的支出の予定はございません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に特に重要な影響を与える要因については、以下のとおりであります。
当社に限らず、ドローンに関する重大な事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があります。当社では、事故を起こさないよう、人と安全に共生するドローンの実現に努めておりますが、万が一、当社の製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、製造物責任賠償やリコールによる支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。製品の信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によってはコスト発生や信用の失墜を招き、当社の経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、機体販売に係る収益の認識基準として検収基準を採用しております。実際の検収時には、顧客の要求する仕様を満たしていることを確かめるため、屋外における試験運転等の様々なテストが実施されますが、検収時期が期末付近に予定されている案件において、天候不順等によりその実施時期が翌年度に延期されるような場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。また、顧客企業側での予算稟議、実行タイミングによっても、業績推移に影響を受ける可能性があります。
研究開発費の一部を賄っている国家プロジェクトに係る補助金・助成金収入については、委託事業(自己負担を要するNEDO助成事業を除く)に関しては、各年での中間報告、予算配分の変更が伴うため、将来の業績見通しにおいて、一部助成金の減額又は新規受託の場合は増額等の変更が生じる可能性があります。
その他、「2 事業等のリスク」に記載した事項に関しては、現時点では、それらの影響は限定的であると考えておりますが、上記記載事項への対策と合わせ、リスク低減の対策を引き続き講じてまいります。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
当社は、インダストリアル向けドローン・プラットフォームである「ACSL-PF1」を軸に、各分野のコアクライアントとなるパートナー企業とのプロジェクトを通じ、各種用途のインダストリアル向けドローン・ソリューションを構築し、実際の経済効果を生み出すドローン用途を創出していくことを経営の基本方針としております。
この基本方針を踏まえ、ドローン機体の販売拡大及びシステムインテグレーション、ソリューション構築を通じたドローン機体の利用拡大による売上高の拡大を企図しており、2021年3月期において、コアクライアント数を100社、特注ドローン数を500台とすることをKPIとして目標設定しております。
経営者は、事業を拡大し、継続的な成長を実現するために様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、それらの課題に対応するため、常に事業環境についての情報を入手し、戦略の策定、顧客ニーズの把握、製品力の強化、企業規模の拡大に応じた内部管理体制・組織の整備を進め、企業価値のさらなる向上を目指して取り組んでおります。
なお、経営者の問題認識と今後の方針についての具体的な内容は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。