有価証券届出書(新規公開時)

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2019/05/24 15:00
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95項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。なお、当社グループは、飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
① 経営成績の状況
第45期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当社グループにおきましては、「お客様に食を通じて泣いて、笑って、楽しんで帰って頂くエンターテイメントレストラン」を実現させるために、従業員教育によるお客様満足度の向上、販売促進、品質・エンターテイメント性を重視した商品開発に取り組んでまいりました。
従業員教育面では、「従業員が働く“誇り”を身に付けられること」を目的として、「4つのプロ(きづき、販売、マーケティング、クレーム対応)」に「楽しませるプロ」を新しく加えて、エンターテイメントレストランを具現化することに取り組みました。また、マイスター制度、スリースター制度等を積極的に取り入れ、従業員の士気向上にも取り組みました。
販売促進面では、既存店5店舗(太田店、京都伏見店、八王子店、岐阜長良店、浜松本郷店)にて「セルフクッキングコーナー」を店内に設置し、店員のサポートによりお客様自らバーベキュー感覚でステーキを焼いて召し上がるサービスや、「体験型レストラン」として、各種デザート(ワッフル・鯛焼き・ソフトクリームパフェ等)をお客様自らが作り楽しめることができる空間づくり等、サラダバー・デザートバーの充実を図り、ファミリー層を中心に再来店の動機付けに努めました。また、お母さんやお父さんの誕生日にお子様が店内でステーキを焼いたり、盛り付けを体験し、手作り料理をプレゼントする「キッズ・グリル体験」の実施による家族の触れ合いや感動の場を提供することにも注力しました。
商品開発面では、お客様で取り分けて楽しんで頂ける「大皿料理(大粒カキフライ、牛肉のタタキ、ガーリックシュリンプ)」の提供、「歓送迎会(宴会)コースメニュー」の提供等により、お客様の声を聞きながら、日々メニュー開発に注力してまいりました。一方で、2018年2月には当社のグランドメニューの全面的な売価変更に取り組みました。
設備投資面では、当社が2017年6月に「ステーキのあさくま津島店(愛知県)」、7月に「ステーキのあさくま八王子店(東京都)」、8月に「ステーキのあさくま岐阜長良店(岐阜県)」、11月に「ステーキのあさくま浜松本郷店(静岡県)」、「ステーキのあさくま越谷店(埼玉県)」、12月に「ステーキのあさくま浜松インター店(静岡県)」の直営店計6店舗を新規出店し、さらに既存店の鶴見店(神奈川県)、学園都市店(茨城県)、千音寺店(愛知県)の計3店舗を改装オープンいたしました。さらに、「ビストロ九段下店(東京都)(直営店)」について、2018年1月より新業態「やっぱりあさくま」の第1号店としてリニューアルオープンいたしました。一方で、連結子会社の株式会社あさくまサクセッションでは利益改善を目的として、2017年8月にファーマーガーデン北戸田店(埼玉県)、11月にファーマーズガーデン板橋店(東京都)、2018年3月にまいにちごはん横浜上白根店(神奈川県)の計3店舗を閉店しました。その結果、当社グループの当連結会計年度末時点における総店舗数は計85店舗(FC店10店舗を含む)となりました。
競合他社比較面では、「日経トレンディ2018年6月号、『全国200チェーン消費者満足度ランキング』(株式会社日経BP、2018年5月2日発売)」にて、当社が「ステーキ・ハンバーグ部門で1位」「外食部門全体で14位」となりました(同社が消費者に支持されている外食チェーンはどこかを全国5,000人にアンケート調査を実施した結果)。さらに、「日経MJ、『第44回(2017年度)日本の飲食業調査』(株式会社日本経済新聞社、2018年5月23日・第1面から第5面)」にて、当社が「(外食部門全体)店舗売上高伸び率ランキングで19位」、「2017年度店舗売上高ランキングで159位」となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は売上高9,440,858千円(前期対比3.4%増)となりましたが、人材不足等を背景とした人件費増等の影響により、営業利益844,571千円(前期対比2.7%減)、経常利益874,699千円(前期対比4.1%減)、売上高経常利益率は9.3%(前年対比0.7%減)となりました。また、前連結会計年度に比して減損損失及び店舗閉鎖損失計上額が減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は494,352千円(前期対比32.6%増)となりました。
第46期第3四半期連結累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善に伴い回復基調が続いているものの、個人消費の十分な回復までには至っておりません。また、米国の通商政策の変化による貿易摩擦による世界経済への影響も懸念され不安定な状況が続きました。
外食産業におきましても、個人消費が十分に回復しない中、食材価格の高止まりや人手不足の恒常化による人件費の上昇に加え、他業態との顧客獲得競争がさらに激化し、経営環境は厳しい状況が続きました。とりわけレストラン業態(洋風)売上は、2018年4月から10月までは概ね前年を上回る月が多かったものの11月以降は前年を下回っております。特に、客数は、2018年4月から12月の9ヶ月間は毎月前年を下回っており、業界全体として厳しい状況で推移しております(一般社団法人日本フードサービス協会調べ)。
このような環境の下、当社グループといたしましては、引き続き「お客様に食を通じて泣いて、笑って、楽しんで帰って頂くエンターテイメントレストラン」を実現させるために、エンターテイメント性を重視した販売促進及び商品開発、設備投資による新規出店に取り組んでまいりました。
販売促進面では、当社で展開しております「ステーキのあさくま」にて、2018年10月以降は毎月「大感謝祭」等のイベントを開催し、当イベント開催中は、お客様から好評を頂いている「あさくまハンバーグ(180g)」、「サーロインステーキ(150g、200g、300g)」の各メニューを通常価格よりもお値打ちな特別価格にて提供いたしました。
設備投資面では、当社が2018年7月に直営店「ステーキのあさくま北山田店(神奈川県)」、9月に直営店「ステーキのあさくま岡崎店(愛知県)」、12月に直営店「ステーキのあさくま宮竹店(静岡県)」をオープンさせ、10月にFC店「ステーキのあさくま松戸店(千葉県)」を直営店化しました。また、子会社が8月に直営店「エビス参笹塚店(東京都)」をオープンさせました。加えて、当社は既存店計4店舗(7月上旬に「ステーキのあさくま八熊店(愛知県)」、「ステーキのあさくま星崎店(愛知県)」、8月下旬から9月中旬にかけて「ステーキのあさくま蘇我店(千葉県)」、「ステーキのあさくま南柏店(千葉県)」)の店舗改装にも取り組みました。その結果、当第3四半期末時点における当社グループの総店舗数は88店舗(FC店9店舗を含む)となりました。
一方で、原材料の値上げや販売促進による商品値引等の影響により、前連結会計年度に比して原価率が上昇しました。また、前連結会計年度に引き続き、人材不足等を背景に人材関連費用は増加傾向にあります。
これらの結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高6,989,385千円、営業利益473,968千円、経常利益503,538千円、売上高経常利益率7.2%となり、特別損失に減損損失27,597千円を計上したこと等の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は280,211千円となりました。
② 財政状態の状況
第45期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度末における総資産は4,168,775千円となり、前連結会計年度末に比べて618,546千円増加しました。その内容は、以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は2,556,697千円となり、前連結会計年度末に比べて507,206千円増加しました。主な要因は現金及び預金で447,442千円、売掛金で37,401千円増加したことによります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は1,612,077千円となり、前連結会計年度末に比べて111,339千円増加しました。主な要因は、建物及び構築物で105,705千円、機械装置及び運搬具で26,251千円、差入保証金で17,697千円増加したことによります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は1,283,317千円となり、前連結会計年度末に比べて102,810千円増加しました。主な要因は買掛金で48,102千円、未払法人税等で39,513千円増加したことによります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は92,072千円となり、前連結会計年度に比べて22,202千円増加となりました。主な要因は資産除去債務で28,509千円増加したことによります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計の残高は2,793,385千円となり、前連結会計年度に比べて493,533千円増加しました。主な要因は利益剰余金で494,352千円増加したことによります。
第46期第3四半期連結累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて102,409千円増加し、2,637,486千円となりました。これは主に現金及び預金、売掛金、原材料及び貯蔵品の増加によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて59,544千円増加し、1,693,242千円となりました。これは主に有形固定資産の増加によるものです。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて161,953千円増加し、4,330,729千円となりました。
なお、 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて115,396千円減少し、1,167,921千円となりました。これは主に買掛金の増加、未払法人税等、賞与引当金の減少によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2,861千円減少し、89,210千円となりました。これはその他固定負債の減少によるものです。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて118,258千円減少し、1,257,132千円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて280,211千円増加し、3,073,597千円となりました。これは利益剰余金の増加によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
第45期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比較し447,442千円増加し、2,129,790千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度791,654千円の収入に対し、779,570千円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益822,831千円、減価償却費152,174千円、のれん償却額32,552千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度185,486千円の収入に対し、316,060千円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出283,681千円、差入保証金の差入による支出25,754千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度16,144千円の支出に対し、16,067千円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出のみとなっております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源として、その資金の範囲内で新規出店及び改装等で必要な投資キャッシュ・フローを賄うことを基本的な姿勢としております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.仕入実績
第45期連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。
部門名称仕入高(千円)前年同期比(%)
飲食事業3,856,726+3.9
合計3,856,726+3.9

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
該当事項はありません。
d.販売実績
第45期連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
部門名称販売高(千円)前年同期比(%)
飲食事業9,440,858+3.4
合計9,440,858+3.4

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。その他重要な会計方針は「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 当社グループの経営成績について
第45期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におきまして当社グループは、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、従業員教育によるお客様満足度の向上、販売促進、品質・エンターテイメント性を重視した商品開発に取り組んでまいりました。外食産業においては、人材不足に伴う人件費関連コストの増加、原材料価格の高騰、物流コストの増加が懸念されるところであり、これらのコストを吸収しつつ収益力を維持・拡大させていくために、付加価値の高い商品開発、リピート率の高い店舗体制の構築が引き続き課題であると認識しております。
商品開発に関しましては、体験型レストランとして、お客様が単に食事をするだけでなく自ら作って楽しめる空間作りや、サラダバー・デザートバーの充実を図ることで、ファミリー層のリピート率を高める商品の開発に注力してまいりました。また、当社グループのスケールメリットを活かした取引先との仕入価格交渉及び仕入先選定の見直し、物流コスト負担の軽減についての施策等に継続的に取り組むことで、コストの増加に対応しております。
人材不足に伴う人件費関連コストの増加に関しましては、当連結会計年度における総人件費対売上高比率は24.4%(前年比0.1%減)となっており、当面、人件費関連コストの増加傾向が続くものと考えております。この背景には、慢性的な人材不足を背景に、従業員の離職等による採用コスト及び教育関連コストの増加、パート・アルバイトの最低時給の上昇による人件費の増加等があります。今後は、従業員の給与水準の見直し、正社員の勤務時間の柔軟化を図り正社員の採用枠を広げてパート・アルバイト従業員を正社員として積極的に雇用、有給休暇や連続休暇等の年間休日日数の増加、女性従業員向けの子育て支援制度等の福利厚生制度の充実化に積極的に努めてまいります。
第46期第3四半期連結累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期連結累計期間における当社グループの経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載のとおりであります。当第3四半期連結累計期間においては、原材料の値上げや販売促進活動による商品値引により、前連結会計年度に比して原価率が上昇し、総人件費対売上高比率も25.3%となり、前連結会計年度24.4%から0.9%増となりました。これらのコスト増加を吸収しつつ収益力を維持・拡大させていくために、引き続き付加価値の高い商品開発、リピート率の高い店舗体制の構築が課題であると認識しており、適時適切に対応してまいる所存でおります。
b 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源として、その資金の範囲内で新規出店及び改装等で必要な投資キャッシュ・フローを賄うことを基本的な姿勢としております。