有価証券報告書-第19期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/26 15:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
114項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、当社は「ネット型リユース事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用及び所得の改善傾向が続き、個人消費も緩やかな改善がみられるものの、米国と中国との貿易摩擦や香港での民主化デモの長期化など、先行きは不透明な状況が続いております。
当社の属するリユース業界については、フリマアプリやインターネットオークションなどの普及に伴い、消費者にとってリユース品を売買しやすい環境が広がっていることを背景に、市場規模はますます拡大しております。2017年度において顕在化しているリユース市場規模は約2兆円とされ、2022年には約3兆円規模に拡大すると予測されております(参照:「データでみるリユース市場 最新版」リサイクル通信2019年5月11日付調査結果)。また、潜在的なリユース市場規模を示す、自宅内の一年以上利用されていない不要品(以下「かくれ資産」)の日本における総額は2018年時点で約37兆円と推計され、かくれ資産として今後追加されることになる過去一年間に不要となった品物の規模も約7兆6,000億円と試算されており、リユースの潜在市場規模はより大きなものと考えられます(「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」経済産業省、ニッセイ基礎研究所監修平成30年11月7日付調査結果)。
このような環境の中で、当社は「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。」をミッションとし、買取・販売の循環を実現する総合リユースサービス「バイセル」を提供しております。
買取においては、当社サービスの認知向上のために、リスティング等のオンラインメディアのみならず、テレビCMやポスティングチラシなどのオフラインメディアを組み合わせたクロスメディアマーケティング施策を実施してまいりました。また、査定組織の強化のために、2019年1月に教育・研修を専門とするイネーブルメント部を設置し、教育体制の更なる充実を図ってまいりました。
販売においては、業者への販売や古物市場への出品などのtoB向け販売とECや催事などのtoC向け販売の傾向分析を進め、商品毎に適切な販売方法を選択するなどにより、在庫回転期間の短縮化とともに、収益性の改善を図ってまいりました。toC向け販売では、自社ECサイト「バイセルオンライン」やECモール(「楽天市場」や「ヤフオク!)など)に加え、新たに越境ECショッピングアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」への出店、ライブコマース「淘宝直播(タオバオライブ)」での販売を開始するなど、海外を含めた新たな販路開拓を進めております。
これらの結果、当事業年度の経営成績は、売上高は12,828,896千円(前期比26.8%増)、営業利益は846,009千円(前期比70.5%増)、売上高営業利益率は6.6%(前期比1.7ポイント増)、経常利益は817,279千円(前期比72.8%増)、当期純利益は505,579千円(前期比53.2%増)となりました。
また、当事業年度末の財政状態は、資産合計は4,592,163千円(前期比45.8%増)、負債合計は2,330,259千円(前期比3.8%減)、純資産合計は2,261,903千円(前期比210.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて1,229,709千円増加し、3,197,905千円となりました。
当事業年度中における各区分のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,116,326千円の収入(前事業年度は326,221千円の収入)となりました。これは、税引前当期純利益793,137千円及び減価償却費101,043千円の計上、広告宣伝費等の未払金の増加179,257千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、251,380千円の支出(前事業年度は174,472千円の支出)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出153,172千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、364,763千円の収入(前事業年度は300,140千円の収入)となりました。これは、東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う新株式の発行による収入968,589千円、長期借入金の返済による支出544,788千円によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
該当事項はありません。
ロ 仕入実績
当事業年度における仕入実績は、次の通りであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前期比(%)
ネット型リユース事業4,336,92617.7

(注)1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ 受注実績
該当事項はありません。
ニ 販売実績
当事業年度における販売実績は、次の通りであります。
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
ネット型リユース事業12,828,89626.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
相手先前事業年度当事業年度
金額
(千円)
割合(%)金額
(千円)
割合(%)
株式会社ネットジャパン2,430,78824.03,846,15729.9


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
② 財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて1,249,782千円増加し、3,923,645千円(前期比46.7%増)となりました。主な要因は、12月18日の東証マザーズ上場に伴う資金調達等による現金及び預金の増加1,237,906千円によるものであります。
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べて192,125千円増加し、668,518千円(前期比40.3%増)となりました。これは主に、買取及び顧客管理を中心とした自社システムの開発等によるソフトウェア仮勘定の増加121,324千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べて316,528千円増加し、1,763,299千円(前期比21.9%増)となりました。これは主に、広告宣伝費等の積極的な投資に伴う未払金の増加179,257千円、利益の増加にともなう未払法人税等の増加169,458千円、事業規模の拡大に伴う未払消費税等の増加58,373千円、人員数の増加に伴う給与等の未払費用の増加48,479千円、販売先への出荷数量の増加に伴う前受金の増加68,866千円、借入金の約定返済に伴う1年内返済予定の長期借入金の減少226,786千円によるものであります。
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べて408,679千円減少し、566,960千円(前期比41.9%減)となりました。これは主に、長期借入金の約定返済による減少318,002千円、社債の償還による減少80,000千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて1,534,058千円増加し、2,261,903千円(前期比210.8%増)となりました。これは主に、12月18日の東証マザーズ上場に伴う公募増資、第三者割当増資及び新株予約権の行使による資本金550,330千円並びに資本準備金550,330千円の増加、当期純利益の計上等による繰越利益剰余金の増加434,533千円によるものであります。
③ 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べて2,710,144千円増加し、12,828,896千円となりました。これは主に、買取数量の増加に伴う業者への販売や古物市場への出品量の増加、自社ECサイト「バイセルオンライン」やECモール(「楽天市場」や「ヤフオク!)など)での販売の強化に加え、越境ECショッピングアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」への出店、ライブコマース「淘宝直播(タオバオライブ)」での販売を開始したことなど、新たな販路の開拓を進めたことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べて753,598千円増加し、4,418,399千円となりました。これは主に、査定員の採用及び教育体制の強化による買取数量の増加によるものです。この結果、売上総利益は、前事業年度に比べて1,956,545千円増加し、8,410,496千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、売上高営業利益率)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べて1,606,592千円増加し、7,564,486千円となりました。これは主に、認知度向上に向けた積極的な広告投資による広告宣伝費の増加、及び事業規模拡大に伴う人件費の増加によるものです。 この結果、営業利益は、前事業年度に比べて349,953千円増加し、846,009千円となりました。また、売上総利益率の改善に伴い、売上高営業利益率も改善し、前事業年度に比べて1.7ポイント増加し、6.6%となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、1,044千円となりました。また、当事業年度の営業外費用は、支払利息や上場関連費用の計上などにより、29,774千円となりました。この結果、経常利益は、前事業年度に比べて344,283千円増加し、817,279千円となりました。
(特別損益、法人税等、当期純利益)
当事業年度の特別利益は、新株予約権戻入益の計上により、1,040千円となりました。当事業年度の特別損失は、減損損失、固定資産除売却損などの計上により、25,182千円となりました。また、当事業年度の法人税等は、税引前当期純利益の増加により、前事業年度に比べて145,931千円増加し、287,557千円となりました。この結果、当期純利益は、前事業年度に比べて175,608千円増加し、505,579千円となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社事業の資金需要の主なものは、商品買取に係る仕入資金のほか、テレビCMを中心とした広告宣伝費用や当社従業員等に支払う給与手当などの販売費及び一般管理費等の営業資金によるものです。投資を目的とした資金需要は、主に、社内の業務システムの構築及び改修などのシステム投資や倉庫やセンターの移転・開設等によるものです。これらの資金需要については、内部資金で不足する場合には、長期借入金又は社債等による調達を行う方針です。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。