有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/14 15:00
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【項目】
82項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、当社は「ネット型リユース事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
第18期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、経済や金融政策を背景に、企業収益や雇用及び所得の改善傾向が続き、個人消費も緩やかな回復傾向で推移しました。しかしながら、米国を中心とした通商問題などが海外経済に影響をおよぼすなど、先行きは不透明な状況が続いております。
2017年度において顕在化しているリユース市場規模は約2兆円とされ、そのうちCtoCのネットリユース市場(ネットオークション及びフリマアプリ)が約6,905億円、BtoCのネットリユース市場(各ECモールやECサイトなど)が約3,317億円、店舗市場が約9,244億円と推定されており、2022年には約3兆円規模に拡大すると予測されております。(参照:「データでみるリユース市場 最新版」リサイクル通信2019年5月11日付調査結果)また、潜在的なリユース市場規模を示す、自宅内の一年以上利用されていない不要品(以下「かくれ資産」)の日本における総額は2018年時点で約37兆円と推計されており、かくれ資産として今後追加されることになる過去一年間に不要となった品物の規模も約7兆6,000億円と試算されており、(「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」経済産業省、ニッセイ基礎研究所監修平成30年11月7日付調査結果)リユースの潜在市場規模はより大きなものと考えられます。
このような環境の中で、当社は「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。」をミッションとし、買取・販売の循環を実現する総合リユースサービス「バイセル」を提供しています。
買取においては、2015年4月より「スピード買取.jp」のブランド名で事業を運営しておりましたが、2018年7月に、法人名の「BuySell Technologies」とサービスブランドの親和性を高めることを目的として「バイセル」に名称変更致しました。 同サービスの認知及び利用を促すために、テレビCMやポスティングチラシ、リスティングを中心とした積極的なマーケティング施策を実施してまいりました。また、新卒採用を中心とした査定員の増加及び教育体制の強化を図ってまいりました。その結果、出張訪問件数は158,197件(前期比14.0%増)、出張訪問あたり変動利益は28,615円(前期比7.1%増)となりました。
販売においては、リユース業者の参加する古物市場での出品量を増加させるとともに、当社習志野倉庫で自社開催する着物市場の開催数を増やしました。また、一般消費者に対するtoC向け販売として、従来より「楽天市場」や「ヤフオク!」などのECモールでの販売を強化しておりましたが、更なる規模拡大を図り、2018年7月に自社ECサイト「バイセルオンライン」のサービスを開始しました。本サービスでは「着物・ブランドのリユースセレクトショップ」として、主に着物およびブランド品を中心として出品・販売を行っており、着物20,000点以上、ブランド2,000点以上を常時出品しております。さらに、2017年12月より開始した百貨店での催事販売も、当事業年度において24回開催するなど、販路拡大を進めてまいりました。
これらの結果、当事業年度の経営成績は、売上高は10,118,751千円(前期比13.5%増)、営業利益は496,056千円(前期比45.3%増)、売上高営業利益率は4.9%(前期比1.1ポイント増)、経常利益は472,996千円(前期比48.2%増)、当期純利益は329,971千円(前期比45.9%増)となりました。
また、当事業年度末の財政状態は、資産合計は3,150,255千円(前期比32.8%増)、負債合計は2,422,410千円(前期比26.2%増)、純資産合計は727,844千円(前期比60.7%増)となりました。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、堅調な企業収益を背景に、雇用及び所得環境の改善傾向が続き、緩やかな回復傾向で推移しました。しかしながら、米国を中心とした通商問題、中国経済の減速、英国のEU離脱問題の動向などが海外経済に影響をおよぼすなど、先行きは不透明な状況が続いております。
このような環境の中で、当社の買取サービス「バイセル」の更なる認知と商品仕入の強化を図ってまいりました。
買取においては、引き続き積極的な各種マーケティング施策を実施するとともに、査定組織の強化のため2019年1月に査定員に対する教育・研修を専門とするイネーブルメント部を設置し、教育体制の更なる充実を図った結果、出張訪問件数は133,559件、出張訪問あたり変動利益は33,020円となりました。
販売においては、業者への販売や古物市場への出品などのToB向け販売とECや催事などのtoC向け販売の傾向分析を進め、商品毎により適切な販売方法を選択するなどにより、販売の規模及び効率の改善を図ってまいりました。また、自社ECサイト「バイセルオンライン」やECモール(「楽天市場」や「ヤフオク!)など)に加え、新たに越境ECショッピングアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」への出店、ライブコマース「淘宝直播(タオバオライブ)」での販売を開始するなど、海外を含めた新たな販路開拓を進めております。
これらの結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高は9,418,579千円、営業利益は797,814千円、売上高営業利益率は8.5%、経常利益は787,946千円、四半期純利益は500,297千円となりました。
また、当第3四半期会計期間末の財政状態は、資産合計は3,371,744千円、負債合計は2,213,129千円、純資産合計は1,158,614千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第18期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当事業年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて451,889千円増加し、1,968,195千円となりました。
当事業年度中における各区分のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、326,221千円の収入(前事業年度は222,073千円の収入)となりました。これは、主税引前当期純利益471,597千円を計上した一方、たな卸資産の増加130,223千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、174,472千円の支出(前事業年度は32,625千円の支出)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出84,083千円及び敷金差入保証金の差入による支出52,991千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、300,140千円の収入(前事業年度は142,868千円の支出)となりました。これは、主に長期借入れによる収入500,000千円および社債の発行による収入392,214千円により増加した一方、長期借入金の返済による支出524,354千円によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 仕入実績
第18期事業年度及び第19期第3四半期累計期間における仕入実績は、次の通りであります。
セグメントの名称第18期事業年度
(自2018年1月1日
至2018年12月31日)
第19期第3四半期累計期間
(自2019年1月1日
至2019年9月30日)
仕入高(千円)前期比(%)仕入高(千円)
ネット型リユース事業3,686,025114.03,252,965

(注)1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
該当事項はありません。
d. 販売実績
第18期事業年度及び第19期第3四半期累計期間における販売実績は、次の通りであります。
セグメントの名称第18期事業年度
(自2018年1月1日
至2018年12月31日)
第19期第3四半期累計期間
(自2019年1月1日
至2019年9月30日)
販売高(千円)前期比(%)販売高(千円)
ネット型リユース事業10,118,751113.59,418,579

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
相手先第17期事業年度
(自2017年1月1日
至2017年12月31日)
第18期事業年度
(自2018年1月1日
至2018年12月31日)
第19期第3四半期累計期間(自2019年1月1日
至2019年9月30日)
金額
(千円)
割合(%)金額
(千円)
割合(%)金額
(千円)
割合(%)
株式会社ネットジャパン2,088,18923.42,430,78824.02,702,37528.7


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
② 財政状態の分析
第18期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて676,663千円増加し、2,701,892千円となりました。主な要因は、仕入の増加による商品の増加130,223千円や、更なる仕入量の増加に備えた現金及び預金の増加443,492千円によるものであります。
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べて101,606千円増加し、448,362千円となりました。これは主に、在庫管理を中心とした自社システムの開発等によるソフトウエアの増加76,921千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べて317,688千円増加し、1,446,771千円となりました。これは主に、仕入量の増加に伴う運転資金確保のための一年内償還予定の社債の増加80,000千円や一年内返済予定の長期借入金の増加75,960千円、事業規模拡大に伴う人員数増加による未払費用の増加60,826千円などによるものであります。
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べて185,700千円増加し、975,639千円となりました。これは主に、社債の増加300,000千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて274,879千円増加し、727,844千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加284,971千円によるものであります。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べて221,488千円増加し、3,371,744千円となりました。これは主に、仕入の増加に伴う商品の増加179,149千円、業務効率の改善を目的とした自社システムの開発等による無形固定資産の増加77,892千円によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末の負債は、前事業年度末に比べて209,280千円減少し、2,213,129千円となりました。これは主に、広告宣伝費等の増加に伴う未払金の増加104,421千円、税引前四半期純利益の増加に伴う未払法人税等の増加102,821千円、約定返済による長期借入金の減少448,641千円によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べて430,769千円増加し、1,158,614千円となりました。これは主に、四半期純利益の計上等により利益剰余金が434,297千円増加したことによるものであります。
③ 経営成績の分析
第18期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べて1,200,971千円増加し、10,118,751千円となりました。これは主に、買取数量の増加に伴い古物市場への出品量を増加させたことに加え、自社EC「バイセルオンライン」や百貨店催事の開催数の増加など、新たな販路の開拓によるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べて353,200千円増加し、3,664,801千円となりました。これは主に、査定員の採用及び教育体制の強化による買取数量の増加によるものです。この結果、売上総利益は、前事業年度に比べて847,771千円増加し、6,453,950千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、売上高営業利益率)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べて693,201千円増加し、5,957,893千円となりました。これは主に、事業規模拡大に伴う人件費の増加によるものです。 この結果、営業利益は、前事業年度に比べて154,570千円増加し、496,056千円となりました。各種マーケティング施策を実施し広告宣伝費の効率が改善したことにより、売上高営業利益率は、前事業年度に比べて1.1ポイント増加し、4.9%となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、861千円となりました。また、当事業年度の営業外費用は、支払利息や社債発行費の計上などにより、23,922千円となりました。この結果、経常利益は、前事業年度に比べて153,870千円増加し、472,996千円となりました。
(特別損益、法人税等、当期純利益)
当事業年度の特別利益は、新株予約権戻入益の計上などにより、1,129千円となりました。当事業年度の特別損失は、固定資産除売却損の計上などにより、2,527千円となりました。また、当事業年度の法人税等は、税引前当期純利益の増加により、前事業年度に比べて41,711千円増加し、141,626千円となりました。この結果、当期純利益は、前事業年度に比べて103,811千円増加し、329,971千円となりました。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
当第3四半期累計期間の経営成績については、前事業年度より引き続き当社サービス「バイセル」の更なる認知を図るとともに、査定員の積極的な採用及び教育体制の強化を行い、買取数量及び金額の拡大に注力してまいりました。また、古物市場への出品数量の増加に加え、自社EC「バイセルオンライン」及び越境ECショッピングアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」へ出店するなど、新たな販路の開拓を進めてまいりました。
これらの結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高は9,418,579千円、営業利益は797,814千円、売上高営業利益率は8.5%、経常利益は787,946千円、四半期純利益は500,297千円となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社事業の資金需要の主なものは、商品買取に係る仕入資金のほか、テレビCMを中心とした広告宣伝費用や当社従業員等に支払う給与手当などの販売費及び一般管理費等の営業資金によるものです。投資を目的とした資金需要は、主に、社内の業務システムの構築及び改修などのシステム投資によるものです。これらの資金需要については、内部資金で不足する場合には、長期借入金又は社債等による調達を行う方針です。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。