有価証券報告書-第9期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/26 15:21
【資料】
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【項目】
112項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 業績等の概要
当社は、「働く世代に豊かさを」というミッションを掲げ、全自動で国際分散投資ができるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を通じて、誰もが安心して利用できる金融インフラとなり、働く世代のより豊かな人生をサポートできるよう事業活動を展開しております。
当事業年度における世界経済は、世界的な高インフレや各国の金融引き締め政策の長期化に伴う景気減速懸念が継続しておりましたが、大幅な景気後退が見られない中で、グローバルの利上げ局面はピークアウトを迎えつつあります。国内経済においては、原材料価格の上昇に伴う物価上昇等の影響はあるものの、実質賃金の上昇やインバウンド需要の増加等により、緩やかな回復基調にあります。
そのような環境下、当社では継続的な事業成長の実現に向けて、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の機能追加、提携パートナーとの取り組み強化、テレビコマーシャルなどの広告宣伝活動、事業基盤強化のための人材採用、セキュリティ強化対応等に積極的に取り組みました。
ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の機能追加については、1月に成年年齢の引き下げに伴い、満18歳以上20歳未満のお客様に向けた「おまかせNISA」のサービス提供を開始いたしました。また、2024年1月より新しいNISA制度が開始されることをふまえ、2月には当社に直接お申し込みされたお客様を対象に、最低投資額をこれまでの10万円から1万円に引き下げました。4月には積立から運用を開始できるよう機能改善を行い、同時に一部の提携サービスにおいて、最低投資額を1万円へ引き下げました。また、4月に株式会社大光銀行との提携サービス「たいこうNavi」において、「おまかせNISA」の提供を開始し、6月には株式会社イオン銀行との提携サービス「WealthNavi for イオン銀行」で、クレジットカード「イオンカード」決済による積立機能の提供を開始いたしました。加えて、2024年1月から始まる新しいNISA制度に対応した「おまかせNISA」の開発を進め、年明けからサービス提供が開始できるよう機能検証やメンテナンスを実施いたしました。
提携パートナーの拡充も推進しており、2月にオリックス銀行株式会社との業務提携により「WealthNavi for オリックス銀行」、4月に株式会社東邦銀行との業務提携により「WealthNavi for 東邦銀行」の提供をそれぞれ開始いたしました。また、9月には楽天証券株式会社及び楽天投信投資顧問株式会社と業務提携に関する基本合意書を締結いたしました。業務提携により3社がそれぞれの強みを活かして協力し、当社が提供している世界水準の資産運用や顧客サポートを投資信託商品でも実現することを目指します。
広告宣伝活動については、6月から俳優の藤間爽子さんが出演する新テレビCMの放映を開始いたしました。デジタル広告と併せて、資産運用を検討されている潜在的なお客様へのアプローチ、認知度向上を目指して継続して取り組んでおります。また、定期的なオンラインセミナーの開催に加えて、対面で開催するセミナーを実施し多くの方にご来場いただきました。10月には当社では初となるファン交流イベントを開催し、お客様からの数多くのご質問にお答えすることができました。
この結果、当事業年度末時点での運用者数は38.7万人(前事業年度実績35.6万人)、預かり資産額は9,833億円(前事業年度実績7,197億円)となりました。
なお、当事業年度において、臨時に発生したトレーディング損失により特別損失として95百万円を計上しております。これは、米国日付2023年7月3日に米国の証券取引所が半休場日であったことでお客様の資産運用に係る未執行となった買付注文と、同数量の買付注文が独立記念日明けの5日に重複して執行され、その重複分が自己勘定残高となったことによるものです。当該自己勘定残高の解消時(受渡日:米国日付7月10日・日本日付7月11日)、株式相場及び為替相場が当社にとって不利に変動したことにより損失が発生いたしました。
以上の結果、当事業年度の業績は、営業収益が81億67百万円(前期比24.3%増)、営業収益より金融費用46百万円を控除した純営業収益は81億21百万円(前期比24.4%増)となりました。また、販売費・一般管理費は75億97百万円(前期比20.2%増)となり、その結果、広告宣伝費除く営業利益は33億44百万円(前期比42.2%増)、営業利益は5億23百万円(前期比149.6%増)、経常利益は5億19百万円(前期比142.5%増)、当期純利益は3億75百万円(前期比29.5%増)となりました。
なお、当社はロボアドバイザー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して62億73百万円増加し、322億37百万円となりました。これは主に、お客様からの入金の増加や新株予約権の行使に伴う収入等による現金・預金の増加40億4百万円、顧客分別金信託の増加23億円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して50億95百万円増加し、200億79百万円となりました。これは主に、お客様からの預り金の増加等による預り金の増加48億33百万円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して11億77百万円増加し、121億58百万円となりました。これは、新株予約権の行使や譲渡制限付株式報酬としての新株式発行による資本金の増加4億1百万円及び資本準備金の増加4億1百万円、当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加3億75百万円によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、181億44百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、30億23百万円(前事業年度に使用した資金は31億17百万円)となりました。これは主に、預り金の増加48億33百万円、税引前当期純利益4億24百万円、顧客分別金信託の増加23億円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、4億88百万円(前事業年度に使用した資金は2億7百万円)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出3億11百万円、無形固定資産の取得による支出1億26百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、7億3百万円(前事業年度に得られた資金は6億16百万円)となりました。これは、新株予約権の行使に伴う新株式発行による収入7億3百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、販売実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
当社の財務諸表作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
また、財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績の分析
(営業収益)
当事業年度における営業収益は、81億67百万円(前事業年度比15億94百万円の増加)となりました。これは主に、預かり資産の増加に伴う受入手数料の増加15億91百万円によるものであります。当事業年度末時点での預かり資産額(時価)は、9,833億円(前事業年度比2,636億円の増加)となっております。
(金融費用)
金融費用は、支払利息46百万円(前事業年度比2百万円の増加)となりました。この結果、純営業収益は81億21百万円(前事業年度比15億92百万円の増加)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は75億97百万円(前事業年度比12億78百万円の増加)となりました。これは主に、広告宣伝費等の取引関係費の増加5億41百万円、従業員給料等の人件費の増加4億37百万円によるものであります。この結果、営業利益は5億23百万円(前事業年度比3億13百万円の増加)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は4百万円(前事業年度比4百万円の減少)となりました。また、営業外費用は8百万円(前事業年度比4百万円の増加)となりました。これは主に、譲渡制限付株式報酬償却損の増加4百万円によるものであります。この結果、経常利益は5億19百万円(前事業年度比3億5百万円の増加)となりました。
(特別損益及び法人税等)
当事業年度において、臨時に発生したトレーディング損失により特別損失として95百万円を計上しております。また、法人税等は49百万円(前事業年度実績 法人税等△75百万円)となりました。この結果、当期純利益は3億75百万円(前事業年度比85百万円の増加)となりました。
③ 財政状態の分析
当事業年度の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社における主な資金需要は、業容拡大に伴う人件費や、認知度向上のための広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、自己資金を基本とし、必要に応じて社債の発行や長期借入金の銀行借入を行うことでまかなっております。また、短期的な運転資金は銀行借入により調達しております。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。