有価証券報告書-第3期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
「将来の事象を予測する人工知能(AI)を用いて、データに基づく意思決定に従い、顧客企業の事業が成長・成功することを支援する」ことが当社グループのミッションです。当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの影響により世界経済に急速な不透明感が生じましたが、営業体制の強化を行い、かつ、継続的にソリューションの改善に努めた結果、当社サービスへの需要が拡大することとなりました。
当連結会計年度の売上収益は8,970,097千円(前年同期比24.2%増)、売上総利益は4,125,695千円(前年同期比41.5%増)、将来的な事業拡大のために営業人員やエンジニアの人件費等に対する先行投資を行ったため営業損失は1,578,468千円(前連結会計年度は2,360,861千円の損失)、税引前損失は1,557,319千円(前連結会計年度は2,253,407千円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,453,637千円(前連結会計年度は2,349,727千円の損失)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は12,393,748千円であり、前連結会計年度末に比べて257,092千円増加しております。流動資産は前連結会計年度末に比べて667,425千円減少しており、主な増加要因は定期預金の預入による増加(前連結会計年度末比1,439,490千円増)、売上収益の増加による営業債権の増加(同192,006千円増)及び契約資産の増加(同180,764千円増)によるものであり、主な減少要因は営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであったこと及び定期預金の預入による現金及び現金同等物の減少(同2,483,152千円減)であります。非流動資産は前連結会計年度末に比べて924,517千円増加しており、主な増加要因は資産化の要件を満たす開発費用の資産計上によるのれん及び無形資産の増加(同707,121千円増)、回収可能性が高まった繰越欠損金に係る繰延税金資産の計上による繰延税金資産の増加(同137,330千円増)であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は4,725,580千円であり、前連結会計年度末に比べて13,924,674千円減少しております。流動負債は前連結会計年度末に比べて13,922,629千円減少しており、主な増加要因は新規借入による借入金の増加(前連結会計年度末比928,285千円増)、営業費用の増加による営業債務の増加(同244,651千円増)であり、主な減少要因は負債の資本への転換による親会社からの借入金の減少(同15,448,696千円減)であります。非流動負債は前連結会計年度末に比べて2,045千円減少しております。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は7,668,168千円であり、前連結会計年度末に比べて14,181,766千円増加しております。増加要因は負債の資本への転換等による資本剰余金の増加(前連結会計年度末比15,907,304千円増)であり、減少要因は当期損失計上等による利益剰余金の減少(同1,453,637千円減)、為替変動によるその他の資本の構成要素の減少(同271,901千円減)であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,634,707千円(前連結会計年度比2,483,152千円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は839,750千円となり、前連結会計年度の支出1,807,599千円と比べ、967,849千円支出が減少しました。主な支出の増加要因は営業債権の増加217,620千円(前連結会計年度は107,350千円の減少)、契約資産の増加額200,667千円の増加(前連結会計年度比128,456千円増)であり、主な支出の減少要因は税引前損失1,557,319千円の縮小(前連結会計年度比で696,088千円損失が縮小)、営業債務の増加292,480千円(前連結会計年度は63,515千円の減少)、その他の債務の増加額363,282千円の増加(前連結会計年度比288,251千円増)、減価償却費及び無形資産償却費475,670千円の増加(同106,536千円増)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,705,969千円となり、前連結会計年度の支出5,709,877千円と比べ、3,003,908千円支出が減少しました。主な支出の増加要因は定期預金の預入による支出7,770,539千円の増加(前連結会計年度比2,620,143千円増)、無形資産の取得による支出829,755千円(前連結会計年度はゼロ)であり、主な支出の減少要因は定期預金の払戻による収入6,009,321千円(前連結会計年度はゼロ)、子会社の取得による支出17,033千円の減少(前連結会計年度比481,693千円減)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,161,353千円となり、前連結会計年度の収入11,103,246千円と比べ、9,941,893千円収入が減少しました。収入の主な増加要因は短期借入による収入1,293,708千円の増加(前連結会計年度比334,554千円増)、親会社からの借入金の返済による支出が当連結会計年度は発生しなかったこと(前連結会計年度は196,148千円)であり、主な減少要因は親会社からの借入による収入579,654千円の減少(同10,200,095千円減)、短期借入金の返済による支出352,459千円の増加(同236,091千円増)であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、AIテクノロジー企業として、AIプラットフォームを活用した各種ソリューションを提供しており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.AISaaS事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
(注) Keystone Marketing Companyはあるeコマース顧客企業の専属代理店でしたが、当連結会計年度に当該専属代理店契約が終了しています。しかしながら、当社グループと当該eコマース顧客企業の取引は継続しています。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。当グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって行っている重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 5.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
② 目標とする客観的な指標等の推移
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(3) 目標とする客観的な指標等」に記載の指標等に着目しております。そこで、当社グループにおいては、当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上収益成長率、ARR及びARR成長率を重視し、また、これらに関連する指標として、売上総利益成長率、リカーリング売上収益比率、NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率に着目しております。
これらの指標のうち、ARR、リカーリング売上収益比率、NRR及び月次顧客解約率の近時の推移は以下のとおりです。2020年12月におけるARRは9,438百万円となり、2019年3月の5,551百万円から年換算複利成長率は35.4%となっています。2020年12月におけるリカーリング売上収益比率は95.8%(前年同月比5.3%増)となり継続利用する顧客からの収益割合が高まっているだけでなく、2020年12月期のNRRは118%であることから、継続利用する顧客による当社グループのソリューションの利用の拡大が示されています。月次顧客解約率は2020年は0.82%と2019年の0.98%から0.16%改善しており、顧客の継続性が強まっていることを示しています。
なお、当社グループでは、グループの事業統括会社であるAppier Pte. Ltd.が米国ドルを機能通貨としていることから、米国ドル建てでの財務データを内部管理目的で使用しております。したがって、ARRにつきましては、参考情報として、米国ドル建ての換算値も併記しております。同様に、売上収益等につきましても、参考情報として、米国ドル建ての換算値を表で示しております。
ARR
(注)1.米国ドル建ての数値は、日本円建ての数値に上記表に記載の為替レートを用いて換算したものです。
2.利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、関連する期間の台湾銀行が公表する各月の為替レートを用いて換算し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては関連する期間の最終月のリカーリング売上収益を台湾銀行が公表する最終月の為替レートを用いて換算するため、加重平均した為替レートを表示しています。
リカーリング売上収益比率
月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率
(参考情報)
米国ドル建て為替換算後業績推移(未監査)
(注)1.売上収益、売上総利益、営業費用及び営業損失は、2018年及び2019年は金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくPwCあらた有限責任監査法人の監査を受け、2020年はかかる監査を受けていない、当社グループの連結損益計算書に記載された日本円建ての数値に対して、上記表に記載の為替レートを用いて米国ドル建てに換算した参考情報であり、公認会計士又は監査法人による監査及びレビューは受けていません。
2.営業費用は、販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用の合算値です。
3.2018年の為替レートは、台湾銀行が公表した各月の為替レートの単純平均です。2019年及び2020年については、各四半期に対して下記「米国ドル建て為替換算後四半期業績推移」に記載の為替レートを用いて、円換算を行っており、表中の為替レートはその加重平均を行った為替レートとなっています。
米国ドル建て為替換算後四半期業績推移(未監査)
(注)1.売上収益、売上総利益、営業費用及び営業損失は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくPwCあらた有限責任監査法人による監査及びレビューを受けていない当社グループの四半期連結損益計算書に記載された日本円建ての数値に対して、上記表に記載の為替レートを用いて米国ドル建てに換算した参考情報であり、公認会計士又は監査法人による監査及びレビューは受けていません。したがって、表記の為替レートで円換算した金額と連結財務諸表等の連結損益計算書及び要約四半期連結損益計算書とは一致しません。
2.営業費用は、販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用の合算値です。
3.台湾銀行が公表した各四半期の為替レートの単純平均です。
なお、当社グループが経営上の目標達成状況を判断するために用いている客観的な指標(ARR、リカーリング売上収益比率やNRRなど)の中には、第三者の監査等を受けていない社内データを基礎とするものや、一定期間の実績を通年に換算したものなどが含まれており、当社グループの事業及び業績の実態を正確に表していない可能性があります。また、本書に参考情報として掲載している米国ドル換算値は、当社グループの報告通貨である日本円での業績等を正確に表示していない可能性があります。
③ 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度における売上収益は8,970,097千円(前期比24.2%増)となりました。これは営業体制の強化を行い、かつ、継続的にソリューションの改善に努めたことにより、全地域において新規顧客獲得が進み、かつ、既存顧客からの取引規模が拡大したことによるものであります。特に第4四半期において顕著な伸びとなりました。米国ドル建て為替換算後の売上収益は84.2百万米国ドル(前期比27.1%増)となっています。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は4,844,402千円(前期比12.6%増)となりました。これは、売上収益の拡大に伴い、マーケティング・プラットフォームの利用に係る費用やクラウドサーバー利用料等が増加したことによるものであります。CrossXのアルゴリズムの正確性が増したことに伴いより効率的なマーケティングキャンペーンの実施が可能になったこと、かつ、売上総利益率の高いAIQUA、AiDeal及びAIXONからの売上が増えたため、売上総利益率が改善しました。その結果、売上総利益の前年比増加率は、売上収益の前年比増加率を上回り、売上総利益は4,125,695千円(同41.5%増)となりました。特に第4四半期において売上総利益は前年同期比74.2%増と顕著な伸びを示しました。米国ドル建て為替換算後の売上総利益は38.7百万米国ドル(前期比44.9%増)となっています。
(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業損失)
当連結会計年度における販売及びマーケティング費用は3,460,445千円(前期比25.1%増)、研究開発費は1,490,934千円(同16.1%減)、一般管理費は808,383千円(同10.2%増)となりました。販売及びマーケティング費用の増加は主に採用活動の強化に伴い営業人員が増加したことによるものであり、研究開発費の減少は資産計上の要件を満たす開発費用を資産化したことによるものであります。その他の収益は75,616千円(前期比73,574千円増)、その他の費用は20,017千円(同16,880千円増)となりました。この結果、営業損失は1,578,468千円(前連結会計年度は2,360,861千円の損失)となりました。特に第4四半期においては、売上収益及び売上総利益の伸びにより、営業損失は前年同期比485,518千円の減少となりました。
(金融収益、金融費用、税引前損失)
当連結会計年度における金融収益は111,876千円(前期比14,625千円減)、金融費用は90,727千円(同71,680千円増)となりました。金融費用の増加は為替変動により為替差損が生じたことによるものであります。この結果、税引前損失は1,557,319千円(前連結会計年度は2,253,407千円の損失)となりました。
(法人所得税費用、当期損失)
当連結会計年度における法人所得税費用は103,682千円(前期比200,001千円減)となりました。法人所得税費用の減少は、回収可能性が高まった繰越欠損金に係る繰延税金資産の計上によるものであります。この結果、当期損失は1,453,637千円(前連結会計年度は2,349,727千円の損失)となりました。
④ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
⑤ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの主な資金需要は、当社グループの業容拡大のための研究開発活動や営業活動に係る人件費です。これらの資金需要に対しては、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの支出超過、並びに財務活動によるキャッシュ・フローが収入超過の状況を踏まえ、自己資金を基本としております。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
「将来の事象を予測する人工知能(AI)を用いて、データに基づく意思決定に従い、顧客企業の事業が成長・成功することを支援する」ことが当社グループのミッションです。当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの影響により世界経済に急速な不透明感が生じましたが、営業体制の強化を行い、かつ、継続的にソリューションの改善に努めた結果、当社サービスへの需要が拡大することとなりました。
当連結会計年度の売上収益は8,970,097千円(前年同期比24.2%増)、売上総利益は4,125,695千円(前年同期比41.5%増)、将来的な事業拡大のために営業人員やエンジニアの人件費等に対する先行投資を行ったため営業損失は1,578,468千円(前連結会計年度は2,360,861千円の損失)、税引前損失は1,557,319千円(前連結会計年度は2,253,407千円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,453,637千円(前連結会計年度は2,349,727千円の損失)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は12,393,748千円であり、前連結会計年度末に比べて257,092千円増加しております。流動資産は前連結会計年度末に比べて667,425千円減少しており、主な増加要因は定期預金の預入による増加(前連結会計年度末比1,439,490千円増)、売上収益の増加による営業債権の増加(同192,006千円増)及び契約資産の増加(同180,764千円増)によるものであり、主な減少要因は営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであったこと及び定期預金の預入による現金及び現金同等物の減少(同2,483,152千円減)であります。非流動資産は前連結会計年度末に比べて924,517千円増加しており、主な増加要因は資産化の要件を満たす開発費用の資産計上によるのれん及び無形資産の増加(同707,121千円増)、回収可能性が高まった繰越欠損金に係る繰延税金資産の計上による繰延税金資産の増加(同137,330千円増)であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は4,725,580千円であり、前連結会計年度末に比べて13,924,674千円減少しております。流動負債は前連結会計年度末に比べて13,922,629千円減少しており、主な増加要因は新規借入による借入金の増加(前連結会計年度末比928,285千円増)、営業費用の増加による営業債務の増加(同244,651千円増)であり、主な減少要因は負債の資本への転換による親会社からの借入金の減少(同15,448,696千円減)であります。非流動負債は前連結会計年度末に比べて2,045千円減少しております。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は7,668,168千円であり、前連結会計年度末に比べて14,181,766千円増加しております。増加要因は負債の資本への転換等による資本剰余金の増加(前連結会計年度末比15,907,304千円増)であり、減少要因は当期損失計上等による利益剰余金の減少(同1,453,637千円減)、為替変動によるその他の資本の構成要素の減少(同271,901千円減)であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,634,707千円(前連結会計年度比2,483,152千円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は839,750千円となり、前連結会計年度の支出1,807,599千円と比べ、967,849千円支出が減少しました。主な支出の増加要因は営業債権の増加217,620千円(前連結会計年度は107,350千円の減少)、契約資産の増加額200,667千円の増加(前連結会計年度比128,456千円増)であり、主な支出の減少要因は税引前損失1,557,319千円の縮小(前連結会計年度比で696,088千円損失が縮小)、営業債務の増加292,480千円(前連結会計年度は63,515千円の減少)、その他の債務の増加額363,282千円の増加(前連結会計年度比288,251千円増)、減価償却費及び無形資産償却費475,670千円の増加(同106,536千円増)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,705,969千円となり、前連結会計年度の支出5,709,877千円と比べ、3,003,908千円支出が減少しました。主な支出の増加要因は定期預金の預入による支出7,770,539千円の増加(前連結会計年度比2,620,143千円増)、無形資産の取得による支出829,755千円(前連結会計年度はゼロ)であり、主な支出の減少要因は定期預金の払戻による収入6,009,321千円(前連結会計年度はゼロ)、子会社の取得による支出17,033千円の減少(前連結会計年度比481,693千円減)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,161,353千円となり、前連結会計年度の収入11,103,246千円と比べ、9,941,893千円収入が減少しました。収入の主な増加要因は短期借入による収入1,293,708千円の増加(前連結会計年度比334,554千円増)、親会社からの借入金の返済による支出が当連結会計年度は発生しなかったこと(前連結会計年度は196,148千円)であり、主な減少要因は親会社からの借入による収入579,654千円の減少(同10,200,095千円減)、短期借入金の返済による支出352,459千円の増加(同236,091千円増)であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、AIテクノロジー企業として、AIプラットフォームを活用した各種ソリューションを提供しており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自2020年1月1日 至2020年12月31日) (千円) | 前年同期比(%) |
AISaaS事業 | 8,970,097 | 124.2 |
合計 | 8,970,097 | 124.2 |
(注) 1.AISaaS事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自2019年1月1日 至2019年12月31日) | 当連結会計年度 (自2020年1月1日 至2020年12月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
株式会社サイバーエージェント | 966,822 | 13.4 | 1,653,876 | 18.4 |
Keystone Marketing Company | 1,133,121 | 15.7 | 239,423 | 2.7 |
(注) Keystone Marketing Companyはあるeコマース顧客企業の専属代理店でしたが、当連結会計年度に当該専属代理店契約が終了しています。しかしながら、当社グループと当該eコマース顧客企業の取引は継続しています。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。当グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって行っている重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 5.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
② 目標とする客観的な指標等の推移
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(3) 目標とする客観的な指標等」に記載の指標等に着目しております。そこで、当社グループにおいては、当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上収益成長率、ARR及びARR成長率を重視し、また、これらに関連する指標として、売上総利益成長率、リカーリング売上収益比率、NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率に着目しております。
これらの指標のうち、ARR、リカーリング売上収益比率、NRR及び月次顧客解約率の近時の推移は以下のとおりです。2020年12月におけるARRは9,438百万円となり、2019年3月の5,551百万円から年換算複利成長率は35.4%となっています。2020年12月におけるリカーリング売上収益比率は95.8%(前年同月比5.3%増)となり継続利用する顧客からの収益割合が高まっているだけでなく、2020年12月期のNRRは118%であることから、継続利用する顧客による当社グループのソリューションの利用の拡大が示されています。月次顧客解約率は2020年は0.82%と2019年の0.98%から0.16%改善しており、顧客の継続性が強まっていることを示しています。
なお、当社グループでは、グループの事業統括会社であるAppier Pte. Ltd.が米国ドルを機能通貨としていることから、米国ドル建てでの財務データを内部管理目的で使用しております。したがって、ARRにつきましては、参考情報として、米国ドル建ての換算値も併記しております。同様に、売上収益等につきましても、参考情報として、米国ドル建ての換算値を表で示しております。
ARR
基準時点 | 2019年 | 2020年 | ||||||
3月 | 6月 | 9月 | 12月 | 3月 | 6月 | 9月 | 12月 | |
日本円 (百万円) | 5,551 | 5,476 | 6,082 | 6,908 | 7,918 | 7,880 | 7,938 | 9,438 |
(参考情報) 米国ドル (百万ドル) (注1) | 49.8 | 49.9 | 56.1 | 63.8 | 72.8 | 72.8 | 74.5 | 89.9 |
為替レート (円/1米国ドル) (注2) | 111.39 | 109.77 | 108.41 | 108.19 | 108.74 | 108.20 | 106.59 | 104.98 |
(注)1.米国ドル建ての数値は、日本円建ての数値に上記表に記載の為替レートを用いて換算したものです。
2.利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、関連する期間の台湾銀行が公表する各月の為替レートを用いて換算し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては関連する期間の最終月のリカーリング売上収益を台湾銀行が公表する最終月の為替レートを用いて換算するため、加重平均した為替レートを表示しています。
リカーリング売上収益比率
基準時点 | 2019年6月 | 2019年12月 | 2020年6月 | 2020年12月 |
割合 | 80.2% | 90.5% | 97.4% | 95.8% |
月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率
期間 | 2019年 | 2020年 |
月次顧客解約率 | 0.98% | 0.82% |
月次顧客収益解約率 | 0.593% | 0.591% |
(参考情報)
米国ドル建て為替換算後業績推移(未監査)
(単位:千米国ドル) | |||
連結会計期間 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
売上収益 | 56,958 | 66,277 | 84,207 |
売上総利益 | 23,805 | 26,766 | 38,771 |
営業費用(注2) | 41,127 | 48,449 | 53,517 |
営業損失(△) | △17,321 | △21,683 | △14,746 |
為替レート (円/1米国ドル) (注3) | 110.44 | 108.93 | 106.52 |
(注)1.売上収益、売上総利益、営業費用及び営業損失は、2018年及び2019年は金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくPwCあらた有限責任監査法人の監査を受け、2020年はかかる監査を受けていない、当社グループの連結損益計算書に記載された日本円建ての数値に対して、上記表に記載の為替レートを用いて米国ドル建てに換算した参考情報であり、公認会計士又は監査法人による監査及びレビューは受けていません。
2.営業費用は、販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用の合算値です。
3.2018年の為替レートは、台湾銀行が公表した各月の為替レートの単純平均です。2019年及び2020年については、各四半期に対して下記「米国ドル建て為替換算後四半期業績推移」に記載の為替レートを用いて、円換算を行っており、表中の為替レートはその加重平均を行った為替レートとなっています。
米国ドル建て為替換算後四半期業績推移(未監査)
(単位:千米国ドル) | ||||||||
連結四半期会計期間 | 2019年 | 2020年 | ||||||
3月 | 6月 | 9月 | 12月 | 3月 | 6月 | 9月 | 12月 | |
売上収益 | 15,413 | 15,157 | 15,373 | 20,334 | 19,888 | 17,349 | 20,213 | 26,757 |
売上総利益 | 6,521 | 6,495 | 6,326 | 7,424 | 8,605 | 7,369 | 9,338 | 13,459 |
営業費用 (注2) | 11,377 | 11,413 | 11,979 | 13,679 | 12,033 | 12,690 | 13,476 | 15,318 |
営業損失(△) | △4,857 | △4,918 | △5,654 | △6,255 | △3,428 | △5,321 | △4,138 | △1,859 |
為替レート (円/1米国ドル) (注3) | 109.96 | 109.89 | 107.32 | 108.66 | 108.99 | 107.45 | 106.09 | 104.41 |
(注)1.売上収益、売上総利益、営業費用及び営業損失は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくPwCあらた有限責任監査法人による監査及びレビューを受けていない当社グループの四半期連結損益計算書に記載された日本円建ての数値に対して、上記表に記載の為替レートを用いて米国ドル建てに換算した参考情報であり、公認会計士又は監査法人による監査及びレビューは受けていません。したがって、表記の為替レートで円換算した金額と連結財務諸表等の連結損益計算書及び要約四半期連結損益計算書とは一致しません。
2.営業費用は、販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用の合算値です。
3.台湾銀行が公表した各四半期の為替レートの単純平均です。
なお、当社グループが経営上の目標達成状況を判断するために用いている客観的な指標(ARR、リカーリング売上収益比率やNRRなど)の中には、第三者の監査等を受けていない社内データを基礎とするものや、一定期間の実績を通年に換算したものなどが含まれており、当社グループの事業及び業績の実態を正確に表していない可能性があります。また、本書に参考情報として掲載している米国ドル換算値は、当社グループの報告通貨である日本円での業績等を正確に表示していない可能性があります。
③ 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度における売上収益は8,970,097千円(前期比24.2%増)となりました。これは営業体制の強化を行い、かつ、継続的にソリューションの改善に努めたことにより、全地域において新規顧客獲得が進み、かつ、既存顧客からの取引規模が拡大したことによるものであります。特に第4四半期において顕著な伸びとなりました。米国ドル建て為替換算後の売上収益は84.2百万米国ドル(前期比27.1%増)となっています。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は4,844,402千円(前期比12.6%増)となりました。これは、売上収益の拡大に伴い、マーケティング・プラットフォームの利用に係る費用やクラウドサーバー利用料等が増加したことによるものであります。CrossXのアルゴリズムの正確性が増したことに伴いより効率的なマーケティングキャンペーンの実施が可能になったこと、かつ、売上総利益率の高いAIQUA、AiDeal及びAIXONからの売上が増えたため、売上総利益率が改善しました。その結果、売上総利益の前年比増加率は、売上収益の前年比増加率を上回り、売上総利益は4,125,695千円(同41.5%増)となりました。特に第4四半期において売上総利益は前年同期比74.2%増と顕著な伸びを示しました。米国ドル建て為替換算後の売上総利益は38.7百万米国ドル(前期比44.9%増)となっています。
(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業損失)
当連結会計年度における販売及びマーケティング費用は3,460,445千円(前期比25.1%増)、研究開発費は1,490,934千円(同16.1%減)、一般管理費は808,383千円(同10.2%増)となりました。販売及びマーケティング費用の増加は主に採用活動の強化に伴い営業人員が増加したことによるものであり、研究開発費の減少は資産計上の要件を満たす開発費用を資産化したことによるものであります。その他の収益は75,616千円(前期比73,574千円増)、その他の費用は20,017千円(同16,880千円増)となりました。この結果、営業損失は1,578,468千円(前連結会計年度は2,360,861千円の損失)となりました。特に第4四半期においては、売上収益及び売上総利益の伸びにより、営業損失は前年同期比485,518千円の減少となりました。
(金融収益、金融費用、税引前損失)
当連結会計年度における金融収益は111,876千円(前期比14,625千円減)、金融費用は90,727千円(同71,680千円増)となりました。金融費用の増加は為替変動により為替差損が生じたことによるものであります。この結果、税引前損失は1,557,319千円(前連結会計年度は2,253,407千円の損失)となりました。
(法人所得税費用、当期損失)
当連結会計年度における法人所得税費用は103,682千円(前期比200,001千円減)となりました。法人所得税費用の減少は、回収可能性が高まった繰越欠損金に係る繰延税金資産の計上によるものであります。この結果、当期損失は1,453,637千円(前連結会計年度は2,349,727千円の損失)となりました。
④ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
⑤ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの主な資金需要は、当社グループの業容拡大のための研究開発活動や営業活動に係る人件費です。これらの資金需要に対しては、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの支出超過、並びに財務活動によるキャッシュ・フローが収入超過の状況を踏まえ、自己資金を基本としております。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。