有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/04/28 15:00
【資料】
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【項目】
127項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第4期事業年度(自 2020年5月1日 至 2021年4月30日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は5,220,816千円となり、前事業年度末に比べ1,886,942千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1,136,628千円、売掛金が690,141千円増加したことによるものであります。固定資産は1,008,944千円となり、前事業年度末に比べ752,136千円増加いたしました。これは主に、敷金が469,253千円、有形固定資産が114,925千円、繰延税金資産が102,189千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、6,229,760千円となり、前事業年度末に比べ2,639,078千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は2,133,980千円となり、前事業年度末に比べ1,464,021千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が459,918千円、未払費用が257,255千円、買掛金が221,277千円、未払金が184,425千円、短期借入金が166,668千円、1年内返済予定の長期借入金が123,710千円増加したことによるものであります。固定負債は570,101千円となり、前事業年度末に比べ353,180千円増加いたしました。これは長期借入金が353,180千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、2,704,081千円となり、前事業年度末に比べ1,817,201千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は3,525,678千円となり、前事業年度末に比べ821,877千円増加いたしました。これは主に当期純利益937,297千円の計上により利益剰余金が増加したこと、自己株式が125,640千円増加したことによるものであります。
第5期第3四半期累計期間(自 2021年5月1日 至 2022年1月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は7,543,322千円となり、前事業年度末に比べ2,322,506千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1,844,274千円、商品が294,808千円及び売掛金が161,821千円増加したことによるものであります。固定資産は808,286千円となり、前事業年度末に比べ200,657千円減少いたしました。これは主に、投資その他の資産の敷金が94,391千円及びその他が63,344千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、8,351,608千円となり、前事業年度末に比べ2,121,848千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は2,405,041千円となり、前事業年度末に比べ271,060千円増加いたしました。これは主に買掛金が379,279千円及び未払法人税等が212,944千円増加した一方で、短期借入金が200,000千円減少したことによるものであります。固定負債は361,128千円となり、前事業年度末に比べ208,973千円減少いたしました。これは長期借入金が減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、2,766,169千円となり、前事業年度末に比べ62,087千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は5,585,439千円となり、前事業年度末に比べ2,059,760千円増加いたしました。これは四半期純利益2,059,760千円によるものであります。なお、自己株式の消却により、資本剰余金が70,000千円、利益剰余金が55,640千円及び自己株式が125,640千円減少しております。
② 経営成績の状況
第4期事業年度(自 2020年5月1日 至 2021年4月30日)
当社は「魔法のような、新体験を。」というコーポレート・ミッションのもと、新しいエンターテイメントを提供する会社として、VTuberグループである「にじさんじ」の運営を主軸とした事業展開を行っております。
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界規模での流行が続く中、国内外で社会・経済活動に対する一定の制限が継続しており、今後の先行きも不透明な状況となっておりますが、当事業年度中には感染症対策と両立するかたちでのイベント開催を実施するなど、現在の経済環境に適応した事業運営を着実に進めております。
このような事業環境のもと、国内VTuberビジネスでは、所属VTuber数の増加よりも、VTuberサポート体制の拡充を優先することにより、VTuberグループ「にじさんじ」の所属VTuber数は103人(前年同期比4.04%増)YouTube再生時間は4億9,595万時間(前年同期比82.4%増加)となりました。加えて、リアルグッズ、デジタルグッズ等のコンテンツ領域への注力、VTuberを活用したプロモーション領域の拡大など、事業基盤の強化に努めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響から、VTuberによるオフラインイベントの開催には一定の制限を受けておりますが、当事業年度中には、オンラインを中心として「にじさんじ Anniversary Festival 2021」をはじめとした各種のイベントを開催しております。また、海外VTuberビジネスといったエンターテイメント領域における新規ビジネスの拡大にも注力してまいりました。
以上の結果、当事業年度の業績は、売上高7,636,041千円(前年同期比119.5%増)、営業利益1,452,015千円(前年同期は44,267千円)、経常利益1,451,104千円(前年同期は42,008千円)、当期純利益937,297千円(前年同期は32,435千円)となりました。
なお、当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第5期第3四半期累計期間(自 2021年5月1日 至 2022年1月31日)
当社は「魔法のような、新体験を」というコーポレート・ミッションのもと、新しいエンターテイメントを提供する会社として、VTuberグループ「にじさんじ」の運営を主軸としたエンターテイメント領域での事業展開を行っております。
当第3四半期累計期間における我が国経済は、前期に引き続き新型コロナウイルス感染症の世界規模での流行が続く中、国内外で社会・経済活動に対する一定の制限が継続しており、今後の先行きも不透明な状況となっておりますが、当社では現在の経済環境に適応した事業運営を着実に進めております。
国内VTuberビジネスでは、ライブストリーミング領域において、前期に引き続き所属VTuber数の増加よりも、VTuberサポート体制の拡充を優先し、2021年8月に「にじさんじ甲子園」を、年末年始に「NJU歌謡祭」を開催しており、視聴者の皆様からはご好評をいただいており、VTuberグループ「にじさんじ」の所属VTuber数は107人(前年同期比2.88%増)、YouTube再生時間は4億2,939万時間(前年同期比17.8%増加)となりました。加えて、コンテンツ販売の領域においては、2021年2月27日から28日にかけて開催しました「にじさんじ Anniversary Festival 2021」のライブBlu-rayを10月に、またライバーの衣装・装飾品の一部をそのままのデザインでグッズ化することをコンセプトとした「そのまんまグッズ」を順次発売しており、これらの販売が好調となっております。イベントについても、7月31日から8月1日にかけて完全オンライン開催となる「にじさんじ AR STAGE“LIGHT UP TONES”」、10月30日及び31日には横浜ぴあアリーナにおいて「NIJIROCK NEXT BEAT」及び「initial step in NIJISANJI」、加えて11月20日にはZepp Hanedaにて「Kuzuha Birthday Event 『Scarlet Invitation』」を開催しております。また、海外VTuberビジネスに関しても、英語圏におけるVTuberビジネスの拡大をはじめとして注力してまいりました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高10,159,499千円、営業利益3,135,946千円、経常利益3,131,750千円、四半期純利益2,059,760千円となりました。
なお、当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第4期事業年度(自 2020年5月1日 至 2021年4月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,136,628千円増加し、3,628,274千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動により得られた資金は1,350,439千円(前年同期は205,179千円の支出)となりました。これは主に、事業拡大による税引前当期純利益1,261,264千円の計上、仕入債務の増加額221,277千円があった一方で、売上債権の増加額690,141千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により支出した資金は757,890千円(前年同期比191.0%増)となりました。これは主に、オフィス移転に伴う敷金の差入による支出521,347千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により得られた資金は544,138千円(前年同期比81.2%減)となりました。これは主に、短期借入れによる収入200,000千円及び長期借入れによる収入700,000千円等があった一方で、長期借入金の返済による支出223,110千円、自己株式の取得による支出109,640千円等があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.商品仕入実績
当事業年度の仕入実績は、次のとおりであります。
事業領域の名称当事業年度
(自 2020年5月1日
至 2021年4月30日)
前年同期比(%)
コマース(コンテンツ)領域(千円)789,980173.6
合計(千円)789,980173.6

(注)1.当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであるため、事業領域別の仕入実績を記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社は概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しております。
d.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
事業領域の名称当事業年度
(自 2020年5月1日
至 2021年4月30日)
前年同期比(%)
ライブストリーミング領域(千円)2,399,146193.7
コマース(コンテンツ)領域(千円)3,355,358220.8
コマース(イベント)領域(千円)602,302146.7
プロモーション領域(千円)1,037,759394.6
その他領域(千円)241,472511.3
合計(千円)7,636,041219.5

(注)1.当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであるため、事業領域別の販売実績を記載しております。
2.最近2事業年度及び第5期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2019年5月1日
至 2020年4月30日)
当事業年度
(自 2020年5月1日
至 2021年4月30日)
第5期第3四半期累計期間
(自 2021年5月1日
至 2022年1月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Google LLC1,217,58435.02,413,44031.62,470,66123.1
ピクシブ株式会社1,067,46330.71,214,22215.9847,4337.9
株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ418,90912.01,594,82020.93,276,70830.6

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しておりますが、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容等
第4期事業年度(自 2020年5月1日 至 2021年4月30日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、7,636,041千円(前年同期比119.5%増)となりました。
売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、4,699,904千円(前年同期比86.1%増)となりました。
主な要因は、所属VTuberへのサポート体制の拡充、リアルグッズ、デジタルグッズ等のコンテンツ領域への注力、VTuberを活用したプロモーション領域の拡大による制作原価、支払報酬等の増加によります。この結果、売上総利益は2,936,137千円(前年同期は953,232千円)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、1,484,121千円(前年同期比63.3%増)となりました。
主な要因は、オフィス移転に伴う地代家賃、人件費、支払報酬等の増加によります。この結果、営業利益は、1,452,015千円(前年同期は44,267千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当事業年度において、営業外収益は6,456千円、営業外費用は7,366千円発生しました。
主な要因は、補助金収入5,130千円、支払利息6,749千円が発生したことによるものです。この結果、経常利益は、1,451,104千円(前年同期は42,008千円)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度において、事業譲渡益による特別利益が10,981千円、事務所移転損失等による特別損失が200,821千円発生しました。税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を323,967千円計上した結果、当期純利益は937,297千円(前年同期は32,435千円)となりました。
なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に関する分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、ライバーへの報酬やコンテンツ制作原価等の売上原価や、人件費や地代家賃等の販売費及び一般管理費といった営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、配信スタジオへの設備導入や新規サービスの開発費等であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としておりますが、エクイティファイナンスによる外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較した上で優先順位を検討して実施することを基本としております。
なお、第4期事業年度末(2021年4月30日)における借入金の残高は1,012,611千円となっており、現金及び現金同等物の残高は3,628,274千円となっております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。
これらリスク要因の発生を回避するためにも、運営する事業の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等)」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、各領域別売上高、営業利益、営業利益率を経営上重要な指標として位置付けております。また、売上高の拡大には、にじさんじVTuber数、YouTube再生時間、ANYCOLOR ID数の拡大が必要であると考えております。2022年4月期第3四半期において、当社国内VTuberビジネスでは、ライブストリーミング領域において、前期に引き続き所属VTuber数の増加よりも、VTuberサポート体制の拡充を優先し、2021年8月に「にじさんじ甲子園」を、年末年始に「NJU歌謡祭」を開催しており、視聴者の皆様からはご好評をいただいており、VTuberグループ「にじさんじ」の所属VTuber数は107人(前年同期比2.88%増)、YouTube再生時間は4億2,939万時間(前年同期比17.8%増加)となりました。加えて、コンテンツ販売の領域においては、2021年2月27日から28日にかけて開催しました「にじさんじ Anniversary Festival 2021」のライブBlu-rayを10月に、またライバーの衣装・装飾品の一部をそのままのデザインでグッズ化することをコンセプトとした「そのまんまグッズ」を順次発売しており、これらの販売が好調となっております。
領域別業績と営業利益の推移
(単位:千円)

2020年4月期2021年4月期2022年4月期
第3四半期
売上高3,478,7017,636,04110,159,499
ライブストリーミング領域1,238,7142,399,1462,226,606
コマース(コンテンツ)領域1,519,3343,355,3584,789,737
コマース(イベント)領域410,433602,302733,221
プロモーション領域262,9941,037,7591,835,476
その他領域(注1)47,225241,472574,458
営業利益
(営業利益率)
44,267
(1.3%)
1,452,015
(19.0%)
3,135,946
(30.9%)

(注)1.その他領域には、海外VTuberビジネス等を含んでおります。
KPIの推移
2020年4月期2021年4月期2022年4月期
第3四半期
にじさんじVTuber数(人)99103107
YouTube再生時間(百万時間)272496429
ANYCOLOR ID数(万アカウント)2243