有価証券報告書-第11期(2024/11/01-2025/10/31)
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産については、総資産が1,242,778千円となり、前事業年度末と比較し172,192千円の増加となりました。
流動資産の残高は、前事業年度末に比べ145,259千円増加し、998,508千円となりました。主な増減内訳は、「Comiru」の販売拡大に努めた結果、売上が増加し売掛金が12,428千円、現金及び預金が142,942千円増加したことによるものであります。
固定資産の残高は、前事業年度末に比べ26,932千円増加し、244,270千円となりました。主な増減内訳は、繰延税金資産の計上等により投資その他の資産が21,896千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債については、367,079千円となり、前事業年度末と比較し19,884千円の増加となりました。
流動負債の残高は、前事業年度末に比べ55,308千円増加し、296,193千円となりました。主な増減内訳は、返済期日到来に伴い1年以内返済予定の長期借入金が45,000千円減少した一方で、事業拡大に伴う支出の増加などにより未払金が44,374千円、新規借入により短期借入金が22,500千円増加したことなどによるものであります。
固定負債の残高は、前事業年度末に比べ35,424千円減少し、70,886千円となりました。その増減内訳は、長期借入金の返済によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産については、875,698千円となり、前事業年度末と比較し152,308千円の増加となりました。主な増減内訳は、新株予約権の行使に伴い資本金が4,690千円、資本準備金が4,690千円増加したことや当期純利益の計上により繰越利益剰余金が138,756千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用環境の改善が見られる一方、米国の通商政策や物価高に起因する実質購買力の低下懸念から、先行きは不透明な状況が続いております。家計の防衛意識の高まりは、教育支出における費用対効果への意識をより一層高めており、学習塾等の教育事業者には、選ばれるためのより高い付加価値の提供が迫られております。
教育業界においては、少子化と慢性的な労働力不足に加え、市場環境の変化に対応するため、ICT活用による生産性向上とサービス差別化が喫緊の経営課題となっております。また、政府の「GIGAスクール構想」による端末普及が一巡し、教育現場のDXは「導入」から「利活用・定着」の実践フェーズへと移行しました。AIやIoTを活用した個別最適化された学習環境の提供や、業務効率化による労働生産性の改善は、教育事業者が安定的な教室運営と持続的な成長を実現するための不可欠な要素として、その重要性が増しております。
このような状況のもと、当社は、「『教える』をなめらかに~みんなの“かわる”に寄り添う~」をミッションに掲げ、先生、生徒、保護者をはじめとする全てのステークホルダーの関係性を豊かにし、誰もが成長し合える社会(世界観)の実現を目指しております。このミッションに基づき、当社は学習塾を中心とする教育事業者が、煩雑なバックオフィス業務から解放され、本質的な価値である「教える」ことに専念できるプラットフォーム「Comiru」を主軸として事業を展開しております。今後も、この世界観を社会に実装し続けるため、更なる顧客基盤の拡大および顧客エンゲージメントの深化を図り、既存機能の磨き込みとともに、市場ニーズに即した新機能の開発・実装を推進してまいります。
当事業年度においては、主力であるSaaS事業の持続的な成長と、サービスラインナップの拡充による提供価値の向上に注力しました。中核サービスである「Comiru」においては、効果的なマーケティング投資により中小規模の学習塾を中心とした新規顧客獲得が奏功し、有料契約企業数は1,939社(前年同期比14.8%増)へと拡大、安定した顧客基盤の拡大が継続しております。また、2025年1月にリリースした新サービス「ComiruPay」は、教育事業者の課題である決済業務の効率化と手数料負担の軽減といったニーズを的確に捉え、当事業年度末時点の申込社数は405社に達するなど、垂直的な立ち上がりを見せております。現時点での収益貢献は限定的ではありますが、この力強い導入ペースは、本サービスが他社との構造的な差別化要素として、主力サービス「Comiru」の導入促進及び解約抑止に資する重要な戦略的役割を担いつつあることを示唆しているものと考えております。
事業の先行指標となる課金生徒ID数については、既存顧客基盤の拡大に加え、夏期講習等に伴う季節的な需要増も寄与し、505千ID(前年同期比13.6%増)へと順調に増加し、これに伴いARRは1,205,649千円(前年同期比9.4%増)へと伸長しております。四半期ごとの推移においては、5月から6月にかけて新年度の入塾が一巡したことに伴う一時的な落ち着きが見られましたが、これは学習塾業界固有の季節性によるものであり、想定の範囲内で推移しております。7月以降は夏期講習に向けた生徒募集が本格化したことで再び成長軌道へと回帰しており、こうした短期的な季節変動を吸収しつつ通期を通じてKPIの拡大基調を維持しました。今後も、短期的な指標の変動に左右されることなく、顧客への提供価値向上を通じて、教育業界におけるリーディングカンパニーとして持続的な成長を実現してまいります。
教育事業者のDX進展を追い風に、当社は教育業界における存在感の向上を図っております。教育事業者等向けSaaSで培った豊富なノウハウを活かした「ComiruERP」への需要拡大に加え、既存顧客へのアップセル・クロスセルのみならず、習い事領域への展開を加速させており、新たな顧客層の開拓と事業領域の拡大を図り、教育業界におけるプラットフォーマーとしての基盤を強化してまいります。
顧客基盤別の取り組みとしては、以下のとおりであります。
(学習塾領域)
学習塾領域において、中小規模の学習塾向けに開催している経営セミナーが平均参加者数200名以上と好調に推移しており、これが新規顧客獲得の強力な牽引役となっております。Web広告等においてもPDCAサイクルを徹底することで、広告宣伝費を売上高の4.9%という低水準に抑制しつつ高い商談化率を維持しており、高効率な顧客獲得モデルを確立しております。
一方、大手学習塾においては、「ComiruPRO」の導入と基幹システムとの連携等の有償開発を組み合わせたソリューション提案に加え、「ComiruERP」への引き合いが前事業年度から継続して増加しております。進捗としましては、前事業年度からの継続案件を含め、現状21社と商談を進め、9社から受注、内2社が課金開始に至っております。これらの高単価案件は、リードタイムを要するものの、導入後は強固な収益基盤となるため、将来的なARPUを押し上げる重要なドライバーとして注力しております。
また、「BIT CAMPUS」においては、既存顧客へのサービス提供体制を維持しながら、開発体制の内製化によるコスト構造の最適化に注力し、事業としての収益性の確保に努めております。
(習い事領域)
学習塾以外の習い事領域(英会話教室、プログラミングスクール、書道教室等)においては、活用事例の共有や業界特化型のセミナーの開催等の戦略的なマーケティング施策が奏功し、新規顧客の獲得が加速しております。結果として、当領域の有料契約企業数は286社(前年同期比79.9%増)へと飛躍的に伸長しました。この高い成長率は、当社のSaaSプロダクトが特定の教育形態にとらわれず、幅広い教育サービスに適用可能であることを示唆しており、事業領域の多角化と成長機会の創出を推進しております。
(学校領域)
公教育の学校領域においては、2024年度に続き、2025年度も八千代市、習志野市、及び大阪市教育委員会において、部活動地域移行に関するコミュニケーションツールの提供を継続しております。これらに加え、当事業年度においては、千葉県印西市や栄町と新たに連携協定を締結し、GaaS(注)領域での展開が進展しました。
さらに、千葉県教育委員会の「業務改善DXアドバイザー配置事業に関する業務委託」プロジェクトにおいて、引き続き受託者である株式会社マイナビの専門アドバイザーとして、各市町村及び対象校の校務DX化推進を支援しております。これらの取り組みは、即座に収益に直結するだけでなく、公教育現場における信頼とブランド価値を醸成するものであり、将来的なBtoG(行政向け)ビジネスの基盤構築に寄与するものと考えております。
「Comiru」は、安定的な収益が見込めるサブスクリプション型のリカーリングモデルであり、また顧客である教育事業者等の生徒集客がID数増加を牽引するビジネスモデルでもあります。これらの特性を踏まえますと、持続的な成長には、新規顧客の獲得に加え、既存顧客からの追加ID獲得が重要であり、そのためには顧客ニーズに即した魅力的なプロダクトを提供し続ける必要があると考えております。従いまして、システム開発及び営業体制の強化を目的とした人件費への投資、並びに新規商談数獲得や認知度向上のためのマーケティング活動(広告宣伝費)への先行投資を継続的に実施してまいります。
これらの結果として、当事業年度における売上高は、「Comiru」の課金生徒ID数の着実な積み上げに加え、一部の大手教育事業者向けのカスタマイズ案件等の検収が完了し、売上計上されたことにより、1,389,448千円(前年同期比29.7%増)と力強い成長を実現しました。売上総利益については、増収効果に加え、開発部門における生産性向上の取り組みが奏功し、1,044,392千円(前年同期比30.9%増)を達成しております。利益面においては、事業拡大に伴う人件費等の増加を吸収しつつ、費用対効果を重視したマーケティング施策の徹底等により販管費率が改善した結果、営業利益は174,426千円(前年同期比138.2%増)と大幅な増益となりました。これに伴い、借入金の支払利息等の営業外費用の計上はあったものの、経常利益は172,595千円(前年同期比145.5%増)となりました。なお、特別損益においては、前述の「BIT CAMPUS」の開発体制内製化及びコスト構造の最適化の一環として、「システム移行関連費」を特別損失として計上しました。この一過性の費用負担はありましたが、高い本業の収益力がこれを吸収し、当期純利益が138,756千円(前年同期比65.9%増)となり、すべての段階利益で前年同期を大きく上回る結果となりました。これは当社の強固なストック収益基盤の上に、高付加価値サービスの提供や規律ある費用コントロールが結実した結果であり、当社の事業モデルが持つ本質的な収益性の高さを示すものであると認識しております。
なお、当社の事業セグメントは教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)「GaaS」とは、「Government as a Service」の略で、当社のような民間企業が、SaaSのビジネスモデルを活用して、地方自治体等が抱える課題解決や行政サービスのDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を支援する取り組みを指します。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、848,903千円となり、前事業年度末に比べ142,942千円増加しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、213,213千円(前事業年度は61,005千円の獲得)となりました。これは主に、売上増加による売上債権の増加額11,478千円、法人税等の支払額20,906千円等があったことにより減少した一方で、税引前当期純利益145,939千円の計上や未払金の増加額42,666千円があったことにより増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21,457千円(前事業年度は87,801千円の使用)となりました。これは主に、当社事業に必要なソフトウエアの開発に伴う無形固定資産の取得による支出22,228千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は48,813千円(前事業年度は73,160千円の獲得)となりました。これは、増加要因として、短期借入金の借入による純増22,500千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入9,219千円、減少要因として、長期借入金の返済による支出80,424千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載にはなじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載にはなじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.当社の事業区分は「教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業」の単一セグメントであります。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載しております。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ318,362千円増加し、1,389,448千円(前年同期比29.7%増)となりました。これは主に、主力サービスである「Comiru」の課金生徒ID数の着実な積み上げに加え、一部の大手教育事業者等向けのカスタマイズ案件等の検収が完了し、売上計上されたことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ71,562千円増加し、345,056千円(前年同期比26.2%増)となりました。これは主に、主力サービスである「Comiru」のエンジニア人員及び開発にかかる外部協力者への外注費が増加した結果によるものであります。売上原価は増加したものの、売上高の増加及び開発部門における生産性向上の取り組みが奏功し、売上総利益は前事業年度に比べ246,799千円増加し、1,044,392千円(前年同期比30.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ145,614千円増加し、869,965千円(前年同期比20.1%増)となりました。これは主に、Web広告を中心としたオンラインマーケティングの拡充による広告宣伝費や、営業体制の強化による人件費の増加により販売費が99,791千円、管理体制の強化による人件費及び支払手数料等の増加により一般管理費が45,823千円増加したことによるものであります。
以上の結果、営業利益は174,426千円(前年同期比138.2%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ949千円増加し、1,045千円(前年同期比989.4%増)となりました。また、営業外費用は、前事業年度に比べ166千円減少し、2,876千円(前年同期比5.5%減)となりました。これは主に、金利の上昇に伴う受取利息の増加949千円があった一方で、前事業年度に計上していた資金調達費用1,000千円が当事業年度に発生しなかったこと等によるものであります。
以上の結果、経常利益は172,595千円(前年同期比145.5%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別利益は160千円(前年同期比819.5%)となりました。また、特別損失は26,816千円(前事業年度は発生しておりません)となりました。これは「BIT CAMPUS」の開発体制内製化及びコスト構造の最適化の一環として、「システム移行関連費」を計上したことによるものであります。
当事業年度における法人税等は、前事業年度に比べ20,531千円増加し、7,182千円となりました。これは主に、法人税、住民税及び事業税が11,926千円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当期純利益は138,756千円(前年同期比65.9%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性について、当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の人件費、システム開発の外注費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新サービス・機能の開発、及び設備投資によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、運転資金は取引金融機関と長期的な借入契約を借入の都度締結することを基本としております。
なお、当事業年度末における借入金を含む有利子負債の残高は128,810千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は848,903千円となっております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社の売上高は主に教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業で構成されております。当該事業は毎月経常的に得られる月額利用料が売上高の大半を占めており、その積み上がり状況の指標であるARRの拡大を経営上の目標としております。その達成状況を判断するうえで、有料契約企業数、課金生徒ID数、ARPU、ARRを重要な指標としております。ARRを高めていくためには、有料契約企業数を増やしていくことが重要であると考えております。
また、当社の持続的な成長と安定的な収益を実現するために、投資効率を計る指標として広告宣伝費/売上高比率、顧客の解約率、及び売上総利益と営業利益率を重要な経営指標として確認しております。なお、各指標の推移は以下となります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産については、総資産が1,242,778千円となり、前事業年度末と比較し172,192千円の増加となりました。
流動資産の残高は、前事業年度末に比べ145,259千円増加し、998,508千円となりました。主な増減内訳は、「Comiru」の販売拡大に努めた結果、売上が増加し売掛金が12,428千円、現金及び預金が142,942千円増加したことによるものであります。
固定資産の残高は、前事業年度末に比べ26,932千円増加し、244,270千円となりました。主な増減内訳は、繰延税金資産の計上等により投資その他の資産が21,896千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債については、367,079千円となり、前事業年度末と比較し19,884千円の増加となりました。
流動負債の残高は、前事業年度末に比べ55,308千円増加し、296,193千円となりました。主な増減内訳は、返済期日到来に伴い1年以内返済予定の長期借入金が45,000千円減少した一方で、事業拡大に伴う支出の増加などにより未払金が44,374千円、新規借入により短期借入金が22,500千円増加したことなどによるものであります。
固定負債の残高は、前事業年度末に比べ35,424千円減少し、70,886千円となりました。その増減内訳は、長期借入金の返済によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産については、875,698千円となり、前事業年度末と比較し152,308千円の増加となりました。主な増減内訳は、新株予約権の行使に伴い資本金が4,690千円、資本準備金が4,690千円増加したことや当期純利益の計上により繰越利益剰余金が138,756千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用環境の改善が見られる一方、米国の通商政策や物価高に起因する実質購買力の低下懸念から、先行きは不透明な状況が続いております。家計の防衛意識の高まりは、教育支出における費用対効果への意識をより一層高めており、学習塾等の教育事業者には、選ばれるためのより高い付加価値の提供が迫られております。
教育業界においては、少子化と慢性的な労働力不足に加え、市場環境の変化に対応するため、ICT活用による生産性向上とサービス差別化が喫緊の経営課題となっております。また、政府の「GIGAスクール構想」による端末普及が一巡し、教育現場のDXは「導入」から「利活用・定着」の実践フェーズへと移行しました。AIやIoTを活用した個別最適化された学習環境の提供や、業務効率化による労働生産性の改善は、教育事業者が安定的な教室運営と持続的な成長を実現するための不可欠な要素として、その重要性が増しております。
このような状況のもと、当社は、「『教える』をなめらかに~みんなの“かわる”に寄り添う~」をミッションに掲げ、先生、生徒、保護者をはじめとする全てのステークホルダーの関係性を豊かにし、誰もが成長し合える社会(世界観)の実現を目指しております。このミッションに基づき、当社は学習塾を中心とする教育事業者が、煩雑なバックオフィス業務から解放され、本質的な価値である「教える」ことに専念できるプラットフォーム「Comiru」を主軸として事業を展開しております。今後も、この世界観を社会に実装し続けるため、更なる顧客基盤の拡大および顧客エンゲージメントの深化を図り、既存機能の磨き込みとともに、市場ニーズに即した新機能の開発・実装を推進してまいります。
当事業年度においては、主力であるSaaS事業の持続的な成長と、サービスラインナップの拡充による提供価値の向上に注力しました。中核サービスである「Comiru」においては、効果的なマーケティング投資により中小規模の学習塾を中心とした新規顧客獲得が奏功し、有料契約企業数は1,939社(前年同期比14.8%増)へと拡大、安定した顧客基盤の拡大が継続しております。また、2025年1月にリリースした新サービス「ComiruPay」は、教育事業者の課題である決済業務の効率化と手数料負担の軽減といったニーズを的確に捉え、当事業年度末時点の申込社数は405社に達するなど、垂直的な立ち上がりを見せております。現時点での収益貢献は限定的ではありますが、この力強い導入ペースは、本サービスが他社との構造的な差別化要素として、主力サービス「Comiru」の導入促進及び解約抑止に資する重要な戦略的役割を担いつつあることを示唆しているものと考えております。
事業の先行指標となる課金生徒ID数については、既存顧客基盤の拡大に加え、夏期講習等に伴う季節的な需要増も寄与し、505千ID(前年同期比13.6%増)へと順調に増加し、これに伴いARRは1,205,649千円(前年同期比9.4%増)へと伸長しております。四半期ごとの推移においては、5月から6月にかけて新年度の入塾が一巡したことに伴う一時的な落ち着きが見られましたが、これは学習塾業界固有の季節性によるものであり、想定の範囲内で推移しております。7月以降は夏期講習に向けた生徒募集が本格化したことで再び成長軌道へと回帰しており、こうした短期的な季節変動を吸収しつつ通期を通じてKPIの拡大基調を維持しました。今後も、短期的な指標の変動に左右されることなく、顧客への提供価値向上を通じて、教育業界におけるリーディングカンパニーとして持続的な成長を実現してまいります。
教育事業者のDX進展を追い風に、当社は教育業界における存在感の向上を図っております。教育事業者等向けSaaSで培った豊富なノウハウを活かした「ComiruERP」への需要拡大に加え、既存顧客へのアップセル・クロスセルのみならず、習い事領域への展開を加速させており、新たな顧客層の開拓と事業領域の拡大を図り、教育業界におけるプラットフォーマーとしての基盤を強化してまいります。
顧客基盤別の取り組みとしては、以下のとおりであります。
(学習塾領域)
学習塾領域において、中小規模の学習塾向けに開催している経営セミナーが平均参加者数200名以上と好調に推移しており、これが新規顧客獲得の強力な牽引役となっております。Web広告等においてもPDCAサイクルを徹底することで、広告宣伝費を売上高の4.9%という低水準に抑制しつつ高い商談化率を維持しており、高効率な顧客獲得モデルを確立しております。
一方、大手学習塾においては、「ComiruPRO」の導入と基幹システムとの連携等の有償開発を組み合わせたソリューション提案に加え、「ComiruERP」への引き合いが前事業年度から継続して増加しております。進捗としましては、前事業年度からの継続案件を含め、現状21社と商談を進め、9社から受注、内2社が課金開始に至っております。これらの高単価案件は、リードタイムを要するものの、導入後は強固な収益基盤となるため、将来的なARPUを押し上げる重要なドライバーとして注力しております。
また、「BIT CAMPUS」においては、既存顧客へのサービス提供体制を維持しながら、開発体制の内製化によるコスト構造の最適化に注力し、事業としての収益性の確保に努めております。
(習い事領域)
学習塾以外の習い事領域(英会話教室、プログラミングスクール、書道教室等)においては、活用事例の共有や業界特化型のセミナーの開催等の戦略的なマーケティング施策が奏功し、新規顧客の獲得が加速しております。結果として、当領域の有料契約企業数は286社(前年同期比79.9%増)へと飛躍的に伸長しました。この高い成長率は、当社のSaaSプロダクトが特定の教育形態にとらわれず、幅広い教育サービスに適用可能であることを示唆しており、事業領域の多角化と成長機会の創出を推進しております。
(学校領域)
公教育の学校領域においては、2024年度に続き、2025年度も八千代市、習志野市、及び大阪市教育委員会において、部活動地域移行に関するコミュニケーションツールの提供を継続しております。これらに加え、当事業年度においては、千葉県印西市や栄町と新たに連携協定を締結し、GaaS(注)領域での展開が進展しました。
さらに、千葉県教育委員会の「業務改善DXアドバイザー配置事業に関する業務委託」プロジェクトにおいて、引き続き受託者である株式会社マイナビの専門アドバイザーとして、各市町村及び対象校の校務DX化推進を支援しております。これらの取り組みは、即座に収益に直結するだけでなく、公教育現場における信頼とブランド価値を醸成するものであり、将来的なBtoG(行政向け)ビジネスの基盤構築に寄与するものと考えております。
「Comiru」は、安定的な収益が見込めるサブスクリプション型のリカーリングモデルであり、また顧客である教育事業者等の生徒集客がID数増加を牽引するビジネスモデルでもあります。これらの特性を踏まえますと、持続的な成長には、新規顧客の獲得に加え、既存顧客からの追加ID獲得が重要であり、そのためには顧客ニーズに即した魅力的なプロダクトを提供し続ける必要があると考えております。従いまして、システム開発及び営業体制の強化を目的とした人件費への投資、並びに新規商談数獲得や認知度向上のためのマーケティング活動(広告宣伝費)への先行投資を継続的に実施してまいります。
これらの結果として、当事業年度における売上高は、「Comiru」の課金生徒ID数の着実な積み上げに加え、一部の大手教育事業者向けのカスタマイズ案件等の検収が完了し、売上計上されたことにより、1,389,448千円(前年同期比29.7%増)と力強い成長を実現しました。売上総利益については、増収効果に加え、開発部門における生産性向上の取り組みが奏功し、1,044,392千円(前年同期比30.9%増)を達成しております。利益面においては、事業拡大に伴う人件費等の増加を吸収しつつ、費用対効果を重視したマーケティング施策の徹底等により販管費率が改善した結果、営業利益は174,426千円(前年同期比138.2%増)と大幅な増益となりました。これに伴い、借入金の支払利息等の営業外費用の計上はあったものの、経常利益は172,595千円(前年同期比145.5%増)となりました。なお、特別損益においては、前述の「BIT CAMPUS」の開発体制内製化及びコスト構造の最適化の一環として、「システム移行関連費」を特別損失として計上しました。この一過性の費用負担はありましたが、高い本業の収益力がこれを吸収し、当期純利益が138,756千円(前年同期比65.9%増)となり、すべての段階利益で前年同期を大きく上回る結果となりました。これは当社の強固なストック収益基盤の上に、高付加価値サービスの提供や規律ある費用コントロールが結実した結果であり、当社の事業モデルが持つ本質的な収益性の高さを示すものであると認識しております。
なお、当社の事業セグメントは教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)「GaaS」とは、「Government as a Service」の略で、当社のような民間企業が、SaaSのビジネスモデルを活用して、地方自治体等が抱える課題解決や行政サービスのDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を支援する取り組みを指します。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、848,903千円となり、前事業年度末に比べ142,942千円増加しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、213,213千円(前事業年度は61,005千円の獲得)となりました。これは主に、売上増加による売上債権の増加額11,478千円、法人税等の支払額20,906千円等があったことにより減少した一方で、税引前当期純利益145,939千円の計上や未払金の増加額42,666千円があったことにより増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21,457千円(前事業年度は87,801千円の使用)となりました。これは主に、当社事業に必要なソフトウエアの開発に伴う無形固定資産の取得による支出22,228千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は48,813千円(前事業年度は73,160千円の獲得)となりました。これは、増加要因として、短期借入金の借入による純増22,500千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入9,219千円、減少要因として、長期借入金の返済による支出80,424千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載にはなじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載にはなじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2024年11月1日 至 2025年10月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 教育事業者等向けSaaS型業務 管理プラットフォーム事業 | 1,389,448 | 129.7% |
| 合計 | 1,389,448 | 129.7% |
(注)1.当社の事業区分は「教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業」の単一セグメントであります。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載しております。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ318,362千円増加し、1,389,448千円(前年同期比29.7%増)となりました。これは主に、主力サービスである「Comiru」の課金生徒ID数の着実な積み上げに加え、一部の大手教育事業者等向けのカスタマイズ案件等の検収が完了し、売上計上されたことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ71,562千円増加し、345,056千円(前年同期比26.2%増)となりました。これは主に、主力サービスである「Comiru」のエンジニア人員及び開発にかかる外部協力者への外注費が増加した結果によるものであります。売上原価は増加したものの、売上高の増加及び開発部門における生産性向上の取り組みが奏功し、売上総利益は前事業年度に比べ246,799千円増加し、1,044,392千円(前年同期比30.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ145,614千円増加し、869,965千円(前年同期比20.1%増)となりました。これは主に、Web広告を中心としたオンラインマーケティングの拡充による広告宣伝費や、営業体制の強化による人件費の増加により販売費が99,791千円、管理体制の強化による人件費及び支払手数料等の増加により一般管理費が45,823千円増加したことによるものであります。
以上の結果、営業利益は174,426千円(前年同期比138.2%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ949千円増加し、1,045千円(前年同期比989.4%増)となりました。また、営業外費用は、前事業年度に比べ166千円減少し、2,876千円(前年同期比5.5%減)となりました。これは主に、金利の上昇に伴う受取利息の増加949千円があった一方で、前事業年度に計上していた資金調達費用1,000千円が当事業年度に発生しなかったこと等によるものであります。
以上の結果、経常利益は172,595千円(前年同期比145.5%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別利益は160千円(前年同期比819.5%)となりました。また、特別損失は26,816千円(前事業年度は発生しておりません)となりました。これは「BIT CAMPUS」の開発体制内製化及びコスト構造の最適化の一環として、「システム移行関連費」を計上したことによるものであります。
当事業年度における法人税等は、前事業年度に比べ20,531千円増加し、7,182千円となりました。これは主に、法人税、住民税及び事業税が11,926千円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当期純利益は138,756千円(前年同期比65.9%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性について、当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の人件費、システム開発の外注費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新サービス・機能の開発、及び設備投資によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、運転資金は取引金融機関と長期的な借入契約を借入の都度締結することを基本としております。
なお、当事業年度末における借入金を含む有利子負債の残高は128,810千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は848,903千円となっております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社の売上高は主に教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業で構成されております。当該事業は毎月経常的に得られる月額利用料が売上高の大半を占めており、その積み上がり状況の指標であるARRの拡大を経営上の目標としております。その達成状況を判断するうえで、有料契約企業数、課金生徒ID数、ARPU、ARRを重要な指標としております。ARRを高めていくためには、有料契約企業数を増やしていくことが重要であると考えております。
また、当社の持続的な成長と安定的な収益を実現するために、投資効率を計る指標として広告宣伝費/売上高比率、顧客の解約率、及び売上総利益と営業利益率を重要な経営指標として確認しております。なお、各指標の推移は以下となります。
| 項目 | 事業年度 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 |
| 有料契約企業数(社) | 2024年10月期 | 1,349 | 1,423 | 1,634 | 1,689 |
| 2025年10月期 | 1,731 | 1,806 | 1,890 | 1,939 | |
| 課金生徒ID数(千ID) | 2024年10月期 | 354 | 360 | 426 | 444 |
| 2025年10月期 | 459 | 453 | 485 | 505 | |
| ARPU(円) | 2024年10月期 | 51,516 | 49,615 | 54,476 | 54,365 |
| 2025年10月期 | 55,160 | 50,858 | 52,061 | 51,816 | |
| ARR(千円) | 2024年10月期 | 833,954 | 847,228 | 1,068,173 | 1,101,862 |
| 2025年10月期 | 1,145,780 | 1,102,202 | 1,180,738 | 1,205,649 | |
| 広告宣伝費/売上高比率(%) | 2024年10月期 | 4.2 | 4.2 | 5.0 | 4.5 |
| 2025年10月期 | 3.2 | 3.9 | 3.8 | 4.9 | |
| 顧客の解約率(%) (注5) | 2024年10月期 | 0.4 | 0.5 | 0.4 | 0.4 |
| 2025年10月期 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | |
| 売上総利益(千円) | 2024年10月期 | 171,835 | 352,306 | 559,409 | 797,592 |
| 2025年10月期 | 263,010 | 527,416 | 781,207 | 1,044,392 | |
| 営業利益率(%) | 2024年10月期 | 5.3 | 5.0 | 3.9 | 6.8 |
| 2025年10月期 | 18.4 | 17.2 | 15.9 | 12.6 |