有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/11/17 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
129項目
(1) 経営成績等の状況
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という))の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態の状況
第10期事業年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は前事業年度末に比べ480,459千円減少し、1,632,471千円となりました。これは主に、「note」のGMVの伸長などにより未収入金が121,884千円増加した一方で、自社サービスを拡大するため人材採用やプロダクトの開発コストが先行した結果、当期純損失が発生したことなどにより現金及び預金が652,218千円減少したことなどによります。
固定資産は前事業年度末に比べ12,381千円減少し、118,143千円となりました。これは、主に減価償却により有形固定資産が8,348千円減少したことなどによります。
この結果、資産合計は前事業年度末に比べ492,840千円減少し、1,750,615千円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ56,666千円減少し、1,016,505千円となりました。これは主に、「note」のクリエイターの売上金について保管期限を設けたことによりクリエイター向けの預り金が減少したため、預り金が72,714千円減少したことによります。
固定負債は前事業年度末と同じく160,000千円となりました。
この結果、負債合計は前事業年度末に比べ56,666千円減少し、1,176,505千円となりました。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べ436,174千円減少し、574,109千円となりました。これは、当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことによります。
以上により当事業年度末の自己資本比率は32.8%となりました。
第11期第3四半期累計期間(自 2021年12月1日 至 2022年8月31日)
(資産)
流動資産は前事業年度末に比べ1,690,977千円増加し、3,323,449千円となりました。これは主に、第三者割当増資などにより現金及び預金が1,506,930千円、「note」のGMVの伸長などにより未収入金が176,477千円増加したことなどによります。
固定資産は前事業年度末に比べ10,709千円増加し、128,853千円となりました。これは主に、事業用PCの取得などにより有形固定資産が8,153千円増加したことなどによります。
この結果、資産合計は前事業年度末に比べ1,701,687千円増加し、3,452,302千円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ225,427千円増加し、1,241,932千円となりました。これは主に、「note」のGMVの伸長などによりクリエイター向けの預り金が増加したため、預り金が182,957千円増加したことなどによります。
固定負債は前事業年度末と同じく160,000千円となりました。
この結果、負債合計は前事業年度末に比べ225,427千円増加し、1,401,932千円となりました。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べ1,476,259千円増加し、2,050,369千円となりました。これは、四半期純損失の計上により利益剰余金が523,880千円減少した一方で、第三者割当増資により資本金が1,000,070千円、資本剰余金が1,000,070千円増加したことによります。
以上により当第3四半期会計期間末の自己資本比率は59.4%となりました。
② 経営成績の状況
第10期事業年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が続いておりましたが、新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種が急速に進められた結果、2021年9月には緊急事態宣言が解除され、国内での経済活動も徐々に再開しています。IT環境においては、スマートフォンアプリ等を通じての個人間取引や継続的に消費者からサービスの対価を受け取るサブスクリプション型ビジネス、インターネット上でサービスを提供するSaaSのトレンドが引き続き拡大しています。
このような状況の下、当社は、note事業(クリエイターがユーザーとコミュニケーションをとりながらデジタルコンテンツを創作・公開・販売できるプラットフォームの「note」の運営)、note pro事業(法人向け情報発信プラットフォーム(SaaS)の「note pro」の運営)、法人向けサービス事業(「note」上での企業協賛型コンテストの実施など)を主要な事業として展開してまいりました。「note」は新型コロナウイルス感染症の感染対策のために多くの人々の消費行動が変容し、オンラインコンテンツの消費時間が増加した影響を受けて前期から継続してユーザー数が増加し、2021年11月末時点で会員登録者数は450万人を突破しております。一方、2021年11月単月の流通総額は724百万円超(前年同月比123.3%)となり、新型コロナウイルス感染症の対策としての外出規制が緩和された影響で一時期の急激な成長は一服しましたが、依然として高水準で推移しています。また「note pro」については、noteのサービス成長に伴う企業からの認知度向上の影響もあって2021年11月末時点で有料契約数は420を超え、順調に契約数を伸ばしております。法人向けサービス事業として実施している「noteコンテスト」については、2021年11月末時点で86,800千円の売上を計上しております。
その結果、当事業年度の売上高は1,884,149千円(前事業年度比123.7%)となりました。内訳は、note売上高1,429,805千円(前事業年度比121.4%)、note pro売上高213,345千円(前事業年度比206.3%)、法人向けサービス売上高99,842千円(前事業年度比168.1%)、その他売上高141,156千円(前事業年度比77.5%)です。一方、自社サービスを拡大するため人材採用やプロダクトの開発コストが先行した結果、営業損失は456,540千円(前事業年度は293,870千円の営業損失)、経常損失は433,474千円(前事業年度は270,388千円の経常損失)、当期純損失は436,174千円(前事業年度は352,308千円の当期純損失)となりました。
なお、当社はメディアプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第11期第3四半期累計期間(自 2021年12月1日 至 2022年8月31日)
当第3四半期累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大や米国の金利引き上げなどの影響などを受けて、先行きが不透明な状況が継続しています。IT環境においては、スマートフォンアプリ等を通じての個人間取引や継続的に消費者からサービスの対価を受け取るサブスクリプション型ビジネス、インターネット上でサービスを提供するSaaSのトレンドが引き続き拡大しています。
このような状況の下、当社は、note事業(クリエイターがユーザーとコミュニケーションをとりながらデジタルコンテンツを創作・公開・販売できるプラットフォームの「note」の運営)、note pro事業(法人向け情報発信プラットフォーム(SaaS)の「note pro」の運営)、法人向けサービス事業(「note」上での企業協賛型コンテストの実施など)を主要な事業として展開してまいりました。「note」は新型コロナウイルス感染症の対策のために消費者の行動が変容し、オンラインコンテンツの消費時間が増加した影響を受けて前期から継続してユーザー数が増加しており、2022年8月末時点で会員登録者数は550万人を突破しております。一方、2022年8月単月の流通総額は929百万円(前年同月比138.5%)となり、新型コロナウイルス感染症の行動規制が緩和した影響で一時期の急成長は一服しておりますが、引き続き高水準で推移しています。また「note pro」については、noteのサービス成長に伴う企業からの認知度向上により順調に契約数を伸ばしており、2022年8月末時点で有料アカウント数は560を超えています。法人向けサービス事業として実施している「noteコンテスト」については、2022年8月末時点で68,740千円の売上を計上しております。
その結果、当第3四半期累計期間の売上高は1,729,175千円となりました。内訳は、note売上高1,354,175千円、note pro売上高223,684千円、法人向けサービス売上高84,933千円、その他売上高66,382千円です。一方、自社サービスを拡大するため人材採用やプロダクトの開発コストが先行した結果、営業損失は514,489千円、経常損失は521,829千円、四半期純損失は523,880千円となりました。
なお、当社はメディアプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第10期事業年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末より652,218千円減少し、872,084千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は、646,869千円(前事業年度は155,218千円の支出)となりました。これは主に、自社サービスを拡大するため人材採用やプロダクトの開発コストが先行した結果発生した税引前当期純損失433,474千円、「note」の流通総額の伸長などによる未収入金の増加額121,884千円、「note」のクリエイターの売上金について保管期限を設けたことによりクリエイター向けの預り金が減少したことなどによる預り金の減少額72,714千円により資金が減少したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動における資金の減少は、5,349千円(前事業年度は133,881千円の支出)となりました。これは、事業用PCなどの有形固定資産の取得による支出によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増減はありません。
④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
第10期事業年度及び第11期第3四半期累計期間における販売実績は次のとおりです。なお、当社は、メディアプラットフォーム事業の単一セグメントのためセグメント別の記載はしておりません。
セグメントの名称第10期事業年度
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
第11期第3四半期累計期間
(自 2021年12月1日
至 2022年8月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
メディアプラットフォーム事業1,884,149123.71,729,175

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
3.当社は、メディアプラットフォーム事業の単一セグメントのためセグメント別の記載はしておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの現在価値の総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、決算時点で入手可能な情報に基づき総合的に検討しておりますが、これらの見積りの前提となった情報は将来の事業計画や当社が属する市場環境の変化により変動する可能性があります。当該変動により、資産及び資産グループの回収可能価額を減少させる変化が見込まれた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りです。
なお、2020年11月期において、当社は79,290千円の減損損失を計上しております。その内容については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (損益計算書関係) ※2 減損損失」に記載しております。
(繰延税金資産)
当社は、事業計画等に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等については、繰延税金資産を計上することとしております。事業計画は、売上高予測を主要な仮定としており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が少なくとも翌事業年度以降も一定期間継続するとの仮定のもと、過去の実績も踏まえながら策定しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の事業計画や当社が属する市場環境の変化により変動する可能性があり、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.経営成績の状況の分析
第10期事業年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)
(売上高)
売上高の分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は244,441千円(前事業年度比18.5%減)となりました。これは、開発部門の人件費が主なものになりますが、業務委託の内製化によるコスト削減や一部事業の見直しによる関連費用の減少などによります。この結果、売上総利益は1,639,708千円(前事業年度比34.0%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は2,096,249千円(前事業年度比38.2%増)になりました。これは、事業拡大に伴い人員採用を積極的に行ったことによる人件費の増加、サービス拡大に伴うインフラ基盤の増強による関連費用の増加や決済手数料の増加などによります。この結果、456,540千円の営業損失(前事業年度は293,870千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、サービス拡大に伴う違約金収入の増加などにより30,594千円(前事業年度比23.7%増)となりました。営業外費用は、支払利息などにより7,527千円(前事業年度比501.8%増)となりました。この結果、433,474千円の経常損失(前事業年度は270,388千円の経常損失)となりました。
(特別損益、当期純損失)
当事業年度は特別利益及び損失は計上しておりません。また、法人税、住民税及び事業税は2,700千円となりました。
この結果、436,174千円の当期純損失(前事業年度は352,308千円の当期純損失)となりました。
第11期第3四半期累計期間(自 2021年12月1日 至 2022年8月31日)
(売上高)
売上高の分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は173,562千円となりました。これは、開発部門の人件費が主なものになりますが、業務委託の内製化によるコスト削減や一部事業の見直しなどにより関連費用が減少しております。
この結果、売上総利益は1,555,613千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は2,070,103千円となりました。これは、事業拡大に伴い人員採用を積極的に行ったことによる人件費、サービス拡大に伴うインフラ基盤の増強による関連費用や決済手数料などです。
この結果、514,489千円の営業損失となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、サービス運営に伴う違約金収入などにより8,590千円となりました。営業外費用は、上場関連費用や円安進行に伴う為替差損の発生などにより15,930千円となりました。
この結果、521,829千円の経常損失となりました。
(特別損益、四半期純損失)
当第3四半期累計期間において固定資産除却損により特別損失が25千円発生しました。また、法人税、住民税及び事業税は2,025千円となりました。
この結果、523,880千円の四半期純損失となりました。
b.財政状態の分析
財政状態の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりです。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費、プロダクトの開発費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等です。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
現預金保有高については、不確実な状況に備えるため、手元流動性は月次必要資金(80,000千円〜100,000千円)の3ヶ月分を下回らない水準を目安としており、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は872,084千円と、十分な流動性を確保しております。
また、一時的な資金の不足については、金融機関との間で500,000千円の当座貸越枠を設定しており、必要資金を適時に確保する体制を整えております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑥ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」記載の通り、当社は売上総利益を最重視するとともに、事業上の重要指標として、「note」については流通総額を、「note pro」についてはARRを設定しております。
当事業年度においては、売上総利益1,639,708千円(前事業年度比34.0%増)、「note」の流通総額8,445,089千円(前事業年度比17.0%増)、「note pro」のARR259,510千円(前事業年度比55.9%増)となりました。
前事業年度から引き続き、消費者のオンラインコンテンツに対する消費時間増加を背景に「note」のユーザー数・コンテンツ数が増加していること、「note」の成長に伴い企業からの認知度向上を背景に「note pro」の契約数が順調に拡大していることから、当事業年度において全ての指標が伸長しております。