有価証券報告書-第44期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は10,212,248千円となり、前連結会計年度末に比べ966,919千円増加いたしました。これは、のれん等の無形固定資産が302,309千円増加したことに加え、新規出店等により建物及び構築物が175,368千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は5,020,838千円となり、前連結会計年度末に比べ736,682千円増加いたしました。これは、買掛金が215,868千円増加したことに加え、未払法人税等が184,211千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益618,234千円や剰余金の配当324,245千円の計上により、利益剰余金が前連結会計年度末に比べ293,989千円増加いたしました。その結果、株主資本は前連結会計年度末に比べ298,090千円増加し、4,956,165千円となり、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ230,237千円増加し5,191,410千円となりました。なお、この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は50.8%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)における世界経済は、地政学的リスクや主要国間の通商問題、金融政策動向等を背景に、先行き不透明な状況が継続しました。各国のインフレ抑制と景気減速への警戒感が交錯する中、為替相場や資源価格は不安定に推移しております。国内では、雇用環境や賃上げの動きが見られたものの、円安やエネルギー・食料品価格の高止まりにより物価上昇圧力が続き、実質賃金の回復は鈍い状況となりました。このため、消費者の節約志向は根強く、個人消費の回復は緩やかにとどまりました。
食品製造・食品小売業界におきましては、原材料価格や物流費、人件費の上昇によるコスト負担が継続しており、企業努力による価格転嫁や生産性向上が求められる状況が続いております。一方で、消費者の価格選別志向や価値重視の購買行動は一層強まっており、商品価値の明確化やブランド力の強化、お客様との関係性構築が、持続的な成長に向けた重要な課題となっております。
そのような状況の中、当社グループは「愛と喜びのある食卓をいつまでも」というコーポレート・スローガンのもと、お客様の食卓に寄り添い、価値ある商品及びサービスの提供に注力しております。今後もお客様の声を真摯に受け止め、ニーズを起点とした商品・サービスの開発と提供を通じて、より多くの皆様に当社グループのファンとして支持していただけるよう取り組んでまいります。
当連結会計年度のB to C販売チャネルである店舗(直営・FC)に関しましては、食品価格の高騰を背景としたお客様の購買行動の変化を受け、通期で既存店のお客様数の減少が続き、売上高は前年同期比0.1%減となりました。当社グループでは、既存店のお客様数の回復を重要課題と位置付け、年間を通じて魅力ある売り場づくりに向けた売り場改革を推進しております。ECの売上高は前年同期比で5.1%減となりました。ギフト需要が前年を下回る水準で推移した一方で、自家需要は前年同期比で増加傾向となっております。公式サイトへの訪問数は安定しているものの、購買率の低下が売上に影響しました。
(注) 当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。
B to Bの販売チャネルであるホールセールに関しましては、既存の主要取引先である大手小売チェーンを中心に取引が順調に推移し、売上高は前年同期比で22.9%増となり、前年同期を大きく上回る結果となりました。グローバルでは、米国およびアジア地域において販売が堅調に推移し、売上高は前年同期比29.5%増となりました。米国においては、既存ブランドの販売が好調であったことに加え、2024年度以降に事業譲受した2ブランドの業績が寄与し、売上高の拡大に貢献いたしました。アジア地域では台湾を中心に販売が堅調に推移したほか、2025年9月に設立いたしました韓国法人により、現地での販売体制が整備されております。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高が20,600,612千円(前年同期比5.8%増)となりました。営業損益は、売上高が増加した一方で、人件費等の販売費及び一般管理費が増加したこと等の影響により、791,440千円(前年同期比5.3%減)の営業利益となりました。経常損益は、為替差益60,766千円等の営業外収益107,578千円を計上した一方で、支払利息20,396千円等の営業外費用37,967千円を計上したことにより、861,051千円(前年同期比1.9%増)の経常利益となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、税金費用223,377千円等を計上したことにより、618,234千円(前年同期比76.4%増)の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
出店政策に関しまして当社グループは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当連結会計年度におきましては、「久世福商店」業態で7店舗、「サンクゼール」業態で1店舗を新規出店した一方、「久世福商店」業態で1店舗、「サンクゼール」業態で5店舗を退店いたしました。また、「サンクゼール」業態の5店舗を「久世福商店」業態へ、「久世福商店」業態のFC加盟店1店舗を直営店に切り替えを行いました。その結果、当連結会計年度末における店舗は直営店56店舗、FC加盟店121店舗、計177店舗となりました。
当連結会計年度における業態別の店舗数は以下のとおりです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は2,311,704千円となり、前連結会計年度に比べ375,658千円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,532,821千円(前連結会計年度は247,438千円の増加)となりました。この増加は、税金等調整前当期純利益841,522千円、減価償却費374,225千円、仕入債務の増加額11,573千円、売上債権の増加額46,546千円、棚卸資産の減少額103,995千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、839,910千円(前連結会計年度は756,022千円の減少)となりました。この減少は、有形固定資産の取得による支出568,259千円、事業譲受による支出188,508千円の資金の減少が生じたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、326,184千円(前連結会計年度は244,162千円の減少)となりました。この減少は、配当金の支払324,245千円の資金の減少が生じたこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
ア.生産実績
イ.受注実績
当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ウ.販売実績
当社グループは、食品製造販売事業の単一セグメントであるため、販売チャネル別に記載しております。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
・店舗(直営・FC)
当連結会計年度における店舗(直営・FC)の売上高は13,517,154千円となり、前年同期比0.1%の減少となりました。食品価格の高騰等を背景とした購買行動の変化により、既存店のお客様数が減少したことが要因であります。一方で、お客様単価は高水準を維持しており、購買意欲の高いお客様からの支持は引き続き継続しております。このような状況を受け、当社グループでは、既存店のお客様数の回復を重要な経営課題として捉え、魅力ある売り場の実現に向けた売り場改革を進めてまいりました。店頭での売り場演出、商品開発、店舗販売力の強化を三位一体で推進することにより、来店動機の創出と購買体験の向上に取り組んでおります。これらの施策は順次全店へ展開しており、既存店の集客力回復に向けた取組みは着実に進展しております。
新規出店につきましては、「久世福商店」で7店舗(直営店5店舗、FC2店舗)、「サンクゼール」で1店舗(直営1店舗)を出店した一方、「久世福商店」で1店舗(FC1店舗)、「サンクゼール」で5店舗(直営3店舗、FC2店舗)を退店した結果、当連結会計年度末における店舗数は、直営店56店舗、FC加盟店121店舗の計177店舗となっております。
・EC
当連結会計年度におけるECの売上高は1,168,608千円となり、前年同期比で5.1%減少する結果となりました。ギフト需要は、消費行動の変化等を背景に前年を下回る水準で推移した一方、自家需要は前年同期比で増加しており、一定の回復基調が見られました。また、公式ECサイトへの訪問数は概ね安定して推移したものの、購買率が低下しており、来訪者を購買につなげる点が課題として顕在化しております。現在は、公式サイトの構成見直しや回遊性向上に取り組み、情報訴求力の強化を進めております。
・ホールセール
当連結会計年度におけるホールセールの売上高は前年同期比22.9%増の3,245,699千円となり、通期を通じて堅調に推移いたしました。主要取引先である大手小売チェーンにおいては、商品ラインナップの見直しやお客さまニーズに基づく商品開発の効果が継続的に寄与したほか、新たなカテゴリー商品の開拓が奏功し、販売力の強化と取引拡大につながりました。さらに、取引先ポートフォリオの拡大により特定取引先への依存度低減を図ることで、事業基盤の強化が着実に進んでおります。
・グローバル
当連結会計年度におけるグローバル事業は、米国およびアジア地域において販売が堅調に推移し、売上高は2,669,150千円、前年同期比29.5%増と大きく上回る結果となりました。
米国においては、既存ブランドの販売が好調であったことに加え、2024年10月に事業譲受した「Bonnie's Enterprises, LLC(以下、「Bonnie's Jams」という。)」及び2025年4月に事業譲受した「KELLY'S JELLY, INC.(以下、「KELLY'S JELLY」という。)」の業績が寄与し、売上高の拡大に貢献いたしました。また、ブランド間のクロスセルが進展したことにより、取扱商品の広がりと販売数量の増加が見られました。
アジア地域では、台湾を中心に販売が堅調に推移いたしました。また、2025年9月には、現地での販売体制構築を目的に韓国法人を設立し、アジアにおける事業基盤の強化が進みました。
以上、グローバル事業は通期を通じて高い成長率を維持し、当社グループ全体の業績に寄与する重要な成長分野となっております。なお、国別の内訳は、米国顧客への売上高が1,790,074千円、台湾顧客への売上高が705,107千円、その他の地域への売上高が173,968千円であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前年同期比5.8%増の20,600,612千円となり、すべての四半期で前年同期を上回るなど、安定的な成長を実現いたしました。この成長は、ホールセールおよびグローバルを中心とした事業ポートフォリオの転換が進んだことによるものであり、商品ラインアップの最適化と販路拡大を通じて、両チャネルでの販売促進が大きく寄与いたしました。従来の店舗依存型の収益構造から、複数チャネルによる成長モデルへのシフトが着実に進展しております。
一方で、直営及びFCを含む店舗では、物価上昇に伴う消費行動の変化の影響を受け、通期では前年をわずかに下回る結果となりました。ただし、第4四半期においては売上が前年同期を上回るなど、需要回復の兆しが確認されております。またECについては、自家需要は底堅く推移したものの、ギフト需要の減少により前年同期を下回る結果となりました。
これらを踏まえ、当社グループは今後、ホールセールおよびグローバルを中核とした成長加速に加え、店舗およびECの収益性や顧客接点の再構築を進めることで、チャネル間のシナジーを最大化し、より強固な成長基盤への進化を図ってまいります。
(売上原価、売上総利益)
売上総利益は、前年同期比8.6%増の7,365,209千円となり、売上総利益率は35.8%と、前年同期比で1ポイント改善いたしました。これは、利益率の高い商品の販売強化およびFC向け卸価格の適正化といった収益構造の見直しを継続的に推進したことによるものであり、原材料価格の上昇局面においても収益力の向上を実現いたしました。
一方で、原材料価格については、国際情勢の影響を受けた上昇圧力が引き続き存在しており、特にイラン情勢等を背景とした不確実性の高まりには留意が必要な状況です。こうした環境認識のもと、当社グループは、内製化の推進や調達構造の見直しを通じてコスト耐性を強化し、外部環境の変動に左右されにくい収益基盤の構築を図ってまいります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販管費は6,573,769千円となり、前年同期比10.6%増となりました。これは、ホールセールおよびグローバルの売上拡大に伴う販促費増加のほか、将来成長に向けた人件費や減価償却費等の増加によるものです。
一方で、輸送費が高騰する環境下においても、物流体制の見直しや内製化の推進により、通期では荷造運搬費の抑制を図りました。
この結果、営業利益は前年同期比5.3%減の791,440千円となり、売上高営業利益率は3.8%と前年同期比で0.5ポイント低下いたしました。売上高および売上総利益は増加したものの、中長期的な成長を見据えた人材体制の強化や販促投資の拡大などの先行投資が、短期的には利益を押し下げる要因となりました。
当社グループは引き続き、成長投資とコスト構造の最適化を両立させることで、中長期的な収益力の向上を図ってまいります。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
経常利益は前年同期比1.9%増の861,051千円となりました。営業外収益においては、為替変動の影響により60,766千円の為替差益を計上した一方、前年に計上していた為替差損が当期は発生しなかったことから、営業外損益が改善いたしました。これにより、営業利益は減少したものの、経常利益は前年を上回る結果となっております。
当社グループは今後も、為替をはじめとする外部環境の変動が業績に与える影響を適切に管理しつつ、事業活動による収益力の強化を図ってまいります。
(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比76.4%増の618,234千円となりました。これは主に、前期に計上したMeKEL退店による減損損失121,712千円がなくなったことによるものです。また、賃上げ促進税制の適用により、法人税、住民税及び事業税の負担が軽減されたことも、当期純利益の押し上げ要因となりました。
このように、当連結会計年度は一過性要因の剥落および税制効果により最終利益が大きく改善する結果となりましたが、当社グループとしては引き続き、本業の収益力強化を軸とした持続的な利益成長の実現を重視してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当に関しましては、年間配当総額を前事業年度における当社単体決算の当期純利益30%を目安とした金額となるように実施してまいります。
また、当社グループにおける資金需要の主なものは、原材料費・労務費・製造経費・商品仕入高・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。当社グループは必要な資金について、主に自己資金及び金融機関からの借入金により対応してまいります。
資金の流動性に関しましては、2026年3月末時点で取引金融機関5行との間で合計2,850,000千円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営上の目標の達成状況に関して、売上高営業利益率を重視して判断しております。
当連結会計年度の売上高は、ホールセール及びグローバル事業を中心に伸長し、前期比で増収となりました。また、利益率の高い商品の販売強化や販売価格の適正化等により、原材料価格の高騰の影響を受けつつも売上総利益率は改善いたしました。
一方で、中長期的な成長に向けた人材投資や販促費の増加等により販売費及び一般管理費が増加したことから、売上高営業利益率は3.8%となり、前期比で0.5ポイント低下いたしました。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に含めて記載しております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は10,212,248千円となり、前連結会計年度末に比べ966,919千円増加いたしました。これは、のれん等の無形固定資産が302,309千円増加したことに加え、新規出店等により建物及び構築物が175,368千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は5,020,838千円となり、前連結会計年度末に比べ736,682千円増加いたしました。これは、買掛金が215,868千円増加したことに加え、未払法人税等が184,211千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益618,234千円や剰余金の配当324,245千円の計上により、利益剰余金が前連結会計年度末に比べ293,989千円増加いたしました。その結果、株主資本は前連結会計年度末に比べ298,090千円増加し、4,956,165千円となり、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ230,237千円増加し5,191,410千円となりました。なお、この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は50.8%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)における世界経済は、地政学的リスクや主要国間の通商問題、金融政策動向等を背景に、先行き不透明な状況が継続しました。各国のインフレ抑制と景気減速への警戒感が交錯する中、為替相場や資源価格は不安定に推移しております。国内では、雇用環境や賃上げの動きが見られたものの、円安やエネルギー・食料品価格の高止まりにより物価上昇圧力が続き、実質賃金の回復は鈍い状況となりました。このため、消費者の節約志向は根強く、個人消費の回復は緩やかにとどまりました。
食品製造・食品小売業界におきましては、原材料価格や物流費、人件費の上昇によるコスト負担が継続しており、企業努力による価格転嫁や生産性向上が求められる状況が続いております。一方で、消費者の価格選別志向や価値重視の購買行動は一層強まっており、商品価値の明確化やブランド力の強化、お客様との関係性構築が、持続的な成長に向けた重要な課題となっております。
そのような状況の中、当社グループは「愛と喜びのある食卓をいつまでも」というコーポレート・スローガンのもと、お客様の食卓に寄り添い、価値ある商品及びサービスの提供に注力しております。今後もお客様の声を真摯に受け止め、ニーズを起点とした商品・サービスの開発と提供を通じて、より多くの皆様に当社グループのファンとして支持していただけるよう取り組んでまいります。
当連結会計年度のB to C販売チャネルである店舗(直営・FC)に関しましては、食品価格の高騰を背景としたお客様の購買行動の変化を受け、通期で既存店のお客様数の減少が続き、売上高は前年同期比0.1%減となりました。当社グループでは、既存店のお客様数の回復を重要課題と位置付け、年間を通じて魅力ある売り場づくりに向けた売り場改革を推進しております。ECの売上高は前年同期比で5.1%減となりました。ギフト需要が前年を下回る水準で推移した一方で、自家需要は前年同期比で増加傾向となっております。公式サイトへの訪問数は安定しているものの、購買率の低下が売上に影響しました。
(注) 当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。
B to Bの販売チャネルであるホールセールに関しましては、既存の主要取引先である大手小売チェーンを中心に取引が順調に推移し、売上高は前年同期比で22.9%増となり、前年同期を大きく上回る結果となりました。グローバルでは、米国およびアジア地域において販売が堅調に推移し、売上高は前年同期比29.5%増となりました。米国においては、既存ブランドの販売が好調であったことに加え、2024年度以降に事業譲受した2ブランドの業績が寄与し、売上高の拡大に貢献いたしました。アジア地域では台湾を中心に販売が堅調に推移したほか、2025年9月に設立いたしました韓国法人により、現地での販売体制が整備されております。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高が20,600,612千円(前年同期比5.8%増)となりました。営業損益は、売上高が増加した一方で、人件費等の販売費及び一般管理費が増加したこと等の影響により、791,440千円(前年同期比5.3%減)の営業利益となりました。経常損益は、為替差益60,766千円等の営業外収益107,578千円を計上した一方で、支払利息20,396千円等の営業外費用37,967千円を計上したことにより、861,051千円(前年同期比1.9%増)の経常利益となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、税金費用223,377千円等を計上したことにより、618,234千円(前年同期比76.4%増)の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
出店政策に関しまして当社グループは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当連結会計年度におきましては、「久世福商店」業態で7店舗、「サンクゼール」業態で1店舗を新規出店した一方、「久世福商店」業態で1店舗、「サンクゼール」業態で5店舗を退店いたしました。また、「サンクゼール」業態の5店舗を「久世福商店」業態へ、「久世福商店」業態のFC加盟店1店舗を直営店に切り替えを行いました。その結果、当連結会計年度末における店舗は直営店56店舗、FC加盟店121店舗、計177店舗となりました。
当連結会計年度における業態別の店舗数は以下のとおりです。
| 業態名 | 区分 | 前連結会計年度末 | 増加 | 減少 | 当連結会計年度末 |
| サンクゼール | 直営店 | 9 | 1 | 7 | 3 |
| FC加盟店 | 3 | - | 3 | - | |
| 計 | 12 | 1 | 10 | 3 | |
| 久世福商店 | 直営店 | 43 | 10 | - | 53 |
| FC加盟店 | 120 | 3 | 2 | 121 | |
| 計 | 163 | 13 | 2 | 174 | |
| 全業態合計 | 直営店 | 52 | 11 | 7 | 56 |
| FC加盟店 | 123 | 3 | 5 | 121 | |
| 計 | 175 | 14 | 12 | 177 |
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は2,311,704千円となり、前連結会計年度に比べ375,658千円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,532,821千円(前連結会計年度は247,438千円の増加)となりました。この増加は、税金等調整前当期純利益841,522千円、減価償却費374,225千円、仕入債務の増加額11,573千円、売上債権の増加額46,546千円、棚卸資産の減少額103,995千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、839,910千円(前連結会計年度は756,022千円の減少)となりました。この減少は、有形固定資産の取得による支出568,259千円、事業譲受による支出188,508千円の資金の減少が生じたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、326,184千円(前連結会計年度は244,162千円の減少)となりました。この減少は、配当金の支払324,245千円の資金の減少が生じたこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
ア.生産実績
| セグメントの名称 | 第44期連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 前期比(%) |
| 食品製造販売(千円) | 4,170,165 | △5.4 |
| 合計(千円) | 4,170,165 | △5.4 |
イ.受注実績
当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ウ.販売実績
当社グループは、食品製造販売事業の単一セグメントであるため、販売チャネル別に記載しております。
| 販売チャネル | 第44期連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 前期比 | |
| 食品製造販売 | |||
| 直営 | (千円) | 6,291,045 | +1.1% |
| FC | (千円) | 7,226,108 | △1.2% |
| EC | (千円) | 1,168,608 | △5.1% |
| ホールセール | (千円) | 3,245,699 | +22.9% |
| グローバル | (千円) | 2,669,150 | +29.5% |
| 合計 | (千円) | 20,600,612 | +5.8% |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| Costco Wholesale Corporation | 2,812,691 | 14.4 | 3,908,625 | 19.0 |
| 株式会社イートスタイル | 2,286,706 | 11.7 | 2,220,367 | 10.8 |
・店舗(直営・FC)
当連結会計年度における店舗(直営・FC)の売上高は13,517,154千円となり、前年同期比0.1%の減少となりました。食品価格の高騰等を背景とした購買行動の変化により、既存店のお客様数が減少したことが要因であります。一方で、お客様単価は高水準を維持しており、購買意欲の高いお客様からの支持は引き続き継続しております。このような状況を受け、当社グループでは、既存店のお客様数の回復を重要な経営課題として捉え、魅力ある売り場の実現に向けた売り場改革を進めてまいりました。店頭での売り場演出、商品開発、店舗販売力の強化を三位一体で推進することにより、来店動機の創出と購買体験の向上に取り組んでおります。これらの施策は順次全店へ展開しており、既存店の集客力回復に向けた取組みは着実に進展しております。
新規出店につきましては、「久世福商店」で7店舗(直営店5店舗、FC2店舗)、「サンクゼール」で1店舗(直営1店舗)を出店した一方、「久世福商店」で1店舗(FC1店舗)、「サンクゼール」で5店舗(直営3店舗、FC2店舗)を退店した結果、当連結会計年度末における店舗数は、直営店56店舗、FC加盟店121店舗の計177店舗となっております。
・EC
当連結会計年度におけるECの売上高は1,168,608千円となり、前年同期比で5.1%減少する結果となりました。ギフト需要は、消費行動の変化等を背景に前年を下回る水準で推移した一方、自家需要は前年同期比で増加しており、一定の回復基調が見られました。また、公式ECサイトへの訪問数は概ね安定して推移したものの、購買率が低下しており、来訪者を購買につなげる点が課題として顕在化しております。現在は、公式サイトの構成見直しや回遊性向上に取り組み、情報訴求力の強化を進めております。
・ホールセール
当連結会計年度におけるホールセールの売上高は前年同期比22.9%増の3,245,699千円となり、通期を通じて堅調に推移いたしました。主要取引先である大手小売チェーンにおいては、商品ラインナップの見直しやお客さまニーズに基づく商品開発の効果が継続的に寄与したほか、新たなカテゴリー商品の開拓が奏功し、販売力の強化と取引拡大につながりました。さらに、取引先ポートフォリオの拡大により特定取引先への依存度低減を図ることで、事業基盤の強化が着実に進んでおります。
・グローバル
当連結会計年度におけるグローバル事業は、米国およびアジア地域において販売が堅調に推移し、売上高は2,669,150千円、前年同期比29.5%増と大きく上回る結果となりました。
米国においては、既存ブランドの販売が好調であったことに加え、2024年10月に事業譲受した「Bonnie's Enterprises, LLC(以下、「Bonnie's Jams」という。)」及び2025年4月に事業譲受した「KELLY'S JELLY, INC.(以下、「KELLY'S JELLY」という。)」の業績が寄与し、売上高の拡大に貢献いたしました。また、ブランド間のクロスセルが進展したことにより、取扱商品の広がりと販売数量の増加が見られました。
アジア地域では、台湾を中心に販売が堅調に推移いたしました。また、2025年9月には、現地での販売体制構築を目的に韓国法人を設立し、アジアにおける事業基盤の強化が進みました。
以上、グローバル事業は通期を通じて高い成長率を維持し、当社グループ全体の業績に寄与する重要な成長分野となっております。なお、国別の内訳は、米国顧客への売上高が1,790,074千円、台湾顧客への売上高が705,107千円、その他の地域への売上高が173,968千円であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前年同期比5.8%増の20,600,612千円となり、すべての四半期で前年同期を上回るなど、安定的な成長を実現いたしました。この成長は、ホールセールおよびグローバルを中心とした事業ポートフォリオの転換が進んだことによるものであり、商品ラインアップの最適化と販路拡大を通じて、両チャネルでの販売促進が大きく寄与いたしました。従来の店舗依存型の収益構造から、複数チャネルによる成長モデルへのシフトが着実に進展しております。
一方で、直営及びFCを含む店舗では、物価上昇に伴う消費行動の変化の影響を受け、通期では前年をわずかに下回る結果となりました。ただし、第4四半期においては売上が前年同期を上回るなど、需要回復の兆しが確認されております。またECについては、自家需要は底堅く推移したものの、ギフト需要の減少により前年同期を下回る結果となりました。
これらを踏まえ、当社グループは今後、ホールセールおよびグローバルを中核とした成長加速に加え、店舗およびECの収益性や顧客接点の再構築を進めることで、チャネル間のシナジーを最大化し、より強固な成長基盤への進化を図ってまいります。
(売上原価、売上総利益)
売上総利益は、前年同期比8.6%増の7,365,209千円となり、売上総利益率は35.8%と、前年同期比で1ポイント改善いたしました。これは、利益率の高い商品の販売強化およびFC向け卸価格の適正化といった収益構造の見直しを継続的に推進したことによるものであり、原材料価格の上昇局面においても収益力の向上を実現いたしました。
一方で、原材料価格については、国際情勢の影響を受けた上昇圧力が引き続き存在しており、特にイラン情勢等を背景とした不確実性の高まりには留意が必要な状況です。こうした環境認識のもと、当社グループは、内製化の推進や調達構造の見直しを通じてコスト耐性を強化し、外部環境の変動に左右されにくい収益基盤の構築を図ってまいります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販管費は6,573,769千円となり、前年同期比10.6%増となりました。これは、ホールセールおよびグローバルの売上拡大に伴う販促費増加のほか、将来成長に向けた人件費や減価償却費等の増加によるものです。
一方で、輸送費が高騰する環境下においても、物流体制の見直しや内製化の推進により、通期では荷造運搬費の抑制を図りました。
この結果、営業利益は前年同期比5.3%減の791,440千円となり、売上高営業利益率は3.8%と前年同期比で0.5ポイント低下いたしました。売上高および売上総利益は増加したものの、中長期的な成長を見据えた人材体制の強化や販促投資の拡大などの先行投資が、短期的には利益を押し下げる要因となりました。
当社グループは引き続き、成長投資とコスト構造の最適化を両立させることで、中長期的な収益力の向上を図ってまいります。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
経常利益は前年同期比1.9%増の861,051千円となりました。営業外収益においては、為替変動の影響により60,766千円の為替差益を計上した一方、前年に計上していた為替差損が当期は発生しなかったことから、営業外損益が改善いたしました。これにより、営業利益は減少したものの、経常利益は前年を上回る結果となっております。
当社グループは今後も、為替をはじめとする外部環境の変動が業績に与える影響を適切に管理しつつ、事業活動による収益力の強化を図ってまいります。
(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比76.4%増の618,234千円となりました。これは主に、前期に計上したMeKEL退店による減損損失121,712千円がなくなったことによるものです。また、賃上げ促進税制の適用により、法人税、住民税及び事業税の負担が軽減されたことも、当期純利益の押し上げ要因となりました。
このように、当連結会計年度は一過性要因の剥落および税制効果により最終利益が大きく改善する結果となりましたが、当社グループとしては引き続き、本業の収益力強化を軸とした持続的な利益成長の実現を重視してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当に関しましては、年間配当総額を前事業年度における当社単体決算の当期純利益30%を目安とした金額となるように実施してまいります。
また、当社グループにおける資金需要の主なものは、原材料費・労務費・製造経費・商品仕入高・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。当社グループは必要な資金について、主に自己資金及び金融機関からの借入金により対応してまいります。
資金の流動性に関しましては、2026年3月末時点で取引金融機関5行との間で合計2,850,000千円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営上の目標の達成状況に関して、売上高営業利益率を重視して判断しております。
当連結会計年度の売上高は、ホールセール及びグローバル事業を中心に伸長し、前期比で増収となりました。また、利益率の高い商品の販売強化や販売価格の適正化等により、原材料価格の高騰の影響を受けつつも売上総利益率は改善いたしました。
一方で、中長期的な成長に向けた人材投資や販促費の増加等により販売費及び一般管理費が増加したことから、売上高営業利益率は3.8%となり、前期比で0.5ポイント低下いたしました。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に含めて記載しております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。