有価証券届出書(新規公開時)

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2022/11/17 15:00
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(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第40期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は6,464,452千円となり、前連結会計年度末に比べ1,016,028千円増加いたしました。これは、売上高の増加に伴い売掛金が374,292千円、商品及び製品が297,674千円、原材料及び貯蔵品が180,742千円それぞれ増加したことに加え、Bokksu, Inc.に対する出資を実行したことにより投資有価証券(投資その他の資産「その他」)が183,584千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は5,108,670千円となり、前連結会計年度末に比べ14,028千円増加いたしました。これは、長期借入金が602,652千円減少するなど、借入金の返済が進む一方で、仕入の増加により支払手形及び買掛金が259,941千円増加し、利益の増加に伴う課税所得の増加により未払法人税等が197,182千円増加するなど、主に営業活動に関連する負債が増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益939,053千円の計上によって利益剰余金が同額増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,001,999千円増加し、1,355,782千円となりました。その結果、自己資本比率は20.9%となりました。
第41期第2四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
(資産)
当第2四半期連結会計期間末の総資産は6,655,184千円となり、前連結会計年度末に比べ190,731千円増加いたしました。これは、商品及び製品が174,225千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債は4,966,841千円となり、前連結会計年度に比べ141,828千円減少いたしました。これは、支払手形及び買掛金が202,312千円、法人税等の支払により未払法人税等が103,130千円、約定弁済が進み長期借入金が261,324千円、それぞれ減少した一方で、法人税等の支払に充当すること等を目的に短期借入金が469,909千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、利益剰余金を原資とする剰余金の配当267,400千円を実施しましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益461,866千円の計上によって利益剰余金は前連結会計年度末から194,507千円増加し、1,097,567千円となりました。また、為替相場が円安に推移した影響で、為替換算調整勘定は前連結会計年度末から110,326千円増加し、134,484千円となりました。以上の結果、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ332,560千円増加し、1,688,342千円となりました。その結果、自己資本比率は25.3%となりました。
② 経営成績の状況
第40期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウィルス感染症(以下、「コロナ」)による影響が徐々に緩和され、ワクチン接種などの対策が進んだ結果、持ち直しの動きが見られましたが、コロナ変異株の流行により感染再拡大と収束を繰り返しており、依然として不透明な状況が続いております。
このような状況にある中、食品小売業界においては、コロナ禍を通して自宅での食事の機会が増えており、家庭における食料品に対する支出は、比較的安定して推移しております。一方、地政学的リスクやサプライチェーンを巡る問題に起因した資源価格の上昇や原材料価格の上昇によって、業界全体の収益性を押し下げる状況が続いております。また、企業のみならず、小売物価の上昇が消費者に与える影響も拡大しつつあることから、今後の消費動向が不安視される状況にあります。
当社グループにおきましては、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき、お客様のニーズに合った商品を素早く開発、製造、販売することに徹底して取り組んでおります。2021年1月よりビジネスユニット制組織に移行し、ビジネスユニットごとにお客様のニーズを把握・分析した結果を新商品の開発、販促施策の立案につなげる体制を採用することで、組織全体でマーケティングを強化しております。また、マーケティング強化の施策として、2021年4月より久世福・サンクゼール公式アプリをリリースし、会員登録くださったお客様のオンラインとオフラインでの購買履歴に基づき、個々のお客様に適した商品提案を行うなど、今後のさらなる顧客体験価値の向上につなげております。2021年10月には、米国で食品のECプラットフォームを展開するBokksu, Inc.へ出資するとともに業務提携契約を締結いたしました。今後、同社のEC事業から得られるマーケティングデータを活用して、米国の主要顧客層のニーズに合った商品を開発、販売するなど、グローバル事業の拡大を目指します。
当連結会計年度のサービス別の業績は、B to Cの販売チャネルである店舗(直営及びFC)につきましては、期を通して既存店(注)の客単価が前年同期を上回って推移しており、売上高は堅調に推移いたしました。2021年11月に「久世福商店 三井アウトレットパーク入間店」、同年12月に「サンクゼール 三井アウトレットパーク滋賀竜王店」の2つのアウトレットモールへ出店し、いずれの店舗も開店後の売上は好調に推移しております。ECにつきましては、母の日や父の日といったイベントのタイミングに合わせて開発したギフト商品の売上が伸長し、その後、お歳暮用ギフトの販売など引き続きギフト販売が堅調に推移した結果、コロナ禍で大きく売上を伸ばした前年同期をさらに上回る売上高を記録しております。B to Bの販売チャネルであるホールセールにつきましては、大手小売チェーンとの取引が継続して拡大しております。また、グローバルにつきましては、主な販売先国である米国における売上が減少する一方、新たに台湾の大手小売チェーンとの取引が開始したことで、米国以外の地域での売上が伸びております。
(注)当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、前年同期に多くの店舗が休業となっていたことの反動も加わって、売上高は14,165,059千円(前年同期比130.4%)となりました。営業損益は、売上高が増加したことに加え、固定費の削減による収益性の改善を進めたことにより、1,316,454千円の営業利益(前年同期比313.8%)となりました。経常損益は、助成金収入39,259千円などの営業外収益53,438千円を計上した一方で、支払利息35,263千円などの営業外費用47,380千円を計上したことにより、1,322,512千円の経常利益(前年同期比228.7%)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用382,962千円を計上したことにより、939,053千円(前年同期比349.6%)となりました。
出店政策に関しましては、当社グループでは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当連結会計年度末におきましては、「サンクゼール」業態で1店舗及び「久世福商店」業態で10店舗を新規出店する一方で、「サンクゼール」業態で2店舗及び「久世福商店」業態で2店舗を退店いたしました。また、「久世福商店」業態の3店舗をFC加盟店から直営店へ運営主体の切り替えを行っており、下表において直営店の増加とFC加盟店の減少それぞれに含めて記載しております。その結果、当連結会計年度末における店舗は直営店53店舗、FC加盟店94店舗、計147店舗となりました。
当連結会計年度末における業態別の店舗数は以下の通りです。FC加盟店から直営店へ運営主体の切り替えを行った店舗については、FC加盟店の減少と直営店の増加に含めて集計しております。
業態名区分前連結会計
年度末
増加減少当連結会計年度末
サンクゼール直営店111111
FC加盟店5-14
161215
久世福商店直営店394142
FC加盟店859490
124135132
全業態合計直営店505253
FC加盟店909594
140147147

第41期第2四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)における我が国経済は、新型コロナウィルス感染症(以下、「コロナ」という。)による影響が落ち着き始めており、徐々に経済活動が正常化に向かう動きが見られました。しかし一方で、世界経済の混乱により、各国において資源価格や原料価格の高騰、物流の停滞等による物価高騰の影響が生じており、また、日本国内においては、急激な円安が物価高騰に拍車をかけており、今後の消費低迷が懸念される状況にあります。
このような状況において、食品製造及び食品小売業界においては、資源価格高騰や円安による原材料及び商品調達価格の上昇並びに輸出入に係るサプライチェーンの混乱、さらに人手不足による人件費の上昇などの影響が業界全体の収益性を押し下げる状況が続いています。
当社グループにおきましては、「愛と喜びのある食卓をいつまでも」のコーポレートスローガンの下、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しており、当中期経営計画に基づき、昨年から強化しているマーケティングや商品開発をさらに強化していくとともに、商品開発から販売に至るサイクルの高速化を徹底し、お客様のニーズに合った商品を素早く開発、製造、販売することで、お客様にとって価値のある商品を提供していくことに、より一層注力して取り組んでまいりました。また、高い成長が期待されるグローバル市場において、お客様の当社グループのブランド認知度を高めて売上を伸ばしていくとともに、新たな事業の柱になる新規事業の開発にも積極的に取り組んでまいりました。
当第2四半期連結累計期間におきましては、資源価格や原料価格の高騰及び急激な円安等の影響を受けて、やむを得ず9月に一部商品について値上げを実施いたしました。お客様にとって価値のある商品を提供することを第一とし、引き続きマーケティングの強化によるお客様のニーズの探索と商品開発の強化に取り組んでまいります。
サービス別の業績は、B to Cの販売チャネルである店舗(直営及びFC)につきましては、9月に実施した商品値上げによる客数減少の影響は軽微にとどまる一方で、天候による影響として、夏場の酷暑や9月連休期間中の台風の影響などが一部の期間で客数減少の要因となりました。しかし、当社公式アプリ会員のデータから把握したお客様のニーズを商品開発・販売促進施策へとつなげていくことを継続的に実行し、当第2四半期連結累計期間全体の既存店客数・客単価は前年同期を上回って、堅調に推移いたしました。ECにつきましては、引き続きお客様からギフト用途として当社商品に対する高い支持をいただいており、当第2四半期連結累計期間においては、当社公式ECサイトでメッセージカード添付機能を導入するなど、ギフト用途のさらなる利便性向上に努めました。その結果、食品ギフトブランドとしての認知度の高まりとともに、前年同期比で売上高を伸長しました。B to Bの販売チャネルであるホールセールにつきましては、当第2四半期連結累計期間において大手小売チェーンとの取引が継続して拡大しており、前連結会計年度の途中で採用された商品のその後の売上も堅調に推移しており、前年同期比で売上を伸ばしました。また、グローバルにつきましては、米国及び台湾における大手小売チェーンに対する販売が伸びたことに加え、米国での新規顧客の開拓が進捗し、商品価格帯がミドル~ハイエンドの食品スーパーを中心に、複数の商品を当社オリジナルの棚什器とともに納品し、当社ブランドの世界観を表現した中で商品を販売する施策が奏功し、新規顧客の開拓と既存顧客との取引拡大につながりました。以上の結果、米国及び台湾での売上高が増加したことにより、前年同期比で売上高が伸長しました。
(注)当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。
なお、当社グループのみならず、当社グループを取り巻く社会全体が長期的に持続可能なものになるように、当社グループが定めるサステナビリティ重点項目に従い、サステナビリティ経営に注力しております。サステナビリティ経営を推進する取り組みとして、2022年4月より当社飯綱本社(長野県上水内郡飯綱町)の食品製造工場及び関連施設において使用する電力の一部を、中部電力ミライズ株式会社が提供するCO2フリー電気「Greenでんき」へ切り替えました。また、2022年6月より国立大学法人信州大学の井田秀行教授の協力を得て、当社信濃町センター(長野県上水内郡信濃町)エリアの森を保護及び活性化することを目的としたプロジェクトを開始いたしました。これらの取り組みも含め、今後も持続可能で豊かな社会の実現のために、積極的に取り組んでまいります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における連結業績は、売上高が8,127,233千円となりました。営業損益は、主として売上高が増加したことに伴い、667,960千円の営業利益となりました。経常損益は、為替差益16,822千円などの営業外収益38,118千円を計上した一方で、支払利息17,976千円などの営業外費用21,253千円を計上したことにより、684,824千円の経常利益となりました。親会社株主に帰属する四半期純損益は、税金費用231,590千円を計上したことにより、461,866千円の親会社株主に帰属する四半期純利益となりました。
出店政策に関しましては、当社グループでは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当第2四半期連結累計期間におきましては、「久世福商店」業態で4店舗を新規出店いたしました。また、「久世福商店」業態の1店舗を直営店からFC加盟店へ運営主体の切り替えを行いました。その結果、当第2四半期連結累計期間末における店舗は直営店52店舗、FC加盟店99店舗、計151店舗となりました。
当第2四半期連結累計期間における業態別の店舗数は以下の通りです。直営店からFC加盟店へ運営主体の切り替えを行った店舗については、直営店の減少とFC加盟店の増加に含めて集計しております。
業態名区分前連結会計
年度末
増加減少当第2四半期連結会計期間末
サンクゼール直営店11--11
FC加盟店4--4
15--15
久世福商店直営店42-141
FC加盟店905-95
13251136
全業態合計直営店53-152
FC加盟店945-99
14751151

③ キャッシュ・フローの状況
第40期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は145,768千円減少し1,249,371千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度におきましては、税金等調整前当期純利益1,322,512千円を計上したことに加えて、売上高の増加に伴い棚卸資産が473,340千円増加したこと等の要因により、営業活動のキャッシュ・フローは983,799千円の収入(前連結会計年度は1,051,816千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、直営店の出店等に伴う有形固定資産の取得による支出が267,891千円(前連結会計年度は210,047千円)となったことに加え、Bokksu, Inc.の第三者割当増資の引受に伴う投資有価証券の取得による支出が171,614千円、退店に伴う資産除去債務の履行による支出が24,308千円生じたこと等の要因により、510,081千円の支出(前連結会計年度は6,285千円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が611,092千円発生したこと等の要因により、640,617千円の支出(前連結会計年度は596,273千円の支出)となりました。
第41期第2四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の残高は167,352千円減少し1,082,019千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、99,305千円となりました。この増加は、税金等調整前四半期純利益693,598千円、減価償却費111,479千円、仕入債務の減少額300,094千円、棚卸資産の増加額143,313千円、法人税等の支払額328,298千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、166,057千円となりました。この減少は、有形固定資産の取得による支出134,137千円、投資有価証券の取得による支出30,471千円等の資金の減少が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、130,757千円となりました。この減少は、短期借入金の純増減額が400,000千円増加、長期借入金の返済による支出248,628千円、配当金の支払額267,400千円等の資金の減少が生じたことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
セグメントの名称第40期連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前期比(%)
食品製造販売(千円)2,587,278165.8
合計(千円)2,587,278165.8

b. 受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当社グループは、食品製造販売事業の単一セグメントであるため、販売チャネル別に記載しております。
販売チャネル第40期連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前期比(%)
食品製造販売
直営(千円)5,458,616115.5
FC(千円)5,073,624141.1
EC(千円)909,209125.4
ホールセール(千円)2,359,977183.4
グローバル(千円)363,63169.2
合計(千円)14,165,059130.4

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Costco Wholesale Corporation1,077,8609.91,865,73813.2


・直営
当連結会計年度における直営店の既存店客数及び客単価は前年同期を上回って堅調に推移いたしました。また、前連結会計年度においては、2020年4月から5月にかけて1回目の緊急事態宣言が発令され、多くの店舗が休業となっていたため、その反動が売上増加要因となっております。また、前連結会計年度において、新型コロナウィルス感染症の影響を大きく受け、収益性が大きく毀損した店舗の退店を進めましたが、あわせて新規出店を進めたことにより当連結会計年度末の直営店店舗数は前連結会計年度末に比べて3店舗増加し、売上増加要因となっております。これらの影響により、当連結会計年度における直営に係る売上高は5,458,616千円(前年同期比115.5%)となりました。
・FC
当連結会計年度におけるFC加盟店の既存店客数及び客単価は前年同期を上回って堅調に推移いたしました。直営店と同様に、前連結会計年度の一部期間において多くの店舗が休業となっていた反動により、売上が大きく増加いたしました。また、当連結会計年度末のFC加盟店店舗数は、前連結会計年度末に比べて4店舗増加いたしました。その結果、FCに係る売上高は5,073,624千円(前年同期比141.1%)となりました。
・EC
当連結会計年度においてもECの利用者数が継続して増加したことにより、売上は堅調に推移いたしました。その結果、ECに係る売上高は909,209千円(前年同期比125.4%)となりました。
・ホールセール
当連結会計年度におきましては、自宅での食事の機会が増加していること等を背景に、ホールセール用に開発したお得感のある大容量商品が消費者の需要にマッチしたことにより、大手小売りチェーンに対する売上が大幅に増加いたしました。その結果、ホールセールに係る売上高は2,359,977千円(前年同期比183.4%)となりました。
・グローバル
当連結会計年度におきましては、前連結会計年度に米国の大口得意先に対する売上が急増したことの反動を受け、米国における売上高は減少いたしましたが、新たに台湾の大手小売チェーンに対する販売が開始され、米国以外の地域における売上高は増加いたしました。以上の結果、グローバルに係る売上高は363,631千円(前年同期比69.2%)となりました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
第40期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、14,165,059千円(前年同期比130.4%)となりました。前連結会計年度は、新型コロナウィルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大により、第1四半期で多くの直営・FC店舗が休業を余儀なくされ、また、第2四半期以降ではコロナの感染拡大で業績が大きく悪化した店舗からの戦略的撤退を実行いたしました。前連結会計年度の後半からは大規模な店舗休業は発生せず、またコロナ禍における巣ごもり需要の高まりが当社商品に対する需要の増加につながったことで、業績が回復基調となりました。当連結会計年度に入ってからは、新たに会員アプリを導入し、既存顧客のロイヤル顧客化を目的とするマーケティング施策を展開したことで、店舗やECの売上高はさらに伸びております。既存店(注)の売上高は、前連結会計年度と比較して123.1%となり、その内訳は、客数が115.1%、客単価が106.9%と、客数と客単価のいずれも伸びている理想的な状況にあると認識しております。以上の結果、直営店に係る売上高は5,458,616千円(前年同期比115.5%)、FCに係る売上高は5,073,624千円(前年同期比141.1%)、ECに係る売上高は909,209千円(前年同期比125.4%)となりました。
(注)当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。
ホールセールに係る売上高は、2,359,977千円(前年同期比183.4%)と前年同期比で売上が大きく伸びております。これは、コロナ禍で家庭での食事の機会が増えたことで、家庭の食事を充実させたいというニーズから、当社商品に対する支持が高まっていると分析しております。当連結会計年度における売上高の大幅な増加の主要因は、当社主要顧客である大手小売チェーンでの採用商品点数が増加したことにあります。現在採用済の商品はいずれも好調な売上を記録しており、そこに今後提案していく新商品が加わることで、ホールセールに係る売上高はさらに伸びる余地があると考えております。
グローバルに係る売上高は、363,631千円(前年同期比69.2%)と前連結会計年度に比べて減少しました。顧客別に見ると、前連結会計年度は米国の大手小売チェーン1社に売上が集中し、その結果、当該小売りチェーンにおける採用商品点数の減少が当連結会計年度の売上高減少の主要因となっております。しかし、その他の顧客に関しては、新規・既存とも売上高が増加傾向にあります。特に米国においては、中堅規模のスーパーマーケットや米国内のECプラットフォーマーを中心に当社グループ商品の採用実績が増えており、顧客ネットワークは拡大傾向にあり、中長期的な成長に向けた準備段階にあると認識しております。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、8,384,034千円(前年同期比130.9%)となりました。
売上総利益率は、40.8%と前年同期比で0.2ポイント低下いたしました。これは、売上総利益率が相対的に低いFC及びホールセールの売上構成比が伸びたことによるものであります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、4,464,570千円(前年同期比110.6%)となりました。その結果、当連結会計年度の営業利益は、1,316,454千円(前年同期比313.8%)となり、売上高営業利益率は、9.3%と前年同期比で5.4ポイント改善いたしました。前連結会計年度に収益性の低い店舗の退店を進めたことにより、固定費が減少し損益分岐点を下げることができたため、売上高の増加によって利益改善が進み、営業利益率の改善につながっております。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、主に助成金収入39,259千円を計上したことにより、53,438千円(前年同期比24.2%)となりました。また、当連結会計年度の営業外費用は、主に支払利息35,263千円を計上したことにより、47,380千円(前年同期比76.5%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は1,322,512千円(前年同期比228.7%)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、特別利益及び特別損失は計上しておりません。前連結会計年度以前においては、主に直営店舗設備に関する減損損失を継続的に計上しておりましたが、現在は全ての店舗で業績が好調に推移しており、2022年3月期末時点で減損の兆候を有する店舗資産グループはありません。
以上に加えて、法人税、住民税及び事業税374,493千円、法人税等調整額(借方)8,469千円、非支配株主に帰属する当期純利益496千円をそれぞれ計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は939,053千円(前年同期比349.6%)となりました。
第41期第2四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間における連結業績は、売上高が8,127,233千円となりました。営業損益は主として売上高が増加したことに伴い667,960千円の営業利益となりました。経常損益は為替差益16,822千円などの営業外収益38,118千円を計上した一方で、支払利息17,976千円などの営業外費用21,253千円を計上したことにより、684,824千円の経常利益となりました。親会社株主に帰属する四半期純損益は、税金費用231,590千円を計上したことにより、461,866千円の親会社株主に帰属する四半期純利益となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当に関して、年間配当総額を前事業年度における当社単体決算上の当期純利益の30%を目安とした金額になるように実施してまいります。
また、当社における資金需要の主なものは、原材料費・労務費・製造経費・商品仕入高・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。当社は必要な資金については、主として自己資金及び金融機関からの借入金により対応してまいります。
資金の流動性に関しましては、2022年3月末時点で取引金融機関6行との間で合計1,450,000千円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営上の目標の達成状況を売上高営業利益率を重視して判断しております。
第40期連結会計年度は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大による店舗客数の減少など事業に与える影響は前連結会計年度に比べて小さくなり、その一方で自宅での食事機会の増加や対面できない代わりにギフトを贈る慣習の定着とともに、そのようなお客様が抱えるニーズに対して、当社商品の特徴が合致したことで、グローバルを除く全ての販売チャネルで売上高が増加する結果となりました。
その結果、第40期連結会計年度の売上高営業利益率は、9.3%となり、前年同期比で5.4ポイント増加しております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。