訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/12/07 15:00
【資料】
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【項目】
138項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社は、第8期第2四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。
① 経営成績の状況
第8期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当事業年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、断続的な緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用の影響等により、依然として先行きは不透明な状況にあります。当社を取り巻く市場環境についても、感染状況の沈静化により一時的な回復傾向も見られましたが、新たな変異株の世界的な感染拡大もあり、企業活動の制限が繰り返される等、感染拡大防止と経済活動の活発化へのバランスが取れない中、依然として影響が継続しております。
このような環境の中、対人接触業種として宿泊業や飲食業、娯楽業などの需要は低調に推移する一方で、企業の働き方改革が進み、テレワークやリモートワークが常態化し、ワークスペースとして柔軟かつ多様な空きスペースを利活用する需要は堅調に推移しました。当社が運営しているレンタルスペースのマッチングプラットフォーム「インスタベース」においては、テレワークやリモートワークのみならず各種イベント、パーティー、撮影等、柔軟かつ多様な空きスペースを利活用する需要が見られました。
このような状況下において、「インスタベース」では、各スペースにおける新型コロナウイルス感染症対策に関する記載の掲出、スペースページのリニューアル、新たなスペース利用ニーズに合わせた集客施策の実施、宿泊施設やリモートワークブースの掲載、1日単位でのレンタル可能な予約機能の提供開始など、利用者ニーズの変化に対応したスペースの獲得や機能の充実、UI/UXの改善などを継続的に行ない、利便性向上及び集客力向上を図ってまいりました。また、利用者・掲載者からの改善要望を定量的に計測してサービス改善や最適化につなげる施策を実施し、サービスの品質向上に努めてまいりました。
その結果、当事業年度においては、当社の重要指標である「インスタベース」の実利用総額は2,783百万円(前期1,500百万円)、実利用数は686千件(前期354千件)、掲載スペース数は18,986件(前期11,029件)となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は890,244千円(前期比87.1%増)、営業利益は211,618千円(前期比95.3%増)、経常利益は211,177千円(前期比85.5%増)、当期純利益は139,745千円(前期比54.6%増)となりました。
なお、当社は、マッチングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第9期第2四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
当第2四半期累計期間(2022年4月1日〜2022年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の浸透と行動制限の緩和により、個人消費に持ち直しの動きが見られましたが、長期化するロシア・ウクライナ情勢、米国金利上昇による日米金利差拡大に伴う為替相場の急激な円安の進行、原材料価格やエネルギー価格等の高騰が続き、景気後退リスクが高まる中、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の中、対個人サービスや宿泊・飲食サービスでは、経済活動の正常化の進展に加え、「全国旅行支援」による旅行需要の回復の後押しや、水際対策の緩和によるインバウンド回復への期待感から改善の兆しが出ております。新型コロナウイルス感染症の影響がきっかけとなったテレワークは常態化し、ワークスペースとして柔軟かつ多様な空きスペースを利活用する需要は堅調に推移しました。
当社が運営しているレンタルスペースのマッチングプラットフォーム「インスタベース」においては、テレワークやリモートワークのみならずワクチン接種率の高まりや行動制限緩和により各種イベント、パーティー、撮影等、柔軟かつ多様な空きスペースを利活用する需要が見られました。
このような状況下において、「インスタベース」では、新たな宿泊施設(旅館業)や個室型ワークブースの掲載開始、大手不動産会社との連携、利用者向けキャンペーン企画の積極展開、各種IoTサービスとの連携、スペース利用時の飲食プランの提供、スペースの在庫管理機能の導入、決済手段の拡充など、利用者ニーズの変化に対応したスペースの獲得や施策の実施、掲載者の安全かつ効率的な運営管理の実現、UI/UX(※)の改善などを継続的に行ない、利便性向上及び集客力向上を図ってまいりました。
その結果、当事業年度においては、当社の重要指標である「インスタベース」の実利用総額は1,640百万円(前期1,279百万円)、実利用数は406千件(前期326千件)、掲載スペース数は24,466件(前期14,077件)となりました。
以上の結果、当第2四半期累計期間における売上高は516,297千円、営業利益は114,109千円、経常利益は113,378千円、四半期純利益は73,868千円となりました。
② 財政状態の状況
第8期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(資産の部)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ142,648千円増加し、641,662千円となりました。これは主に、当期純利益の増加及び借入金の増加による現金及び預金の増加が128,818千円、売上高増加に伴う売掛金の増加が18,920千円あったことによるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べ129,484千円増加し、154,619千円となりました。これは主に、「インスタベース」の新規機能等の開発によりソフトウエアを計上したこと等に伴う無形固定資産の増加が30,222千円、本社移転及び新規事業検討のための有形固定資産の増加が52,991千円、敷金差入保証金の増加が41,440千円、繰延税金資産の増加が5,363千円あったことによるものです。
この結果、当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ272,133千円増加し、796,282千円となりました。
(負債の部)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて142,383千円増加し、308,192千円となりました。これは主に、事業拡大に伴う販管費の増加や本社移転に伴う工事費用等により未払金の増加が89,389千円、「インスタベース」の事業拡大に伴うスペース掲載者への支払予定額増加により預り金の増加が14,221千円、税引前当期利益が増加したことに伴い未払法人税等の増加が20,373千円あったことによるものです。
固定負債は、前事業年度末と比べて9,996千円減少し、75,010千円となりました。これは、長期借入金を返済したことによるものです。
この結果、当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ132,387千円増加し、383,202千円となりました。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて139,745千円増加し、413,079千円となりました。これは、当期純利益の増加による利益剰余金の増加139,745千円によるものです。
第9期第2四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
(資産の部)
当第2四半期会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べ94,766千円減少し、546,896千円となりました。これは主に、借入金の返済等により現金及び預金の減少が93,113千円あったことによるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べ432千円増加し、155,051千円となりました。これは主に、「インスタベース」の新規機能等の開発によりソフトウエアを計上したこと等に伴う無形固定資産の増加が13,400千円、減価償却等による有形固定資産の減少が2,668千円あったことによるものです。
この結果、当第2四半期会計期間末における資産合計は、前事業年度末に比べ94,334千円減少し、701,947千円となりました。
(負債の部)
当第2四半期会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べて93,192千円減少し、215,000千円となりました。これは主に、「インスタベース」の事業拡大に伴うスペース掲載者への支払予定額増加による預り金の増加が26,720千円、本社移転費用の支払及び賞与の支払等による未払金の減少が62,087千円、返済による短期借入金の減少が12,470千円及び1年内返済予定の長期借入金の減少が9,996千円、法人税等の納付による未払法人税等の減少が22,771千円あったことによるものです。
固定負債は、前事業年度末と比べて75,010千円減少し、残高はありません。これは、長期借入金を返済したことによるものです。
この結果、当第2四半期会計期間末における負債合計は、前事業年度末に比べ168,202千円減少し、215,000千円となりました。
(純資産の部)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べて73,868千円増加し、486,947千円となりました。これは、四半期純利益の増加による利益剰余金の増加73,868千円によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
第8期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて、128,818千円増加し、553,476千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果として得られた資金は249,472千円(前期は54,869千円の獲得)となりました。これは主として、税引前当期純利益206,522千円(前年同期比92,670千円増加)、売上債権の増加額18,920千円(前年同期比5,994千円減少)、未払金の増加額77,332千円(前年同期比72,996千円増加)及び法人税等の支払額51,767千円(前年同期比30,614千円増加)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果として使用した資金は121,748千円(前期は4,761千円の使用)となりました。これは主として、敷金及び保証金の差入による支出44,135千円(前年同期比42,666千円増加)、有形固定資産の取得による支出46,168千円(前年同期比42,875千円増加)及び無形固定資産の取得による支出31,444千円(前年同期比31,444千円増加)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果として得られた資金は1,094千円(前期は90,862千円の獲得)となりました。これは主として、短期借入金の純増加額12,470千円(前年同期比12,470千円増加)、長期借入金の返済による支出11,376千円(前年同期比2,238千円増加)によるものです。
第9期第2四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて、93,113千円減少し、460,362千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における営業活動による資金の増加は、36,089千円となりました。これは主として、税引前四半期純利益113,378千円、預り金の増加額26,720千円、未払金の減少額51,922千円及び法人税等の支払額55,172千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における投資活動による資金の減少は、31,726千円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出14,530千円及び無形固定資産の取得による支出17,196千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における財務活動による資金の減少は、97,476千円となりました。これは、短期借入金の純減少額12,470千円及び長期借入金の返済による支出85,006千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
イ.生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
ロ.受注実績
当社の事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
ハ.販売実績
第8期事業年度及び第9期第2四半期累計期間の販売実績において、当社の事業別の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社は、マッチングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
事業の名称第8期事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
第9期第2四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
マッチングプラットフォーム事業890,244187.1516,297

(注) 第8期事業年度及び第9期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況1財務諸表等(1)財務諸表注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況1財務諸表等(1)財務諸表注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
なお、財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産の減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。固定資産における回収可能価額の評価の前提条件は、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異については、繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第8期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(売上高)
当事業年度における売上高は、インスタベースにおける実利用総額・実利用数・掲載スペース数がそれぞれ堅調に増加したことにより、890,244千円(前期比87.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ295,871千円増加し、660,177千円となりました。これは主に、「インスタベース」の新規顧客の獲得を目的とした広告出稿の増加に伴い広告宣伝費が71,940千円、「インスタベース」の実利用総額の増加による決済代行会社に対する決済手数料の増加に伴い支払手数料が70,853千円、事業拡大に伴う人員増加により給料及び手当が22,094千円、業績拡大に伴う従業員に対する賞与が24,500千円、内部管理体制の充実を図るための役員増員に伴い役員報酬が17,858千円増加したことによるものです。
この結果、営業利益は211,618千円(前期比95.3%増)となりました。
(営業外損益、経常利益、当期純利益)
当事業年度における営業外損益は、営業外収益が前事業年度に比べ5,493千円減少し、60千円となりました。また、営業外費用は、前事業年度に比べ447千円増加し、501千円となりました。
この結果、経常利益は211,177千円(前期比85.5%増)、当期純利益は139,745千円(前期比54.6%増)となりました。
第9期第2四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
(売上高)
当事業年度における売上高は、インスタベースにおける実利用総額・実利用数・掲載スペース数がそれぞれ堅調に増加したことにより、516,297千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、390,682千円となりました。これは主に、「インスタベース」における決済代行事業者に対する決済手数料等による支払手数料が72,654千円、「インスタベース」の新規顧客の獲得を目的とした広告出稿等よる広告宣伝費が70,379千円、従業員に対する給料及び手当が63,314千円、「インスタベース」の開発・保守等による業務委託費が41,380千円、役員に対する役員報酬が30,012千円となり、これらを計上したことによるものです。
この結果、営業利益は114,109千円となりました。
(営業外損益、経常利益、当期純利益)
当事業年度における営業外損益は、受取利息等による営業外収益が5千円、上場関連費用等による営業外費用が736千円となりました。
この結果、経常利益は113,378千円、当期純利益は73,868千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当社のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社の資金需要の主なものは、当社サービスを拡大していくための開発及びマーケティング・営業・顧客対応等の事業運営に必要な人員の人件費、認知度向上及び顧客基盤拡大に係る広告宣伝費、当社サービス運営に必要な決済手数料に係る支払手数料であります。これらの資金需要に対しては、自己資金を基本とし、必要に応じて銀行借入により調達することとしております。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当のほか、販売費及び一般管理費の営業費用であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位については、調達時期における資金需要の額、用途、市場環境、調達コスト等を勘案し、最適な方法を選択する方針であります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。