有価証券報告書-第90期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 16:09
【資料】
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【項目】
137項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の分析
① 資産の部
総資産は、前連結会計年度末に比べ1,678億79百万円増加し、1兆7,402億46百万円となりました。
流動資産は、主に譲渡性預金である有価証券が減少しましたが、円安などの影響により受取手形及び売掛金が増加したこと、また、たな卸資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ79億円の増加となりました。固定資産は、ヴァーレ ニューカレドニア社への投資に対して投資損失引当金を計上したことから減少しておりますが、主として持分法投資利益の計上及び円安の影響などにより投資有価証券が、シエラゴルダ鉱山社等への長期貸付金が、また、モレンシー銅鉱山での拡張工事などにより有形固定資産がそれぞれ増加したことから、前連結会計年度末に比べ1,599億79百万円の増加となりました。
② 負債の部
負債の部の合計は、前連結会計年度末に比べ279億87百万円増加し、5,813億1百万円となりました。
流動負債は、未払法人税等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ146億62百万円の増加となりました。固定負債は前連結会計年度末に比べ133億25百万円の増加となりました。
③ 純資産の部
純資産の部の合計は、当期純利益を911億13百万円計上し、さらに円安の進行に伴い為替換算調整勘定が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,398億92百万円増加し、1兆1,589億45百万円となりました。
④ 経営指標
当社グループは、平成25年度から平成27年度までの3年間を対象とする「12中計」に基づき、さらなる企業価値・株主共同の利益の向上を実現するために邁進してまいります。
「12中計」においては、財務体質の健全性を示す指標として引き続き連結自己資本比率50%以上の維持をめざすととともに、株主還元として連結配当性向は前回中計より5%引き上げた25%以上をめざすこととしております。なお、当連結会計年度の自己資本比率は60.4%となり、連結配当性向は29.1%となりました。
(2)経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の連結売上高は、9,213億34百万円となりました。円安による増収及び電気ニッケルの増販などにより、前連結会計年度に比べ907億88百万円の増収となりました。
② 営業利益
当連結会計年度の連結営業利益は、1,257億79百万円となりました。ニッケル価格の上昇及び在庫評価影響の好転などから、前連結会計年度に比べ503億61百万円の増加となりました。
③ 経常利益
当連結会計年度の連結経常利益は、1,742億26百万円となりました。持分法による投資利益が減少したものの、連結営業利益が好転したことに加え為替差益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ598億74百万円の増加となりました。
④ 当期純利益
当連結会計年度の当期純利益は、911億13百万円となりました。ヴァーレ ニューカレドニア社への投資に対する投資損失引当金を計上しましたが、連結経常利益が好転したことにより、前連結会計年度に比べ108億55百万円の増加となりました。
なお、当連結会計年度の世界経済は、欧州でデフレ不況の様相が強まり、ロシアでは欧米による経済制裁に加え資源価格の下落による経済の低迷が見られましたが、米国は好調に推移し、中国は内需不振と不動産市況の落ち込みはあったものの引き続きプラス成長となったことから、総じて緩やかな回復基調となりました。国内経済は、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減は当初の想定より大きかったものの、金融緩和による円安が企業の好業績を誘引し、雇用・所得状況も改善したことから、景況感は上向きました。
非鉄金属業界におきましては、ニッケル価格は、インドネシアの鉱石輸出規制による供給面への懸念によりしばらく高値を維持したものの、需給に大きな影響が出なかったことから下落に転じ、当連結会計年度末にかけては在庫の余剰感から急落しました。銅価格は、上昇する局面も見受けられましたが、中国の需要鈍化懸念の再燃により下落傾向となり、当連結会計年度末まで低迷した状況が続きました。金価格は下落傾向が継続し、当連結会計年度末にかけても軟調に推移しました。材料事業の関連業界におきましては、車載用電池向け部材の需要が増加し、高機能携帯端末向けなどの部材も好調な販売環境を維持しました。