有価証券報告書-第113期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 9:02
【資料】
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【項目】
150項目

対処すべき課題

(1)経営の基本方針
長期的な視点に立った会社経営を基本に、経営の効率化と収益力の向上によって、企業価値をより高めていくことを目標としており、その実現を通じて、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えられる経営を目指している。
(2)中期的な経営戦略及び対処すべき課題
[中期経営計画2017]
① 策定の趣旨
大林組グループは、企業理念に掲げる「持続可能な社会の実現」を見据え、創業150周年(2042年)の「目指す将来像」を描き、その実現へのロードマップの最初の5年間に達成すべき業績と取り組む施策を「中期経営計画2017」として策定した。
当社グループの業績は、国内建設市場の回復や生産性の向上を背景に大きく上向き、財務体質の改善も順調に進むなど、2015年度に3年を計画期間としてスタートした「大林組グループ中期経営計画2015」に掲げた目標を、最終年を待たずに概ね達成した。
一方、当社グループの事業環境を見ると、日本経済は堅調に推移しているものの、英国のEU離脱や米国新政権の動向をはじめとする世界の政治・経済面での不透明感の高まり、世界各地でのテロの常態化など、その先行きは不確実性を増している。
また、様々な分野における技術革新が想定を超えるスピードで加速度的に進展しており、当社グループには既存の枠にとらわれない不断の進化や成長が求められている。
このような状況の中で、過去最高益にある現在の業績を当社グループの総力をあげて維持、拡大するとともに、事業環境の変化を成長の機会と捉え、将来への布石を打っていくために、1年前倒しで新たな中期経営計画を策定し、事業を推進していく。
② 「目指す将来像」の概要
当社グループの長期的な成長に向けて、創業150周年(2042年)の「目指す将来像」を次のとおり定めた。
③ 「目指す将来像」の実現に向けて
既存4本柱(建築・土木・開発・新領域)の強化を戦略の核に事業領域の深化・拡大、グローバル化を加速し、その実現を目指す。
〈既存4本柱の強化〉
・次世代生産システムの構築による飛躍的な生産性向上
・成長市場・エリアへの経営資源の重点的配分
・建設に関連する一貫した高付加価値サービスの提供
・オフィス賃貸事業の拡充
・再生可能エネルギー事業の拡充
・新たな要素技術の開発・獲得
〈事業領域の深化・拡大〉
・エンジニアリング機能の強化・拡充
・ファシリティマネジメント、プロパティマネジメント機能の強化・拡充
・賃貸不動産ポートフォリオの多様化
・保有技術やノウハウを活用した収益源の創出
・事業の創出につながる新たな要素技術の獲得
・異業種との連携による新たな事業モデルの確立
〈グローバル化〉
・未進出有望市場への取り組み
・既進出エリアでのM&Aを含む事業の拡大
・既進出エリアでのローカル化の加速
・大林水準の品質・安全管理のグローバル展開
・技術・人材交流によるシナジー効果の追求
④ 「目指す将来像」の実現に向けてスタートを切る最初の5年間の基本方針
〈強固な経営基盤の構築〉
大林組グループの総力をあげて、過去最高益にある現在の業績を維持・拡大させ、機会を捉えた成長投資や想定外の事業環境の変動に対応できる強固な経営基盤を構築
〈将来への布石〉
事業領域の深化・拡大及びグローバル化を実行するための技術の開発・獲得、人材の育成、新たなビジネスモデルの創出とこれらを支える戦略的な投資を実施
⑤ 主な経営指標目標
目指す将来像の実現に向けた成長投資や事業環境変動に対応できる「強固な経営基盤の構築」
2021年度末 B/S(連結)
自己資本額
(利益剰余金)
9,000億円
(7,000億円)
・さらなる財務体質の改善
・想定外の事業リスクにも耐えうる自己資本の増強
・事業領域拡大に向けた計画的かつ機動的な成長投資を支える
投資余力の増強
自己資本比率40%
ネット有利子負債
(有利子負債)
(現預金)
ゼロ
(2,500億円)
(2,500億円)
2021年度 P/L(連結)
売上高2兆円程度・安定的な利益水準の維持とその拡大により企業価値を向上
営業利益1,500億円程度
親会社株主に帰属する当期純利益1,000億円程度
1株当たり当期純利益(EPS)150円程度
自己資本利益率(ROE)10%超の水準

⑥ 株主還元策
連結配当性向20~30%の範囲を目安として、長期にわたり安定した配当を維持することを第一に、財務体質の一層の改善や将来に備えた技術開発、設備投資等を図るための内部留保の充実を勘案のうえ、自己株式取得も含め、業績に応じた利益還元を実施する。
⑦ 投資計画
目指す将来像の実現に向けた「布石」として5年間で4,000億円の投資を行う。
「最高水準の技術力と生産性を備えたリーディングカンパニー」であり続けるための継続的な投資建設技術の研究開発1,000億円
工事機械・事業用施設500億円
「多様な収益源を創りながら進化する企業グループ」の実現に向けた投資不動産賃貸事業1,000億円
再生可能エネルギー事業ほか1,000億円
機会を捉えた成長投資M&Aほか500億円
5年間の総投資額4,000億円

当社グループとしては、この新たな中期経営計画に全力で取り組むことで企業価値を向上させ、株主をはじめとしたステークホルダーの期待に応えていく。また、生活・社会・産業基盤の整備を通じて、人々の暮らしに安全・安心を提供し、経済発展に寄与するという社会的使命を果たしていく。