訂正有価証券報告書-第117期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)経営の基本方針
長期的な視点に立った会社経営を基本に、経営の効率化と収益力の向上によって、企業価値をより高めていくことを目標としており、その実現を通じて、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えられる経営を目指している。
(2)経営環境及び対処すべき課題
① 経営環境
当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載のとおりである。
② 対処すべき課題
ア 新型コロナウイルス感染症への対応
当社は、業界団体が策定したガイドラインに準拠して、2020年5月に当社としての「新型コロナウイルス感染拡大予防のための基本行動プログラム」を策定するとともに、工事事務所版として、同年6月に「工事現場における新型コロナウイルス感染予防行動ガイドライン」を策定した。
これらのプログラムに基づき、3密を回避する執務・作業環境を整備するなど、新型コロナウイルス感染症への感染予防及び感染者発生時の影響を最小化するための対策を取りつつ、従前と同様の事業活動、成果達成等を維持していくこととしている。
また、2008年に開発した新型インフルエンザ対応緊急病棟「パンデミック®エマージェンシーセンター(PEC)」を新型コロナウイルス感染症対応病棟として改良し、スピーディかつ柔軟に医療機関をサポートできる体制を整備するなど、喫緊の社会課題の解決にも取り組んでいる。
当社グループは、今後も関係者の身体、生命及び生活の安全の確保を最優先に、その時々に応じて必要な安全対策を講じたうえで、公共インフラの整備や民間事業者の事業継続のために必要な建設需要及びデータセンターや新しい生活様式に対応するためのリニューアル工事などWithコロナ、Afterコロナの時代に必要とされる新たな建設需要などに対し、真摯に取り組んでいく。
イ 「中期経営計画2017」及び「企業変革プログラム」の推進
(ア)中期経営計画2017
当社グループは、創業150周年(2042年)の「目指す将来像」の実現に向けて、短期的な景気動向に左右されない「強固な経営基盤の構築」及び戦略的な投資による「将来への布石」を基本方針とする「大林組グループ中期経営計画2017」を策定し、2017年度から2021年度の5ヵ年計画として、事業領域の深化・拡大、グローバル化を推進してきた。
a 中期経営計画2017の進捗状況
・主な経営指標目標
・投資計画
「中期経営計画2017」について2021年度に最終年度を迎えるにあたり、これまでの進捗状況は上表のとおりであり、B/S項目に関しては、自己資本額等は目標水準に到達しているが、P/L項目に関しては、目標とする営業利益や当期純利益の達成は難しい状況となっている。これを踏まえ、当社グループは以下(イ)に記載のとおり、「企業変革プログラム」を策定し、推進することとした。
(イ)「企業変革プログラム」の策定・推進
新型コロナウイルスの感染拡大は世界の社会・経済に大きな変容をもたらし、当社グループを取り巻く事業環境は急激に変化している。
当社グループの現状に目を向けると、「目指す将来像」の実現に向けては、生産性向上や安全・品質管理の強化、事業領域の深化・拡大など継続して取り組むべき経営課題があり、これらの課題の解決に、より一層力を入れて取り組む必要がある。
このため、次期中期経営計画の策定を待たず、「中期経営計画2017」の総仕上げとして、事業環境の変化や当社グループの現状を踏まえ、特に重点的かつ横断的に取り組む経営課題への対応指針を「企業変革プログラム」として策定した。同プログラムの推進により、目下の経営課題や次の成長フェーズに向けた基盤変革にも取り組んでいる。
a 課題解決への取り組み
b 基盤変革への取り組み
(ウ)具体的な取り組み事例
・スマートシティ、スマートファクトリー等の成長が見込まれる分野での異業種協働の加速
・DXによる生産性向上:配筋自動判定システム、複数重機連携の自律施工、クレーン自動運転の適用拡大
・木造建築市場への取り組み強化:当社研修施設(木造高層建築)でのノウハウ蓄積や135年超の歴史を持つ木造
作専門工事会社「㈱築柴」の買収
・エネルギー関連案件の受注促進:グリーンエネルギー本部の新設
・サプライチェーンとの新たな共創関係の構築:デジタル化支援や生産性向上に向けた協働の加速
ウ ESG経営の進化
当社は基本理念に「持続可能な社会の実現」を掲げており、この目標に向かって、2050年の「あるべき姿」を「地球・社会・人」のサステナビリティが実現された状態であると定義し、ESGの取り組みとSDGs達成への貢献を視野に入れた、「Obayashi Sustainability Vision 2050」を2019年6月に策定している。このビジョンを実現する最初のステップが「大林組グループ中期経営計画2017」であり、同計画の経営基盤戦略の1つにESGへの取り組みを掲げている。
2020年7月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動が事業に及ぼすリスク・機会を評価しシナリオ分析を実施するとともに、分析結果に基づいた対応策に取り組むなど、ESGへの取り組みを更に強化している。
今後もESG経営を「進化」させることにより、「環境・社会・経済の統合的向上」と「当社グループの永続的な企業価値の向上」を実現していく。
(1)経営の基本方針
長期的な視点に立った会社経営を基本に、経営の効率化と収益力の向上によって、企業価値をより高めていくことを目標としており、その実現を通じて、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えられる経営を目指している。
(2)経営環境及び対処すべき課題
① 経営環境
当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載のとおりである。
② 対処すべき課題
ア 新型コロナウイルス感染症への対応
当社は、業界団体が策定したガイドラインに準拠して、2020年5月に当社としての「新型コロナウイルス感染拡大予防のための基本行動プログラム」を策定するとともに、工事事務所版として、同年6月に「工事現場における新型コロナウイルス感染予防行動ガイドライン」を策定した。
これらのプログラムに基づき、3密を回避する執務・作業環境を整備するなど、新型コロナウイルス感染症への感染予防及び感染者発生時の影響を最小化するための対策を取りつつ、従前と同様の事業活動、成果達成等を維持していくこととしている。
また、2008年に開発した新型インフルエンザ対応緊急病棟「パンデミック®エマージェンシーセンター(PEC)」を新型コロナウイルス感染症対応病棟として改良し、スピーディかつ柔軟に医療機関をサポートできる体制を整備するなど、喫緊の社会課題の解決にも取り組んでいる。
当社グループは、今後も関係者の身体、生命及び生活の安全の確保を最優先に、その時々に応じて必要な安全対策を講じたうえで、公共インフラの整備や民間事業者の事業継続のために必要な建設需要及びデータセンターや新しい生活様式に対応するためのリニューアル工事などWithコロナ、Afterコロナの時代に必要とされる新たな建設需要などに対し、真摯に取り組んでいく。
イ 「中期経営計画2017」及び「企業変革プログラム」の推進
(ア)中期経営計画2017
当社グループは、創業150周年(2042年)の「目指す将来像」の実現に向けて、短期的な景気動向に左右されない「強固な経営基盤の構築」及び戦略的な投資による「将来への布石」を基本方針とする「大林組グループ中期経営計画2017」を策定し、2017年度から2021年度の5ヵ年計画として、事業領域の深化・拡大、グローバル化を推進してきた。
a 中期経営計画2017の進捗状況
・主な経営指標目標
中期経営計画2017に 掲げる経営指標目標 | |||
B/S(連結) | 2017年度(初年度)末 実績 | 2020年度末実績 | (2021年度末) |
自己資本額 | 6,848億円 | 9,310億円 | 9,000億円 |
(利益剰余金) | (4,048億円) | (6,615億円) | (7,000億円) |
自己資本比率 | 32.2% | 41.0% | 40% |
ネット有利子負債 | 866億円 | 74億円 | ゼロ |
(有利子負債) | (2,767億円) | (2,659億円) | (2,500億円) |
(現預金) | (1,900億円) | (2,585億円) | (2,500億円) |
P/L(連結) | 2017年度(初年度)実績 | 2020年度実績 | (2021年度) |
売上高 | 19,006億円 | 17,668億円 | 2兆円程度 |
営業利益 | 1,378億円 | 1,231億円 | 1,500億円程度 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 926億円 | 987億円 | 1,000億円程度 |
1株当たり当期純利益(EPS) | 129.09円 | 137.64円 | 150円程度 |
自己資本利益率(ROE) | 14.5% | 11.3% | 10%超の水準 |
・投資計画
中期経営計画2017の計画値 (2017~2021計画) | ||
2017~2020年度の 実績累計(4年度分) | 5年間合計 | |
建設技術の研究開発 | 907億円 | 1,000億円 |
工事機械・事業用施設 | 443億円 | 500億円 |
不動産賃貸事業 | 1,530億円 | 1,000億円 |
再生可能エネルギー事業ほか | 505億円 | 1,000億円 |
M&Aほか | 322億円 | 500億円 |
合計 | 3,710億円 | 4,000億円 |
「中期経営計画2017」について2021年度に最終年度を迎えるにあたり、これまでの進捗状況は上表のとおりであり、B/S項目に関しては、自己資本額等は目標水準に到達しているが、P/L項目に関しては、目標とする営業利益や当期純利益の達成は難しい状況となっている。これを踏まえ、当社グループは以下(イ)に記載のとおり、「企業変革プログラム」を策定し、推進することとした。
(イ)「企業変革プログラム」の策定・推進
新型コロナウイルスの感染拡大は世界の社会・経済に大きな変容をもたらし、当社グループを取り巻く事業環境は急激に変化している。
当社グループの現状に目を向けると、「目指す将来像」の実現に向けては、生産性向上や安全・品質管理の強化、事業領域の深化・拡大など継続して取り組むべき経営課題があり、これらの課題の解決に、より一層力を入れて取り組む必要がある。
このため、次期中期経営計画の策定を待たず、「中期経営計画2017」の総仕上げとして、事業環境の変化や当社グループの現状を踏まえ、特に重点的かつ横断的に取り組む経営課題への対応指針を「企業変革プログラム」として策定した。同プログラムの推進により、目下の経営課題や次の成長フェーズに向けた基盤変革にも取り組んでいる。
事業環境の変化 | |
新型コロナウイルスの感染拡大 | ・感染拡大によりリーマンショックを超える世界的な経済悪化が引き起こされており、今後の収束も未だ不透明 ・個人の働き方や価値観から社会システムに至るまであらゆる常態が激変 |
デジタル化(DX)の推進 | ・ビッグデータ、IoT、ロボティクスなどのデジタル情報・技術の活用により、ビジネスモデルや業務プロセスを変革する「デジタル変革」の取り組みがあらゆる産業で加速 |
「企業変革プログラム」の策定・実施 |
①「中期経営計画2017」の総仕上げとして課題解決への取り組みを加速する ②次の成長フェーズでの飛躍を支える「人財・組織」「業務プロセス」「デジタル」「技術」の各基盤の変革に着手 |
a 課題解決への取り組み
安全・品質の確保 | 安全・品質の確保は当社グループの事業における根幹であり、事故及び品質不具合発生の未然防止に向けた安全・品質管理を徹底する |
業績 | 事業領域の深化・拡大への取り組みを継続し、厳しい事業環境下でも成長を続けられるよう収益力を向上させる |
働き方改革 生産性向上 | 時間外労働時間の削減や生産性向上に資する技術の開発及び現場への適用に向けた取り組みを加速させる |
b 基盤変革への取り組み
(ウ)具体的な取り組み事例
・スマートシティ、スマートファクトリー等の成長が見込まれる分野での異業種協働の加速
・DXによる生産性向上:配筋自動判定システム、複数重機連携の自律施工、クレーン自動運転の適用拡大
・木造建築市場への取り組み強化:当社研修施設(木造高層建築)でのノウハウ蓄積や135年超の歴史を持つ木造
作専門工事会社「㈱築柴」の買収
・エネルギー関連案件の受注促進:グリーンエネルギー本部の新設
・サプライチェーンとの新たな共創関係の構築:デジタル化支援や生産性向上に向けた協働の加速
ウ ESG経営の進化
当社は基本理念に「持続可能な社会の実現」を掲げており、この目標に向かって、2050年の「あるべき姿」を「地球・社会・人」のサステナビリティが実現された状態であると定義し、ESGの取り組みとSDGs達成への貢献を視野に入れた、「Obayashi Sustainability Vision 2050」を2019年6月に策定している。このビジョンを実現する最初のステップが「大林組グループ中期経営計画2017」であり、同計画の経営基盤戦略の1つにESGへの取り組みを掲げている。
2020年7月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動が事業に及ぼすリスク・機会を評価しシナリオ分析を実施するとともに、分析結果に基づいた対応策に取り組むなど、ESGへの取り組みを更に強化している。
今後もESG経営を「進化」させることにより、「環境・社会・経済の統合的向上」と「当社グループの永続的な企業価値の向上」を実現していく。