有価証券報告書-第65期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:54
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

国内建設市場は、東日本大震災の復興関連事業や政府の経済対策・成長戦略に加え、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた競技施設や関連インフラ整備が予定されるなど、今後も堅調に推移することが期待されます。また、当社が主に事業展開している東南アジアでは、今後も増加が見込まれる人口構成や、経済成長や国際競争力強化のための港湾、鉄道、道路、ライフライン等の社会資本整備への活発な投資などを背景に、引き続き旺盛な建設需要が見込まれます。
このような市場見通しの下、当社グループは昨年、中期経営計画(2014~2016年度)を策定いたしました。「現場力の強化」「五洋ブランドの確立」「強固な経営基盤の構築」を基本方針に、「臨海部ナンバーワン企業」としての高い競争力・収益力を推進力に、国内外で事業展開を図ってまいります。
■中期経営計画(2014~2016年度)
●基本方針 ~高品質で安全なものづくりを通じた顧客信頼・社会貢献の追求
・現場力(技術力・施工力・安全力・マネジメント力)の強化 臨海部ナンバーワン企業
・五洋ブランド(技術・施工・安全・品質・顧客信頼)の確立 ⇒ 臨海部の高い競争力・収益力
・強固な経営基盤の構築 を飛躍の推進力に
●基本戦略
1. 技術立社の推進 ~ 原点に返って現場力を高める
2. 五洋ブランドの確立 ~ 臨海部ナンバーワン企業の真価を発揮する
3. 経営力・組織力の強化 ~ 経営戦略を浸透させる
4. 強固な経営基盤の構築 ~ 将来の飛躍に向けた足固め
土木部門 「現場力・技術力の再強化と好調な建設需要をとらえた事業拡大」
① 現場力・技術力強化による利益の拡大
② 臨海部の高い競争力を活かした営業展開
③ 勝てる技術、売れる技術、拡げる技術の開発
④ 環境エネルギー分野への取組み推進
⑤ 事業拡大に伴う人材の積極的な確保・育成
建築部門 「得意分野・エリアの営業力・現場力の強化による営業利益の拡大」
① 営業基盤強化による五洋建築ブランドの構築
② 受注時採算確保の徹底による赤字工事の排除
③ 現場力・技術力強化による利益の拡大
④ 顧客への提案力向上に向けた技術の開発
⑤ リスク管理を徹底した開発事業への取組み推進
⑥ 人材確保・育成
国際部門 「技術力強化によるアジアのリーディングコントラクターとしての地位確立」
① 営業基盤の強化・拡大
② 国内部門との緊密な連携による技術力の強化
③ 安定的な営業利益の確保
④ 人材確保・育成
経営基盤強化
① 財務基盤の強化
② 優れた人材の育成・確保
③ 業務効率化のためのIT基盤の整備
④ コーポレートガバナンスの充実
⑤ 安全・品質管理の徹底
⑥ グループ経営の強化
(株式会社の支配に関する基本方針について)
会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」の内容の概要は下記のとおりです。
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
上場会社である当社の株式は、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の意思により判断されるべきであると考えております。
しかしながら、このような株式の大規模な買付や買付提案の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、不適切なものも少なくありません。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、経営の基本理念、企業価値のさまざまな源泉、並びに当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させる者でなければならないと考えております。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
そのため、当社取締役会は、万一、当社の支配権の移転を伴う大量買付を意図する者が現れた場合は、買付者に買付の条件並びに買収した場合の経営方針、事業計画等に関する十分な情報を提供させ、当社取締役会や必要な場合には株主がその内容を検討し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間を確保することが、最終判断者である株主の皆様に対する当社取締役会の責務であると考えております。
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社グループは、多数の株主、投資家の皆様に長期的に当社への投資を継続していただくため、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、次の諸施策を実施しており、これらの取組みは、上記の基本方針の実現に資するものと考えております。
1.「中期経営計画」等による企業価値向上への取組み
当社グループは、「良質な社会インフラの建設こそが最大の社会貢献」と考え、安全、環境への配慮と技術に裏打ちされた確かな品質の提供を通じて、株主、顧客、取引先、従業員のみならず、地域社会にとって魅力のある企業として持続的に発展することを目指しています。このような意識を役職員で共有するためCSR(企業の社会的責任)を重視した経営理念並びに中期ビジョンを策定しております。
当社グループは、経営環境の変化に対応、あるいは先取りをしながら、この理念・ビジョンの実現を目指し、企業価値の向上を図るため、3カ年を期間とする中期経営計画を策定しております。この中期経営計画は、環境の変化を踏まえた経営方針を掲げ、実効性の高い施策を策定し、実行していくものです。毎期、計画の進捗状況を確認し、状況に応じて計画を見直すとともに、3カ年ごとに計画の達成状況を検証し、その評価を次の計画の策定に活かしております。当社グループは、このサイクルを継続していくことによって、環境の変化に柔軟に対応しながら、中長期的な企業価値の向上が実現できるものと考えております。
2.「コーポレート・ガバナンスの強化」による企業価値向上の取組み
当社は、会社の永続的な成長・発展のため、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題と位置付けています。そのため経営における意思決定の迅速化、透明性の向上、公正性の確保を目指した経営体制を構築するとともに、取締役及び取締役会がリスク管理の徹底及び法令等の遵守、業務の適正かつ効率的な遂行を確保するため、実効ある内部統制システムの構築に取り組んでいます。
○コーポレート・ガバナンス体制
当社は、1名の社外取締役を選任し、監査役会、内部監査・内部統制担当役員等と連携を図ることで経営に対する監督機能の強化を図っています。取締役会の活性化と意思決定の迅速化を図るとともに、業務執行の責任を明確にするため執行役員制度を導入し、役員候補や役員報酬案を取締役会に答申する人事委員会を設置しています。取締役会は原則月2回の開催とし、経営方針、法律で定められた事項、その他会社規則で定めた重要事項について活発な討議の上、意思決定を行っております。取締役、執行役員の報酬は、その責任を明確にするため、業績と報酬が連動する役員業績評価制度を導入しております。こうしたコーポレート・ガバナンス体制を採用することで、公正で透明性の高い経営を行うことができると考えております。
当社は監査役制度を採用しており、そのうち3名が社外監査役です。監査役は取締役会に常時出席しているほか、執行役員会議をはじめとした社内の重要会議にも積極的に参加しており、取締役の職務執行を充分に監視する体制を整えております。
内部監査につきまして、担当する総合監査部は監査役会と連携を取り、当社各部門及びグループ会社の業務執行状況を監査しております。
会計監査につきまして、当社は会計監査人として新日本有限責任監査法人と監査契約を締結しており、監査役会、総合監査部、会計監査人は、定期的に監査計画、監査結果の情報交換等により連携し監査の実効性を高めております。
○独立役員
当社は、社外役員4名全員について、一般株主と利益相反のおそれがないと判断し、当社が上場する金融商品取引所に対し、独立役員として届け出ております。これら独立役員については、取締役会などにおける業務執行に係る決定局面等において、一般株主の利益への配慮がなされるよう、必要な意見を述べるなど、一般株主の利益保護を踏まえた行動をとることが期待されます。
○コンプライアンスへの取組み
コンプライアンスについては、内部統制システムの構築に当たりリスク管理体制を明確にするため、平成20年4月にコンプライアンス委員会を発展的に改組したリスクマネジメント委員会を設置しており、法令遵守はもとより、社会的規範・倫理を尊重した公明正大な企業活動を確実に実践すべく取り組んでいます。
以上の取組みを通じて、当社グループは企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を図ってまいります。
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための具体的な取組み
当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させるための取組みとして、平成19年6月28日開催の第57期定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただき、「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」を導入いたしました。しかしながら、その後当社を取り巻く外部環境が変化するとともに、金融商品取引法による大量買付行為に対する法制度の整備が行われたことから、株主の皆様並びに当社取締役会が適正な判断をするために必要な情報や時間を確保するという当買収防衛策の導入目的が一定程度担保される状況となりました。これを勘案し、当社は平成25年5月13日開催の取締役会において、当買収防衛策の有効期限である平成25年6月27日開催の第63期定時株主総会終結の時をもって、当買収防衛策を継続しないことを決議いたしました。
今後当社は、当社株式の取引状況や株主の異動を引き続き注視し、万一当社株式の大量買付を企図する者が現れた場合は、金融商品取引法の定める手続きに則り、当該大量買付者に適切な情報開示を求めるとともに、当社の判断や意見も公表することで、株主の皆様が大規模買付行為に対し適切な判断を行うための情報と時間の確保に努めてまいります。