有価証券報告書-第44期(令和1年5月1日-令和2年4月30日)

【提出】
2020/07/30 10:59
【資料】
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【項目】
146項目
(業績等の概要)
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、設備投資の増加や個人消費の持ち直しがみられるなど、緩やかな回復基調で推移していましたが、2020年1月下旬以降は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況となりました。景気の先行きについては、当面、厳しい状況が続くと見込まれ、感染症が国内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意する必要があるなど、予断を許さない状況が続いております。
建設業界におきましては、各種住宅取得支援策や住宅ローン金利の水準が低い状態で推移したものの、金融機関の賃貸建物に対する融資が厳格化傾向にあることを受けて、新設貸家着工戸数が32万9千戸(前期比14.1%減)となったことにより、新設住宅着工戸数は87万3千戸(前期比7.9%減)となり弱含みで推移しました。
このような状況のなか、当社グループの連結業績は、売上高につきましては3,233億8千6百万円(前期比1.6%減)となり前期を下回りました。利益面につきましては、営業利益128億1千9百万円(前期比17.9%減)、経常利益132億6千4百万円(前期比17.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益86億6百万円(前期比20.5%減)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
① 建設事業
建設事業におきましては、受注高が伸び悩んだことにより、完成工事高は前期と比較して減少しております。利益面におきましては、建設資材価格の上昇等により完成工事総利益率は低下しました。ナスラック㈱につきましては、水周り製品を中心とした外販売上高が前期と比較して増加しております。この結果、建設事業における売上高は1,420億9千5百万円(前期比9.4%減)、営業利益は111億9百万円(前期比29.0%減)となりました。
また、金融機関の賃貸建物に対する建設資金の融資姿勢が厳しい状況のなか、当連結会計年度の当社単体における総受注高につきましては、1,228億2千5百万円(前期比23.5%減)となりました。
② 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業におきましては、管理物件数の増加に伴うサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)による入居者様からの家賃収入及び管理料収入等の増加により、売上高は前期を上回ることができました。当社では、賃貸物件検索サイト「ホームメイト」の全面改修の実施や、駅前などの集客が見込める場所への仲介専門店の出店・移設を行うなど、入居者募集活動の充実を図ってまいりました。また、これらの施策のほか管理事業拡大のために物件仕入及び管理受託の促進に努める一方で、「ホームメイトFC店」や「ホームメイト倶楽部(ネット会員)」を積極的に開拓し、全国不動産会社情報ネットワークを構築することで、仲介競争力の強化を図ることができました。それらの効果により、賃貸建物の当連結会計年度末の入居率は98.6%となり、高い入居率を維持しております。この結果、不動産賃貸事業における売上高は1,786億4千万円(前期比5.9%増)、営業利益は100億6千4百万円(前期比22.2%増)となりました。
③ その他
総合広告代理店業、旅行代理店業及びゴルフ場・ホテル施設の運営に関する事業で構成されるその他の事業における売上高は26億4千9百万円(前期比7.4%減)、営業利益は4千万円(前期比87.5%減)となりました。
(2)財政状態の概況
当連結会計年度末の資産の部につきましては、1,899億2千7百万円(前期比2.5%減)となり、49億5千4百万円の減少となりました。資産の部が減少した主な要因は、現金預金が42億8千1百万円減少したこと及び受取手形・完成工事未収入金等が12億5百万円減少したことであります。
負債の部につきましては、919億2千7百万円(前期比10.3%減)となり、105億5百万円の減少となりました。負債の部が減少した主な要因は、支払手形・工事未払金等が68億5千7百万円減少したこと及び未払法人税等が16億6千万円減少したことであります。
純資産の部につきましては、979億9千9百万円(前期比6.0%増)となり、55億5千万円の増加となりました。純資産の部が増加した主な要因は、利益剰余金が936億2千6百万円(前期比6.4%増)となり56億4千7百万円増加したことであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「現金及び現金同等物の期首残高」1,002億7千7百万円から、営業活動により18億3千9百万円の収入、投資活動により31億4千万円の支出、財務活動により29億8千3百万円の支出があったことから、「現金及び現金同等物の期末残高」は、期首残高より42億8千4百万円減少して、959億9千2百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に「税金等調整前当期純利益」130億8千9百万円、「減価償却費」21億8千9百万円によるものであり、18億3千9百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に「有形固定資産の取得による支出」24億4千8百万円、「無形固定資産の取得による支出」11億4千1百万円によるものであり、31億4千万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に「配当金の支払額」の支出によるものであり、29億8千3百万円の支出となりました。
(受注及び売上の状況)
(1)受注実績
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2019年5月1日
至 2020年4月30日)
(百万円)
建設事業156,430117,578(△24.8%)

(注) 前連結会計年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当連結会計年度受注工事高にその増減を含めております。したがって、当連結会計年度完成工事高には請負金額の変更に係る増減額が含まれております。
また、各連結会計年度において既受注分の見直しを行い、前連結会計年度9,377百万円、当連結会計年度10,823百万円を当該受注分よりそれぞれ控除しております。
(2) 売上実績
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2019年5月1日
至 2020年4月30日)
(百万円)
建設事業156,901142,095( △9.4%)
不動産賃貸事業168,761178,640( 5.9%)
その他2,8612,649( △7.4%)
合計328,524323,386( △1.6%)

(注)1 当社グループでは、建設事業以外は受注生産を行っておりません。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりとなります。
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
期別工事別前期繰越工事高
(百万円)
当期受注工事高
(百万円)

(百万円)
当期完成工事高
(百万円)
次期繰越工事高
(百万円)
第43期
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
建築155,276151,160306,437151,775
(151,635)
154,801
第44期
(自 2019年5月1日
至 2020年4月30日)
建築154,801112,067266,868136,522
(136,425)
130,443

(注)1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減を含めております。したがって、当期完成工事高には請負金額の変更に係る増減額が含まれております。
また、各期において既受注分の見直しを行い、第43期9,306百万円、第44期10,758百万円を当該受注分よりそれぞれ控除しております。
2 当期完成工事高の( )内の数値は、受取設計料を除いた場合の金額を示しております。
3 上記金額は、すべて建築請負契約高であり、消費税等は含まれておりません。
② 完成工事高及び次期繰越工事高
建物種別の完成工事高及び次期繰越工事高は、次のとおりであります。
項目完成工事高次期繰越工事高
第43期
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
第44期
(自 2019年5月1日
至 2020年4月30日)
第43期(2019年4月30日)第44期(2020年4月30日)
金額(百万円)比率
(%)
金額(百万円)比率
(%)
金額(百万円)比率
(%)
金額(百万円)比率
(%)
賃貸マンション32,37221.329,29121.441,81927.033,24925.5
アパート108,91271.895,40869.995,79661.981,56262.5
個人住宅3240.25380.45870.44400.3
店舗マンション7,1264.79,1656.713,1348.510,9228.4
貸店舗2,1721.41,8601.42,5971.72,9772.3
その他8650.62570.28650.51,2911.0
151,775100.0136,522100.0154,801100.0130,443100.0

(注)1 工事は、官公庁に対するものはなく全て民間に対するものであります。入札工事はなく全て特命工事であります。
2 第43期、第44期の完成工事総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 兼業事業売上高
項目第43期
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
第44期
(自 2019年5月1日
至 2020年4月30日)
金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)
賃貸物件の仲介料収入3,85715.63,89815.3
賃貸物件の管理料収入4331.84591.8
退去補修工事売上4,31917.54,44917.5
リフォーム工事売上4,89919.95,13020.1
業務受託料収入5,34221.65,65122.2
その他5,82523.65,89123.1
24,676100.025,481100.0

(注)1 賃貸物件の管理料収入のうち各保証システムに係る管理手数料収入は、次のとおりであります。
第43期133百万円
第44期133百万円

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、貸倒債権に関する判断等、会計上の見積もりを行っており、その結果は、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。会計上の見積りは、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因を総合的に考慮して行っております。
見積りを行う上での仮定ないし前提条件については、継続的に評価し、事象の変化等に応じて適時・適切に見直しを行っておりますが、見積りには必然的に不確実性が伴うため、見積りと実績との間には多少の乖離が生じることがあります。連結財務諸表作成のための重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりですが、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。また、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに及ぼす重要な影響はないと認識しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合、工事の中断や資機材の納入遅れに伴う工期遅延等により、工事進行基準による収益認識に影響を及ぼす可能性があります。
① 完成工事高及び完成工事原価の計上
成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)により完成工事高を計上しております。工事進行基準の適用にあたり、工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度のそれぞれについて、個別の工事契約ごとに信頼性をもった見積りを行うことが前提となっております。このため、見積りにあたって仮定した個別の工事契約ごとの諸条件と異なる事象が発生した場合、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
② 固定資産の減損
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能額まで切り下げ、当該切り下げ額を減損損失として計上しております。事業計画、市場環境、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件をもとに減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を実施しておりますので、これらの前提条件に変化が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(2)経営成績の分析
① 売上高
建設事業におきましては、前連結会計年度下半期及び当連結会計年度上半期の受注高が伸び悩んだことから完成工事高は1,420億9千5百万円となり、前期比9.46%の減少となりました。一方、不動産賃貸事業におけるサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)は、管理物件数の増加に伴い入居者様からの家賃収入等が増加したことで、兼業事業売上高が1,812億9千万円となり、前期比5.6%の増加となりました。
② 売上総利益
建設事業では建設資材価格の上昇に加えて、利益率の低い賃貸建物の比率が上昇したこと等から完成工事総利益率は低下したことで完成工事総利益は442億2千7百万円(前期比12.8%減)となりました。一方、不動産賃貸事業ではサブリース経営代行システムによる管理物件の入居率が高位で推移したことから、兼業事業総利益は117億9千万円(前期比15.5%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、広告宣伝活動及び建設事業における営業人員の募集採用活動の強化等、積極的な先行投資を行う一方で経費削減にも努めたことから、販売費及び一般管理費は431億9千7百万円(前期比4.7%減)となりました。
④ 営業利益
上記のとおり、販売費及び一般管理費は抑制できたものの、売上総利益の減少により、営業利益は128億1千9百万円(前期比17.9%減)となりました。
⑤ 経常利益
営業外損益4億4千5百万円が加わったものの、営業利益の減少により、経常利益は132億6千4百万円(前期比17.4%減)となりました。
⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益
当社におけるリース資産減損勘定取崩益等の特別利益9千9百万円を計上した一方で、東建塩河カントリー倶楽部における固定資産除却損2億7千5百万円計上したことで、税金等調整前当期純利益は130億8千9百万円となりました。これにより法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額の合計額は、44億8千3百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は86億6百万円(前期比20.5%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
2「事業等のリスク」をご参照下さい。
(4)戦略的現状と見通し
1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
(5)資本財源及び資金の流動性について
当社グループにおきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにより得た資金を当社グループの運転資金、設備投資及び配当財源に充当しております。