有価証券報告書-第50期(平成26年5月1日-平成27年4月30日)

【提出】
2015/07/29 15:49
【資料】
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【項目】
130項目

事業等のリスク

当グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成27年4月30日)現在において当グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)国内経済、消費動向
当グループの事業の大部分は、日本国内において展開しております。そのため、日本国内における景気、金融や自然災害などによる経済動向の変動や、これらの影響を受ける個人消費動向の変動は、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)市場での競争
当グループの主要事業である飲料製品の市場は、近年の消費マインドの冷え込みを背景に、店頭での低価格化が続き、販売額の伸び悩みが顕著となっており、併せて、キャンペーン等による販売促進活動により、依然として飲料各社の激しい競争が続いております。また、カテゴリー間でのシェア争いや、消費者の嗜好の変化により、製品のライフサイクルが短い市場でもあります。
このような市場環境のなか、当グループは緑茶飲料を中心としたお客様のニーズに沿った製品の提供や、ルートセールスを中心とするお客様へのサービスに努めた結果、業績は堅調に推移しております。
今後も継続してこれらの施策を実施するとともに、市場動向を予測し、競争に打ち勝つ施策を展開してまいりますが、これらの施策が市場環境の変化に十分対応できなかった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)原材料、資材調達
当グループの主要事業は、茶系飲料を中心とする飲料製品でありますが、就農人口の減少や、茶園面積の減少による茶生産量の減少に加え、飲料用茶葉の需要増大により、当グループが必要とする茶葉の確保が出来ない場合の需給関係の悪化や、輸入原料(穀物・野菜等)の高騰により調達コストが上昇し、原価高の要因となる可能性があります。
また、当グループの飲料製品の販売数量のうち、PET容器の占める割合はおよそ74%となっており、PET容器の原材料である石油価格の高騰により、原価高の要因となる可能性があります。当グループが今後これらの市場環境の変化に対応できなかった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)生産体制
当グループでは、グループ内工場で茶葉製品の大部分と、飲料製品の原料製造を行っております。また、飲料製品の大部分と茶葉製品の一部は、グループ外の委託工場で製造しております。
グループ内工場におきましては、生産設備が突発的に停止することがないよう、定期的に設備点検等を実施しております。また委託工場につきましては、不測の事態が発生した場合に備えて、全国各地に複数の委託工場を確保しております。しかしながら、天災等による生産への影響を完全に排除できる保証はなく、不測の事態が発生した場合には、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)天候・自然災害
当グループの主力製品の原材料は、茶、野菜、果実、コーヒー等の農産物であるため、当グループの主要事業であります茶葉及び飲料製品は、天候や自然災害の影響を受ける可能性があります。特に夏季の冷夏や冬季の暖冬の他、台風や長雨などの悪天候が販売に与える影響や、生産地での天候不良による不作が生じた場合の原材料調達価格の上昇及び必要量の不足に伴う販売機会損失などが想定されます。また、地震などの自然災害が想定範囲を超えた場合、本社機能や生産、物流体制に支障をきたすことが想定され、これら天候・自然災害が、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)「お~いお茶」ブランドへの依存
当連結会計年度の売上高のうち、当社の飲料製品売上に占める「お~いお茶」ブランドの割合は約39%と、高い比率を占めております。国内の緑茶飲料市場規模は4,010億円(平成26年1月~12月当社調べ)で、当社のシェアは約35%(当社調べ)となります。
当グループでは、今後も緑茶飲料市場の成長が期待され、市場の拡大とともに「お~いお茶」ブランドも伸長するものと予測しておりますが、緑茶飲料市場の激しい競争のなか、当グループのシェアが低下することや、緑茶飲料に代わる製品の登場により、緑茶飲料市場の成長が鈍化した場合、並びに当グループがこれらの市場環境の変化に対応できなかった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)為替動向
当グループは海外において事業展開を行っております。海外のグループ会社の財務諸表は現地通貨にて作成されているため、連結財務諸表作成時に円換算されることになり、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)海外事業
当グループの主要な海外連結子会社は、米国ニューヨーク州に、ITO EN (North America) INC.、ハワイ州に、ITO EN (USA) INC.、フロリダ州に、Mason Distributors, Inc.、デラウェア州に、Distant Lands Trading Company, Inc.、豪州ビクトリア州に、ITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITED、シンガポール共和国にITO EN Asia Pacific Holdings Pte. Ltd.、中華人民共和国に福建新烏龍飲料有限公司、伊藤園飲料(上海)有限公司の各社があります。
当グループは、国内を中心に事業展開しておりますが、今後の発展と企業活動のグローバル化に伴い、海外活動の重要性がますます増大しており、海外における企業活動や取引はその対象国固有の政治的、経済的、法的要因により、重要な変化があった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度末における累計投資総額は253億12百万円となります。また、Mason Distributors, Inc.、福建新烏龍飲料有限公司以外の各社には累積損失があります。
(9)法的規制等
当グループが展開する事業は、食品衛生法、製造物責任法(PL法)、廃棄物処理法、食品リサイクル法、容器包装リサイクル法等、様々な法的規制を受けております。
当グループでは、これら全ての法的規制等を遵守していく所存でありますが、今後、法的規制等を遵守することが著しく困難になった場合や、規制の強化によりコスト負担増となった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報管理
当グループは、ルートセールスや通信販売等の営業取引や消費者キャンペーンを含む販売促進活動等を通じて、相当数のお客様情報を保有しているほか、当グループで実施している「新俳句大賞」の募集により、潜在的なお客様の情報も保有しております。これらお客様の個人情報は、当グループで管理するほか、一部はグループ外の管理会社に管理を委託しております。
これら個人情報を含めた重要な内部情報の管理につきましては、万全の管理体制を構築しておりますが、今後これらの情報が停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、ウイルスの感染、不正アクセス等の予期せぬ事態の発生により、情報の消失、外部へ漏洩する等の事態が起きた場合、当グループの信用低下を招き、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)食品の安全性、衛生管理
当グループは、食品の安全性、衛生管理を経営上の最重要課題と認識し、食品の安全性、衛生管理のために、当社に品質管理部を設置しております。品質管理部では自主基準を設け、製品の安全性について品質検査を行うとともに、外部委託工場にも定期的に立会い監査を実施しております。また、定期的に開催する品質会議において、当グループ製造担当者、外部委託工場担当者に監査結果をフィードバックすることにより、食の安全性、衛生管理に対する意識向上を図っております。さらに、これらの活動のほか、原材料に由来する異物混入、禁止添加物等の使用を防止するための確認も実施しております。
なお、東日本大震災以後の放射能汚染等の状況を踏まえ、全ての飲料製品につきましては、放射線量測定器での検査やモニタリングを行い、品質に問題がないことを確認する体制を整えており、緑茶原料についても同様の検査体制を整えております。
国内の直営店で行っている事業につきましては、食品衛生法の規制対象となっているものがあります。これらの事業につきましては、法令の遵守に加え、出店先の衛生基準及び当社マニュアルに基づいた衛生管理を徹底しております。
当グループは、過去に食品の安全性、衛生管理に関しまして訴訟並びに行政指導を受けてはおりませんが、今後異物混入及び品質・表示不良製品の流通、原材料由来による禁止添加物の使用及び残留農薬問題(連鎖的風評被害を受ける場合を含む)、食中毒等の衛生問題が発生した場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)減損会計
当グループは、事業用の不動産やのれんをはじめとする様々な固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待しているキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により減損会計の適用を受ける可能性があり、減損損失が発生した場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。