有価証券報告書-第50期(平成26年5月1日-平成27年4月30日)

【提出】
2015/07/29 15:49
【資料】
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【項目】
130項目

対処すべき課題

当グループは今後、法令及び社会的規範の遵守、製品の安全性並びに品質管理体制等、企業の社会的責任に消費者の厳しい目が向けられるなか、経営理念であります「お客様第一主義」を徹底し、企業価値を高め、一層の株主価値を向上させるために、以下の項目を中心に取り組んでまいります。
(1)ブランドの確立
① 製品開発
当社は、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」を基本理念に、全社員が「STILL NOW(お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか)」を考え、当社独自の提案制度であるVOICE制度(お客様のご不満やご要望を製品開発に取り入れる提案制度)を活用し、積極的に新製品の開発及び既存製品の改良を行っております。今後もVOICE制度を積極的に活用し、お客様に喜んでいただける製品の開発及び既存製品の改良に努めてまいります。
② 研究開発
研究開発におきましては、当社基本理念の内、特に「健康」、「安全」と「おいしい」に重点をおいて、基礎・応用研究を進めております。当社が提供する飲料が、人々の健康維持に有用であることを、様々な試験を通じて検証し、情報発信してまいります。さらに健康価値を表示できる特定保健用食品や機能性表示食品の開発にも力を注いでいきます。また飲料の味や香りに関与する成分研究、物性に関する研究を進め、より香味に優れた製品開発に向けて、技術提案を行ってまいります。
③ ブランド強化政策
『伊藤園』という「総称ブランド」を軸に「お~いお茶」「充実野菜」などの「個別ブランド」の強化を図ってまいります。また、「TEAS' TEA」「TULLY'S COFFEE」「健康ミネラルむぎ茶」「カテキン緑茶」「1日分の野菜」などのブランドにおいても今後も積極的な販売促進を展開してまいります。
特に主力製品であります「お~いお茶」につきましては、緑茶飲料発売30周年という節目を迎え、昭和60年の発売から続いている原料と製法にこだわり、無香料・無調味の自然のままのおいしさを引き出し、お客様へご提供してまいります。また、緑茶飲料が様々な飲用シーンでお楽しみいただけるよう、容量、容器バリエーションの充実を図るとともに、緑茶飲料を初めて発売した当社ならではの技術力で、季節に合わせた製品や「濃い茶・玉露・ほうじ茶・玄米茶・ぞっこん」など茶葉の特徴を取り入れ、飲用価値を訴求した製品を発売し、緑茶飲料のNo.1ブランドに甘んずることなく、清涼飲料のNo.1ブランドを目指し、より一層のブランド強化に努めてまいります。今後も品揃えを強化し、お客様にご満足いただける本物のおいしさを引き続きご提供してまいります。
(2)営業基盤の強化
① ルートセールス
ルートセールスとは、「製品、サービスをお客様へ直接ご提供する販売システム」のことであります。当社はこの販売システムを採用することにより、当社とお客様をダイレクトに結びつけ、地域に密着した販売促進活動を展開しております。
また、機能性、携帯性に優れたルートセールス担当営業員用のポータブル端末を活用することで、お客様に効率的かつ的確なサービスをご提供できるよう努めております。
② お客様へのサービスの強化
これまでもルートセールスにより、お客様へのサービスに努めてまいりましたが、連結中長期の目標経営指標を達成するための確固たる営業基盤を築くため、新しいお客様の開拓に努めるとともに、既存のお客様の訪問サービスの強化を行っております。また、お客様のご不満を聞き、お客様にご満足していただける製品開発や魅力的な売り場づくりなど、総合的なご提案をルートセールスにより行っております。
(3)総コストの削減
① 委託生産方式
飲料製品におきましては、「ファブレス(fabless 工場を持たない)」方式により、設備投資リスクの軽減を図り、市場環境の変化に迅速に対応できる体制にしております。
また、全国を5つの地域に分けて生産管理を行う5ブロック生産体制を敷くことにより、迅速な製品供給を行うとともに、物流費の削減も可能となっております。
② 原材料調達力の強化
当社は、緑茶のトップメーカーとして国内荒茶生産量の24.0%を取扱い、長年にわたり生産者との信頼関係を築き上げた結果、高品質の原料茶を安価で安定的に確保できる極めて強力な原料調達力を持っております。また、これまでに蓄積したノウハウと高い製造技術により、高品質の飲料用原料茶を自社製造で調達することができる飲料メーカーであります。
国内では就農者の高齢化と後継者不足のため、就農人口、茶園面積の減少が進んでおります。そこで当社は今後特に需要の増大が見込まれる飲料用原料茶を主体に、宮崎県を中心に、鹿児島県、大分県、長崎県などにおいて、茶産地育成事業を行っております。当社の農業技術部が農家を直接指導し、苗木の選定から茶園づくり、そしてその茶園を機械化、IT化により低コストで管理できる栽培指導を行うことで、生産性と環境保全を両立した茶園経営を推進し、より高品質な原料茶の安定調達を目指すとともに、耕作放棄地の活用及び生産農家の後継者育成ならびに雇用の創出など茶業界と地域の活性化にも寄与しております。
(4)海外事業の強化
海外事業戦略につきましては、連結子会社ITO EN(North America)INC. が米国での緑茶市場の創造と開拓を進めるため、全米のナチュラルフードマーケットや、ナショナルチェーン店に対し営業活動を行い、本物の緑茶を米国に普及させると同時に、『ITO EN』ブランドの確立を図っております。
また、特に全米の耳目の集まるニューヨーク州マンハッタン地区では、当社の強みであるルートセールスを導入し、お客様に密接した営業活動を行うことで、確実に緑茶飲料の裾野を広げ、かつ『ITO EN』の存在を積極的にアピールしております。特に会員制スーパーマーケットを通じて販売しております、緑茶ティーバッグにつきましては、これまでの米国市場には無かった高品質の緑茶ティーバッグとして、お客様に大変なご好評をいただくとともに、緑茶市場の拡大に大きく貢献しており、今後も強化してまいります。また中国、東南アジアにつきましても茶系飲料を中心とした販売強化をすすめてまいります。
(5)CSR(企業の社会的責任)への取り組み
当社は、経営理念であります「お客様第一主義」のもと、社会に求められる企業として、企業価値を高め、持続的成長・発展を目指します。このため、ステークホルダーの皆様の信頼を得ることを旨として、法令遵守を徹底し、国際規格ISO26000/国内規格JIS Z 26000を活用して事業を通じたCSRに取り組みます。
環境保全におきましては、環境行動方針を基本に環境中期目標を設定し、目標達成のための取組みを積極的に推進しております。また、環境活動の持続的な改善に有効な手段として、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムの導入を推進し、全社全部門において認証を取得しております。
社会貢献活動におきましては、企業ができる活動は、地域の方々とともに明るい社会を築いていくことととらえ、スポーツや文化活動などにも一層力を入れてまいります。