有価証券報告書-第139期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/27 16:04
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67項目

業績等の概要

IFRSの適用
当社グループは、当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)から従来の日本基準に替えてIFRSを適用しております。IFRSへの移行日は2015年4月1日であり、前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)についても、IFRSに準拠して表示しております。日本基準とIFRSとの差異の概要は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.初度適用」をご参照ください。
当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しました。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。
(1)業績
当期における世界経済は、米国や欧州では景気の回復基調が続きましたが、新興国の一部で弱さがみられたこともあり、全体としては緩やかな回復となりました。
我が国経済は、企業収益に対する円高の影響や、設備投資の持ち直しの動きに足踏みがみられたものの、雇用環境の改善がすすみ、景気は緩やかな回復基調が続きました。
このような環境下にありまして、味の素グループは、2014-2016中期経営計画において、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指し、「スペシャリティ」の追求による「成長ドライバーの展開」、「更なる事業構造強化」、その土台となる「経営基盤の進化」に取り組んできました。
当連結会計年度の連結売上高は、動物栄養の大幅な減収に加え、為替の影響による調味料・加工食品(海外)の減収等により、前期を582億円下回る1兆911億円(前期比94.9%)となりました。同事業利益は、動物栄養が大幅な減益となったことに加え、為替の影響等もあり、前期を12億円下回る968億円(前期比98.7%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を182億円下回る530億円(前期比74.4%)となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況
セグメント別の業績は、次のとおりです。
売上高
(億円)
前連結会計
年度増減
(億円)
前連結会計
年度比
事業利益
(億円)
前連結会計
年度増減
(億円)
前連結会計
年度比
日本食品3,904△6698.3%40891128.9%
海外食品4,289△34992.5%417△5688.2%
ライフサポート1,240△18387.1%58△6148.7%
ヘルスケア895△1997.8%8110114.6%
その他58136106.6%23
合計10,911△58294.9%968△1298.7%

(注)1.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類及び天然系調味料は、日本食品セグメントに区分されております。また、国内外の食品加工業向け「味の素®」、核酸及び甘味料は、海外食品セグメントに区分されております。
(注)2.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 日本食品セグメント
日本食品セグメントの売上高は、冷凍食品(日本)の売上げが伸長したものの、コーヒー類に加え、子会社売却等の影響により調味料・加工食品(日本)の売上げが前期を下回ったことから、前期を66億円下回る3,904億円(前期比98.3%)となりました。事業利益は、冷凍食品(日本)や調味料・加工食品(日本)が増益となったことから、前期を91億円上回る408億円(前期比128.9%)となりました。
<調味料・加工食品>家庭用は、中華合わせ調味料「Cook Do®(クックドゥ)」が減収となったものの、「クノール® カップスープ」やチューブタイプのペースト中華調味料「Cook Do®(クックドゥ)」香味ペースト等の売上げが前期を上回ったことから、全体としては増収となりました。
業務用は、子会社売却の影響に加え、海外での食品用酵素製剤「アクティバ®」の売上げが、為替の影響もあり前期を下回ったことから、全体として減収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
<冷凍食品(日本)>家庭用は、販促活動を強化した「ギョーザ」の大幅な増収に加え、「ザ★チャーハン」や「やわらか若鶏から揚げ」の売上げが前期を上回り、増収となりました。
業務用は、鶏肉加工品やデザート類等が前期を上回り、増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<コーヒー類>家庭用は、スティックタイプコーヒーが増収となり、インスタントコーヒーが前期並みの実績となったものの、ボトルコーヒーやアイテム数を集約したギフト製品等の売上げが前期を下回ったため、減収となりました。
業務用は、大手需要家への売上げが前期を下回り、減収となりました。
以上の結果、全体として減収となりました。
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、為替の影響もあり、調味料・加工食品(海外)や加工用うま味調味料・甘味料、冷凍食品(海外)の円貨ベースでの売上げが減少し、前期を349億円下回る4,289億円(前期比92.5%)となりました。事業利益は、為替の影響等により、前期を56億円下回る417億円(前期比88.2%)となりました。
<調味料・加工食品(海外)>アジアでは、インドネシア、ベトナムにおけるうま味調味料「味の素®」、タイにおける風味調味料「RosDee®(ロッディー)」、インドネシアにおける風味調味料「Masako®(マサコ)」等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回りましたが、為替の影響により、減収となりました。
米州では、ブラジルにおける風味調味料「Sazón®(サゾン)」等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回り、増収となりました。
欧州・アフリカでは、為替の影響等により、減収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
<冷凍食品(海外)>味の素ウィンザー社の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回りましたが、為替の影響により、全体としては減収となりました。
<加工用うま味調味料・甘味料>食品加工業向け「味の素®」は、国内の販売価格が前期を上回りましたが、販売数量が国内外ともに減少し、為替の影響もあり、減収となりました。
核酸は、国内外で、販売数量が増加しましたが、販売価格が前期を下回ったことに加え、為替の影響もあり、前期並みの実績となりました。
甘味料は、加工用アスパルテームの販売数量が減少したことに加え、為替の影響もあり、減収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
③ ライフサポートセグメント
ライフサポートセグメントの売上高は、化成品が前期を上回ったものの、動物栄養が大幅な減収となったため、前期を183億円下回る1,240億円(前期比87.1%)となりました。事業利益は、動物栄養の大幅な減益に加え、化成品も減益となったことから、前期を61億円下回る58億円(前期比48.7%)となりました。
<動物栄養>リジンは、販売数量が前期を下回ったため、減収となりました。スレオニンは、販売数量は前期を上回ったものの、販売価格が前期を大幅に下回り、大幅な減収となりました。トリプトファンは、販売数量は前期を大幅に上回ったものの、販売価格が前期を大幅に下回り、減収となりました。バリン等のスペシャリティ製品は、増収となりました。
以上の結果、全体としては大幅な減収となりました。
<化成品>香粧品素材は前期並みの実績となりましたが、半導体パッケージ用層間絶縁材料等が増収となったため、全体としては増収となりました。
④ ヘルスケアセグメント
ヘルスケアセグメントの売上高は、製薬カスタムサービスと医薬用・食品用アミノ酸が減収となったため、前期を19億円下回る895億円(前期比97.8%)となりました。事業利益は、製薬カスタムサービスの増益に加え、医薬用・食品用アミノ酸が前期並みの実績となったため、前期を10億円上回る81億円(前期比114.6%)となりました。
<アミノ酸>医薬用・食品用アミノ酸は、国内外ともに減収となりました。製薬カスタムサービスは、為替の影響により欧州の売上げが減少し、減収となりました。
以上の結果、全体として減収となりました。
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を36億円上回る581億円(前期比106.6%)となり、事業利益は前期を 3億円上回る2億円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
(億円)

2016年3月期2017年3月期差額
営業活動によるキャッシュ・フロー1,2931,089△204
投資活動によるキャッシュ・フロー△587△1,422△835
財務活動によるキャッシュ・フロー△28147175
現金及び現金同等物に係る換算差額△1331134
現金及び現金同等物の増減額544△184△729
売却目的保有に分類される処分グループに係る
資産に含まれる現金及び現金同等物
△193-193
現金及び現金同等物の期末残高2,0441,860△184

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,089億円の収入(前期は1,293億円の収入)となりました。税引前当期利益が866億円であり、減価償却費462億円と、法人税等の支払額276億円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,422億円の支出(前期は587億円の支出)となりました。プロマシドール・ホールディングス社の株式取得による支出があったことや、有形固定資産の取得があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、147億円の収入(前期は28億円の支出)となりました。社債の発行による収入があった一方、自己株式の取得による支出があったこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ184億円減少し1,860億円となりました。
(3)並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の要約連結財務諸表は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
① 要約連結貸借対照表
(単位:百万円)

前連結会計年度
(2016年3月31日)
当連結会計年度
(2017年3月31日)
資産の部
流動資産624,063578,102
固定資産
有形固定資産386,201395,590
無形固定資産136,011146,307
投資その他の資産115,837216,930
固定資産合計638,050758,829
資産合計1,262,1131,336,931
負債の部
流動負債233,304242,920
固定負債336,880396,237
負債合計570,185639,158
純資産の部
株主資本677,402683,037
その他の包括利益累計額△57,529△59,930
非支配株主持分72,05674,666
純資産合計691,928697,773
負債純資産合計1,262,1131,336,931

② 要約連結損益計算書及び連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2015年4月1日
至 2016年3月31日)
当連結会計年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
売上高1,184,1001,091,414
売上原価769,230704,337
売上総利益414,870387,076
販売費及び一般管理費323,989301,736
営業利益90,88085,339
営業外収益9,02310,963
営業外費用5,7366,033
経常利益94,16890,270
特別利益45,33713,125
特別損失39,35218,270
税金等調整前当期純利益100,15385,125
法人税等27,04720,790
当期純利益73,10564,334
非支配株主に帰属する当期利益9,67811,739
親会社株主に帰属する当期利益63,42752,595

要約連結包括利益計算書
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2015年4月1日
至 2016年3月31日)
当連結会計年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
当期純利益73,10564,334
その他の包括利益△72,724△2,366
包括利益38061,968
(内訳)
親会社株主に係る包括利益△59149,870
非支配株主に係る包括利益97212,098

③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
(単位:百万円)

株主資本その他の包括利益
累計額
非支配株主持分純資産合計
当期首残高665,6893,88673,913743,489
会計方針の変更による累積的影響額△4,208--△4,208
会計方針の変更を反映した当期首残高661,4803,88673,913739,280
当期変動額合計15,921△61,416△1,856△47,351
当期末残高677,402△57,52972,056691,928

当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
(単位:百万円)

株主資本その他の包括利益
累計額
非支配株主持分純資産合計
当期首残高677,402△57,52972,056691,928
当期変動額合計5,635△2,4012,6105,844
当期末残高683,037△59,93074,666697,773

④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2015年4月1日
至 2016年3月31日)
当連結会計年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー125,219108,024
投資活動によるキャッシュ・フロー△53,824△141,749
財務活動によるキャッシュ・フロー△3,28816,175
現金及び現金同等物に係る換算差額△14,180249
現金及び現金同等物の期首残高165,160217,791
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額2780
連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額△460△19,346
連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の減少額△1,112-
現金及び現金同等物の期末残高217,791181,144

⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日。以下「企業結合会計基準」という。)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日。以下「連結会計基準」という。)及び「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成25年9月13日。以下「事業分離等会計基準」という。)等を当連結会計年度から適用し、支配が継続している場合の子会社に対する当社の持分変動による差額を資本剰余金として計上するとともに、取得関連費用を発生した連結会計年度の費用として計上する方法に変更しております。また、当連結会計年度の期首以後実施される企業結合について、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを企業結合日の属する連結会計年度の連結財務諸表に反映させる方法に変更しております。加えて、当期純利益等の表示の変更及び少数株主持分から非支配株主持分への表示の変更を行っております。当該表示の変更を反映させるため、前連結会計年度について、連結財務諸表の組替えを行っております。
当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書においては、連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得及び売却に係るキャッシュ・フローは、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載し、連結範囲の変動を伴う子会社株式の取得関連費用若しくは連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得及び売却に関連して生じた費用に係るキャッシュ・フローは、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載しております。
企業結合会計基準等の適用は、企業結合会計基準第58-2項(4)、連結会計基準第44-5項(4)及び事業分離等会計基準第57-4項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首時点から将来にわたって適用しております。
この結果、当連結会計年度の営業利益は132百万円、経常利益及び税金等調整前当期純利益は122百万円増加し、当連結会計年度末の資本剰余金が402百万円減少しております。
なお1株当たり当期純利益金額は21銭増加、1株当たり純資産額は48銭減少しております。
当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
当社グループは、EAファーマ㈱における収益認識基準等の会計処理について、当連結会計年度より変更致しました。
EAファーマ㈱は、食品事業を主とする当社グループの連結子会社である味の素製薬㈱が、医薬品事業を主とするエーザイ㈱の消化器疾患領域に関連する事業の一部を承継することにより発足致しました。業種を超えた本統合の結果、EAファーマ㈱の親会社はエーザイ㈱となり、事業の管理について新たな親会社が採用する方法に変更されることから、会計方針についても新たな経営環境の下、親会社の採用する会計方針に変更することが合理的であると判断したためであります。
主な変更点は、以下のとおりであります。
収益認識基準
これまで医薬品の開発、販売に係る権利等の外部への導出に際して受け取るロイヤリティ収益について、契約に基づき受領時点で一括して収益として認識しておりましたが、当連結会計年度より、製品販売承認取得前のロイヤリティは研究開発費の戻入として処理し、製品販売承認取得後のロイヤリティについて、その契約期間に応じて分割し収益認識する方法に変更致しました。
これらの会計方針の変更は遡及適用され、前連結会計年度は、遡及適用後の連結財務諸表となっております。
この結果、遡及適用を行う前と比べて、前連結会計年度の売上高が1,880百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ164百万円減少しております。また、前連結会計年度の期首の純資産に累積的影響額が反映されたことにより、利益剰余金の前期首残高は4,208百万円減少しております。
なお親会社株主に帰属する当期純利益は164百万円減少、1株当たり当期純利益金額は28銭減少、1株当たり純資産額は7円52銭減少しております。
(4) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
①退職後給付費用に対する調整
日本基準では数理計算上の差異及び過去勤務費用について、その発生時にその他の包括利益を通じて純資産の部に計上したうえで、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理しておりました。IFRSでは確定給付制度の再測定を発生時にその他の包括利益を通じて資本に認識し、過去勤務費用は発生時に一括で収益又は費用として処理しております。この結果、「売上原価」が356百万円減少、「販売費」が188百万円減少、「研究開発費」が339百万円減少、「一般管理費」が1,611百万円減少、「その他の営業費用」が22百万円減少、「金融収益」が0百万円増加、「金融費用」が460百万円増加及び「その他の包括利益」が1,379百万円減少しております。
②のれんに対する調整
日本基準ではのれんはその効果の及ぶ期間で定額償却し、のれん償却費6,620百万円を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。