有価証券報告書-第137期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:42
【資料】
PDFをみる
【項目】
129項目

業績等の概要

当連結会計年度より、売上の計上基準について会計方針の変更を行っており、遡及処理後の数値で前期末および前年同期比較を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 (会計方針の変更)」をご参照ください。
(1)業績
当期における世界経済は、米国では景気が緩やかに回復し、欧州では景気は持ち直しの動きがみられたものの、新興国における経済成長の鈍化の影響もあり、全体としては弱い回復となりました。
わが国経済は、設備投資や個人消費等に弱い動きがみられたものの、雇用環境の改善を背景に、景気は緩やかな
回復が続いています。
食品業界におきましては、食品原料の価格が依然として高い水準にあり、また消費税率引上げに伴う駆け込み需
要の反動の影響がみられました。
このような環境下にありまして、味の素グループは、2014-2016中期経営計画において、「確かなグロ
ーバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指し、「スペシャリティ」の追求による「成長ドライバーの展開」、「更なる事業構造強化」、その土台となる「経営基盤の進化」に取り組んでまいりました。
当期の連結売上高は、平成25年7月1日から持分法適用会社であるエイワイファーマ株式会社(以下、エイワイ
ファーマ社)に輸液・透析事業を移管し、当該事業の売上げがなくなった影響はあるものの、為替の影響に加え、海
外食品のコンシューマーフーズの現地通貨ベースでの売上げの伸長や平成26年11月5日に全持分を取得した米国
の冷凍食品の製造・販売会社であるウィンザー・クオリティ・ホールディングス社(現、味の素ウィンザー社。以
下、ウィンザー社)の連結子会社化等により、前期を552億円上回る1兆66億円(前期比105.8%)となり
ました。同営業利益は、飼料用アミノ酸や海外食品のコンシューマーフーズが大幅な増益となったため、前期を
127億円上回る745億円(前期比120.6%)、同経常利益は前期を140億円上回る828億円(前期比
120.4%)となりました。同当期純利益は前期を43億円上回る464億円(前期比110.3%)となりまし
た。
当期のセグメント別の概況
売上高
(億円)
前期増減
(億円)
前期比営業利益
(億円)
前期増減
(億円)
前期比
国内食品3,218218107.3%238△3288.1%
海外食品3,267344111.8%34191136.4%
バイオ・ファイン2,395114105.0%170106267.1%
医薬397△11577.5%21△1656.5%
その他787△998.8%△26△21-
合計10,066552105.8%745127120.6%

(注)1.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類、天然系調味料および冷凍食品は、国内食品セグメントに区分されております。また、国内外の食品加工業向け「味の素®」および核酸は、海外食品セグメントに区分されております。
(注)2.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等) 1.報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 国内食品セグメント
国内食品セグメントの売上高は、調味料・加工食品の売上げは消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動等によ
り前期並みの実績となりましたが、ウィンザー社の連結子会社化等により冷凍食品の売上げが大きく伸長したこと等
により、前期を218億円上回る3,218億円(前期比107.3%)となりました。営業利益は、ウィンザー社
の取得関連費用の発生等により前期を32億円下回る238億円(前期比88.1%)となりました。
<調味料・加工食品>家庭用は、「Toss Sala®(トスサラ)」等の新製品に加え、テレビ広告と連動した販促活動を展開した和風・洋
風の合わせ調味料「Cook Do®(クックドゥ)きょうの大皿」や「鍋キューブ®」、チューブタイプのペースト中華調
味料「Cook Do®(クックドゥ)」香味ペースト等の売上げは前期を大幅に上回りましたが、消費税率引上げに伴う
駆け込み需要の反動等により「ほんだし®」やマヨネーズ類等の売上げが前期を下回り、全体としては前期並みの実
績となりました。
業務用は、外食用製品の売上げは、米・肉等素材の食感を向上させたり、コクを引き出したりする機能型食品の
伸長等により前期を上回り、食品用酵素製剤「アクティバ®」や天然系調味料も、海外の販売が好調に推移したこと
により、前期を上回ったため、全体としては増収となりました。
以上の結果、全体としては前期並みの実績となりました。
<冷凍食品>家庭用は、製品改訂を実施した「具だくさんエビピラフ」が大幅に伸長し、「やわらか若鶏から揚げ」、「ギョ
ーザ」等も前期を上回ったため、増収となりました。
業務用は、国内大手需要家への販売が増加し、増収となりました。
海外では、ウィンザー社の連結子会社化に加え、北米において米飯や焼きそば等の麺類が大幅に伸長し、大幅な
増収となりました。
以上の結果、全体としては大幅な増収となりました。
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、コンシューマーフーズの現地通貨ベースでの売上げが伸長し、為替の影響もあ
り、前期を344億円上回る3,267億円(前期比111.8%)となりました。営業利益は、コンシューマー
フーズの増収や加工用うま味調味料の貢献に加え、為替の影響もあり、前期を91億円上回る341億円(前期比
136.4%)となりました。
<コンシューマーフーズ>アジアでは、ベトナム、インドネシアおよびタイにおけるうま味調味料「味の素®」、インドネシアにおける風味
調味料「Masako®(マサコ)」ならびにタイにおける風味調味料「RosDee®(ロッディー)」および即席麺の現地通貨
ベースでの売上げが前期を上回ったことに加え、為替の影響もあり、増収となりました。
米州では、ブラジルにおける風味調味料「Sazón®(サゾン)」等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回った
ことにより、増収となりました。
欧州・アフリカでは、ポーランドにおける即席麺等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回ったものの、アフ
リカにおける「味の素®」の売上げが前期を下回ったこと等により、減収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<加工用うま味調味料>食品加工業向け「味の素®」は、国内外ともに販売価格は低下しましたが、為替の影響や国内の販売数量の増加も
あり、前期の売上げを上回りました。
核酸は、国内外ともに販売価格は低下しましたが、為替の影響もあり、増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
③ バイオ・ファインセグメント
バイオ・ファインセグメントの売上高は、飼料用アミノ酸、医薬用・食品用アミノ酸、甘味料、医薬品原薬・中
間体の製造開発受託事業を行う製薬カスタムサービスの売上げが伸長し、為替の影響もあり、前期を114億円上
回る2,395億円(前期比105.0%)となりました。営業利益は、飼料用アミノ酸、医薬用・食品用アミノ
酸、製薬カスタムサービスが大幅な増益となり、化成品、甘味料も前期を上回り、為替の影響もあり、前期を
106億円上回る170億円(前期比267.1%)となりました。
<飼料用アミノ酸>リジンは、販売数量が前期並みの実績となり、販売価格も前期を下回ったため、減収となりました。一方、スレ
オニンは、販売数量は前期並みとなったものの、販売価格が前期を大幅に上回ったため、大幅な増収となり、トリプトファンは、販売数量は前期を下回ったものの、販売価格が前期を上回ったことにより、増収となりました。また、バリン等のスペシャリティ製品も販売を拡大し、大幅な増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<アミノ酸>医薬用・食品用アミノ酸は、国内外ともに増収となりました。
甘味料は、為替の影響に加え、南米におけるアスパルテームを使用した粉末ジュース「Refresco MID®(リフレス
コ ミッド)」の現地通貨ベースでの売上げが増加したこと等を受けて増収となり、製薬カスタムサービスは、為替
の影響に加え、北米や欧州の売上げが伸長し、増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<化成品>香粧品素材の売上げは、前期を上回り、コンピュータ用の層間絶縁フィルムは、高付加価値品の売上げが伸長し
たものの、アミノ酸化粧品「JINOR(ジーノ)」の売上げが消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動からの回復が
遅れ、前期を大幅に下回ったこと等により、全体として減収となりました。
④ 医薬セグメント
医薬セグメントの売上高は、ロイヤルティ収入が増加したものの、平成25年7月1日から持分法適用会社であ
るエイワイファーマ社に輸液・透析事業を移管し、当該事業の売上げがなくなったことに加え、薬価改定や後発品の影響もあり、前期を115億円下回る397億円(前期比77.5%)となりました。営業利益は、前期を16億円下回る21億円(前期比56.5%)となりました。
自社販売品は、経口腸管洗浄剤「モビプレップ®」の売上げが前期を大きく上回ったものの、輸液・透析事業の売
上げがなくなったことに加え、薬価改定や後発品の影響等により、大幅な減収となりました。
提携販売品は、平成26年5月から販売を開始した高血圧症治療薬「アテディオ®」の貢献があったものの、後発
品や競合品の影響により、骨粗鬆症治療剤「アクトネル®」等のリセドロネート類やカルシウム拮抗降圧剤「アテレ
ック®」の売上げが前期を大幅に下回り、全体として大幅な減収となりました。
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を9億円下回る787億円(前期比98.8%)となり、営業損益は前期を21
億円下回る26億円の営業損失となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期の連結キャッシュ・フローの状況
(億円)

平成26年3月期平成27年3月期差額
営業活動によるキャッシュ・フロー6301,092462
投資活動によるキャッシュ・フロー△634△1,403△768
財務活動によるキャッシュ・フロー△5525281,080
現金及び現金同等物に係る換算差額9120111
現金及び現金同等物の増減額△547337885
連結の範囲の変更による増加額01313
現金及び現金同等物の期末残高1,3001,651351

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,092億円の収入(前期は630億円の収入)となりました。この増加の主な要因は、営業利益が増益となったことや、法人税等の支払額が113億円となり、前期より大幅に減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,403億円の支出(前期は634億円の支出)となりました。有形固定資産の取得に加え、当社の連結子会社である味の素ノースアメリカ社によるウィンザー社の全持分取得による支出がありました。一方、前期は味の素アルテア社の株式取得による支出がありました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、528億円の収入(前期は552億円の支出)となりました。配当金の支払いによる支出があった一方、短期借入金の増加による収入があったこと等によるものです。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ351億円増加し1,651億円となりました。