有価証券報告書-第137期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:42
【資料】
PDFをみる
【項目】
129項目

対処すべき課題

<2014-2016 中期経営計画の推進>2014-2016中期経営計画において、「スペシャリティ」の追求による「成長ドライバーの展開」と「更なる事業構造強化」に取組み、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指してまいります。すなわち、当社独自の技術と、顧客機会を発見し価値を創造する力の融合から生み出す他社や既存のものにはない「スペシャリティ」の追求を計画推進の鍵として、グローバル成長とR&Dのリーダーシップによる「成長ドライバーの展開」と、バルク事業のスペシャリティ化と資本効率の更なる向上を軸とした「更なる事業構造強化」を追求するとともに、土台となる「経営基盤の進化」にも取り組みます。
「成長ドライバーの展開」
① グローバル成長
日本においては、個別化・多様化するお客様向けに価値を創造し続け、安定成長を実現します。
海外においては、既に強い事業基盤があるタイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ブラジルを中核に据え、中東、アフリカ等の開拓も合わせ、中間所得層の拡大や食生活・流通の近代化を事業機会ととらえ飛躍的な成長を目指します。
平成26年11月に買収した米国のウィンザー・クオリティ・ホールディングス社(現、味の素ウィンザー社)のマーケティング力、全米に広がる生産拠点・流通ネットワークおよび営業力と味の素グループの現地に適合した製品の開発力および生産技術を融合することで、北米の日本食・アジア食の冷凍食品市場での更なる成長を推進します。また、本年4月に株式を取得し連結子会社化した味の素ゼネラルフーヅ株式会社との協業を進め、粉末加工製品という共通軸を梃に新製品開発や生産面でのシナジーを創出していきます。
② R&Dのリーダーシップ
「世界一の調味料技術」により「おいしさ」の解明と設計をさらに深化させ、より多くの消費者に届けるとともに、「独自の先端バイオ」の技術を活かし、高機能バイオ新素材の開発や低資源利用発酵の推進、再生医療向け培地やアミノインデックス技術による診断事業等につなげ、成長を牽引していきます。
「更なる事業構造強化」
① スペシャリティ化
構造に課題の残る事業について、事業の付加価値を高める「スペシャリティ化」を進めます。具体的には、バルク事業では、飼料用アミノ酸事業における乳牛用リジン製剤「AjiPro®―L」等の高付加価値素材の割合を高め、加工用うま味調味料事業における呈味物質および甘味料事業における新規甘味料と複数素材の組合せ等により、リテール製品比率を高めていきます。加えて、バルク事業では低資源利用発酵技術の導入等によるコスト競争力強化を図ります。医薬事業では、積極的な外部連携により、消化器系疾患の領域等においてパイプラインを強化するとともにコストダウンを推進いたします。
② 資本効率の更なる向上
事業ごとのバリューチェーンについて、外部委託を柔軟に活用する一方、重要なものを内製化し、付加価値の高いものに注力することで資産効率を高め、また、需要に応じてグローバルに最適な供給体制を構築することで、ROE(株主資本利益率)や株主価値の更なる向上を目指します。
「経営基盤の進化」
海外での飛躍的成長を実現するため、海外地域本部への権限委譲を拡大するとともに適切なモニタリング機能を構築し、機動力と効率性を備えたガバナンス体制を確立します。また、次期経営人材の育成を加速するための制度を整備し、海外法人における現地社員の役員への登用、女性のマネージャーへの登用等により多様性を高め、分厚い人材層を造ってまいります。さらに、既存製品や事業のリソースをもとに隣接領域での新しい事業機会の創造を、柔軟に外部の力を活用し、飛躍的成長のために積極的に進めていきます。
当社は、本年6月から上場会社に適用される「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨・精神を踏まえ、主体的にガバナンス上の課題の有無を検討し、課題に対応することで実効的なコーポレートガバナンスの実現を目指します。これにより、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みの構築を加速させ、“株主との対話”を通じた持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
<21世紀の人類の課題に対する事業を通じた貢献の推進>味の素グループは、うま味を通じて粗食をおいしくし、国民の栄養を改善するという創業時の志を受け継ぎ、「地球持続性」、「食資源の確保」、「健康な生活」という21世紀の人類の課題に対して、事業を通じた貢献をASV(Ajinomoto Group Shared Value)として果たしてまいります。地域の食文化に適合したおいしさの実現を通じた健康づくりへの貢献や、開発途上国での栄養改善プロジェクトを進めるほか、バイオサイクル技術による循環型生産モデルの実現と低資源発酵技術で、生産活動における食資源使用量の削減にも取り組んでまいります。また、東日本大震災被災地における食と栄養をサポートする被災地支援を、復興の足どりが確かなものになるまで継続します。