有価証券報告書-第138期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/29 11:58
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業績等の概要

当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。詳細は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 (会計方針の変更)」をご参照ください。
(1)業績
当期における世界経済は、米国や欧州では景気の回復基調が続きましたが、中国等の新興国で景気が緩やかに
減速していることもあり、全体としては緩やかな回復となりました。
わが国経済は、輸出や生産に弱い動きがみられるものの、雇用環境の改善がすすみ、設備投資に持ち直しの動き
もあり、景気は緩やかな回復基調が続きました。
このような環境下にありまして、味の素グループは、2014-2016中期経営計画において、「確かなグロ
ーバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指し、「スペシャリティ」の追求による「成長ドライバーの展開」、
「更なる事業構造強化」、その土台となる「経営基盤の進化」に取り組んでまいりました。
当期の連結売上高は、調味料・加工食品(海外)の増収に加え、平成26年11月5日に全持分を取得した米国
の冷凍食品の製造・販売会社であるウィンザー・クオリティ・ホールディングス社(現、味の素ウィンザー社。以
下、ウィンザー社)及び平成27年4月23日に株式を取得した味の素ゼネラルフーヅ株式会社(以下、AGF)
の連結子会社化等により、前期を1,793億円上回る1兆1,859億円(前期比117.8%)となりました。
同営業利益は、加工用うま味調味料の貢献に加え、AGFの連結子会社化や調味料・加工食品(日本)の増収等に
より、前期を165億円上回る910億円(前期比122.2%)、同経常利益は前期を115億円上回る943
億円(前期比113.9%)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、事業構造強化の一環として、医薬事業構造改革費用166億円やフランスに
おける甘味料生産・販売子会社の株式売却に係る関係会社整理損69億円を計上したものの、特別利益として、ブラ
ジルにおける即席麺合弁会社である日清味の素アリメントス社の持分売却に係る関係会社株式売却益248億円や、AGF株式について平成27年4月の追加取得以前から保有する持分を当該追加取得時の時価で再評価したことによ
る評価差益(段階取得に係る差益)180億円を計上したこともあり、前期を170億円上回る635億円(前期比
136.8%)となりました。
当期のセグメント別の概況
セグメント別の業績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
売上高
(億円)
前期増減
(億円)
前期比営業利益
(億円)
前期増減
(億円)
前期比
日本食品3,9441,053136.4%31365126.6%
海外食品4,639798120.8%41999131.2%
ライフサポート1,424△6795.5%118△2582.3%
ヘルスケア1,30899108.2%5422173.4%
その他544△8985.8%42180.0%
合計11,8591,793117.8%910165122.2%

(注)1.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類及び天然系調味料は、日本食品セグメントに区分されております。また、国内外の食品加工業向け「味の素®」、核酸及び甘味料は、海外食品セグメントに区分されております。
(注)2.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等) 1.報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 日本食品セグメント
日本食品セグメントの売上高は、AGFの連結子会社化に加え、調味料・加工食品(日本)の売上げが伸長した
ことにより、前期を1,053億円上回る3,944億円(前期比136.4%)となりました。営業利益は、AGFの連結子会社化に加え、調味料・加工食品(日本)の増収等により、前期を65億円上回る313億円(前期比
126.6%)となりました。
<調味料・加工食品(日本)>家庭用は、「ほんだし®」が減収となったものの、「冷たい牛乳でつくる」シリーズの販売促進による夏場の需要
喚起や「温朝食」キャンペーンの展開により年間を通じて需要を拡大した「クノール® カップスープ」に加え、「ク
ノール® スープDELI」やキューブ状の鍋用調味料「鍋キューブ®」の売上げが前期を上回ったため、全体として
は増収となりました。
業務用は、外食用製品の売上げは、米・肉等素材の食感を向上させたり、コクを引き出したりする機能型食品の
大幅な伸長等により前期を上回り、食品用酵素製剤「アクティバ®」や天然系調味料も、国内外の販売が好調に推移
したことにより前期を上回ったため、全体として増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<冷凍食品(日本)>家庭用は、「エビ寄せフライ」等の弁当用製品が減収となったものの、「ギョーザ」や「やわらか若鶏から揚
げ」の増収に加え、新製品「ザ・チャーハン」が好調に推移し、前期並みの実績となりました。
業務用は、鶏肉類、デザート類や餃子類が前期を上回り、増収となりました。
以上の結果、全体としては前期並みの実績となりました。
<コーヒー類>第1四半期連結会計期間より、AGFを連結子会社化したことにより、同社のコーヒー類の売上げが日本食品セ
グメントに含まれております。
家庭用は、スティックタイプやレギュラータイプコーヒー、インスタントコーヒーの売上げが伸長し、ギフト製
品も好調に推移しました。
業務用は、大手需要家への販売が増加しました。
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、ウィンザー社の連結子会社化に加え、調味料・加工食品(海外)の売上げが伸
長したことにより、前期を798億円上回る4,639億円(前期比120.8%)となりました。営業利益は、為
替の影響等による加工用うま味調味料の大幅な増益に加え、冷凍食品(海外)や調味料・加工食品(海外)の増収等
により、前期を99億円上回る419億円(前期比131.2%)となりました。
<調味料・加工食品(海外)>アジアでは、ベトナム、フィリピン、インドネシアやタイにおけるうま味調味料「味の素®」、タイにおける風味
調味料「RosDee®(ロッディー)」や即席麺が増収になったことに加え、インドネシアにおける風味調味料「Masako®
(マサコ)」の売上げが前期を大幅に上回ったことや、為替の影響もあり、増収となりました。
米州では、ブラジルにおける風味調味料「Sazón®(サゾン)」等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回った
ものの、為替の影響により、減収となりました。
欧州・アフリカでは、アフリカにおける「味の素®」の売上げが前期を下回ったこと等により、減収となりました。
以上の結果、全体としては増収となりました。
<冷凍食品(海外)>北米における米飯や焼きそば等の麺類の大幅な伸長に加え、ウィンザー社の連結子会社化もあり、全体として大
幅な増収となりました。
<加工用うま味調味料・甘味料>食品加工業向け「味の素®」は、海外の販売数量が前期並みの実績となりましたが、国内の販売数量と販売価格が
前期を上回ったことから、増収となりました。
核酸は、国内の販売数量は増加しましたが、海外の販売数量が前期を大幅に下回ったことから、減収となりまし
た。
甘味料は、加工用アスパルテームの販売数量が増加したものの、南米における粉末ジュース「Refresco MID®(リ
フレスコ ミッド)」が為替の影響等により前期を大幅に下回ったことから、減収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
③ ライフサポートセグメント
ライフサポートセグメントの売上高は、化成品が増収となりましたが、動物栄養が減収となったため、前期を
67億円下回る1,424億円(前期比95.5%)となりました。営業利益は、化成品は前期並みの実績となりましたが、動物栄養が大幅な減益となったため、前期を25億円下回る118億円(前期比82.3%)となりました。
<動物栄養>リジンとスレオニンは、販売数量と販売価格が前期を下回ったため、減収となりました。トリプトファンは、販
売数量が前期を上回ったものの、販売価格が前期を大幅に下回ったため、大幅な減収となりました。バリン等のス
ペシャリティ製品は増収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
<化成品>コンピュータ用の層間絶縁フィルムの売上げは前期を下回ったものの、香粧品素材が国内外ともに増収となりま
した。
以上の結果、全体としては増収となりました。
④ ヘルスケアセグメント
ヘルスケアセグメントの売上高は、医薬が減収となったものの、製薬カスタムサービスの売上げが前期を大幅に
上回ったことに加え、医薬用・食品用アミノ酸が増収となったため、前期を99億円上回る1,308億円(前期
比108.2%)となりました。営業利益は、医薬が大幅な減益となったものの、製薬カスタムサービスが大幅な
増益となり、医薬用・食品用アミノ酸も前期を上回ったため、前期を22億円上回る54億円(前期比 173.4%)となりました。
<アミノ酸>医薬用・食品用アミノ酸は、国内は減収となりましたが、海外の売上げが為替の影響もあり伸長したことによ
り、全体として増収となりました。
製薬カスタムサービスは、欧州、北米、日本の売上げが伸長し、大幅な増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<医薬>自社販売品は、後発品や競合品の影響等により、分岐鎖アミノ酸製剤「リーバクト®」が減収となったものの、経
口腸管洗浄剤「モビプレップ®」の売上げが前期を大きく上回り、前期並みの実績となりました。
提携販売品は、後発品や競合品の影響等により、カルシウム拮抗降圧剤「アテレック®」の売上げが前期を大幅に
下回ったものの、骨粗鬆症治療剤「アクトネル®」等のリセドロネート類の売上げが前期を大きく上回り、増収とな
りました。
ロイヤルティ収入等は前期を下回りました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を89億円下回る544億円(前期比85.8%)となり、営業利益は前期を2
億円上回る4億円(前期比180.0%)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期の連結キャッシュ・フローの状況
(億円)

平成27年3月期平成28年3月期差額
営業活動によるキャッシュ・フロー1,0921,252159
投資活動によるキャッシュ・フロー△1,403△538865
財務活動によるキャッシュ・フロー528△32△561
現金及び現金同等物に係る換算差額120△141△262
現金及び現金同等物の増減額337539201
連結の範囲の変更による増加額13△12△26
現金及び現金同等物の期末残高1,6512,177526

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,252億円の収入(前期は1,092億円の収入)となりました。この増加の主な要因は、税金等調整前当期利益が1,003億円であり、日清味の素アリメントス社等の関係会社株式売却損益242億円と、資金の動きを伴わない段階取得に係る差益180億円の調整があったこと等によるもので
す。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、538億円の支出(前期は1,403億円の支出)となりました。日清
味の素アリメントス社株式売却による収入があった一方、有形固定資産の取得や、AGF株式の追加取得に伴う支出
があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、32億円の支出(前期は528億円の収入)となりました。社債の発行
による収入があった一方、自己株式の取得による支出があったこと等によるものです。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ526億円増加し2,177億円となりました。