有価証券報告書-第65期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 9:16
【資料】
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【項目】
121項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 経営成績
① 売上高
売上高につきましては、前連結会計年度に比べ7億2千万円減収の93億6千5百万円(前年同期比7.1%減)となりました。
食料品事業セグメントにおける主要製品において、凍豆腐事業では、40数年ぶりに製法を見直し、減塩タイプとなった凍豆腐を積極的に拡販してまいりました。凍豆腐は今期、特に注目を集める食材として見直されてきています。それは(ⅰ)健康志向の高まりによる、食生活の見直しや自然嗜好の高まり、内食化の定着、(ⅱ)大豆製品の需要拡大、(ⅲ)世界無形文化遺産の登録を契機とした和食の再評価、(ⅳ)長寿高齢化による高タンパク質への評価や日本で製造されている安心感、などがあげられます。また、凍豆腐には「レジスタントタンパク」が多く含まれており、これは血中のコレステロールを調整する作用があることがわかってきました。さらに、凍豆腐は低糖質食材としても注目されており粉末タイプのものは惣菜や、菓子、パンなど様々な料理に使われ始めています。当期は平成26年9月1日より価格改定を実施し、原材料等の価格高騰分の転嫁を進めてまいりましたが残念ながら販売数量は減少することとなり、売上高は36億7千3百万円(前年同期比6.5%減)となりました。加工食品事業では、市場の価格競争が一段と激しくなっております。当社グループでは、長年築きあげてきました「生みそずい」ブランドをさらに強化した商品にリニューアルし、新商品を継続的に発売してまいりました。またカップタイプでは、みそ汁だけでなくベトナム料理を代表する米粉麺を手軽に味わえる「カップチキンフォー」「カップビーフフォー」を発売するなど順調に推移いたしましたが、袋入りでは徳用タイプでの低価格競争が激しく販売数量は減少し、更に凍豆腐と同様に原材料等の価格高騰分の販売価格への転嫁や販売促進費の削減などを実施した影響から、売上高は39億5千5百万円(前年同期比11.1%減)となりました。その他の食料品においては医療用食材関係の売上は順調に推移しております。この分野は年々高齢化が進む国内の状況において将来性のある市場と考えており、今後も力を入れてまいります。なお、売上は僅かですが新規事業として大豆を丸ごと加工した素材型商品「大豆の華」を復活販売しており、学校給食など新たな販売チャネルへの足がかりとして取り組んでおります。その結果、売上高は17億1百万円(前年同期比1.5%増)と増加いたしました。
② 営業損益
売上原価につきましては、当期後半には燃料費の価格下落により一部原価改善もありましたが、円安による各種原材料等の上昇があり、加えて来期以降の業績改善のための施策に伴う費用や、品質向上のための規格取得のための各種費用を計上したことなどから、前連結会計年度に比べやや減少の72億8千6百万円(前年同期比8.2%減)となり、売上高構成比では前期の78.7%に対し当期は0.9ポイント減少の77.8%となっております。
販売費及び一般管理費は、最需要期となる年末に主力の関西市場でインフォマーシャルなどの広告宣伝活動を行ったものの、業務効率の改善の実施、役員報酬、管理職給与等の減額による人件費の削減や経費のコストダウン施策を継続実施し圧縮を行ってまいりました。その結果、前連結会計年度に比べ5千7百万円減少の23億5千1百万円(前年同期比2.4%減)となりました。
以上により、営業損失は前連結会計年度に比べ9百万円増加し、2億7千2百万円の損失となりました。
③ 経常損益
当期は円安による為替差損の増加や、借入金増加による支払利息の増加があり、経常損失は前連結会計年度に比べ1千8百万円増加し、2億5千万円の損失となりました。
④ 当期純損益
特別利益においては、当社保有の株式について退職給付信託設定したことに伴い退職給付信託設定益2億6千3百万円を計上いたしました。特別損失においては、当社が加入している長野県厚生年金基金の解散に向けた加算部分の一部支給停止に伴い該当金額の一定割合を当社で補償することを決定したため退職給付費用2億1百万円を計上いたしました。また、凍豆腐事業において、生産体制の見直しに伴い遊休資産の使用見込みを再評価し4千2百万円の固定資産除却損を計上いたしました。
以上により、当期純損益は2億1千2百万円の損失(前年同期は10億2千7百万円の損失)を計上いたしました。
また、1株当たり当期純損益は23円18銭の損失(前年同期は112円14銭の損失)となりました。
(2) 財政状態
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度の総資産は前連結会計年度に比べ4億6千4百万円減少し、91億9千7百万円(前年同期比4.8%減)となりました。これは、受取手形及び売掛金の減少2億6千1百万円、投資有価証券の減少3億1千6百万円が主な要因であります。
当連結会計年度の負債は前連結会計年度に比べ3千1百万円減少し、28億4百万円(前年同期比1.1%減)となりました。これは、借入金の増加8億4千2百万円があったものの、未払金の減少5億1千万円、退職給付に係る負債の減少1億7千8百万円等があったことによるものです。
当連結会計年度の純資産は前連結会計年度に比べ4億3千2百万円減少し、63億9千2百万円(前年同期比6.3%減)となりました。これは利益剰余金の減少2億3千9百万円、その他有価証券評価差額金の減少1億2千3百万円などが主な要因であります。
以上により自己資本比率は前連結会計年度に比べ1.2ポイント減少し69.0%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
各キャッシュ・フローの状況につきましては、第2「事業の状況」1「業績等の概要」(2)キャッシュ・フローの状況に記載しております。
(4) 重要事象等について
当社グループは、当連結会計年度において営業利益の計上を目指しておりましたが、2億7千2百万円の損失を計上することとなり、平成26年3月期以後、2期連続の営業損失を計上いたしました。よって、当連結会計年度末時点において継続企業の前提に関する重要事象の存在を確認しておりますが、当連結会計年度での営業損失の主要因であります売上原価高騰への対応や、来期以降の継続的な業績向上に向け、次の項目を進めており、これらの対応策により継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
①生産体制の見直し
当連結会計年度において凍豆腐事業における生産工場の集約を行い、第4四半期連結会計期間において更なる効率生産が出来る体制が整いました。
また、外部業者へ生産委託を行っていた医療用食材を主体に、工場空きスペースを利用した自社生産への切り替えを行い資産の効率活用を行ってまいりました。
当連結会計年度には上記のための一時費用などが発生いたしましたが、来期以降は体制変更の効果を見込んでおります。
②運営体制の見直し
平成27年4月より組織運営の迅速化、経営管理機能の確立及び収益管理の強化を目的に、経営戦略本部、生産本部、営業本部の3本部の運営体制を解消し、各本部に分散していた企画機能、管理機能をそれぞれ経営企画部、経営管理部に集約いたしました。また、営業、生産の各本部は営業統括部、生産統括部として各ライン活動に特化し運営を行うことといたしました。さらに研究開発統括部を設置し、研究、技術開発を専門的に行う体制といたしました。このほか、商品設計部を置き、設計開発業務に特化させることで、商品開発のスピードアップを図っております。
③固定費の削減
固定費の削減として当連結会計年度は生産体制の見直しとも連動し労務費、経費の抑制を図っております。また、役員報酬や執行役員・幹部社員の報酬・給与の減額は継続とし人件費の圧縮を行ってまいります。経費につきましては将来的な業績向上のため、生産体制の見直しに係る一時費用の計上や、品質向上をより推し進めるため、FSSC22000取得にかかる一時費用を計上いたしましたが、来期以降の多額な費用の発生は限定的なものと思われ、さらに継続的に製造費用、販売費及び一般管理費の削減を行ってまいります。
今後につきましても更なる経営改善活動を進めてまいります。