有価証券報告書-第202期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 11:23
【資料】
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【項目】
127項目

研究開発活動

当社グループでは既存事業の発展と新規事業の育成を推進すべく、研究開発活動に積極的に取り組んでおります。
(繊維事業)
1.消臭加工「デオマジック®」の進捗
平成23年8月にプレス発表した新しい発想の消臭加工「デオマジック®」が、繊維業界のみならず様々な業種からの問い合わせがあり、市場への製品販売に向けて異業種と取り組みを進めております。特に、介護用途・ベビー用途・ペット用途・畜産用途への拡販を進めております。
現在進めている用途は以下のとおりであります。
(1)すでに実用化した用途
①ベビー用途 おむつポーチ、おむつゴミ箱用スプレー(2社からの販売)
②ペット用途 ネコ砂、トイレシート、消臭スプレー
③介護用途 人工肛門パウチカバー、おしりふきシート、消臭スプレー
④畜産用途 消臭スプレー
(2)実用化に向けて検討中の用途
①介護用途 おねしょマット、紙おむつ等
②下水道用途 汚泥臭対策
③仮設トイレ・ 糞便臭対策
くみ取り車用途
④葬儀用途 死臭対策
⑤水産用途 魚臭対策
⑥一般用途 体臭対策
⑦その他用途 園芸用肥料臭気対策
2.「ミドル脂臭」対応消臭加工「スーパーアニエールM」の開発
平成27年3月、株式会社マンダムとの共同取組により、汗臭のみならず、30~40歳代で顕著に増加する体臭「ミドル脂臭」の主成分である「ジアセチル」に対しても高い消臭効果を示す消臭加工繊維「スーパーアニエールM」を開発し、プレス発表いたしました。
最近の「ニオイ」に対する関心の高まりにより、衣類に関しても体臭を防ぐ商品のニーズが高まっており、そのニーズに応えて下記商品を提案・展開してまいります。
肌着、パジャマ、布団側地、シーツ、カバー地、ピロケース、タオル、ハンカチ、ガーゼ(寝巻き,ハンカチ)、綿毛布、タオルケット、ワイシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、作業服、制服、帽子など
3.「エリシルク」プロジェクトの推進
東京農業大学の長島孝行教授との共同研究により開発した天然機能性繊維「エリナチュレ®」(エリシルク)は、発表以来「エリナチュレ®」ブランドを世に広めるため、プロジェクトを企画推進してまいりました。当年度は、信州大学と産学連携にてエリサン養蚕(量産)に向けて共同研究を開始いたしました。信州大学の飼育ノウハウを活用し、カンボジアでのエリサン量産システム構築を目指しております。また、「エリシルク」プロジェクトと改名し、「エリナチュレ®」という繊維製品の拡販のみならず、そのサナギの食材としての利用と市場開拓など、活動を拡大してまいります。ベビー用品販売会社、オーガニックコットン製品製造アパレル会社など、新規の顧客に採用されつつありますが、カンボジアの活動を含め、弊社テキスタイル展示会にてプロモーションを引き続き実施し、広く繊維関連企業へ活動への参加を促してまいります。
繊維事業の当連結会計年度の研究開発費は、1億76百万円であります。
(産業材事業)
産業資材分野では、製紙業界及び製造業各業種等における顧客課題に対応した新製品・新技術の開発に努めております。国内製紙業界では、国内の紙需要は平成26年度も前年割れし、今年度も減少傾向が続くものと予想されます。一方海外では、新興国を中心に紙の需要は右肩上がりであり、ドライヤーカンバスの販路も海外に求める必要があります。対応策として、海外メーカーが生産していない高通気度・オープンメッシュカンバスのラインアップを充実させると同時に、新たなコンセプトのオープンメッシュカンバスも開発しております。また、ドライヤーカンバスを「織る」のではなく、「コイルを組み合わせる」というコンセプトで製作する製品開発に着手し、商品化への展開を計画しております。フィルタークロスでは、高塩素耐性をもつ製紙用途フィルタークロスの商品化に向けた実装試験の実施、メルトブロー不織布を使用した緻密クロスの開発に着手しました。さらに、ペットボトル再生糸を使用した環境配慮型クロスであるエコクロスの官需向け積極展開の他、油剤付着率低減品を提案してクリーンで安全な商品の提供に注力しております。
機能材料分野では、中央研究所において、航空宇宙分野を中心に用途が拡大している複合材料(繊維強化プラスチック)の研究開発を行っております。高まる市場要求に応え得る繊維基材の開発や、新たな成形・加工方法による一貫生産体制の確立を目指した新しい技術開発に取り組んでおり、海外のユーザー企業、大学や研究機関との連携も強めながら、最適化材料の開発を進めております。また、新たな耐熱複合材料の開発活動として、他企業・大学との共同研究開発も行っております。
産業材事業の当連結会計年度の研究開発費は2億14百万円であります。
なお、当社グループの研究開発活動は、主として、繊維事業は㈱シキボウ江南内にある当社開発部門、産業材事業は東近江市にある当社中央研究所を拠点として行っております。
当連結会計年度の研究開発費は3億90百万円であります。