四半期報告書-第143期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

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2015/02/12 11:13
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における日本経済は、政府の経済政策などにより企業収益に改善が見られ、景気は緩やかな回復基調となりました。反面、消費増税後の消費マインドに力強さはなく、個人消費には未だ回復の兆しが見られない状況です。世界経済においても、米国経済が堅調に推移する一方、中国や新興国経済の成長鈍化、景気低迷が続く欧州経済など、先行きは不透明な状況で推移しています。
当社グループでは、「21世紀型企業への変革!」を中期方針に掲げ、変化し続ける経営環境においても、常にお客様のニーズに応え、かつ安定した収益確保と継続的な成長を果たすため、“新規事業の創出”と“グローバル事業の拡大”を柱とした中期事業戦略に着手しております。併せて、生産性向上や業務の効率化・改善、徹底した経費削減による収益力強化を図るとともに、戦略遂行に必要な人材育成及び組織機能の拡充など、企業体質の強化に取り組んでおります。
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高758億43百万円(前年同四半期比5.5%増)、営業利益45億23百万円(同9.2%増)、経常利益51億24百万円(同11.4%増)、四半期純利益29億98百万円(同13.3%増)となりました。
セグメントの概況は次のとおりであります。
車輌資材事業では、国内事業は、消費増税後の反動により新車販売台数の落ち込みがありました。当社グループの4月から6月の生産は、前期受注残により計画通りに推移したものの、回復が遅れる新車販売台数の影響を受け、7月以降厳しい状況になりました。またコスト面では、原料、染料の価格高騰に対し、当社独自の整流生産活動による生産効率化や調達活動により、コスト増の一部を吸収しましたが、国内事業では前年同期比で減収・減益となりました。一方、新商品として、瞬間消臭機能の「イノドール®」、防汚機能の「エラッセ®」等、快適性を追及した高機能商品が新型車に採用されました。さらに、“革を超える新素材”「クオーレ®」やビスコテックス加飾パネルが新幹線等の鉄道車輌に採用され、自動車以外の新たな市場が広がりました。海外では、タイでの政情不安、ブラジルでの景気低迷の影響を受け、自動車販売台数に落ち込みが見られたものの、米国、中国においては自動車販売台数が順調に伸び、加えて、クオーレ®などの高付加価値商品の販売拡大や北米向けエアバッグの引き取り増が貢献したことにより、海外事業全体では前年同期比で増収・増益となりました。なお、新拠点として2013年末に量産を開始したインド及びインドネシアでは、現在、償却などの費用が先行しております。両拠点の利益貢献は2017年以降になる見通しです。当事業の売上高は411億65百万円(前年同四半期比9.3%増)、営業利益31億69百万円(同0.8%減)となりました。
ハイファッション事業では、国内では、消費増税の影響に加え、夏季の天候不順など、消費マインドに回復の兆しが見られない状況が続いております。国内アパレル業界を取り巻く環境は一層厳しいものとなり、当社グループのファッション衣料向けテキスタイル及び製品販売事業にもその影響が及びました。また、生産拠点の海外シフトの影響を受け、従来の繊維加工事業や国内スポーツ衣料向けのテキスタイル販売事業の売上高が減少し、加えて原料、染料の価格高騰によるコスト増がありました。受注変動に応じた生産体制や省エネ設備の導入、当社独自の整流生産による効率化により、さらなるコスト低減を進める一方で、高付加価値商品の開発を継続し、事業収益の改善に取り組んでいきます。海外子会社の Saha Seiren Co., Ltd.(タイ)における原糸から製品までの一貫生産については、さらなる生産効率アップに向けた先行費用が発生しておりますが、着実に収益性の改善が進んでおります。当事業の売上高は204億62百万円(前年同四半期比0.2%増)、営業利益は69百万円(同61.3%減)となりました。
エレクトロニクス事業では、グローバル市場での競争が激化する中、先進技術により差別化を高めた電磁波シールド材「プラット®」及びプラット複合化商品、KBセーレン㈱の高性能導電糸「ベルトロン®」が売上高を伸ばしました。また、航空宇宙分野においても、当社グループの差別化商品の採用が増え、新たな事業領域としての可能性が具現化してまいりました。ビスコテックス・システム販売事業では、多様化する消費者ニーズに対応する在庫レス、省資源・省エネルギー生産システムとして、システム本体及びサプライ商品が売上高を伸ばしました。海外では、中国及びアセアン市場の開拓が進んだ世聯電子(蘇州)有限公司(中国)の繊維機械販売が売上高を伸ばしました。当事業では、繊維を始めとする高分子材料と金属との複合、インクジェット技術との技術融合など、当社グループの独自シーズを活かした商品開発に集中し、時代を先取りした高付加価値商品を訴求してまいります。当事業の売上高は38億87百万円(前年同四半期比3.4%増)、営業利益は3億27百万円(同583.3%減)となりました。
環境・生活資材事業では、消費増税後の反動により、住宅着工戸数が前年同期を大きく下回る状況が続いております。その影響を受け、セグメント主力のハウジング資材事業において、住宅用ハウスラップ材や床養生シート等、ハウジング資材が売上高を落としました。一方、新たな事業領域の土木分野では、独自の繊維技術により商品化した防草シートの拡販が順調に進捗しました。健康・介護事業では、機能性と快適性を兼ね備えた新商品が売上高を伸ばし、オフィス・インテリア資材では、差別化新商品の投入により当社グループの市場シェアが拡大しました。当事業の売上高は51億25百万円(前年同四半期比2.5%減)、営業利益は5億9百万円(同9.5%減)となりました。
メディカル事業では、当社の独自技術で商品化した、繭から生まれた天然成分セリシン配合のコモエース化粧品は、自社サイトや百貨店常設店舗における販売強化により新規顧客の獲得が進みましたが、消費増税に伴う駆け込み需要の反動を受け、売上高を落としました。卓越した消臭機能を持つアンダーウエアシリーズ「デオエスト®」は、顧客ニーズにマッチした新商品投入を継続しつつ、メディア展開を始めとするプロモーションに注力し、さらなる売上高拡大を図ってまいります。メディカル資材では、KBセーレン㈱の差別化原糸をはじめ、独自シーズを活かした医療用基材群がいずれも堅調に売上高を伸ばしました。当事業の売上高は44億64百万円(前年同四半期比11.7%増)、営業利益は10億46百万円(同29.4%増)となりました。
その他の事業では、㈱ナゴヤセーレンの賃貸事業やセーレンコスモ㈱の人材派遣事業が堅調に推移しました。当事業の売上高は7億39百万円(前年同四半期比3.9%減)、営業利益は3億66百万円(同14.5%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、現金及び預金などの流動資産の増加や、投資有価証券などの投資その他の資産の増加により、全体で前連結会計年度末と比較して32億8百万円増加の1,053億26百万円となりました。負債の部は、流動負債は増加しましたが、長期借入金などの固定負債の減少により、4億1百万円減少し、436億10百万円となりました。純資産は、利益剰余金の増加や為替変動による為替換算調整勘定の増加などにより36億10百万円増加し、617億15百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は84億29百万円となり、前連結会計年度末より23億48百万円増加しました。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、51億51百万円の収入(前年第3四半期連結累計期間は69億16百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益51億7百万円、減価償却費33億94百万円などによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、13億16百万円の支出(前年第3四半期連結累計期間は68億円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出22億18百万円などによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、18億10百万円の支出(前年第3四半期連結累計期間は22億94百万円の支出)となりました。これは主に、借入金の返済による純減少額7億70百万円や配当金の支払による支出9億85百万円などによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は36億88百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画は以下のとおりであります。
会社名所在地セグメントの名称設備の内容投資予定額(百万円)着手
年月
完成予定
年月
完成後の
増加能力
総額既支払額
Viscotec México S.A. de C.V.メキシコ合衆国
グアナファト州アバソロ市
車輌資材土地及び自動車内装材生産工場2,540521平成26年
11月
平成27年
12月
土地面積188,638㎡
工場面積25,605㎡
Viscotec México S.A. de C.V.メキシコ合衆国
グアナファト州アバソロ市
車輌資材自動車内装材生産設備830-平成26年
12月
平成27年
12月
55千m/月

なお、前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設、除却等のうち、当第3四半期連結累計期間において完成したものは、次のとおりであります。
世聯汽車内飾(蘇州)有限公司において、自動車内装材生産設備(セグメント区分「車輌資材」)を取得しました。