四半期報告書-第146期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/02/13 9:23
【資料】
PDFをみる
【項目】
26項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における日本経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調が続き、個人消費についても堅調に推移しました。世界経済は、中国や新興国経済の成長鈍化、先進諸国の政策動向、テロなどが及ぼす影響も不透明であり、今後の方向性を注視していかなければならない状況にあります。
そのような環境の中、当社グループでは、「21世紀型企業への変革!」を中期方針に掲げ、変化し続ける経営環境においても、常にお客様のニーズに応え、かつ安定した収益確保と継続的な成長を果たすため、“新規事業の創出”と“グローバル事業の拡大”を柱とした中期事業戦略を推進しております。併せて、戦略遂行に必要な人材育成や組織機能の拡充、さらには生産性向上・業務の効率化改善、徹底した経費削減などによる収益力強化を図り、企業体質の強化に取り組んでおります。
当第3四半期の連結業績は、売上高845億61百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益81億72百万円(同9.7%増)、経常利益84億4百万円(同5.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益55億75百万円(同1.4%減)となりました。売上高、営業利益、経常利益とも6期連続の増加となり、営業利益、経常利益については第3四半期として3期連続で最高益を更新しました。
セグメントの概況は次のとおりであります。
車輌資材事業では、国内事業では、新車販売が堅調に推移する中、“革を超える新素材”「クオーレ®」や瞬間消臭機能の「イノドール®」、防汚機能の「エラッセ®」、ステアリング用の夏冬快適素材「クオーレモジュレ®S」など、車輌の室内空間を快適にする高付加価値商品群が順調に推移し、ビスコテックス加飾パネルについても、堅調に推移しました。しかしながら、一方で一時的なエアバッグの受注減などの影響を受け、国内事業は前年同期比で若干の減益となりました。海外事業においては、タイのエアバッグ事業が苦戦しましたが、米国と中国において自動車販売台数が順調に推移したことや、「クオーレ®」をはじめとする差別化商品が大きく売上を伸ばしたことが寄与し、海外事業全体では増収・増益を達成することができました。また、海外新拠点として、2013年末にインド、インドネシア、2015年に河北(中国)、そして2016年にメキシコと順次立ち上げてきましたが、すべて当初計画以上で進捗しております。特に今後の増産対応に向け、蘇州とメキシコにおいて“革を超える新素材”「クオーレ®」の生産ラインを増設、並びに河北においてエアバッグ工場の建設を、前倒しで着手しております。当事業の売上高は491億49百万円(前年同期比8.9%増)、営業利益50億41百万円(同6.7%増)となりました。
ハイファッション事業では、国内事業では、消費者の節約志向は依然強く、当社グループの主要顧客である国内アパレルブランドを取り巻く環境は厳しい状況が続いております。当社グループのファッション衣料向けテキスタイルおよび製品販売事業においては、「VISCOTECS®」等身大CAD上で具体的な製品イメージを描きながら企画した差別化デザインを、糸から縫製までのグループ一貫機能と結び付けて小ロット・短納期・在庫レスで最適生産を行うなど、お客様のニーズに対応し健闘してきました。また、当社グループのニッティング技術と加工技術を駆使したインナー衣料向け差別化素材の製造・販売も堅調に推移しており、今後更に拡大する市場ニーズに対応すべく、目下、国内工場および海外子会社のSaha Seiren Co., Ltd.(タイ)において独自編機の増設を進め、生産能力の増強に着手しております。しかしながら、セグメント全体においては、国内市場の消費マインド低迷の影響を受け、数量ダウンをカバーするにまで至らず、前年同期比で減収・減益となりました。当事業の売上高は183億97百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益は4億50百万円(同27.5%減)となりました。
エレクトロニクス事業では、繊維と金属の複合化技術により差別化を高めた導電性素材「プラット®」は、より付加価値を高めるべく部品化・製品化を進めております。中でも、スマートフォン、タブレットやゲーム機への新規採用が増加、特に薄型電極材が大きく売上高を伸ばしました。KBセーレン㈱では、高性能ワイピングクロス「ザヴィーナ®」が堅調に推移し、スーパー繊維の「ゼクシオン®」および「グラディオ®」についても、用途開発の進捗とともに採用件数が増えております。また、海外で繊維機械の製造販売事業を展開する世聯電子(蘇州)有限公司(中国)において、高性能差別化機種の販売拡大が進み、増益となりました。当事業の売上高は60億84百万円(前年同期比35.6%増)、営業利益は14億58百万円(同96.0%増)となりました。
環境・生活資材事業では、新設住宅着工戸数は昨年比微減となる中、当セグメント主力のハウジング資材事業では、優れた省エネ性能をもつ遮熱型ハウスラップ材や遮熱・高止水型ルーフィング材をはじめ、当社グループ独自の差別化商品群が売上高を伸ばしました。また、新たな事業領域である環境・土木分野においては、独自の繊維技術により商品化した防草シート「グラスガード®」の業界認知度を増し、さらなる販売拡大を進めております。健康・介護事業では、昨年来続いておりました診療報酬の改定に伴う施設等での商品買い控えの動きも弱まり、新規案件獲得により増収・増益となりました。当事業の売上高は55億66百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は6億78百万円(同19.0%増)となりました。
メディカル事業では、当社の独自技術で商品化した、繭から生まれた天然成分「ピュアセリシンTM」配合のコモエース化粧品は、自社サイトや百貨店常設店舗における販売強化に加え、プレミアム商品などの販売が好調に推移しました。卓越した消臭機能を持つアンダーウエアシリーズ「デオエスト®」は、さらなる売上高拡大を図るため、顧客ニーズにマッチした新商品投入を継続しつつ、メディア展開を始めとするプロモーションに注力し販売拡大を進めております。また医療資材分野では、KBセーレン㈱の差別化原糸をはじめとするグループ一貫機能を活かした差別化商品が売上高を伸ばしましたが、薬価改定の影響により、一部の医療用製品において既存品の受注減少がありました。当事業の売上高は46億69百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益は12億58百万円(同3.2%減)となりました。
その他の事業では、㈱ナゴヤセーレンの不動産賃貸管理事業やセーレンコスモ㈱の人材派遣事業が堅調に推移しました。当事業の売上高は6億94百万円(前年同期比7.7%減)、営業利益は4億6百万円(同6.1%減)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、現金及び預金などの流動資産が増加し、全体で前連結会計年度末と比較して81億9百万円増加の1,206億97百万円となりました。負債の部は、短期借入金などの流動負債の増加により、30億54百万円増加し、442億66百万円となりました。純資産は、利益剰余金の増加などにより50億54百万円増加し、764億30百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は156億7百万円となり、前連結会計年度末より34億4百万円増加しました。。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、79億55百万円の収入(前年第3四半期連結累計期間は84億1百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益81億39百万円、減価償却費34億97百万円などによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、45億5百万円の支出(前年第3四半期連結累計期間は19億82百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出34億68百万円などによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、3億20百万円の支出(前年第3四半期連結累計期間は44億3百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払19億86百万円などによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は37億10百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画は以下のとおりであります。
会社名所在地セグメントの名称設備の内容投資予定額(百万円)着手
年月
完成予定
年月
完成後の
増加能力
総額既支払額
世聯汽車内飾(蘇州)有限公司中国江蘇省蘇州市車輌資材自動車内装材(合皮)生産工場・設備1,182390平成29年9月平成30年4月工場面積8,480㎡
合皮生産
250千m/月
世聯汽車内飾(河北)有限公司中国河北省石家荘市車輌資材エアバッグ生産工場・設備628363平成29年8月平成30年1月工場面積14,000㎡
エアバッグ縫製40万袋/月

なお、当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。