有価証券報告書-第103期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
紙パルプ業界を取り巻く環境は、電子媒体へのシフトや少子・高齢化による構造的問題のため今後も一層厳しい情勢が続くことが予想されます。
このような状況下、当社グループは、発電事業の安定操業や高級白板紙の事業基盤の強化、セルロース・ナノファイバーの開発促進など、「ネクストステージ50」で培った経営資源を最大限活かして収益確保に邁進するとともに、将来の需給環境をはじめ、いかなる事業環境の変化の下にあっても、常に成長を志向できる企業体質の基盤を築くため、中期3ヶ年計画『フォワード304』を策定し取組みを開始しております。
当期の経営成績につきましては、需要減少、市況の軟化が続きましたが、製品パルプのラインナップ拡充による販売の強化や製品価格の復元に取り組んだ結果、増収となりました。しかし、安定操業やコスト削減に取り組んでまいりましたが、原燃料価格の高騰、高板・加工原紙事業の品質確立の遅れなどにより連結営業損失となりました。
また、『フォワード304』の取組みの一環である「グループ事業領域の再構築」として、パルプ事業の拡大のため、N-UKP(針葉樹未晒パルプ)を新たにパルプの販売ラインアップに追加いたしました。更に「合弁事業への参画」への取組みにつきまして、株式会社環境経営総合研究所との合弁会社である「中越エコプロダクツ株式会社」を昨年7月に設立し、連結子会社としております。食品トレイ事業への参入に向け、早期の事業活動開始を目指します。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は96,716百万円(前年同期比2.0%増収)となり、営業損失は397百万円(前年同期は1,242百万円の営業損失)、経常利益は121百万円(前年同期は1,293百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は721百万円(前年同期は5,206百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
事業の種類別セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(紙・パルプ製造事業)
国内需要の低迷が続くなか、新規需要の獲得や拡販、コスト削減など収益力の強化に努めると共に、パルプの販売に注力した結果、前年と比較し金額は増加しました。
◎ 新聞用紙
新聞用紙の販売につきましては、新聞各社の発行部数の減少と広告減が影響した頁数の減少に歯止めがかからない状況が続いており数量・金額ともに前年を下回りました。
◎ 印刷用紙
印刷用紙の販売につきましては、紙媒体から電子媒体へのシフト等により国内需要の頭打ちの受け皿として、輸出にシフトしましたが、紙からパルプへの転換を進めたことで生産数量が減少したことにより数量は前年を下回りましたが、金額につきましては年初からの価格復元が寄与し前年と比較し微増となりました。
◎ 包装用紙
包装用紙の販売につきましては、紙からパルプへの転換を進めたこともあり数量は前年を下回りましたが、輸出数量を縮小し、国内販売は前年並みの数量を確保しました。金額につきましては上期後半からの価格復元が寄与し前年を上回りました。
◎ 特殊紙・板紙及び加工品等
特殊紙・板紙及び加工品等の販売につきましては、需要が堅調な壁紙等で拡販に取組んだ結果、数量・金額ともに前年を上回りました。
◎ パルプ
パルプの販売につきましては、パルプ市況の回復に伴い、紙からパルプへの転換を進めた結果、数量・金額ともに前年を大幅に上回りました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 85,034百万円(前年同期比1.4%増収)
連結営業損失 1,982百万円(前年同期は3,153百万円の連結営業損失)
(発電事業)
発電事業につきましては、前年は生産本部二塚製造部において、送受電設備の故障により発電事業を停止しておりましたが、当期においては安定操業に努めたことにより増収となりました。一方、木質バイオマス燃料発電設備の定期検査の費用が増加したことにより減益となりました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 6,926百万円(前年同期比14.9%増収)
連結営業利益 1,315百万円(前年同期比7.2%減益)
(その他)
当社工場の定期点検停止時の設備更新工事が前年と比較し長期間となったことによる生産減、および7月に発生した西日本豪雨の影響で物流網が混乱したこと等により、紙断裁選別包装・運送事業等の紙・パルプ製造事業を補助する「その他事業」につきまして減収・減益となりました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 19,476百万円(前年同期比3.8%減収)
連結営業利益 162百万円(前年同期比59.7%減益)
財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,417百万円減少し、123,646百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,602百万円減少し、75,185百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ815百万円減少し、48,461百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,161百万円増加し、5,918百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は6,320百万円(前連結会計年度比14.7%減少)となりました。
これは主として、減価償却費7,979百万円と、たな卸資産の増加額1,360百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,061百万円(前連結会計年度比59.6%減少)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出4,828百万円、投資有価証券の売却による収入917百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,099百万円(前連結会計年度比44.7%増加)となりました。
これは主として社債の償還による支出2,000百万円、長期借入金の返済による支出7,990百万円、長期借入による収入8,900百万円などによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称等 | 数量 | 前年同期比(%) | |
| 紙・パルプ製造事業 | 紙 | 705,300t | 95.0 |
| パルプ | 775,687t | 97.4 | |
(注) パルプは未晒総生産量であり自家消費量を含んでおります。
b. 受注実績
当社グループは、大部分が市況を勘案した見込み生産を行っており、グループ全体の受注状況を把握することは困難であるため、該当事項については記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称等 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 紙・パルプ製造事業 | 紙 | 73,956 | 99.2 |
| パルプ | 7,697 | 135.0 | |
| 計 | 81,653 | 101.8 | |
| 発電事業 | 6,926 | 114.9 | |
| その他 | 8,136 | 94.8 | |
| 合計 | 96,716 | 102.0 | |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等を含んでおりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 新生紙パルプ商事㈱ | 19,222 | 20.3 | 18,502 | 19.1 |
| 日本紙パルプ商事㈱ | 13,093 | 13.8 | 13,783 | 14.3 |
| 国際紙パルプ商事㈱ | 11,882 | 12.5 | 11,548 | 11.9 |
(注) 上記金額には、消費税等を含んでおりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等は、売上高は96,716百万円と前期に比べ2.0%の増収となりました。しかしながら原燃料価格の高騰や高板・加工原紙事業の品質確立の遅れなどが収益を圧迫したことで、397百万円の営業損失(対前期比845百万円の改善)、経常利益は121百万円(対前期比1,414百万円の改善)となりました。
また投資有価証券の一部売却を実施し、売却益を特別利益として計上したことなどで、721百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
電子媒体へのシフト等による紙の需要構造の変化、少子・高齢化による内需の落ち込みなど、今後紙需要の拡大が見込めないなか、当社グループは、発電事業の安定操業や高級白板紙の事業基盤の強化、CNFの開発促進など、ネクストステージ50で培った経営資源を最大限活かして収益確保に邁進するとともに、将来の需給環境をはじめ、いかなる事業環境の変化の下にあっても、常に成長を志向できる企業体質の基盤を築くため、中期3ヶ年計画「フォワード304」効果の最大化を目指してまいります。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社グループはいかなる情勢の変化にも対応し、リスクを吸収できるしなやかな企業グループの基盤を築くため、中期3ヶ年計画『フォワード304』を2018年5月に策定し、2020年度末に、営業利益30億円、ROE4%の収益基盤の確立に向け取り組みを開始しております。
中期3ヶ年計画の初年度における当期は、原燃料価格の高騰、高板・加工原紙事業の品質確立の遅れなどにより397百万円の連結営業損失となりましたが、ROEは1.5%となりました。2019年度では、連結営業利益20億円・ROE2.1%の目標を掲げています。
今後も安定操業を第一にパルプ事業の強化や新たな紙の価値を創造し、基幹事業である紙・パルプ製造事業の収益基盤強化に取り組むと共に、『フォワード304』で掲げた事業戦略を着実に実行し、中期3ヶ年計画の達成を目指してまいります。
⑤ 財政状態及びキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1.9%減少し、123,646百万円となりました。これは有形固定資産が減価償却などにより3,752百万円減少したことや、投資有価証券の売却を実施したことなどにより投資その他の資産が1,160百万円減少したことなどによります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2.1%減少し、75,185百万円となりました。これは主として、金融機関からの借入金等が1,441百万円減少したことなどによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1.7%減少し、48,461百万円となりました。これは主として投資有価証券の売却を実施したことに伴い、その他有価証券評価差額金が787百万円減少したことなどによります。また自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.1ポイント増加し39.2%となりました。
当社グループのキャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループの資金計画は、設備投資資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、銀行借入やコミットメントラインの利用などによって流動性を保持しております。今後の主な設備投資資金需要として、高機能性のあるセルロースナノファイバーの量産化へ向けたパイロットプラントの建設(投資総額24億円)を予定しております。
また、当社グループはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金融通を行うことで資金効率を高めております。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ1,161百万円増加し、5,918百万円となりました。
なお、当連結会計年度末の金融機関からの借入金の内訳は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 合計 | 返済 1年以内 | 返済 1年超 | |
| 短期借入金 | 20,450 | 20,450 | ― |
| 長期借入金 | 27,957 | 5,122 | 22,835 |
| 合計 | 48,407 | 25,572 | 22,835 |
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、常に市場ニーズに密着し、創造的で信頼性の高い技術をもって、人と環境にやさしい「紙」の開発と安定した製品の供給により、経済・社会・文化の発展に寄与することを社会的使命と認識し「紙」の文化の創造に果敢に挑戦しております。
そして、「株主重視」「顧客重視」に心がけ、当社グループの総合力に対する信頼性と収益性の確保・向上を目指し、株主・顧客・地域社会・社員・企業の共存共栄を図るとともに、社会に対する貢献を重点に企業活動を行なってまいります。
また、グローバル化に対応し、迅速な情報開示に努め、透明な経営姿勢を保ち、加えて効率的な連結経営を行なうことで、国際競争力の強化を図り、当社グループの存在価値を高めてまいります。